ロボット触覚センサー・電子皮膚関連銘柄を日本株で整理――ロボットの「手」を支える企業と収益化の距離

ロボット触覚センサー関連銘柄を、日本株の中で最も直接性の高い企業、重要なサプライチェーン企業、周辺需要企業に分けると、技術の違いと収益化までの距離が見えやすくなります。

テーマの中核に近いのは、ロボットの指や掌に取り付け、圧力と摩擦・せん断力を面的に検出するフィルム型センサーを展開するNISSHAです。ただし、製品の直接性が高いことと、企業業績への寄与が大きいことは同じではありません。量産顧客、販売数量、関連売上は開示されておらず、2026年8月に公表された決算発表延期についても確認が必要です。

サプライチェーンでは、指先用6軸力覚センサーを持つミネベアミツミ、面圧分布センサーを展開するニッタが比較的近い位置にあります。セイコーエプソン、ファナック、安川電機は、電子皮膚そのものではありませんが、接触時の力を検出し、組立、挿入、研磨などへ反映する力覚制御を商用提供しています。

TDKは2026年7月にヒューマノイド向け触覚モジュールの共同研究を発表しましたが、製品化や売上計上は確認できません。ブリヂストンはソフトロボットハンドという搭載先を持つものの、触覚センサーの搭載実績や関連売上は不明です。この2社は、技術テーマとの接点よりも、今後の製品化、採用、受注の裏付けを慎重に確認したい企業です。

今後は、ロボット触覚センサーや電子皮膚の市場予測だけでなく、各社の量産開始、ロボットメーカーへの採用、受注額、生産能力、耐久性、校正方法、交換コスト、関連事業の売上開示を追うことが重要です。政策支援やフィジカルAIへの注目が、そのまま企業業績の拡大を意味するわけではありません。技術の直接性、商用化段階、企業内重要度の三つを分けて判断する必要があります。

本ブログに掲載している情報は、筆者の個人的な見解および情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報に基づいて生じたいかなる損失についても責任を負いかねます。投資判断はご自身の責任において行ってください。

ロボット触覚センサー・電子皮膚関連テーマの整理

テーマの概要

ロボット触覚センサーとは、ロボットの指、指先、掌などに加わる圧力、把持力、接触位置、摩擦、滑り、せん断力を電気信号として取得するデバイスです。人間の皮膚のように広い面の接触状態を検出する柔軟なセンサーは「電子皮膚」「eスキン」とも呼ばれます。

カメラは物体の位置、形状、色を認識できますが、実際に触れた後の滑りや摩擦、柔らかさ、持ち上げるために必要な力を直接測定するものではありません。そのため、食品、衣類、ケーブル、柔らかい部品、壊れやすい製品を扱う際には、視覚に加えて触覚・力覚情報が重要になります。NISSHAは、厚さ1ミリメートル未満のフィルム型センサーで、垂直方向の圧力と水平方向の摩擦・せん断力を検出し、ロボットの指や掌に装着できると説明しています。

サプライチェーンは、感圧・圧電・ひずみ検出などのセンサー素子、柔軟基板や保護材、信号処理IC、センサーモジュール、把持制御ソフトウェア、ロボットハンド、ロボット本体、システムインテグレーションへとつながります。

初心者が注意したいのは、「触覚センサー」と「力覚センサー」が完全に同じではない点です。触覚センサーは指表面の圧力分布や滑りを面的に捉えるものが中心です。一方、6軸力覚センサーは、指先や手首など一点に作用する三方向の力と三方向のモーメントを測定します。どちらもロボットの手作業を高度化しますが、検出できる情報と搭載位置が異なります。

なぜ今注目されているのか

従来の産業用ロボットは、決められた位置で同じ部品を繰り返し扱う用途が中心でした。しかし、少量多品種生産、物流倉庫の商品ピッキング、食品、衣類、介護、家庭内作業では、対象物の形、硬さ、表面状態が毎回変わります。ブリヂストンも、少量多品種化に伴い、多様なワークに応じて把持力を調整する触覚センサーの必要性が高まっていると説明しています。

政策面では、NEDOが2026年3月、「触覚―動作統合に基づく環境適応型フィジカルAIの研究開発」の公募を開始しました。触覚情報とロボットの動作を統合し、環境や対象物の変化に適応するAI技術を対象とし、研究期間は最長5年間とされています。研究支援が企業の受注や売上へ直結するとは限りませんが、触覚がフィジカルAIの基盤技術として政策上も明示された点は重要です。

また、経済産業省は構造的な人手不足を背景にAIロボティクス政策の検討を進め、2025年には地域のロボット導入を支えるRINGプロジェクトを設立しました。安全面では、産業用ロボットとロボットシステムの要求事項を定めるISO 10218シリーズが2025年版へ改訂されています。触覚センサーは安全規格への適合を単独で保証するものではありませんが、接触を伴う作業ではセンサー、制御、停止機能を含めたシステム全体の安全設計が必要です。

海外では、触覚センサー専業のXELA Robotics、視触覚センサーを扱うFingerVision、触覚指先を販売するRobotiqなど、非上場・海外企業の製品開発も進んでいます。国内上場企業だけで市場を完結して捉えることはできず、センサー性能だけでなく、耐久性、校正、配線、AI学習用データ、ロボット制御への統合が競争軸になります。

日本株で関連銘柄を見る視点

中核事業型は、ロボットの指や掌へ搭載する触覚センサーを直接開発・提供している企業です。本記事では、面状に圧力と摩擦を取得できるNISSHAを中核事業型に位置づけました。

重要サプライチェーン型は、指先用6軸力覚センサー、圧力分布シート、ロボット用力センサー、力覚制御機能などを提供する企業です。電子皮膚そのものではなくても、ロボットが接触状態に応じて把持や挿入を調整するために重要です。

周辺恩恵型は、触覚センサーの搭載先となるロボットハンドやシステムを提供する企業です。センサー需要の拡大が、より高機能なロボットハンドの需要につながる可能性がありますが、センサー市場の拡大と当該企業の売上増加が一対一で対応するわけではありません。

思惑先行注意型は、共同開発や研究テーマとしての接点は確認できても、製品発売、量産、顧客、売上計上が確認できない企業です。

特に重要なのは、テーマに関係していることと、企業業績への影響が大きいことは同じではないという点です。大手電子部品会社やロボットメーカーでは、関連技術が企業全体のごく一部である場合があります。製品の存在だけでなく、量産、採用、受注、関連売上、設備投資の開示まで確認する必要があります。

関連銘柄一覧

表示順関連度位置づけ証券コード会社名市場区分関連する理由注目ポイント注意点
1A中核事業型7915NISSHA東証プライム指・掌に装着できる薄型フィルムで圧力と摩擦・せん断力を検出面状の3軸検出、曲面実装、多点測定売上、量産数量、採用顧客は非開示。決算発表延期にも注意
2B重要サプライチェーン型6479ミネベアミツミ東証プライムロボット指先向け小型6軸力覚センサーと開発中のロボットハンドを展開センサー、モーター、軸受を一社で提案可能ロボットハンドは開発段階。関連売上は非開示
3B重要サプライチェーン型5186ニッタ東証プライム薄型センサーシートによる面圧分布測定システムを販売多点の圧力分布測定、柔軟なセンサーシートロボット指への組み込み実績や売上規模は不明
4B重要サプライチェーン型6724セイコーエプソン東証プライム水晶圧電式力覚センサーとロボット制御を一体で提供微小な力の検出、精密挿入・組立への適用面状の電子皮膚ではなく、手首側の力覚が中心
5B重要サプライチェーン型6954ファナック東証プライムロボット手先の力とモーメントを検出する力センサーを提供ロボット本体、制御装置、センサーの統合センサー単体の売上や触覚用途別受注は非開示
6B重要サプライチェーン型6506安川電機東証プライム・福証6軸力覚制御機能「MotoFit」で組立、検査、研磨を支援材質に応じた力覚制御、産業用途の顧客基盤電子皮膚ではなくエンドエフェクター側の力覚制御
7C思惑先行注意型6762TDK東証プライムLG Innotekとヒューマノイド向け触覚センシングモジュールを共同研究多様なセンサー技術と海外モジュール企業の連携共同研究段階で、発売時期・顧客・売上は未確認
8C周辺恩恵型5108ブリヂストン東証プライム・福証多様な物体を扱うソフトロボットハンド「TETOTE」を開発柔らかい把持、食品・物流などの新用途自社の触覚センサー製品や搭載状況は確認できない

銘柄別解説

NISSHA(7915)|関連度A・中核事業型

会社概要

NISSHAは、印刷、コーティング、成形などの技術を基盤に、産業資材、デバイス、メディカル関連事業を展開する企業です。今回のテーマに関係するのは、タッチセンサーやフォースセンサーなどを扱うデバイス事業です。

2026年12月期第1四半期のデバイス事業売上高は104億円でしたが、この数字にはタブレット向けなど他のデバイス製品も含まれています。ロボット触覚センサー単独の売上高や受注額は公表されていません。

テーマとの関連性

NISSHAのフィルム型触覚センサーは、厚さ1ミリメートル未満で、薄く、軽く、曲げられることを特徴としています。ロボットの指先や掌などの曲面に装着し、垂直方向の圧力だけでなく、水平方向の滑り・摩擦・せん断力を検出できます。

3ミリメートルピッチの多点配列にも対応し、物体と指の間で生じる圧力と摩擦の分布・方向を取得できるとしています。これにより、不定形物の滑りを検知して把持力を調整したり、カメラだけでは分かりにくい物体の硬さに応じて力を変えたりする用途が想定されています。

2024年5月のICRAでは、摩擦・せん断力センサーを指先へ組み込んだロボットハンドのデモ機を展示しました。公式資料でロボットの指への実装と検出対象が明示されており、今回のテーマとの直接性は高いと判断できます。ただし、量産採用したロボットメーカー、販売数量、関連売上は確認できません。

関連度Aの判定理由: ロボットの指・掌に装着し、圧力、摩擦、せん断力を面的に取得する製品が公式に示されています。企業全体への寄与は不明ですが、技術と用途の直接性、一次情報の具体性が最も高い企業です。

注目ポイント
  • 厚さ1ミリメートル未満のフィルム構造を実際の指・掌へ安定して実装できるか
  • 摩擦・せん断力の測定が、滑り防止や柔らかい物体の把持成功率向上につながるか
  • 評価キットや測定システムから、ロボットメーカー向け量産部品へ移行するか
  • 耐久性、洗浄性、防水性、温度特性、センサー交換頻度の開示が進むか
  • 顧客採用、量産開始、受注額、関連売上の開示が今後の確認点になる
注意点
  • ロボット触覚センサー単独の売上高、利益、受注額は開示されていない
  • ICRAでの展示は確認できるが、特定ロボットへの量産採用は確認できない
  • 柔軟なフィルムは曲面実装に適する一方、摩耗や衝撃への耐久性が商用化上の課題になり得る
  • 海外の触覚センサー専業企業や視触覚方式との競争がある
  • 2026年8月4日に第2四半期決算発表の延期を公表しており、延期理由と半期報告書の提出状況を確認する必要がある。
参考情報

ミネベアミツミ(6479)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

ミネベアミツミは、ミニチュア・小径ボールベアリング、モーター、半導体、センサー、コネクター、アクセス製品などを展開する総合精密部品メーカーです。2026年3月期の連結売上高は1兆6,643億円で、ロボット関連は幅広い製品群の一部です。

ロボットの手に関しては、指先用の6軸力覚センサー、モーター、軸受、ひずみゲージなどを供給できるほか、自社部品を統合したロボットハンドも開発しています。

テーマとの関連性

同社のMMS101は、三方向の力と三方向のモーメントを測定する6軸力覚センサーです。MEMSチップと金属構造を組み合わせ、直径9.6ミリメートル、高さ9ミリメートル、重量3グラムという小型・軽量構造で、公式サイトはロボットハンドの指先に適すると説明しています。

CES 2026では、自社の軸受、モーター、ひずみゲージなどを統合した高性能ロボットハンドを展示しました。把持対象の硬さに応じて力を調節するため、自社製ひずみゲージによる力検出を利用しています。ただし、このロボットハンドは公式に「開発中」と表示されており、量産・販売段階とは区別する必要があります。駆動ユニットはハーモニック・ドライブ・システムズとの共同開発です。

関連度Bの判定理由: 指先向け6軸力覚センサーは製品として確認でき、ロボットハンドへの用途も明示されています。一方、面状の電子皮膚ではなく、関連事業の企業全体に占める比率も不明であるためBとしました。

注目ポイント
  • 小型6軸力覚センサーが、多指ハンドの各指へ採用されるか
  • センサー、モーター、軸受、半導体を一括提案できる部品構成
  • 開発中のロボットハンドが展示品から商用製品へ移行するか
  • ハーモニック・ドライブ・システムズとの共同開発が量産案件へ接続するか
  • ヒューマノイド向け部品の受注や設備投資が開示されるか
注意点
  • ロボット指先用センサー単独の売上高や受注額は非開示
  • CES展示のロボットハンドは開発段階で、発売時期は確認できない
  • 企業規模が大きく、触覚・力覚センサーが業績に与える影響は現時点では限定的または不明
  • ヒューマノイド市場の立ち上がりが遅れれば、部品需要も後ろ倒しになる可能性がある
  • 指先センサーは面状の圧力分布や接触位置を取得する電子皮膚とは機能が異なる
参考情報

ニッタ(5186)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

ニッタは、伝動用ベルト、搬送用ベルト、樹脂ホース、空調・クリーンルーム関連製品、センサー製品などを展開する工業用部材メーカーです。2026年8月6日時点で東証プライム市場に上場しています。

今回のテーマに関係するのは、薄いセンサーシートを使用して圧力の大きさと分布を可視化する面圧分布測定システムです。

テーマとの関連性

ニッタの面圧分布測定システムは、薄型のセンサーシートを対象物の間に挟み、圧力分布をリアルタイムで測定、表示、記録、解析する製品です。公式サイトでは、センサーシートの薄さを生かして接触面を乱しにくいことが示されています。

ロボットハンドの指表面へ組み込めば、どの部分にどの程度の圧力が加わっているかを多点で測定する用途が考えられます。ただし、確認できた公式ページは測定・評価システムとしての説明が中心です。ロボット指への量産組み込み、ロボットメーカーへの納入、せん断力や滑りの検出については確認できません。

関連度Bの判定理由: 薄型の面圧分布センサーは電子皮膚に近い技術構成を持ちますが、ロボットハンド向け量産部品としての採用実績が公開情報で確認できないためBとしました。

注目ポイント
  • 評価・測定用途から、ロボット指への組み込み用途へ展開するか
  • センサーシートの薄さ、測定点数、応答速度、耐久性
  • 把持圧の均一化や柔らかい物体の評価で採用事例が増えるか
  • ロボットメーカーやハンドメーカーとの提携が開示されるか
  • センサー事業の売上や成長率が独立して開示されるか
注意点
  • ロボットハンド向けの具体的な採用先、受注額、量産数量は確認できない
  • 現在の製品説明は圧力測定・解析用途が中心
  • 水平方向のせん断力や滑りを直接検出できるかは公開情報から判断できない
  • 主力のベルト、ホースなどに比べたセンサー事業の重要度は不明
  • 電子皮膚として組み込むには小型化、配線、耐摩耗、制御ソフトとの統合が必要になる
参考情報

セイコーエプソン(6724)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

セイコーエプソンは、プリンティング、プロジェクター、ウエアラブル・産業機器、製造ソリューションなどを展開しています。産業用ロボットでは、スカラロボット、小型6軸ロボット、ロボット制御装置、画像処理、力覚センサーを組み合わせた自動化システムを提供しています。

今回のテーマに関係するのは、ロボットの手首付近に搭載し、接触時の微小な力を測定する水晶圧電式力覚センサーです。証券コードは6724で、東証プライム市場に上場しています。

テーマとの関連性

エプソンの力覚センサーは、水晶の圧電効果を利用して、微小な力と回転方向を高感度で検出します。検出データをロボット制御へ反映することで、人が手の感覚に頼っていた精密な挿入、組立、接触作業を自動化できると説明しています。

2025年6月に発表した大阪・関西万博の展示では、狭い空間への部品挿入など、人の触覚に依存していた作業を力覚センサーで行う例を示しました。製品とロボット制御が一体化しているため、センサー単体企業よりも現場導入へ接続しやすい構造があります。

一方、指表面の複数地点で滑りや圧力分布を測る電子皮膚とは異なり、ロボット手首に加わる合力を測る用途が中心です。

関連度Bの判定理由: 力覚センサーとロボット制御を製品として提供し、精密組立への用途が明確です。ただし、面状の触覚・電子皮膚とは検出方式と搭載位置が異なるためBとしました。

注目ポイント
  • センサーと自社ロボット制御を一体提供できること
  • 微小な力が必要なコネクター、フレキシブル基板、電子部品の挿入用途
  • 人手作業が残る精密組立工程で導入が進むか
  • 力覚対応ロボットの受注や製造ソリューション事業への寄与
  • 視覚と力覚を統合した制御機能の高度化
注意点
  • 指表面の滑りや接触位置を面的に取得する電子皮膚ではない
  • 力覚センサー単独の売上高や台数は開示されていない
  • ロボット需要は製造業の設備投資循環に左右される
  • 導入にはワークごとの教示、治具、制御調整が必要になる
  • プリンティング事業を含む企業全体に対する業績寄与は限定的と考えられる
参考情報

ファナック(6954)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

ファナックは、FA、産業用ロボット、ロボマシンを展開する産業オートメーション企業です。ロボット本体、制御装置、サーボモーター、センサー機能、保守サービスを自社グループで幅広く扱っています。

今回のテーマでは、ロボットの手先に加わる外力を測る力センサーと、測定結果に応じてロボットを柔らかく動かす力制御機能が関係します。

テーマとの関連性

ファナックは、定格147ニュートンから2,500ニュートンまでの5種類の力センサーを展開しています。ロボット手先に作用する力とモーメントを同時に検出し、外力に応じてロボットを動かす機能を提供しています。

用途としては、部品の挿入、組立、研磨、バリ取り、一定力での押し付けなどが考えられます。ロボット本体と制御装置へ統合された商用機能であることは強みです。

ただし、指の表面で圧力分布、摩擦、滑りを検出する電子皮膚とは異なります。手首またはエンドエフェクター全体に作用する力を検出する位置づけです。

関連度Bの判定理由: ロボット手先用の力センサーと制御機能が商用提供され、受注への接続構造も明確です。一方、電子皮膚そのものではなく、センサー単独の事業規模も不明であるためBとしました。

注目ポイント
  • ロボット本体、センサー、制御ソフトを一体で提供できる
  • 組立、研磨、バリ取りなど既存の産業工程へ導入しやすい
  • 小型から大型ロボットまで対応するセンサーラインアップ
  • 視覚センサーと力覚センサーの統合による不定形物対応
  • ロボット事業の受注、製造業の設備投資、サービス収入の動向
注意点
  • 指表面の接触位置や滑りを面的に検出する触覚センサーではない
  • 力センサー単体の売上高、利益、台数は非開示
  • 自動車、電子機器、一般産業の設備投資に左右される
  • 対象物ごとの工程設計やシステムインテグレーションが必要
  • 海外ロボットメーカーや汎用力覚センサーメーカーとの競争がある
参考情報

安川電機(6506)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

安川電機は、ACサーボ・コントローラーなどのモーションコントロール、産業用ロボット、システムエンジニアリングを展開しています。今回のテーマに関係するのは、ロボティクス事業で提供する6軸力覚制御機能「MotoFit」です。

2026年8月6日時点で、東京証券取引所プライム市場と福岡証券取引所に上場しています。

テーマとの関連性

MotoFitは、ロボット先端に取り付けた6軸力覚センサーを用い、対象物へ加わる力を検出しながらロボットを制御する機能です。エンジン部品のねじ締め、バッテリー電装部品の組立、ピペット接触検知、座席シートの組立・検査、一定力での非破壊検査、スマートフォンの研磨などが用途例として示されています。

材質に応じた力覚制御パラメーターを自動調整する機能があり、金属や樹脂などの違いに対応します。これは多品種工程への導入負担を下げる可能性があります。

一方、MotoFitが取得するのはエンドエフェクター全体に加わる力が中心です。指表面の各点で圧力や摩擦を捉える電子皮膚とは異なります。

関連度Bの判定理由: 6軸力覚センサーと制御機能が具体的な産業用途で商用提供されています。触覚センサーより広い力覚制御の分類となるためBとしました。

注目ポイント
  • 自動車、電池、電子機器、検査工程への導入
  • 材質に応じた力覚パラメーターの自動調整
  • 自社ロボット、サーボ、コントローラーとの統合
  • 人が感覚で行う組立・研磨工程の自動化
  • ロボティクス事業の受注と製造業の設備投資動向
注意点
  • 面状の触覚・電子皮膚を直接供給する企業ではない
  • MotoFit単独の売上高や導入台数は開示されていない
  • 自動車や半導体など顧客業界の設備投資に影響される
  • 力覚制御だけでは不定形物の認識が完結せず、カメラやハンドとの統合が必要
  • 顧客ごとの工程設計が必要で、導入までの期間が長くなる場合がある
参考情報

TDK(6762)|関連度C・思惑先行注意型

会社概要

TDKは、積層セラミックコンデンサー、インダクター、磁気製品、各種センサー、二次電池などを世界展開する電子部品メーカーです。センサー分野では、磁気、慣性、圧力、音響など、多様なセンシング技術を保有しています。

2026年7月、韓国のLG InnotekとフィジカルAI分野で戦略的提携を結び、ヒューマノイド向け触覚センシングモジュールの共同研究を公表しました。

テーマとの関連性

TDKとLG Innotekは、LG Innotekの光学・精密モジュール設計とTDKのセンサー技術を組み合わせ、ヒューマノイドやフィジカルAI向けの次世代ビジョン・触覚モジュールを共同開発するとしています。

公式発表では、統合モジュールをロボットの「目」と「皮膚」に相当するものと表現し、ロボットの認識性能と触覚性能の向上を目指しています。2026年7月28日という新しい発表であり、テーマとの接点は明確です。

ただし、発表時点では共同の先端研究を計画する段階です。触覚モジュールの仕様、搭載位置、検出方式、発売時期、量産顧客、売上見通しは公表されていません。

関連度Cの判定理由: 触覚センシングモジュールの共同開発は一次情報で確認できますが、製品化・量産・受注の段階には達していないため、思惑先行に注意が必要なCとしました。

注目ポイント
  • LG Innotekとの共同研究から具体的な試作品や製品仕様が公表されるか
  • 慣性、位置、磁気、圧力などTDKの複数センサーを統合できるか
  • ロボットの指・掌向けモジュールが正式に製品化されるか
  • 海外ヒューマノイドメーカーへの採用や共同開発が公表されるか
  • センサーアプリケーション製品事業の売上へ接続するか
注意点
  • 現時点では共同研究・共同開発の発表段階
  • 触覚モジュールの発売時期、価格、生産拠点、顧客は未確認
  • 関連売上、受注、設備投資は公表されていない
  • 企業全体の売上規模に対する影響は現時点では判断できない
  • 「ヒューマノイド」「ロボットの皮膚」という表現だけが先行しやすい
参考情報

ブリヂストン(5108)|関連度C・周辺恩恵型

会社概要

ブリヂストンは、乗用車、トラック・バス、鉱山車両などのタイヤを主力とする企業です。タイヤ・ゴムで培った材料設計や柔軟構造の技術を応用し、新規事業としてソフトロボティクスに取り組んでいます。

今回のテーマとの接点は、多様な形状、硬さ、素材の物体を把持するソフトロボットハンド「TETOTE」です。センサーを直接供給する企業ではなく、触覚センサーの搭載先や利用者となり得る位置づけです。

テーマとの関連性

同社の「TETOTE and」は、柔らかい指で物体をつかむ把持方式と、平面を吸着する方式を組み合わせたロボットハンドです。一般的な吸着ハンドが苦手とする不定形物や、形状・硬さ・素材が異なる物体への対応を想定しています。

また、公式コラムでは、ロボットハンドの触覚センサーが荷重、滑り、圧力分布を検出し、柔らかい物体と硬い物体に応じて把持力を調整する役割を解説しています。少量多品種生産で触覚センサーが注目される背景も説明しています。

ただし、公開情報で確認できる範囲では、TETOTEに自社製または他社製の触覚センサーが量産搭載されているとは確認できません。触覚市場の中核企業ではなく、センサー機能が普及した場合の周辺需要企業として捉える必要があります。

関連度Cの判定理由: ソフトロボットハンドという具体的な接点はありますが、触覚センサーの製品供給や搭載実績を確認できず、新規事業の企業内重要度も小さいためCとしました。

注目ポイント
  • TETOTEへの触覚・力覚センサー統合が公表されるか
  • 食品、物流、自動車部品などで商用採用が増えるか
  • 柔軟なゴム材料とセンシング技術を組み合わせる展開
  • ロボットメーカー、AI企業、システムインテグレーターとの提携
  • 実証から継続受注・量産販売へ移行するか
注意点
  • 自社の触覚センサー製品は確認できない
  • TETOTEへの触覚センサー搭載状況も公開情報では不明
  • ソフトロボティクスはタイヤ事業に比べて極めて小さい新規事業
  • 関連売上、利益、受注額、販売台数は開示されていない
  • 実証や採用事例が増えても、企業全体の業績への影響は限定的となる可能性が高い
参考情報

今回は除外・参考扱いとした銘柄

証券コード会社名判定除外・参考扱いとした理由
5191住友理工上場廃止柔軟な圧力分布センサーや介護ロボットへの過去の搭載実績はあるが、2026年1月29日に上場廃止となったため対象外
6770アルプスアルパイン参考ロボット用途を想定したMEMSフォースセンサーの一次情報は確認できるが、主要な公式情報が2015年と古く、現在のロボットハンド向け展開や事業規模を確認できない
7970信越ポリマー参考柔軟なフィルム、導電材料、感圧入力技術は確認できるが、ロボットの指・掌向け触覚センサーとしての具体的な製品・採用実績を確認できない
6645オムロン参考触覚センシングを利用したロボット研究は確認できるが、今回の範囲に合う触覚センサー単体の商用製品や売上を確認できない
FingerVision非上場視触覚センサーを展開する国内企業として重要だが、非上場のため関連銘柄一覧には含めない
XELA Robotics非上場ロボット向け分布型触覚センサーの専業企業だが、非上場のため対象外
Thinker非上場対象物へ接触する前の近接・力覚情報を利用するロボットハンドを開発しているが、非上場のため対象外
Robotiq海外企業触覚センサー付き指先を商用展開しているが、海外企業のため対象外

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