eVTOL・次世代航空モビリティ関連の日本株をわかりやすく整理

eVTOL・次世代航空モビリティ関連の日本株は、純粋な専業株よりも、運航、部材、整備・運航支援、インフラのどこを担うかで見分けるのが実践的です。本命に近いのは、ANAホールディングス、日本航空、住友商事のように運航主体や事業会社設立が確認できる銘柄です。サプライチェーンでは、スズキ、トヨタ自動車、ニデック、東レが比較的追いやすく、三菱地所、兼松、NECはインフラ・運航管理の周辺恩恵株として整理しやすいです。一方で、GSユアサのように技術的接点は強くても、eVTOL向け商用案件が見えにくい銘柄は思惑先行に注意したいところです。今後は、型式証明、商用運航時期、量産開始、バーティポート整備、関連売上の開示を定点観測できるかが、eVTOL関連銘柄を見極めるうえで重要になります。 

本ブログに掲載している情報は、筆者の個人的な見解および情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報に基づいて生じたいかなる損失についても責任を負いかねます。投資判断はご自身の責任において行ってください。

テーマの整理

テーマの概要

eVTOLは「electric Vertical Take-Off and Landing」の略で、電動で垂直離着陸する航空機を指します。日本では「空飛ぶクルマ」と呼ばれることが多く、都市内移動、空港アクセス、観光、防災・医療、離島・山間部の輸送などが主な想定用途です。投資テーマとして見る際は、機体そのものだけでなく、軽量素材、モーター、電池、運航管理、整備支援、バーティポート、地上交通接続まで含むのが実務的です。実際、国のロードマップでも機体、安全基準、空域・交通管理、離着陸場、社会受容性まで一体で整備する前提になっており、日本株では「機体専業」より「関連レイヤーを担う複合企業」を追うほうが実態に近いテーマです。 

なぜ今注目されているのか

いちばん大きいのは、制度面が「遠い未来の構想」から「商用化時期の明記」に進んだことです。国土交通省・経済産業省は2026年3月27日にロードマップを改訂し、2027〜2028年から一部地域で商用運航開始と明記しました。加えて、三菱地所・兼松・SkyDriveは2026年2月に東京ビッグサイトで、実運用を想定した飛行と旅客ターミナル運用の実証を実施し、NECも大阪・関西万博でUATM運航管理サービスの検証を開始しています。政策、実証、インフラ検討が同時に進み始めたことで、関連銘柄の見極めがしやすくなってきました。 

日本株で関連銘柄を選ぶ視点

このテーマは、運航、部材、整備・運航支援、インフラの四層で見ると整理しやすいです。運航では航空会社や事業会社設立の有無、部材ではモーター・電池・複合材の具体的採用実績、整備・運航支援では航空運航ノウハウや運航管理システム、インフラではバーティポートや地上オペレーションの実証が確認ポイントになります。見分け方として重要なのは、「空飛ぶクルマ」「eVTOL」「AAM」が公式資料に明記されているか、JV設立、供給契約、工場利用、実証採択、離着陸場竣工などの具体的マイルストーンがあるかです。MOUだけで終わっている銘柄や、関連売上の開示が見えない銘柄は、思惑が先行しやすいと見ておきたいところです。 

関連銘柄一覧

No.関連度証券コード会社名市場区分関連する理由注目ポイント注意点
1A9202ANAホールディングス東証プライム Jobyと日本でのエアタクシー展開を進め、ANAの中期戦略でもeVTOL都市型エアタクシーを明記。 100機超の展開構想、JV構想、航空運航ノウハウ認証と運航開始時期、関連売上の未開示
2A9201日本航空東証プライム JAL AIR TAXIを掲げ、住友商事とeVTOL運航会社Soracleを設立。 2027年以降の大阪・関西での商用運航目標事業立ち上げ前で収益化はこれから
3A8053住友商事東証プライム JALと50:50でSoracleを設立し、eVTOL航空運送事業を直接担う立場。 事業会社設立済み、商社ネットワーク活用本体業績に対し事業規模はまだ小さい
4A7269スズキ東証プライム SkyDriveと協業し、eVTOLの製造に協力。工場活用と生産開始時期も明示。 国内機体量産の実務に近い立場SkyDrive側の認証・量産進捗に依存
5A7203トヨタ自動車東証プライム Jobyへの追加出資、製造提携、電動部品供給でeVTOL量産側に関与。 総投資額894百万ドル、製造プロセス支援巨大企業ゆえテーマ寄与は希薄化しやすい
6A6594ニデック東証プライム Embraer系JVでeVTOL向け電動推進システムを開発・製造し、Eveにも出資。 モーター技術の直接性が高い採用先の認証・立ち上がりに左右される
7B6701NEC東証プライム UATM運航管理サービスや空域共有技術で、空の交通基盤を担う。 航空管制の実績、万博での検証機体本体ではなくインフラ側、収益化時期が読みにくい
8B8802三菱地所東証プライム バーティポート整備と都内実証を進め、地上インフラ実装を担う。 東日本初のバーティポート、都内実運用実証不動産本体に対する寄与はまだ限定的
9B8020兼松東証プライム Skyportsと資本業務提携し、vertiport開発・運営を推進。 海外知見の取り込み、東京実証への参画実証段階で、継続収益モデルは今後の課題
10B3402東レ東証プライム eVTOL向け複合材・電池周辺材料を提案し、Joby向け長期供給契約も公表。 軽量化で不可欠な炭素繊維、材料の裾野が広いeVTOL売上の独立開示は確認しにくい
11C6674GSユアサ東証プライム 電動航空機向け軽量蓄電池開発を進めるが、eVTOL向け商用案件の開示は限定的。 電池性能向上はeVTOL市場の前提条件現時点では思惑が先行しやすい

銘柄別解説

ANAホールディングス(9202)|関連度A

会社概要

ANAホールディングスは、日本最大級の航空グループを束ねる持株会社です。東証プライム市場に上場し、航空輸送を中核に、LCC、貨物、マイレージ、旅行関連まで幅広く展開しています。足元の中期的な事業戦略では、航空を中心に地上交通やドローンまで含めた「モビリティ事業」の拡張を掲げており、eVTOLもその中に位置付けています。 

今回のテーマとの関連性

ANAは、2026年1月公表の「ANA Group Value Creation Roadmap 2030」で、「eVTOL urban air taxis」による新たなモビリティ価値の創出を明記しました。さらにJoby Aviationとの関係は2025年8月に拡大し、日本でのJV設立意向と100機超の導入構想が示されています。必要なエコシステムとして、バーティポート、操縦者訓練、整備支援まで言及しており、単なる話題銘柄ではなく、運航レイヤーの中核候補として追いやすい銘柄です。 
A判定理由:eVTOLが自社の事業戦略資料に明記され、海外パートナーとの提携拡大、導入機数構想、運航開始前提の具体項目まで確認できるためです。 

注目ポイント

  • 2030ロードマップで、航空の周辺領域ではなくモビリティ事業の柱の一つとしてeVTOLを示しています。 
  • Jobyとの提携拡大では、100機超の展開構想とJV設立意向が示されました。 
  • バーティポート、操縦者育成、整備支援など、運航開始に必要なレイヤーまで議論が進んでいます。 
  • 既存の航空運航ノウハウを活かせるため、ゼロから航空事業を作る企業よりも実務面を想像しやすい銘柄です。 

注意点

  • 商用化はJCAB/FAAの認証が前提であり、会社資料でもその条件が明記されています。 
  • 構想は大きい一方、現時点でeVTOL関連売上の独立開示は確認しにくい状況です。 
  • 機体供給や開発進捗はJoby側に依存する面が大きく、パートナーリスクがあります。 
  • 新規事業ゆえ、離着陸場整備や社会受容性づくりにも時間がかかります。 

参考情報

  • ANA Group Value Creation Roadmap 2030(2026年1月、モビリティ事業とeVTOL戦略の確認) 
  • ANA Corporate Governance Report(2026年4月、上場市場区分の確認) 
  • Joby Aviation「ANA Holdings, Joby Plan to Accelerate Air Taxi Deployment in Japan」(2025年8月、JV意向と100機超構想の確認) 
  • Joby Aviation「ANA HOLDINGS and Joby Partner to Bring Air Taxi Service to Japan」(2022年2月、提携開始時の役割分担確認) 

日本航空(9201)|関連度A

会社概要

日本航空は、国内外の旅客・貨物輸送を中核とする大手航空会社です。東証プライム上場企業で、近年は従来の航空会社の枠を超えて、ドローンや次世代エアモビリティを含む事業領域の拡張を進めています。公開ページでは、JAL AIR TAXIとAMOPという言葉を前面に出し、空の移動を支えるデジタル基盤も含めた構想を打ち出しています。 

今回のテーマとの関連性

JALは「空飛ぶクルマによる新たな空の移動価値を創出します」と明記し、2027年以降に大阪・関西エリアで商用運航開始を目指すとしています。さらに、2024年6月には住友商事とeVTOL運航会社Soracleを設立し、事業会社ベースでの準備に移っています。単なる出資や見学会ではなく、運航会社設立済みという点で、テーマとの距離はかなり近いです。 
A判定理由:JAL自身がeVTOLの社会実装を掲げ、商用運航時期を示し、住友商事と運航会社まで設立しているためです。 

注目ポイント

  • JAL AIR TAXIとして、eVTOLを独立した事業テーマとして公開しています。 
  • 2027年以降の大阪・関西での商用運航開始を目標としており、時期の目安が比較的明確です。 
  • 住友商事とSoracleを設立済みで、運航主体の形が見えています。 
  • AMOPのようなデジタル・プラットフォーム構想があり、運航以外の周辺収益モデルも確認したいところです。 

注意点

  • 現時点では本格商用化前で、収益寄与の規模はまだ読みにくい段階です。 
  • 航空会社の安全運航ノウハウは強みですが、eVTOL特有の制度整備と新たな運航設計が必要です。 
  • 関連売上や投資額の独立開示は限定的で、テーマ性が先に評価されやすい面があります。 
  • 大阪・関西エリアでの立ち上がり後、他地域へ水平展開できるかは今後の確認事項です。

参考情報

  • JALエアモビリティ事業ページ(商用運航目標と事業方針の確認) 
  • JAL Sustainability「Creating new value of transportation through advanced air mobility」(Soracleと2027年目標の確認) 
  • 住友商事ニュースリリース「住友商事とJAL、eVTOL運航事業会社を共同で設立」(Soracle設立の確認) 
  • JPX上場会社検索(市場区分の確認) 

住友商事(8053)|関連度A

会社概要

住友商事は、資源、インフラ、輸送機、メディア、生活関連などを幅広く手掛ける総合商社です。東証プライム上場企業で、単なる物販よりも、事業開発やパートナー連携を通じて新市場を作る力が強みです。eVTOLでも、航空会社や自治体、空モビリティ関連のプレイヤーを束ねる立場を取りやすい企業と見ておきたいところです。 

今回のテーマとの関連性

住友商事はJALと50:50でSoracleを設立し、eVTOLによる航空運送事業を事業内容として明記しました。リリースでは、住友商事の航空業界ネットワークや多角的事業活動で蓄積したノウハウを活かすとしており、単なる資本参加ではなく、事業組成側のプレイヤーです。航空運賃の収受まで見据える運航会社に関与している点で、A評価が妥当とみています。 
A判定理由:eVTOL運航事業会社を共同設立し、事業内容まで明記しているため、テーマとの接点が非常に具体的です。 

注目ポイント

  • Soracleの出資比率50%で、事業主体に直接関与しています。 
  • 住友商事側の強みとして、航空業界ネットワークと多角的な事業開発ノウハウが明示されています。 
  • 運航会社設立済みのため、「検討段階」より一歩進んだ銘柄として見やすいです。 
  • 地域交通ネットワーク構築という文脈があり、観光・地域交通との接続も注目点になります。 

注意点

  • 総合商社全体から見ると、eVTOLはまだごく小さな新規事業です。 
  • 実際の業績寄与は、JALや機体メーカー、制度整備の進捗に左右されます。 
  • 事業会社を作った段階であり、採算性や利用者需要は今後の検証事項です。 
  • 商社株としてみると、他事業の業況が株式全体の見え方に強く影響します。 

参考情報

  • 住友商事ニュースリリース「住友商事とJAL、eVTOL運航事業会社を共同で設立」(2024年6月、Soracleの事業内容と出資比率の確認) 
  • JPX上場会社検索(市場区分の確認) 

スズキ(7269)|関連度A

会社概要

スズキは、四輪車、二輪車、マリン製品を展開する輸送機器メーカーです。東証プライム上場で、量産性や軽量設計に強みを持ち、近年は「新モビリティ」やスタートアップとの共創を技術戦略の中に組み込んでいます。eVTOLは本業そのものではありませんが、同社の量産・製造ノウハウを横展開するテーマとして位置付けられています。 

今回のテーマとの関連性

スズキの統合報告書2025では、SkyDrive協業事業として、小型軽量なeVTOLの製造に協力すると明記されています。さらに、2023年の発表では、静岡県内のスズキグループ工場を使い、2024年春ごろから製造開始を目指すとし、SkyDrive側の2025年資料では2024年3月に製造開始と記載されています。部材供給にとどまらず、製造パートナーとして踏み込んでいる点が大きな特徴です。 
A判定理由:公式資料でeVTOLの製造協力が明示され、工場利用と生産開始時期まで確認できるためです。 

注目ポイント

  • 統合報告書でSkyDriveとのeVTOL協業を明示しており、一次情報で追いやすいです。 
  • 量産現場を持つ完成車メーカーとして、試作ではなく製造実務に近い立場です。 
  • 「軽くて安全な車体」など軽量化や小型モビリティの知見は、eVTOLでも相性が良い論点です。 
  • 国内発スタートアップSkyDriveとの関係から、日本案件の進展を追いやすい銘柄です。 

注意点

  • 業績への影響は、SkyDriveの型式証明や量産進捗に大きく依存します。 
  • スズキ全体の売上規模からみると、eVTOL関連は当面小さいとみられます。 
  • 量産に向けた安全基準や品質保証体制は、自動車と航空で要求水準が異なります。 
  • 事業セグメントで明確な収益開示があるわけではなく、テーマ先行で見られやすい面があります。 

参考情報

  • SUZUKI Integrated Report 2025(SkyDrive協業事業の確認) 
  • Suzuki「Suzuki Signs Agreement with SkyDrive for the Manufacturing of Flying Cars」(2023年6月、工場利用と製造開始計画の確認) 
  • SkyDrive資料(2025年5月、2024年3月の生産開始の確認) 
  • JPX上場会社検索(市場区分の確認) 

トヨタ自動車(7203)|関連度A

会社概要

トヨタ自動車は、日本を代表する完成車メーカーであり、近年は「モビリティカンパニー」への転換を掲げています。東証プライム上場で、本業は自動車ですが、公開資料では陸・海・空を含むモビリティ全体へ事業領域を広げる姿勢を示しています。eVTOLも、自動車外の新領域として明確に位置付けられています。 

今回のテーマとの関連性

トヨタは2024年10月、Joby Aviationに追加で5億ドルを投資し、累計投資額は8.94億ドルになると発表しました。さらに、製造提携を含む協業契約、2023年からのパワートレイン・アクチュエーション部品供給、生産技術・工程設計面での支援も明示されています。出資だけの話ではなく、「量産をどう成立させるか」の側に入っている点が重要です。 
A判定理由:eVTOL機体の認証・商用生産を支える追加出資、製造提携、部品供給が公式に確認できるためです。 

注目ポイント

  • Jobyへの累計投資額が大きく、資本面でも本気度を確認しやすいです。 
  • 製造アライアンスや生産技術支援は、自動車メーカーらしい関与の仕方として注目されます。 
  • 2023年から電動化関連部品の供給を始めており、サプライヤーとしても接点があります。 
  • ANA・Jobyの日本展開でも、地上交通側などのパートナー候補として名前が挙がっています。 

注意点

  • トヨタ本体が巨大なため、eVTOLの進展が短期で全社業績に与える影響は限定的です。 
  • Jobyの認証・量産進捗が遅れれば、関連ストーリーも後ろ倒しになります。 
  • 航空分野は自動車より認証・安全要求が厳しく、量産移行に時間がかかる可能性があります。 
  • テーマ解釈で買われやすい一方、投資家はeVTOLだけでなく本業の自動車業況も併せて見る必要があります。 

参考情報

  • Toyota「Toyota to Invest $500 Million in Joby Aviation」(2024年10月、追加投資と製造提携の確認) 
  • Toyota Integrated Report 2024(Jobyとの協業、部品供給、生産技術支援の確認) 
  • Joby「ANA HOLDINGS and Joby Partner to Bring Air Taxi Service to Japan」(日本展開でのToyotaの役割確認) 
  • JPX上場会社検索(市場区分の確認) 

ニデック(6594)|関連度A

会社概要

ニデックは、精密小型モーターから車載・産業用モーター、機器装置、電子・光学部品までを広く手掛ける総合モーターメーカーです。公式概要でも東証プライム上場とともに、モーター中心の事業内容を明示しています。eVTOLは同社にとって「航空向け電動推進」という延長線上のテーマで、技術の直接性が高いのが特徴です。 

今回のテーマとの関連性

ニデックはEmbraerとのJVで、eVTOL向け電動推進システムを設計・製造すると公表しています。さらに2024年7月には、Eve Air Mobilityに少数持分出資を行い、eVTOLへの電機駆動システム供給にとどまらず、大型無人ドローンや次世代航空機まで含む航空市場への進出構想を示しました。部材の中でも「飛ぶための心臓部」に近いポジションです。 
A判定理由:eVTOL向け推進システムの開発・製造が公式に確認でき、投資先もeVTOLメーカーと明確なためです。 

注目ポイント

  • eVTOL向けElectric Propulsion SystemをJVで開発・製造すると明言しています。 
  • 投資対象がEve Air Mobilityで、供給先との関係が比較的見えやすいです。 
  • モーターの小型・軽量・高効率という同社の強みが、eVTOLの要件と重なります。 
  • 機体メーカーではなく部材側なので、複数案件へ横展開できる余地があります。 

注意点

  • 認証や機体量産の進捗は、Eveや他パートナー側の事情に左右されます。 
  • eVTOL関連売上の独立開示は確認できる範囲では限定的です。 
  • 航空用電動推進は高信頼性・高安全性が求められ、製品立ち上がりは長期化しやすい分野です。 
  • 本業全体では他市場の景況感も影響するため、テーマ性だけで見ない姿勢が必要です。 

参考情報

  • ニデック「当社米国子会社から Eve Air Mobility への戦略的パートナーシップを目的とした少数持分出資について」(2024年7月) 
  • Nidec and Embraer announce joint venture agreement(2023年6月、eVTOL向け推進システムの確認) 
  • ニデック企業概要(事業内容・市場区分の確認) 

NEC(6701)|関連度B

会社概要

NECは、ITサービス事業と社会インフラ事業を主要事業とする電機・ICT企業です。東証プライム上場で、空の分野では航空管制や空港関連システム、無線通信などの実績を持ちます。eVTOLというより、空の移動を安全に回すための「交通整理・管理基盤」に強みがある企業として見たほうがわかりやすい銘柄です。 

今回のテーマとの関連性

NECは、半世紀以上にわたる航空管制システムの実績をもとに、空飛ぶクルマ向けUATMサービスを開発しています。2025年8月には大阪・関西万博でのデモフライトに対して、国内初となる運航管理サービスの検証開始を公表しました。加えて、2019年には空飛ぶクルマ試作機の浮上成功も発表しており、機体そのものよりも運航管理・空域共有・安全基盤での関連性が強い銘柄です。 
B判定理由:機体量産や運航主体ではない一方、UATMや航空管制の延長線上で重要な基盤を担うためです。 

注目ポイント

  • 長年の航空管制システム実績があり、eVTOLの本格運航に必要な基盤側でポジションがあります。 
  • 大阪・関西万博で、実際のデモフライトに運航管理サービスを提供しました。 
  • ReAMoプロジェクト参画など、官民・研究機関との接点が豊富です。 
  • 低高度空域共有という、eVTOL普及時に不可欠な論点に関わっています。 

注意点

  • 収益源は機体販売ではなく管理基盤側なので、事業立ち上がりの見え方が地味になりやすいです。 
  • 普及には制度整備、標準化、複数事業者の連携が必要で、時間がかかります。 
  • NEC全体では、防衛・ITなど他事業の影響が大きく、テーマの純度は高くありません。 
  • eVTOL普及が想定より遅れた場合、空域管理関連の商機も後ろ倒しになります。 

参考情報

  • NECプレスリリース「大阪・関西万博でデモフライト中の空飛ぶクルマにおいて、国内で初めて運航管理サービスの検証を開始」(2025年8月) 
  • NEC「空・宙の未来を創る」(次世代空モビリティ事業紹介) 
  • NECプレスリリース「空飛ぶクルマの管理基盤技術」(2019年) 
  • NECプロフィール(主要事業の確認) 

三菱地所(8802)|関連度B

会社概要

三菱地所は、オフィス、商業施設、ホテル、空港など幅広い不動産アセットを持つ総合デベロッパーです。東証プライム上場で、eVTOLでは機体側ではなく、都市にどこへポートを置き、どうターミナルを運営するかという「街づくり」との接続で存在感があります。空飛ぶクルマを不動産の新たな機能として捉えているのが特徴です。 

今回のテーマとの関連性

三菱地所は2025年5月、「御殿場プレミアム・アウトレット バーティポート」の竣工を発表し、国交省の整備指針を参考にした東日本初のバーティポートと位置付けました。さらに東京都プロジェクトでは兼松、SkyDriveと組み、2026年2月に東京ビッグサイトで、飛行と旅客ターミナル運用を一体で検証する国内初の実証を実施しています。不動産株の中では、eVTOLインフラへの踏み込みが深い銘柄です。 
B判定理由:機体や運航本体ではないものの、バーティポート整備と地上オペレーションで実証段階がかなり進んでいるためです。 

注目ポイント

  • ガイドラインを踏まえた実際のバーティポート竣工まで進んでいます。 
  • 東京都プロジェクトで、飛行と旅客ターミナルを一体運用する実証を行いました。 
  • オフィス・商業施設・ホテル・空港など、自社アセットとの接続余地があります。 
  • 不動産会社の中では、eVTOLを「都市機能」として具体化している数少ない銘柄です。 

注意点

  • 足元では実証色が強く、賃料収入のような安定収益に直結する段階ではありません。 
  • バーティポートの採算は、機体運航本数や利用者密度に大きく左右されます。 
  • 不動産大手ゆえ、本業の地合いが株価に与える影響が大きいです。 
  • 社会受容性や騒音、安全面など、都市実装特有の課題があります。 

参考情報

  • 三菱地所「御殿場プレミアム・アウトレット バーティポート」竣工(2025年5月) 
  • 三菱地所「東京都『空飛ぶクルマを活用したサービスのビジネスモデル構築に関するプロジェクト』に採択」(2025年6月) 
  • 三菱地所・兼松・SkyDrive共同発表(2026年3月、東京ビッグサイト実証の確認) 
  • JPX上場会社検索(市場区分の確認) 

兼松(8020)|関連度B

会社概要

兼松は、ICTソリューション、電子・デバイス、食料、鉄鋼・素材・プラント、車両・航空などを手掛ける総合商社です。東証プライム上場で、車両・航空分野を持つことから、eVTOLでも海外企業との提携、情報収集、事業組成を担う立ち位置にあります。特にSkyportsとの連携がわかりやすい材料です。 

今回のテーマとの関連性

兼松はSkyportsと資本業務提携を結び、AAM向け離着陸場の開発・運営に取り組んでいます。2023年11月の発表では、Skyportsとともにvertiportの開発・運営を進めるとし、2026年3月の東京実証では、三菱地所・SkyDriveとともに、VASを用いた旅客ターミナル運用と飛行実証に参加しました。海外プレイヤーの知見を日本へ持ち込む役回りとして見ておきたい銘柄です。 
B判定理由:運航主体や機体メーカーではない一方、vertiportの開発・運営というインフラ面で役割が具体的だからです。 

注目ポイント

  • Skyportsとの資本業務提携があり、海外の先行ノウハウを取り込みやすいです。 
  • 東京実証では、ポート運営や場外ポート整備・設置などの役割を担いました。 
  • 商社機能を活かして、規制、設備、海外技術、自治体連携をまとめやすい立場です。 
  • eVTOLだけでなくドローン物流も視野に入れており、周辺市場との連動も見られます。 

注意点

  • 収益化は長期テーマで、現時点では事業の立ち上げ段階です。 
  • 兼松全体でみると、eVTOLはまだ一部テーマでしかありません。 
  • pPort・地上オペレーションは制度整備や利用密度に左右されます。 
  • 海外パートナー依存があり、国内単独で完結する案件ではありません。 

参考情報

  • 兼松「Investment in Advanced Air Mobility via Skyports Limited」(2023年11月) 
  • 兼松「空飛ぶクルマおよびドローン物流の事業開発に向けた提携について」(2021年4月) 
  • 兼松・三菱地所・SkyDrive共同発表(2026年3月、東京実証の確認) 
  • 三菱地所リリース(兼松の役割整理) 

東レ(3402)|関連度B

会社概要

東レは、繊維、樹脂、フィルム、炭素繊維複合材料などを展開する総合素材メーカーです。東証プライム上場で、航空宇宙分野では炭素繊維の代表格として知られます。eVTOLでは、軽量化・高強度・電池周辺材料まで含めて関われるため、機体メーカーに比べると目立ちにくい一方、サプライチェーン上の重要性は高い企業です。 

今回のテーマとの関連性

東レは公式に「UAM / AAM SOLUTIONS」サイトを持ち、eVTOL向けの構造材、推進系、電池周辺、外装材などのポートフォリオを提示しています。さらに2020年には、Joby向けに複合材の長期供給契約を締結したと発表しました。eVTOL関連の日本株の中では、材料メーカーとしてかなり直接的です。もっとも、会社全体では用途が広く、投資テーマとしては「本命」というより「中核サプライチェーン」として見るのが妥当です。 
B判定理由:eVTOL向け提案と供給契約は明確ですが、企業全体に占める収益比率は確認しにくいためです。 

注目ポイント

  • 東レ自身がUAM/AAMソリューションを掲げ、eVTOL向け材料群を整理しています。 
  • Joby向け長期供給契約があり、単なる展示・研究では終わっていません。 
  • 炭素繊維だけでなく、電池周辺や推進系まで関われる材料の広さがあります。 
  • eVTOLで重要な軽量化・強度・量産対応の論点と相性が良いです。 

注意点

  • eVTOL関連売上の独立開示は確認できる範囲では限定的です。 
  • 材料採用は機体認証や量産設計の変更に影響されやすいです。 
  • 素材メーカー全般に言えることですが、投資家の期待が先行しても実績化まで時間差があります。 
  • 会社全体ではeVTOL以外の事業が大きく、テーマ純度は低めです。 

参考情報

  • Toray UAM/AAM Solutions(eVTOL向け材料ポートフォリオの確認) 
  • Toray公式事業紹介(炭素繊維複合材料の事業確認) 
  • Toray Advanced Composites and Joby Aviation Finalize a Long-Term Supply Agreement(2020年12月) 
  • JPX上場会社検索(市場区分の確認) 

GSユアサ(6674)|関連度C

会社概要

GSユアサは、自動車用・産業用各種電池、電源システム、受変電設備などを手掛ける電池メーカーです。東証プライム上場で、航空向けでは従来から高い技術蓄積を持ちます。eVTOLでは「今すぐの本命」というより、電池性能向上の恩恵を受けうる基盤技術銘柄として見るのが妥当です。 

今回のテーマとの関連性

GSユアサはNEDOの航空機用先進システム実用化プロジェクトで、400Wh/kg級のリチウム硫黄電池実証を公表しており、次世代航空機向け軽量蓄電池の実用化を進めています。また同社技術レポートでは、2018年以降の電動航空機開発の大多数がeVTOLを対象としていること、電池エネルギー密度向上がeVTOL市場拡大の鍵になることが整理されています。ただし、現時点でeVTOL向け量産契約や採用先の明示は確認しにくく、テーマ株としては思惑先行になりやすい位置づけです。 
C判定理由:技術的な接点は強いものの、eVTOL向け商用案件や売上連動を一次情報で追いにくいためです。 

注目ポイント

  • 航空機向け軽量蓄電池の研究開発をNEDO案件で進めています。 
  • 技術レポート上でも、eVTOLで電池エネルギー密度の改善が重要と整理されています。 
  • 電池はeVTOLの航続距離や運航回数を左右するため、技術進歩の恩恵は理論上大きいです。 

注意点

  • 現時点で、eVTOLメーカー向けの量産供給や採用先を明示した一次情報は確認しにくいです。 
  • 技術開発と業績寄与の間に時間差が大きい領域です。 
  • エネルギー密度、安全性、寿命、コストのすべてを満たす必要があり、開発難易度は高めです。 
  • テーマ物色では買われやすい一方、事実ベースで追えるマイルストーンはまだ限定的です。 

参考情報

  • GSユアサ会社概要(事業内容の確認) 
  • GSユアサニュースリリース「NEDO航空機用先進システム実用化プロジェクト(軽量蓄電池)の中間目標達成」(2021年11月) 
  • GS Yuasa Technical Report「電動航空機における電池の役割」(2021年6月) 
  • JPX上場会社検索(市場区分の確認) 

今回は除外・参考扱いとした銘柄

会社名理由
野村不動産ホールディングス子会社ベースでは、ANA・Jobyとのバーティポート開発検討や東京ベイeSG関連の取り組みが確認できますが、上場親会社の業績との結びつきは現時点で見えにくいため、今回は参考扱いにしました。 
川崎重工業K-RACERなどVTOL無人機やヘリサービスの実証は確認できますが、確認できる範囲では電動旅客eVTOLの中核銘柄とまでは言いにくいため除外しました。 
パーク24Skyportsとの関西での駐車場活用検討はありますが、収益寄与や具体案件の継続性がまだ見えにくく、思惑が先行しやすいと判断しました。 
ヤマハ発動機無人ヘリ・ドローンの実績は強い一方、確認できる範囲ではeVTOL機体や主要部材サプライチェーンへの直接関与を一次情報で追いにくいため、今回は採用を見送りました。 

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