産業排水再利用・ZLD関連銘柄を工場水循環のサプライチェーンから整理

産業排水再利用・ZLD関連銘柄を見る際は、排水を処理できるかだけでなく、回収した水を工程へ戻せるか、高濃度の濃縮液を蒸発・晶析できるか、残った塩や金属を安全に回収・処分できるかまで確認する必要があります。

テーマとの事業上の直接性が高い企業としては、工場水処理を中核事業とし、装置、薬品、運転管理、再生水供給を展開する栗田工業、超純水から排水回収まで一貫対応するオルガノ、半導体向け超純水・排水回収を主力とする野村マイクロ・サイエンスが挙げられます。

膜工程では、排水再利用・ZLDを成長用途とする東レと、ZLD用高圧RO膜を明示する日東電工の直接性が高くなります。後段工程では、月島ホールディングスと住友重機械工業の蒸発・晶析設備が重要です。旭化成、AGC、三菱ケミカルグループは、UF膜、イオン交換膜、イオン交換樹脂、MBRなどの重要部材を供給します。

パナソニック ホールディングスは、半導体排水から銅を回収する製品を2026年に発売しましたが、関連売上と受注規模が未開示です。技術や製品の発表と、親会社の業績拡大を同一視しないことが重要です。

今後は、各社の関連装置受注、排水回収率、保守契約、膜交換需要、蒸発設備の省エネルギー性能、有価物回収の採算性を確認したいところです。政策支援や半導体工場建設が増えても、工場の排水性状、取水条件、電力価格、廃棄物処理費によって採用技術は変わります。関連事業の売上や受注が非開示の場合は、テーマ市場の拡大だけから企業業績への寄与を推測しないことが必要です。

本ブログに掲載している情報は、筆者の個人的な見解および情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報に基づいて生じたいかなる損失についても責任を負いかねます。投資判断はご自身の責任において行ってください。

産業排水再利用・ZLD関連テーマの整理

テーマの概要

産業排水再利用とは、工場の洗浄、研磨、めっき、エッチング、化学反応、冷却などで生じた排水を処理し、純水原水、洗浄水、冷却水、工程水などとして再び利用する仕組みです。ZLDは、膜処理などで排水を濃縮した後、蒸発器や晶析装置で水と固形分を分離し、外部への液体排出を極小化する考え方です。膜を通過した水や蒸発凝縮水は再利用し、残った塩、汚泥、金属などは回収または廃棄します。

主な顧客は、超純水を大量に使う半導体・電子デバイス工場、金属や溶剤を扱う電池工場、塩・酸・アルカリを扱う化学工場、鉱石や塩湖かん水を処理する鉱業・製錬事業者です。

代表的な工程は次のように整理できます。

工程主な技術役割
排水分別・前処理凝集、沈殿、活性炭、生物処理、MBR油分、有機物、スラリー、微粒子を除去する
膜分離MF、UF、NF、RO水を透過させ、塩類や有機物を濃縮する
高度精製イオン交換樹脂、イオン交換膜、電気透析特定イオン、金属、酸、アルカリを分離する
高濃度化高圧RO、正浸透、蒸発濃縮、MVR後段の晶析に送る液量を減らす
固液分離晶析、遠心分離、フィルタープレス、乾燥塩や汚泥を固形物として取り出す
資源回収電解、選択吸着、酸回収、金属回収銅、ニッケル、リチウム、酸などを再資源化する
保守・運用膜洗浄、薬品供給、水質監視、遠隔管理回収率や処理品質を安定させる

初心者が注意したいのは、RO膜や蒸発器を販売しているだけで、企業がZLD設備全体を提供しているとは限らない点です。また、「排水回収率90%」は「液体排出ゼロ」と同義ではありません。濃縮液を外部処分している場合や、塩・汚泥の処分が残る場合もあります。

なぜ今注目されているのか

第一の背景は、半導体や電池工場の新設・増設です。半導体工場では洗浄工程に高純度の水を使用し、その後にフッ素、窒素化合物、有機物、スラリー、金属などを含む排水が発生します。栗田工業は2026年5月の決算説明で、AI需要や各国の域内供給強化を背景に各地域で半導体の大型投資が続くとし、今後2年間に同社が獲得可能とみる水処理装置案件を約2,000億円と説明しています。ただし、これは栗田工業の獲得可能市場に関する会社推計であり、排水再利用やZLDだけの市場規模ではありません。

第二の背景は、水不足と取水制約です。東レは2026年の水処理事業資料で、排水再利用需要が年率約6~7%で拡大すると推定し、水源確保と環境規制強化を成長要因に挙げています。同社は中国のZLD、インドの染色排水、半導体向け超純水などを重点用途として示しています。この成長率は東レによる推計であり、すべてのZLD装置市場を表す数字ではありません。

第三の背景は規制です。日本では、水質汚濁防止法に基づく排水基準が工場・事業場に適用されます。2025年7月には、ほう素、ふっ素、アンモニア・窒素化合物の暫定排水基準が一部業種で見直されました。ただし、日本全国の対象工場にZLDを一律義務付ける制度ではなく、排水基準への対応手段として再利用や高度処理が選ばれる構造です。

欧州では、2024年改正の産業排出指令が、資源と水の効率的利用や再利用を事業者の基本的義務に加えました。2025年6月の欧州水レジリエンス戦略も、水需要の削減、水効率向上、生産工程での再利用を促しています。これらはZLDを一律に義務付けるものではありませんが、排水回収設備や水循環技術の採用を後押しする要因になります。

日本株で関連銘柄を見る視点

中核事業型は、工場向け水処理設備の設計、施工、運転管理、再生水供給などを直接手掛ける企業です。装置受注に加え、薬品、膜交換、保守、運転管理へ継続収益を広げられるかが重要になります。

重要サプライチェーン型は、RO・UF膜、イオン交換材、蒸発器、晶析装置など、ZLDの各工程に不可欠な製品を供給する企業です。技術的な重要性が高くても、企業全体では小規模な一事業であるケースがあります。

周辺恩恵型は、分析、監視、建設、薬液供給、資源回収などを通じて需要増加の恩恵を受ける可能性がある企業です。

思惑先行注意型は、製品発売や技術開発の事実は確認できるものの、受注実績、売上規模、採算性、企業全体への寄与がまだ確認できない企業です。

テーマとの接点が強いことと、企業業績への影響が大きいことは同じではありません。総合化学、重機、電機メーカーでは、水処理製品が優れた技術であっても、連結売上への寄与が限定的な可能性があります。一方、水処理専業企業では、テーマ需要が装置、薬品、保守、サービスの受注へつながる構造を比較的説明しやすくなります。

関連銘柄一覧

表示順関連度位置づけ証券コード会社名市場区分関連する理由注目ポイント注意点
1A中核事業型6370栗田工業東証プライム工場排水回収設備、再生水供給、薬品、運転管理を一体提供装置から継続サービスへの展開ZLD単独売上は非開示
2A中核事業型6368オルガノ東証プライム超純水から排水処理・排水回収まで一貫対応半導体工場向け総合水処理ZLD案件の受注額は非開示
3A中核事業型6254野村マイクロ・サイエンス東証プライム半導体向け超純水と排水・回収設備を主力事業として提供半導体設備投資との接続性大型案件による業績変動
4A重要サプライチェーン型3402東レ東証プライムRO、NF、UF、MBRを排水再利用・ZLD用途へ展開膜を組み合わせる統合提案総合素材企業内での寄与は限定的
5A重要サプライチェーン型6988日東電工東証プライムZLD用高圧RO膜を製品化し、膜前処理で蒸発負荷を低減ZLDを明示した製品群完成プラントのEPC企業ではない
6B重要サプライチェーン型6332月島ホールディングス東証プライム蒸発濃縮、酸回収、晶析、半導体廃液処理を子会社が提供高濃度排水の後段工程上下水道事業との混同に注意
7B重要サプライチェーン型6302住友重機械工業東証プライム排水減容化・有価物回収向け蒸発・晶析装置を提供ZLDの熱処理工程製品別売上は非開示
8B重要サプライチェーン型3407旭化成東証プライムMicrozaのUF・MF膜を排水・工業用水再利用に供給RO前処理と膜寿命延長企業全体への寄与は小さい可能性
9B重要サプライチェーン型5201AGC東証プライムイオン交換膜で排水脱塩、有価物回収、酸・塩分離に対応電気透析・選択分離ZLD向け売上は非開示
10B重要サプライチェーン型4188三菱ケミカルグループ東証プライムイオン交換樹脂、MBR膜、水処理・排水再利用システムを展開材料とシステムの組み合わせ親会社への業績寄与は不明
11C思惑先行注意型6752パナソニック ホールディングス東証プライム子会社が半導体向け排水処理・金属回収事業を2026年に開始銅回収装置RARELOOP新規事業で売上・受注規模が不明

銘柄別解説

栗田工業(6370)|関連度A・中核事業型

会社概要

栗田工業は、工場向けの水処理装置、水処理薬品、超純水供給、運転管理、メンテナンスなどを提供する総合水処理企業です。電子産業向けと一般産業向けの双方を事業セグメントとして持ち、水処理そのものが企業の中核事業です。

半導体工場では、超純水設備を納入した後に、排水回収、薬品、膜交換、運転管理などを継続提供できる点が特徴です。2026年5月の決算説明資料では、電子セグメントについて、水処理装置の受注を起点にメンテナンス、薬品、運転管理へ売上を広げる「フロー&ストック」構造を示しています。

テーマとの関連性

同社は工場排水の回収・再利用設備だけでなく、回収水を顧客工場へ供給するサービスも展開しています。公式事例では、半導体工場向けに排水を回収し、再生水として供給するCORRシステムを紹介しています。設備の所有・運転や水質保証を含む契約形態は、顧客の初期投資負担を抑えながら継続的なサービス収益を得る仕組みになり得ます。

また、一般水処理分野では節水、温室効果ガス削減、廃棄物の資源化を顧客価値とするCSVビジネスを拡大しています。2026年3月期のCSVビジネス売上高は585億円と説明されていますが、この数字には排水再利用以外のソリューションも含まれます。ZLD単独の売上高、受注額、設備台数は開示されていません。

2026年6月にはインドのMembrane Group Indiaとの提携を発表し、電子・半導体産業向け水処理で地域対応力を強化しました。インドでは水不足や高濃度排水処理が設備選定の重要要因となるため、排水回収需要への接続が注目されます。ただし、提携による具体的な受注額は公表されていません。

関連度Aの判定理由: 水処理が企業の中核事業であり、半導体工場向けの排水回収設備、再生水供給、運転管理を実際に提供しています。装置受注から薬品・保守・水供給へ継続収益を広げる構造も公式資料で確認できます。

注目ポイント

  • 半導体向け大型水処理装置の受注残高と売上計上時期
  • 装置納入後の薬品、保守、運転管理への接続率
  • 再生水供給サービスの契約件数と地域展開
  • インド、台湾、北米などでの生産・サービス体制
  • DLEなど水処理技術を利用したリチウム回収の事業化

注意点

  • ZLD・排水再利用だけの売上高や利益は開示されていない
  • 半導体大型案件は工期、顧客投資、検収時期で売上が変動する
  • 装置事業は資材費、人件費、設計能力の影響を受ける
  • ZLDは蒸発・晶析を含むため、案件によって他社装置との組み合わせが必要
  • 海外案件では為替、規制、現地パートナー管理の不確実性がある

参考情報

オルガノ(6368)|関連度A・中核事業型

会社概要

オルガノは、超純水製造装置、純水装置、排水処理・回収装置、水処理薬品、イオン交換樹脂、膜、フィルターなどを提供する水処理企業です。半導体、電子、医薬、食品、化学、電力などが主要顧客で、設計、製造、施工、運転管理、メンテナンスまで対応します。

水処理プラント事業では、超純水製造から排水処理までをオーダーメイドで一貫提供しています。公式ページでは、排水処理装置と排水回収装置を装置ラインアップとして明示し、RO膜処理薬品やイオン交換樹脂なども組み合わせています。

テーマとの関連性

オルガノは、工場排水に含まれる有害物質を各国基準以下に低減する装置・薬品を提供するとともに、処理水を外部へ排出せず原水として再利用する排水回収設備を展開しています。この説明は工場内クローズドループに近いものですが、すべての案件で蒸発・晶析まで行う完全ZLDを意味するわけではありません。

同社の強みは、半導体工場の入口に当たる超純水と、出口に当たる排水処理・回収の両方を設計できる点です。水質、取水量、排水性状、生産工程を一体で検討できれば、純水製造側と排水回収側の設備容量を最適化しやすくなります。

公式の環境・エネルギー分野の実績資料には、半導体製造工程の薬液回収、希少金属回収、排水再利用に関する技術が掲載されています。半導体やEV関連投資の増加を、水回収プラントや薬品販売の事業機会として位置付けています。ただし、排水再利用設備の受注高やZLD案件数は個別開示されていません。

2027年3月期第1四半期の連結売上高は421億円でしたが、決算短信から産業排水再利用だけの売上寄与を切り分けることはできません。

関連度Aの判定理由: 水処理が企業の中心事業であり、半導体工場を含む産業向けに超純水、排水処理、排水回収、薬品、機能材を一貫提供しています。排水を外部排出せず原水として再利用する用途を公式に明記しています。

注目ポイント

  • 半導体・電子産業向けプラントの受注高と受注残高
  • 超純水設備と排水回収設備を一体提案できる技術力
  • 排水回収率や薬品使用量を改善する新製品
  • 装置納入後のメンテナンス、薬品、消耗品収入
  • 海外半導体工場への施工・サービス体制

注意点

  • 完全ZLDと排水回収設備の案件内訳は公表されていない
  • 半導体設備投資の延期や工期変更が受注・売上時期に影響する
  • 高水準の受注が続く局面では設計・施工人員が制約になり得る
  • 海外の水処理専業企業や地域EPC企業との競争がある
  • 関連設備ごとの利益率や顧客別売上は非開示

参考情報

野村マイクロ・サイエンス(6254)|関連度A・中核事業型

会社概要

野村マイクロ・サイエンスは、半導体、フラットパネルディスプレー、医薬品向けの超純水製造装置を主力とする水処理企業です。装置の設計、施工、販売、保守に加え、フィルター、イオン交換樹脂などの消耗品も販売しています。

2026年の株主総会資料では、水処理装置事業を主要事業とし、半導体製造技術の高度化に対応するため、原水前処理から超純水製造までを構築するとともに、排水・回収処理装置を提供していると説明しています。韓国、中国、台湾、米国などに子会社を持ち、海外半導体工場にも対応しています。

テーマとの関連性

同社の超純水設備は、工場で使用した水を排水処理装置や回収処理装置へ送り、再び原水や純水製造工程に戻す構成を取れます。公式資料の工程図にも、洗浄工程からの排水を回収処理し、前処理・純水設備へ戻す循環経路が示されています。

個別製品のAQURUSは、半導体ウエハー、太陽電池、化合物半導体、ガラス基板などの研磨工程から発生するシリコンやGaAs粒子を含む排水から、水と固形粒子を同時回収する設備です。回収粒子を有価資源として再利用できる可能性も説明されています。これは工場排水再利用と資源回収の双方に直接関係します。

一方、AQURUSや排水回収装置の売上高、受注額、設置台数は開示されていません。同社全体の業績は半導体工場向け大型超純水案件に左右されやすく、2026年3月期は前期の大型案件の反動で減収減益となりました。排水再利用の需要拡大だけで業績変動を相殺できるとは限りません。

関連度Aの判定理由: 半導体向け水処理が主力事業であり、排水回収設備を超純水製造システムの一部として提供しています。研磨排水から水とシリコン粒子を回収する商用製品も確認できます。

注目ポイント

  • 国内、韓国、台湾、米国の半導体大型案件の受注動向
  • 排水回収を含む装置一式の受注比率
  • AQURUSの半導体・化合物半導体用途での採用拡大
  • BOOM契約による装置保有・運転管理型収益の拡大
  • メンテナンス、消耗品売上の安定性

注意点

  • 大型案件の有無と工事進捗で年度業績が変動しやすい
  • 排水回収設備単独の売上・利益は非開示
  • AQURUSの納入台数や回収資源の販売実績は確認できない
  • ZLDの蒸発・晶析工程を自社単独で一括提供するとの開示は限定的
  • 特定地域や大口顧客への受注集中を確認する必要がある

参考情報

東レ(3402)|関連度A・重要サプライチェーン型

会社概要

東レは、繊維、樹脂、フィルム、炭素繊維、電子材料、医薬・医療、水処理膜などを展開する総合素材企業です。水処理分野ではRO、NF、UF、MBRの各膜を持ち、海水淡水化、工業用水、排水再利用、半導体向け超純水などに供給しています。

水処理は東レ全体の一事業であり、水処理膜やZLD用途だけの連結売上・利益は開示されていません。そのため技術的な関連性は高い一方、企業全体の業績への寄与は水処理専業会社より薄くなる可能性があります。

テーマとの関連性

東レは2026年の水処理事業資料で、排水再利用を重点成長用途に位置付けています。中国のZLD、インドの染色排水、半導体向け超純水を需要分野として挙げ、RO、NF、UF、MBRを組み合わせる統合膜システムを強みとしています。

ZLDでは、まずUFやMBRで微粒子や有機物を除去し、RO・NFで水と塩分を分けます。膜段階で水を多く回収できれば、後段の蒸発器へ送る濃縮液量が減り、熱エネルギーや装置容量を抑えられる可能性があります。東レはZLD設備全体のEPC企業というより、前処理から濃縮までの膜サプライチェーンを担う企業と見るのが適切です。

同社は水処理膜の用途拡張として、リチウムを含む塩湖かん水や使用済み電池由来液からの有価物回収も成長候補に挙げています。ただし、量産規模、受注額、鉱業案件の顧客名は公開情報から確認できません。

関連度Aの判定理由: RO、NF、UF、MBRを排水再利用とZLDの重点用途として公式に位置付け、地域別の需要と製品戦略を具体的に開示しています。関連事業の企業内比率は限定的ですが、膜工程における直接性と一次情報の強さを評価しました。

注目ポイント

  • 排水再利用向けRO・UF膜の販売数量と交換需要
  • 中国のZLD、インドの工場排水案件の受注動向
  • 膜薬品、運転支援、保守を含む「Membrane+」の収益化
  • 半導体向け超純水膜の需要
  • リチウム分離・回収膜の商用化進捗

注意点

  • 水処理膜は東レ全体の一部であり、連結業績への影響は限定的となり得る
  • ZLD設備全体では蒸発器、晶析装置、脱水設備が別途必要
  • 膜の汚染、スケール、薬品耐性が回収率や寿命を左右する
  • 中国・インドなどでは現地膜メーカーとの価格競争がある
  • 会社推計の市場成長率が自社売上成長を保証するものではない

参考情報

  • 東レ|IR Day 2026 水処理事業資料|2026年、2026年8月6日確認|排水再利用、中国ZLD、半導体超純水、リチウム回収の戦略を確認。
    URL:https://www.toray.com/ir/pdf/lib/lib_a559.pdf
  • 東レ|Water Reuse|発表日記載なし、2026年8月6日確認|排水再利用におけるRO、UF、MBRの用途を確認。
    URL:https://www.water.toray/water_reuse/
  • 東レ|水処理事業説明資料|2025年、2026年8月6日確認|膜事業の市場環境と成長用途を確認。
    URL:https://www.toray.com/ir/
  • 東レ|株主・投資家情報|2026年8月6日確認|東証プライム、証券コード3402、最新IR資料を確認。
    URL:https://www.toray.co.jp/ir/

日東電工(6988)|関連度A・重要サプライチェーン型

会社概要

日東電工は、粘着材料、電子部材、光学材料、分離膜、医療関連製品などを展開する総合材料メーカーです。水処理膜分野ではRO膜、NF膜、UF膜などを扱い、海水淡水化、工業用水、排水再利用、高濃度排水処理に供給しています。

水処理膜は同社の幅広い事業ポートフォリオの一部です。ZLD向け膜製品を公式に展開している点は直接的ですが、ZLD関連売上、受注額、利益、顧客構成は単独開示されていません。

テーマとの関連性

日東電工は、ZLD専用の公式製品ページを設けています。同社は、蒸発・晶析などの熱処理はエネルギー消費とコストが大きいため、前段に膜処理を導入して排水を濃縮し、透過水を再利用することで熱処理負荷を減らせると説明しています。

同社のPROシリーズは、高塩濃度排水を従来ROより高圧で濃縮する用途を想定しています。膜が担うのはZLDの前段であり、最終的に液体をなくすためには蒸発器や晶析装置が必要です。それでも、膜で高回収率を実現できれば、ZLD全体のエネルギー消費や設備容量を左右する重要部材になります。

滋賀事業所では、工場排水の利用率90%を達成した循環型工場の取り組みを公表し、ZLD用RO膜を環境貢献製品として位置付けています。ただし、90%利用率は完全ZLDではなく、残りの排水や固形廃棄物の処理が不要になることを意味しません。

2026年には、半導体の実排水を用いる溶剤分離膜の商用規模評価も進めています。これは水系ZLDとは異なる溶剤回収分野ですが、半導体工場の液体資源循環という周辺領域への拡張として注目されます。商用売上の発生時期は確認できません。

関連度Aの判定理由: 公式にZLD用の高圧RO膜製品を展開し、膜濃縮による蒸発負荷低減の仕組みを具体的に説明しています。企業内の事業重要度は水処理専業より低いものの、ZLDとの直接性が非常に高いと判断しました。

注目ポイント

  • ZLD用高圧RO膜の販売数量と採用地域
  • 高塩濃度・高汚染排水での膜寿命と回収率
  • 蒸発器メーカーや水処理EPC企業との協業
  • 半導体実排水を用いた分離膜評価の商用化
  • 自社工場で得た運転データの外販への活用

注意点

  • ZLD完成設備を一括納入するEPC企業ではない
  • 水処理膜事業の売上や利益は単独開示されていない
  • 高圧運転では電力、膜圧力容器、ポンプの負担が増える
  • 原水性状によって前処理や薬品洗浄が必要になる
  • 競合する海外RO膜メーカーとの性能・価格競争がある

参考情報

月島ホールディングス(6332)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

月島ホールディングスは、水環境事業と産業事業を展開する持株会社です。水環境事業は主に上水・下水設備を扱いますが、本記事で注目するのは、子会社の月島環境エンジニアリングなどが担当する産業向け蒸発、濃縮、晶析、廃液処理、酸回収です。

2026年3月期の連結売上高は1,489億円で、産業事業も一定の規模を持ちます。ただし、産業事業には化学、食品、医薬、電池材料などの設備が広く含まれ、ZLD・排水再利用だけの売上高は開示されていません。

テーマとの関連性

子会社の月島環境エンジニアリングは、真空蒸発濃縮装置を提供しています。多重効用方式、スチームブースター方式、MVRなどに対応し、塩酸、硝酸、硫酸、ほう素、めっき液などの回収用途を示しています。

特に、シリコン洗浄廃液から硝フッ酸や塩フッ酸を回収する用途を公式に掲載しており、半導体・電子材料工場との接点が具体的です。透析膜と濃縮操作を組み合わせた酸回収も、排水処理費削減と薬品再利用の双方につながる可能性があります。

月島グループは化学・電池材料向けの晶析、ろ過、乾燥装置も扱っています。これらはZLD後段の固形塩回収にも応用可能ですが、公開資料だけではZLD用途の受注額や納入件数を特定できません。上下水道関連企業として紹介されることも多いものの、今回の関連性は産業事業と子会社技術に限定して評価しています。

関連度Bの判定理由: 半導体洗浄廃液、酸、めっき液を対象とした蒸発濃縮・回収設備を実際に提供し、ZLDの後段工程との関係が強い企業です。ただし、関連事業は産業事業の一部で、ZLD単独の業績寄与は不明です。

注目ポイント

  • 半導体・電子材料工場向け酸回収設備の受注
  • MVRなど省エネルギー型蒸発設備の採用
  • 電池材料向け晶析・ろ過設備との技術共通化
  • 子会社の廃液処理技術とグループEPC能力
  • 装置納入後の改造、保守、部品収入

注意点

  • 水環境事業の多くは上下水道であり、本テーマとは分けて見る必要がある
  • 産業事業全体に占めるZLD・排水回収の割合は非開示
  • 蒸発濃縮はエネルギー価格の影響を受ける
  • 腐食性の強い酸・塩を扱うため、材料選定と保守負担が大きい
  • 大型プラント案件は受注から売上計上まで時間を要する

参考情報

住友重機械工業(6302)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

住友重機械工業は、変減速機、射出成形機、建設機械、産業機械、エネルギー・環境設備などを展開する総合重機メーカーです。今回のテーマと関係するのは、産業設備分野の蒸発・晶析装置です。

蒸発・晶析装置は同社全体では一製品群にすぎず、関連売上や受注額は単独開示されていません。技術的にはZLDの中核工程ですが、企業全体の業績に与える影響は限定的または不明です。

テーマとの関連性

同社は、50年以上の経験を持つ蒸発・晶析装置を提供し、高濃度濃縮、排水減容化、有価物回収を用途として明記しています。化学工場などの高塩濃度排水では、膜だけで濃縮できる限界を超えた後に、蒸発器で水を蒸発させ、晶析装置で塩を固形化します。

ZLDでは、この熱処理工程が設備費とエネルギー消費の大きな部分を占めます。排水量、沸点上昇、スケーリング、腐食性、固形分濃度に応じて設備を設計する必要があり、前後工程を含めて提案できるエンジニアリング経験が重要です。

同社製品の用途には化学、食品、パルプなど幅広い産業が含まれます。半導体、電池、鉱業のZLD案件について具体的な顧客名、納入件数、受注額は公開情報から確認できません。このため、中核事業型ではなくサプライチェーン型としました。

関連度Bの判定理由: 排水減容化と有価物回収を用途とする蒸発・晶析装置を商用提供しており、ZLD後段との直接的な接点があります。一方、関連製品の企業内重要度と対象業界別の実績開示が限定的です。

注目ポイント

  • 高塩濃度工場排水向け蒸発・晶析設備の受注
  • MVRや多重効用化によるエネルギー削減
  • 膜メーカー、水処理EPC企業とのシステム連携
  • 有価塩・金属回収を含む案件の増加
  • 既設設備の更新、改造、保守需要

注意点

  • 蒸発・晶析装置の売上・受注を単独で確認できない
  • 企業全体では他事業の影響が圧倒的に大きい
  • エネルギー費が高いとZLD投資の採算性が悪化する
  • 結晶付着、腐食、閉塞による運転停止リスクがある
  • 半導体・電池・鉱業向けの具体的受注実績は限定開示

参考情報

旭化成(3407)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

旭化成は、マテリアル、住宅、ヘルスケアなどを展開する総合化学企業です。今回のテーマと関係するのは、Microzaブランドの中空糸MF・UF膜と、水処理プロセス向け分離ソリューションです。

Microzaは、水道、工業用水、排水再利用、医薬、食品、バイオプロセスなど幅広い用途に使用されます。関連事業の売上高や利益は単独開示されておらず、旭化成全体への業績寄与は限定的な可能性があります。

テーマとの関連性

UF膜やMF膜は、ZLDの最終工程で液体をなくす装置ではありません。排水中の懸濁物、微粒子、微生物などを除去し、後段のRO膜やイオン交換設備を保護する前処理として使われます。

旭化成はMicrozaについて、浄水だけでなく、排水・工業用水の再利用に広く使われていると説明しています。限られた水資源の有効利用と環境負荷低減への貢献を用途として明示しているため、単なる一般膜製品ではなく、産業排水再利用のサプライチェーンに位置付けられます。

同社の排水再利用向けページでは、UF膜による安定した前処理と、RO設備への供給水質改善を提案しています。ZLD需要が増えると、膜濃縮段階の前処理膜や交換膜需要が増える可能性があります。ただし、ZLD案件への納入実績や売上額は確認できません。

関連度Bの判定理由: 工場排水再利用を明示したUF・MF膜を商用提供し、RO前処理としてシステム性能に重要な役割を持ちます。ただし、ZLDとの距離はRO膜や蒸発装置より一段あり、企業全体への寄与も不明です。

注目ポイント

  • 産業排水再利用向けMicrozaの販売・交換需要
  • 高汚濁排水への耐久性と洗浄回復性
  • ROメーカーや水処理EPCとの採用関係
  • 半導体・電池・化学工場向けの用途開示
  • 膜モジュールと運転支援サービスの展開

注意点

  • UF・MFだけでは溶解塩類を除去できず、ZLDは完成しない
  • ZLD用途の売上、採用件数は開示されていない
  • 旭化成全体に占める水処理膜事業の規模は小さい可能性がある
  • 膜ファウリングや薬品洗浄で交換周期が変動する
  • 国内外の膜メーカーとの価格・性能競争がある

参考情報

AGC(5201)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

AGCは、建築・自動車ガラス、電子材料、化学品、ライフサイエンスなどを展開する素材メーカーです。今回のテーマに関係するのは、化学品分野のイオン交換膜FORBLUE SELEMIONです。

イオン交換膜は、電気透析や拡散透析などで、陽イオンと陰イオンを選択的に移動させる材料です。水処理だけでなく、食塩電解、食品、化学分離などにも使われるため、産業排水再利用・ZLD向けの売上を切り分けることはできません。

テーマとの関連性

AGCはSELEMIONの用途として、排水の脱塩、有価廃棄物の回収・精製を公式に明示しています。電気透析を利用すれば、排水から塩分を濃縮したり、酸・アルカリ・金属イオンを選択的に分離したりできます。

ZLDでは、RO濃縮液をそのまま蒸発器へ送る前に、電気透析でさらに濃縮する方法や、特定イオンを分離してスケール発生を抑える方法があります。また、再利用価値のある酸や塩を分離できれば、廃棄コスト削減と資源回収の両方につながる可能性があります。

ただし、SELEMIONの排水処理用途について、半導体、電池、鉱業別の売上、納入件数、顧客名は開示されていません。AGC全体に占める事業規模も確認できないため、Bランクとしました。

関連度Bの判定理由: 排水脱塩と有価物回収を用途とするイオン交換膜を商用提供しており、ZLDの濃縮・資源回収工程に必要な材料です。ただし、対象市場別の販売実績と企業内重要度は限定開示です。

注目ポイント

  • 電気透析・酸回収用途でのSELEMION採用
  • 高濃度・高温・強酸性排水への耐久性
  • リチウム、ニッケルなど選択分離用途への展開
  • 装置メーカーとの共同提案
  • 膜交換による継続需要

注意点

  • イオン交換膜単体ではZLDシステムを構成できない
  • 産業排水用途の売上・受注は非開示
  • AGC全体ではガラス、電子、化学など他事業の影響が大きい
  • 分離対象によって膜選定と前処理が必要になる
  • 電力価格や膜寿命が電気透析の経済性を左右する

参考情報

三菱ケミカルグループ(4188)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

三菱ケミカルグループは、機能商品、化学品、産業ガスなどを展開する持株会社です。テーマに関係する事業は、事業会社の三菱ケミカルが展開するDIAIONイオン交換樹脂、STERAPORE MBR膜と、三菱ケミカルアクア・ソリューションズの純水・排水処理・再利用設備です。

材料と水処理システムの双方をグループ内に持つ点が特徴ですが、工場排水再利用・ZLD関連売上は単独開示されていません。

テーマとの関連性

DIAIONイオン交換樹脂は、工業用水の純化、排水処理、半導体向け超純水製造に利用されています。キレート樹脂には金属やほう素などを選択的に吸着する製品があり、排水中の特定物質除去や回収に使える製品群が確認できます。

2026年7月の半導体ソリューション資料では、超純水製造、排水処理・リサイクル、DIAION、MBR膜STERAPOREをグループの半導体工場向け製品として掲載しています。これにより、単なる材料メーカーではなく、工場の入口から出口まで複数工程に関係することが確認できます。

もっとも、ZLDを完成させる蒸発・晶析設備をグループが標準的に一括提供するとの開示は確認できません。関連性は、イオン交換、MBR、純水、排水再利用を中心に評価しています。

関連度Bの判定理由: 半導体向け超純水、排水処理・リサイクル、イオン交換樹脂、MBR膜を公式に展開しています。ただし、持株会社全体では関連事業の規模が見えにくく、ZLD完成設備との直接性も限定的です。

注目ポイント

  • 半導体工場向け排水処理・再利用システムの受注
  • DIAIONの金属・ほう素選択回収用途
  • STERAPOREを用いた高濃度有機排水の前処理
  • 材料とエンジニアリング子会社の連携
  • 樹脂交換、再生、保守による継続収益

注意点

  • 親会社連結業績への寄与を定量化できない
  • 水処理関連製品が複数子会社・事業部に分散している
  • ZLDの蒸発・晶析まで一括提供するとの開示は限定的
  • イオン交換樹脂は再生薬品と廃再生液の処理が必要
  • 総合化学事業の市況が連結業績を大きく左右する

参考情報

パナソニック ホールディングス(6752)|関連度C・思惑先行注意型

会社概要

パナソニック ホールディングスは、家電、空調、住宅設備、車載電池、電子部品、工場設備などを展開する持株会社です。産業排水再利用との接点は、パナソニックHVAC&CC傘下のパナソニック環境エンジニアリングにあります。

同子会社は、水・空気・土・エネルギーの供給、浄化、再生設備を手掛けています。親会社の事業規模に対して当該事業は小さいと考えられますが、売上高や利益の単独開示がないため、正確な重要度は判断できません。

テーマとの関連性

2026年7月、同社は半導体・電子デバイス工場向けの排水処理・資源回収事業を開始すると発表しました。中心製品のRARELOOPは、エッチング廃液中の銅イオンを電解により固形金属として回収するユニット型装置で、2026年4月から発売されています。

同社は従来からリチウムイオン電池工場や液晶パネル工場で、排水処理設備、薬液供給、レジスト剥離液のリサイクル技術を提供してきたと説明しています。新事業では、銅回収に加え、ナノ粒子やスラリーを含む難凝集排水、有機窒素を含む難分解排水の処理装置も展開します。

一方、RARELOOPの受注件数、納入先、販売目標、売上高、利益率は公表されていません。銀、スズ、ニッケル回収は今後の展開計画であり、調査時点で商用実績を確認できません。ZLD設備全体というより、排水処理と有価金属回収の一工程を担う新規事業です。

関連度Cの判定理由: 半導体・電池工場向けの排水処理と金属回収という具体的な商用製品を確認できます。ただし、発売直後で受注・売上実績が未開示であり、親会社の連結業績への影響も不明なため、思惑先行に注意が必要です。

注目ポイント

  • RARELOOPの初号機納入と受注件数
  • 回収銅の品質、回収率、運転コスト
  • 銀、スズ、ニッケル向け装置の製品化
  • 難凝集・難分解排水処理装置との一体受注
  • 半導体・電池工場の既存顧客基盤の活用

注意点

  • 新規事業であり、売上高・受注額・採算性が非開示
  • 親会社の連結業績への寄与は現時点で極めて判断しにくい
  • 銅以外の金属回収は計画段階
  • 完全ZLDではなく、排水処理・金属回収工程の一部
  • 製品発表を理由に事業規模を過大評価すると、思惑が先行しやすい

参考情報

今回は除外・参考扱いとした銘柄

証券コード会社名判定除外・参考扱いとした理由
6361荏原製作所参考ポンプや半導体製造装置との接点はあるが、今回確認した公開情報では工場排水ZLD・再利用の事業重要度を十分に裏付けられなかった
9551メタウォーター除外主な事業領域が上下水道であり、本記事の工場プロセス排水という対象範囲から外れる
4245ダイキアクシス除外排水処理・蒸発関連の接点はあるが、半導体・電池・化学・鉱業工場向けの具体的な一次情報が限定的
5406神戸製鋼所参考非上場子会社の神鋼環境ソリューションに水処理技術があるものの、親会社への業績寄与と対象用途の切り分けが困難
笹倉サービスセンター・笹倉関連事業上場廃止・参考ZLD晶析装置など技術的な関連性は高いが、上場銘柄の選定対象外
Veolia Water Technologies海外企業EVALEDなどZLD・蒸発濃縮の主要競合だが、日本株一覧には含めない
Aquatech、Gradiant海外企業半導体・鉱業向けZLDや高回収排水処理の競合として重要だが、日本国内上場企業ではない

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