障害者法定雇用率引き上げで変わる企業向け雇用支援関連銘柄

2026年8月14日時点で、障害者雇用関連銘柄を見る最大の政策変化は、2026年7月1日に民間企業の法定雇用率が2.7%へ上がったことです。直前に公表された2025年の達成企業割合は46.0%にとどまっており、加えて2025年4月には対象業種の除外率も10ポイント引き下げられました。企業側では必要人数を採用するだけでなく、職域設計、受け入れ環境、管理者配置、定着まで含めた実務負担が大きくなりやすい状況です。 

事業上の直接性が特に高いのは、障害者雇用支援教育事業を単一セグメントとするD&I、農園型障害者雇用支援を中核事業とするJSH、エスプールプラスを通じ大規模な農園型サービスを展開するエスプールです。これらは顧客企業数、受入人数、農園数、継続取引といったKPIが売上に比較的つながりやすく、法定雇用率テーマを事業構造から追いやすい企業です。 

LITALICOは厚労省の障害者雇用相談援助事業の認定事業者となり、既存の就労支援ノウハウを企業側へ広げる余地があります。パーソルホールディングスはパーソルダイバースを通じて採用・人材紹介・定着という重要な人材供給網を担います。ただし両社とも企業全体には他の大きな事業があり、障害者雇用支援単体の業績寄与は公開情報だけでは判断できません。 

manabyは就労移行支援を基盤に新会社manaby altで法人向け支援へ進出し、エス・エム・エスも2026年6月から新たに企業向けサービスを始めました。いずれもテーマとの接点は明確ですが、顧客数や売上の開示がまだ乏しいため、今後は「サービスを開始した」という事実と「連結業績に寄与している」という事実を混同しないことが重要です。 

ココルポートのような就労移行支援会社は、企業から直接コンサルティング料金を受け取るというより、障害者人材を一般企業へつなぐ供給側の存在です。法定雇用率上昇で求人が増えることは追い風になり得ますが、最終的な業績への接続は事業所利用、稼働率、障害福祉報酬など別の要素を介します。 

障害者雇用率2.7%は企業向け雇用支援市場を考える重要な政策材料ですが、国策だから業績が伸びると短絡的に考えるべきではありません。今後確認したいのは、各社の新規顧客数、契約継続率、農園・拠点の稼働、実際の採用・定着人数、企業向け相談援助の案件数、そして関連事業の売上・利益が独立して開示されるかどうかです。法定雇用率という制度面と、各企業が実際に収益を得る仕組みの間に何段階あるかを比較することが、障害者雇用関連銘柄を整理するうえで最も重要な視点になります。

本ブログに掲載している情報は、筆者の個人的な見解および情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報に基づいて生じたいかなる損失についても責任を負いかねます。投資判断はご自身の責任において行ってください。

障害者法定雇用率引き上げテーマの整理

テーマの概要

障害者雇用関連銘柄を見る際に重要なのは、障害者を雇用する会社ではなく、企業が法定雇用義務を果たしながら、採用・業務設計・職場環境整備・定着まで継続するためのサービスを外部へ提供している会社を切り分けることです。本記事では、企業向けコンサルティング、人材紹介、農園型などの就業環境提供、定着支援を中核領域とし、就労移行支援は企業側へ人材を送り出す上流機能として扱います。製造業テーマのような素材・部品・製造装置のサプライチェーンはありません。その代わり、「相談・制度対応→採用→職域設計→就業環境→定着→再支援」という人的サービスのバリューチェーンがあります。公的部門でもJEEDの地域障害者職業センターやジョブコーチによる事業主支援が用意されており、民間サービスだけが企業の選択肢ではない点も重要です。 

なぜ今注目されているのか

最大のきっかけは、民間企業の法定雇用率が2024年4月の2.5%に続き、2026年7月1日から2.7%へ引き上げられたことです。企業規模の適用基準も37.5人以上となり、これまで義務の対象外だった一部企業も対象に入ります。さらに、除外率が設定されている業種については2025年4月に除外率が一律10ポイント引き下げられており、制度上必要となる雇用人数が増えやすい方向にあります。 

一方、直前の公表実績を見ると、2025年の民間企業における雇用障害者数は704,610.0人、実雇用率は2.41%で、法定雇用率を達成した企業の割合は46.0%でした。つまり、雇用人数自体は増えている一方で、企業全体の半数を超える企業が当時の法定雇用率を達成していなかったことになります。2.7%への追加引き上げは、採用だけでなく「どの業務を任せるか」「誰が職場で支援するか」「定着させられるか」という企業側の実務課題を大きくしやすい状況です。 

もう一つ重要なのが、2024年4月に始まった「障害者雇用相談援助助成金」です。厚生労働省は、障害者を一人も雇用していない企業、雇用率未達の中小企業、除外率設定業種などに対し、認定事業者が一連の雇用管理について相談援助を行う仕組みを設けています。したがって現在のテーマは、単なる人材紹介ではなく、採用前の経営・組織相談から定着までを支援する市場へ広がっています。 

ただし、法定雇用率の上昇がそのまま民間支援会社の売上増を意味するわけではありません。企業が自社内で採用体制を整えることも、公的支援を利用することも可能です。厚生労働省の認定事業者一覧にも多数の事業者が掲載されており、民間支援市場では競争も存在します。今後は「人数を確保する」だけでなく、能力発揮、職務の実質性、定着、雇用主としての責任を含む「雇用の質」が競争上の重要な軸になると考えられます。JSHやエスプール系自身も2026年の情報発信で、単なる雇用率充足ではなく能力開発や雇用の質を重視する姿勢を示しています。 

日本株で関連銘柄を見る視点

「中核事業型」は、企業向け障害者雇用支援そのものから収益を得る企業です。顧客企業数、支援人数、農園・拠点数、契約継続率などが売上へ接続しやすく、制度変更との距離が近いタイプです。

「重要サプライチェーン型」は、このテーマでは物理的な部材ではなく、障害者人材の紹介・マッチングや就労移行支援など、企業が実際に人材を採用するための供給網を担う企業を指します。「周辺恩恵型」は、障害福祉サービスや既存の人材事業を通じて間接的に需要増の恩恵を受け得るものの、企業から直接料金を受け取る構造が弱い会社です。

「思惑先行注意型」は、サービスを開始した事実は確認できても、顧客数、売上、契約単価、企業全体への寄与がまだ確認できない企業です。テーマとの接点の強さと、企業業績への影響の大きさは同じではありません。特に大手持株会社の場合、子会社の障害者雇用支援事業が伸びても連結業績では小さく見える可能性があります。

関連銘柄一覧

表示順関連度位置づけ証券コード会社名市場区分関連する理由注目ポイント注意点
1A中核事業型320AD&I東証TOKYO PRO Market障害者雇用支援教育事業を単一セグメントとして展開し、採用から定着・戦力化までを企業向けに支援。 法定雇用率上昇を顧客獲得・継続取引へつなげられるかTOKYO PRO Market上場。事業規模は大手人材会社より小さい
2A中核事業型150AJSH東証グロース「コルディアーレ農園」を中核事業として、企業と地方の障害者をつなぐ農園型支援を展開。 導入企業数、受入人数、拠点能力、継続率農園型モデルで「雇用の質」を維持できるか
3A中核事業型2471エスプール東証プライム100%子会社エスプールプラスが企業向け貸し農園と採用・定着支援を大規模展開。 顧客企業数、農園数、継続利用、施設稼働上場会社には他事業もあり、支援事業だけで連結業績を判断できない
4B中核事業型7366LITALICO東証プライム就労支援を中核領域の一つとし、厚労省の障害者雇用相談援助事業の認定事業者にも掲載。 福祉ノウハウを企業向け相談・採用支援へ展開できるか企業向け相談援助だけの売上規模は非開示
5B重要サプライチェーン型2181パーソルホールディングス東証プライム子会社パーソルダイバースが障害者採用、人材紹介、採用代行、組織・定着支援を提供。 人材データベースと企業顧客基盤巨大グループの一部で、親会社業績への寄与を把握しにくい
6B中核事業型9222manaby東証TOKYO PRO Market就労移行支援を主力とし、子会社manaby altが企業向け障害者雇用支援を展開、認定相談援助事業者にもなった。 就労支援ノウハウの法人向け横展開法人向け事業が新しく売上寄与は未確認、TOKYO PRO Market上場
7B思惑先行注意型2175エス・エム・エス東証プライム2026年6月に「かべなし 法人向け障害者雇用支援サービス」を開始。 社内で蓄積した内製化ノウハウの外販開始直後で顧客数・売上規模が未開示
8B重要サプライチェーン型9346ココルポート東証グロース就労移行・定着支援を通じて障害者人材を企業就労へつなぎ、企業向け相談・求人掲載も行う。 就職者数、定着率、事業所稼働企業向け相談は無料で、法定雇用率と売上の接続は間接的

銘柄別解説

D&I(320A)|関連度A・中核事業型

会社概要

D&Iは東京証券取引所TOKYO PRO Marketに上場するサービス会社で、JPXの会社概要における事業内容は「障害者雇用支援教育事業」です。2026年6月の会社開示では、障害者雇用支援教育事業を単一セグメントとして、マッチングプラットフォーム、定着プラットフォーム、教育サービスを展開すると説明しています。つまり「一部の子会社だけが障害者雇用に関係する」会社ではなく、上場会社そのものの事業テーマと今回のテーマがほぼ重なります。 

テーマとの関連性

D&Iの特徴は、法定雇用率を満たすための採用人数の確保だけではなく、採用後の定着・戦力化、組織内での内製化までを一連の企業課題として捉えている点です。2026年6月の開示では「採用から定着・戦力化までの一貫支援」を深め、既存顧客へのサービス横展開と追加取引で一社当たりの取引規模を拡大する方針を明示しています。したがって法定雇用率上昇が問い合わせを増やすだけでなく、採用支援から継続型サービスへつながれば収益への接続構造を説明しやすい企業です。 

一方、企業向け支援のサービス別売上高や契約単価は公開情報だけでは十分に把握できません。テーマとの直接性は極めて高いものの、今後は相談件数よりも、実際の顧客企業数、継続利用、一社当たり取引額などを確認したいところです。 

関連度Aの判定理由: 上場会社の単一事業セグメント自体が障害者雇用支援教育事業であり、企業の採用から定着・戦力化までを直接支援しています。法定雇用率上昇と事業需要の接続を最も説明しやすい企業の一つです。 

注目ポイント

  • 2026年の会社方針では、単発の採用支援だけでなく、定着・戦力化や組織の内製化支援へサービスを深掘りする方向を示しています。継続収益化できるかが確認点です。 
  • 既存顧客への追加サービス販売によって一社当たり取引規模を拡大する戦略が明記されており、顧客数だけでなくクロスセルの進展も重要です。 
  • 法定雇用率未達企業が採用ノウハウ不足に直面するほど、採用から定着まで一気通貫で支援できる企業への相談需要が生まれる可能性があります。厚労省も未達中小企業などへの相談援助制度を設けています。 

注意点

  • TOKYO PRO Market上場であり、東証プライム・スタンダード・グロースとは異なる市場区分です。市場特性を確認した上で見る必要があります。 
  • テーマへの依存度が高いことは、制度需要の恩恵を受けやすい反面、競争激化や企業の内製化の影響も受けやすいことを意味します。
  • サービス別の売上高、契約企業数、継続率などについて、公開資料だけでは大手農園型事業者ほど細かなKPIを確認できません。

参考情報

JSH(150A)|関連度A・中核事業型

会社概要

JSHは東証グロース上場のサービス会社で、地方創生事業として障がい者雇用支援サービス「コルディアーレ農園」を運営するほか、在宅医療関連事業なども展開しています。コルディアーレ農園の公式ページでは、同社自身が「農園型障がい者雇用支援サービスを中核事業として」上場したと説明しており、今回のテーマは企業全体にとって重要度の高い事業です。 

テーマとの関連性

コルディアーレ農園では、地方在住の障害者と法定雇用義務を持つ企業をつなぎ、障害者本人は利用企業と雇用契約を結んだうえでJSHの農園で働きます。JSHは「障がいのある方」「管理者」「働く場所」「業務」「定着支援」を一括して提供すると説明しています。企業側から見れば、採用、仕事の切り出し、職場整備、定着支援という複数の課題を外部サービスで補えるモデルです。 

2026年6月時点の会社公表値では導入企業数250社以上、障害者受入数1,800名超です。また利用企業の継続率は99%としていますが、これは2025年6月時点のMRRに基づく会社独自指標です。法定雇用率が上がる局面では新規契約だけでなく、既存企業が追加の雇用枠を設けるか、農園の受け入れ能力を増やせるかが収益への接続点になります。 

関連度Aの判定理由: 農園型障害者雇用支援が会社自身の中核事業と明示され、導入企業数や受入人数といった具体的な事業KPIも開示されています。テーマと企業収益の距離が比較的短いと判断しました。 

注目ポイント

  • 導入企業250社以上、障害者受入数1,800名超まで規模を拡大しており、今後は法定雇用率上昇が新規企業獲得と既存企業の追加利用のどちらに表れるかが確認点です。 
  • JSHは場所の提供だけではなく、採用から能力開発・定着まで専門人材を含む支援を提供しており、サービス品質が競争力につながる可能性があります。 
  • 2026年の自社解説でも、農園型サービスは単なる雇用率達成ではなく「雇用の質」を重視すべきだと説明しています。法定雇用率の上昇後は量だけでなく定着・職務内容の評価が重要になります。 

注意点

  • 250社、1,800名、継続率99%などの数値はいずれも会社公表値であり、第三者統計ではありません。 
  • 農園型サービスは、企業が自社事業所内で障害者雇用を内製化する方法とは異なります。全ての企業がこの方式を選ぶわけではありません。
  • 雇用率上昇に対応して受入能力を増やす場合、農園開設、人材配置、支援品質の維持が必要になります。契約拡大だけでなく運営コストとのバランスも確認したいところです。

参考情報

エスプール(2471)|関連度A・中核事業型

会社概要

エスプールは東証プライム上場のサービス会社で、人材・アウトソーシングなど複数事業を展開しています。障害者雇用支援を担うのは100%子会社のエスプールプラスで、同社は農業を活用した障害者雇用コンサルティング、企業向け貸し農園の開発・運営・管理、障害者雇用支援を事業内容として明示しています。上場会社本体の単一事業ではありませんが、グループとして長年展開してきた主要サービスの一つです。 

テーマとの関連性

エスプールプラスの「わーくはぴねす農園」は、障害者が働く環境を整え、採用から定着まで企業に伴走するサービスです。2026年5月には全国62番目となる農園の開設を発表しており、サービスサイトでは多数の導入企業と高い定着率を訴求しています。会社の2026年時点の情報では顧客企業は約750社規模、定着率は92%としています。 

収益とのつながりを見る場合、法定雇用率引き上げそのものより「新規農園の契約が埋まるか」「既存企業が追加枠を利用するか」「継続利用率を維持できるか」の方が重要です。エスプールのIRサイトでは障害者雇用支援を独立した事業テーマとして継続的に説明しており、グループ内での事業重要度は比較的高いと判断できます。 

関連度Aの判定理由: 100%子会社が企業向け障害者雇用支援を専業的に行い、多数の農園・顧客企業という商用実績があります。法定雇用率上昇から顧客契約、農園稼働へつながる構造が明確です。 

注目ポイント

  • 農園数と顧客企業数の拡大は、需要を直接確認しやすいKPIです。2026年5月時点で全国62番目の農園まで展開しています。 
  • 採用だけでなく定着までを支援しており、会社公表の定着率は92%です。継続利用と雇用の安定性が今後も維持されるかが注目されます。 
  • 2026年には、単に働く場所を設けるだけでなく、能力や成長、業務成果を重視する「雇用の質」を前面に出しており、競争軸の変化への対応が確認点です。 

注意点

  • 障害者雇用支援はエスプールグループの重要事業ですが、上場会社全体には他のビジネスもあるため、農園事業の需要増だけで連結業績を判断することはできません。 
  • 農園型モデルでは、雇用人数だけでなく実際の職務内容、能力開発、定着を含む質を継続して示す必要があります。会社自身もこの点を重視しています。 
  • 新規農園を増やしても、利用企業や働く障害者の確保が追いつかなければ稼働率が低下する可能性があります。

参考情報

LITALICO(7366)|関連度B・中核事業型

会社概要

LITALICOは東証プライム上場で、就労支援「LITALICOワークス」、児童向け支援・教育、福祉事業所向けサービス、メディア・人材関連事業などを展開する企業です。2026年6月末時点のグループ従業員数は5,768人で、就労支援は同社の主要領域の一つですが、企業向け障害者雇用コンサルティングだけを行う専業会社ではありません。 

テーマとの関連性

今回特に重要なのは、LITALICOが厚生労働省の「障害者雇用相談援助事業」の認定事業者一覧に新たに掲載されている点です。同制度は、障害者雇用のノウハウが不足する事業主などに対し、雇入れを前提として雇用管理全般の相談援助を行う仕組みです。LITALICOはもともと障害者本人への就労支援を蓄積しており、その知見を企業側の雇用支援へつなぐ位置にあります。 

一方、企業向け相談援助事業だけの売上高や利益は開示されていません。LITALICOの2027年3月期第1四半期は連結売上収益108.44億円、営業利益14.34億円でしたが、これはグループ全体の数字です。障害者雇用相談援助の拡大がこの業績にどの程度寄与するかは、公開情報だけでは判断できません。 

関連度Bの判定理由: 障害者就労支援の豊富な事業基盤を持ち、厚労省の企業向け相談援助制度の認定事業者にもなっているため直接性は高い一方、企業向け支援単体の業績寄与が確認できないためBとしました。 

注目ポイント

  • 個人側の就労支援と企業側の雇用相談の双方に接点があるため、求職者と雇用企業の両面にノウハウを持つ点が特徴です。 
  • 障害者雇用相談援助事業が実際に何社へ利用され、既存サービスとのクロスセルにつながるかが今後の確認点です。
  • グループ全体では2027年3月期第1四半期も増収増益であり、企業向け障害者雇用支援が新たな成長要素として独立開示されるかを確認したいところです。 

注意点

  • 企業向け障害者雇用相談援助の顧客数、売上高、利益は確認できません。
  • LITALICOの主要事業には児童支援、教育、福祉事業所向けサービス、海外事業などもあり、法定雇用率だけで会社全体の業績を説明することはできません。 
  • 認定事業者になったことと、大規模な収益事業になることは別です。相談援助の実利用数を今後確認する必要があります。

参考情報

パーソルホールディングス(2181)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

パーソルホールディングスは東証プライム上場の総合人材サービスグループで、人材派遣、転職、人材紹介、BPOなど幅広い事業を展開しています。障害者雇用支援の中心は特例子会社のパーソルダイバースで、障害者向け転職・就職支援だけでなく、企業に対して採用、人材紹介、採用業務のアウトソーシング、組織づくり、定着・活躍支援などを提供しています。 

テーマとの関連性

パーソルダイバースは、障害者人材と採用企業を結ぶ「dodaチャレンジ」などを通じ、障害者採用市場の重要なマッチング機能を担います。また、採用人数を確保するだけでなく、採用プロセスの設計や組織コンサルティング、採用後の定着・活躍まで企業を支援しているため、2.7%への引き上げで企業の採用難度が上がるほどサービス需要が生じる可能性があります。 

ただし、株式市場で見る対象はパーソルダイバースではなく、その親会社パーソルホールディングスです。パーソルグループは人材派遣、転職、BPOなど非常に大きな事業群を持つため、障害者雇用支援の伸びがグループ全体の業績へ与える影響は公開情報だけでは判定できません。 

関連度Bの判定理由: 子会社レベルでは企業向け障害者雇用支援との直接性が高く、人材供給・採用・定着の重要な機能を担います。一方、上場親会社全体では関連事業の重要度が相対的に低いためAではなくBとしました。 

注目ポイント

  • 総合人材グループとして企業顧客基盤を持つため、障害者雇用支援を既存顧客へ展開できる点は事業上の強みになり得ます。 
  • 人材紹介だけでなく、採用代行、組織設計、定着までサービス範囲が広く、雇用率上昇後の「採った後」の課題にも接点があります。 
  • 障害者雇用を人数だけでなく戦力化・定着まで含めて捉える企業が増えるかが、関連サービスの利用範囲を左右すると考えられます。

注意点

  • 障害者雇用支援の売上高・利益がパーソルホールディングスの連結開示上で独立して確認できないため、企業全体への影響度は不明です。
  • 人材紹介市場では民間事業者だけでなく、ハローワークやJEEDなど公的支援も存在します。 
  • 「パーソルダイバースがテーマの中核企業であること」と「2181の連結業績が法定雇用率で大きく動くこと」は分けて考える必要があります。

参考情報

manaby(9222)|関連度B・中核事業型

会社概要

manabyはTOKYO PRO Market上場の障害福祉企業です。2026年6月の開示では、就労移行支援、就労継続支援B型、放課後等デイサービス、eラーニングなどを展開し、2026年3月時点でパートナーを含む43拠点、累計利用者4,367名、職場定着率86.3%としています。障害者の一般就労を支援すること自体が事業の中心に近い企業です。 

テーマとの関連性

企業向け支援を直接担うのが、2025年設立のmanaby altです。同社の公式サイトはmanabyを「親会社」と明記し、親会社が創業以来3,000名以上の障害者の就職や職場定着を支援してきた経験を活用して、企業向け障害者雇用支援を提供すると説明しています。 

さらにmanaby altは、厚生労働省の障害者雇用相談援助事業の認定事業者となっており、富山労働局が2026年7月10日時点で公開した一覧では、全都道府県を対象とし、支援体制3人とされています。就労移行支援で蓄積した求職者側の知見を、企業側の雇用管理コンサルティングへ横展開する構造が確認できます。 

ただし、manaby altは事業開始から日が浅く、企業向け障害者雇用支援の売上高、顧客企業数、親会社全体への利益寄与は確認できません。

関連度Bの判定理由: 親会社の中核領域が障害者就労支援で、子会社が正式に企業向け相談援助へ進出しているため直接性は高いものの、新規事業で業績寄与の確認が十分でないためBとしました。 

注目ポイント

  • 既存の就労移行支援で培った求職者理解と定着支援ノウハウを、企業側の雇用管理へ転用できるかがポイントです。 
  • manaby altは2026年3月30日付で相談援助事業の認定を受け、全国を対象地域としているため、法人支援の案件数が今後どの程度増えるかが確認点です。 
  • 親会社は2026年3月時点で43拠点まで就労・福祉サービス網を広げており、この既存基盤との相乗効果が生まれるか注目されます。 

注意点

  • manaby altは2025年7月設立、同年10月から本格事業を開始した新しい会社であり、法人向け支援の業績実績はまだ限定的です。 
  • 法人向け支援の顧客数、契約単価、売上・利益は公開情報で確認できません。
  • manaby株はTOKYO PRO Market上場で、プライム・スタンダード・グロースとは市場区分が異なります。 

参考情報

エス・エム・エス(2175)|関連度B・思惑先行注意型

会社概要

エス・エム・エスは東証プライム上場で、介護・障害福祉、医療、ヘルスケア、キャリア領域などを広く展開する企業です。2027年3月期第1四半期の連結売上高は202.12億円であり、企業向け障害者雇用支援は会社全体から見れば2026年に始まった新規サービスです。 

テーマとの関連性

2026年6月12日、エス・エム・エスは障害福祉情報ブランド「かべなし」で「法人向け障害者雇用支援サービス」を開始しました。会社自身が「2026年7月の法定雇用率2.7%引き上げを控え」と明記しており、今回の政策変更を直接背景に投入されたサービスであることが確認できます。企業の課題をヒアリングし、組織づくりや内製化まで実装支援するモデルです。 

特徴は、同社自身が障害者雇用を内製化してきた経験を外販する点です。2026年6月の会社調査資料では、社内の障害者雇用組織は約90名規模で、精神・発達障害のある人が約9割を占めると説明しています。こうした実践知をコンサルティング商品へ変えられるかがポイントです。 

ただし、サービス開始から約2か月しか経過しておらず、顧客企業数、契約金額、売上高、利益は確認できません。

関連度Bの判定理由: 法定雇用率2.7%への引き上げを明確な背景として商用サービスを開始しており、テーマとの直接性は高い一方、企業全体への業績寄与を裏付ける数値がまだないため、思惑先行に注意が必要なBとしました。 

注目ポイント

  • 2026年6月に実際の商用サービスを開始しており、研究・実証段階ではありません。 
  • 自社の障害者雇用組織で蓄積した「内製化」の方法論を外部企業へ販売するため、農園型とは異なるニーズを取り込める可能性があります。 
  • 2026年7月以降も企業担当者向け勉強会を開催しており、顧客接点をどこまで案件化できるかが確認点です。 

注意点

  • 顧客数、契約単価、売上高は確認できず、現段階で業績寄与を評価できません。
  • 2027年3月期第1四半期の連結売上高202.12億円に対し、新サービスは開始直後であり、会社全体への影響が大きいとみなす根拠はありません。 
  • エス・エム・エスには介護・医療・キャリアなど複数の主要事業があり、障害者雇用率だけを投資テーマとして企業全体を見るのは適切ではありません。 

参考情報

ココルポート(9346)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

ココルポートは東証グロース上場で、就労移行支援、就労定着支援、自立訓練、リワーク、計画相談などの障害福祉サービスを展開しています。企業へ障害者雇用コンサルティングを販売する会社というより、働きたい障害者を一般企業への就職・復職につなぐ「人材供給側」の企業です。 

テーマとの関連性

ココルポートは企業向けページを設け、障害者雇用に関する相談や、就労移行支援サービス利用者向けの求人掲載を無料で受け付けています。利用者には就職準備だけでなく、企業開拓、職場実習、就職活動、就職後の定着支援まで行っており、法定雇用率上昇で企業側の採用ニーズが強くなった場合、就労移行支援事業者は人材供給の接点になり得ます。 

2026年8月時点の会社公表値では、一般就労・復職者は2025年度955名、累計6,094名です。6か月定着率は就労移行支援で87.9%、リワークで90.9%としています。 

ただし、企業向け相談・求人掲載は無料です。ココルポートの主な収益は障害福祉サービス側にあるため、企業の法定雇用率が2.7%になったからといって、企業から受け取る売上が直接増える構造ではありません。障害福祉サービスの報酬制度自体も別の政策要因であり、2026年度には障害福祉サービス等報酬改定が行われています。 

関連度Bの判定理由: 障害者人材を一般企業へ送り出し、就職後まで支える機能はテーマの重要な供給網ですが、企業向けサービスの直接売上ではなく福祉サービス収入が中心であるため、AではなくBとしました。 

注目ポイント

  • 2026年8月までの累計就職・復職支援実績は6,094名で、企業の障害者採用需要に対する人材供給基盤を持っています。 
  • 就職者数だけでなく定着率を公表しており、採用後の継続就労まで含めて事業成果を追いやすい点が特徴です。 
  • 法定雇用率上昇によって企業求人が増えれば、利用者の就職機会拡大につながる可能性がありますが、最終的には事業所利用者数・稼働・報酬へどうつながるかを見る必要があります。

注意点

  • 企業向け障害者雇用相談と求人掲載は無料であるため、企業ニーズ増加と売上増加の間に一段階あります。 
  • 事業収益は障害福祉制度の報酬体系にも左右され、法定雇用率とは別の制度リスクがあります。 
  • 就職者数や定着率は重要なKPIですが、それだけで売上・利益が増えるとは限りません。

参考情報

今回は除外・参考扱いとした銘柄

証券コード会社名判定除外・参考扱いとした理由
パーソルダイバース参考・非上場企業向け障害者雇用支援の中核事業者だが非上場。関連銘柄としては上場親会社パーソルホールディングス(2181)を採用。 
エスプールプラス参考・非上場「わーくはぴねす農園」の実際の運営会社だが非上場。100%親会社エスプール(2471)を採用。 
スタートライン非上場厚労省の障害者雇用相談援助事業の認定事業者として確認できるが、非上場のため関連銘柄一覧には含めない。 
マイナビパートナーズ非上場厚労省の認定事業者だが上場企業ではないため対象外。 

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