CO₂固定コンクリート・人工石灰石関連銘柄を事業化段階で整理

CO₂固定コンクリート・人工石灰石関連銘柄の中で、事業上の直接性が特に高いのは、大成建設、住友大阪セメント、鹿島建設、日本コンクリート工業です。大成建設と住友大阪セメントは、人工石灰石コンクリートを公共工事で約3年間検証し、2026年度から事業フェーズへ移行しました。鹿島建設はCO₂-SUICOMとCUCOの実適用、日本コンクリート工業はエコタンカルとカルカーボの材料製造で中核に位置します。

サプライチェーンでは、太平洋セメントが炭酸カルシウム循環の研究、デンカが専用混和材、出光興産が合成炭酸カルシウムの販売・用途開拓、中国電力が排ガス・石炭灰・共同開発技術を担います。ただし、8社とも関連売上や利益の開示は限定的です。

今後確認したいのは、試験設備から商業設備への移行、年間生産量、公共工事の継続採用、発注仕様への組み込み、JIS対応、CO₂固定量の測定方法、価格差を負担する制度です。最大固定量や政策支援だけで企業業績を判断せず、量産能力、販売先、受注額、企業内での事業規模まで分けて見る必要があります。

本ブログに掲載している情報は、筆者の個人的な見解および情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報に基づいて生じたいかなる損失についても責任を負いかねます。投資判断はご自身の責任において行ってください。

CO₂固定コンクリート・人工石灰石関連銘柄テーマの整理

テーマの概要

CO₂固定コンクリートとは、回収した二酸化炭素をカルシウムと反応させ、化学的に安定した炭酸カルシウムとしてコンクリート、セメント、骨材、混和材などへ取り込む技術です。本記事では、CO₂回収設備や地下貯留そのものではなく、人工石灰石の製造、炭酸化養生、コンクリートスラッジの再資源化、カルシウムカーボネートコンクリートを中心に扱います。

サプライチェーンは、CO₂の回収・供給、廃コンクリートや焼却灰からのカルシウム抽出、炭酸塩化、人工石灰石や合成炭酸カルシウムの製造、コンクリートへの配合またはCO₂養生、プレキャスト製品や現場打ちコンクリートへの適用、固定量の測定・認証という流れです。顧客は建設会社、セメント会社、生コン会社、コンクリート二次製品メーカー、道路会社、国や自治体などです。

初心者が注意したいのは、CO₂固定量とCO₂削減量が同じではないことです。削減量には、セメント使用量の低減、高炉スラグや石炭灰への置換、再生材の利用による排出回避が含まれる場合があります。固定量は材料内に取り込んだCO₂を指しますが、輸送、回収、加工、養生に要する排出まで含めたネットの環境効果とは一致しません。国土交通省も、セメント代替による排出削減と、炭酸塩原料やCO₂養生による吸収源増加を区別しています。

なぜ今注目されているのか

セメント製造では、燃料使用だけでなく、石灰石を焼成する際の脱炭酸反応からCO₂が発生します。経済産業省の審議資料では、国内セメント産業のCO₂排出の約6割が石灰石由来のプロセス排出と説明されています。そのため、省エネや再生可能エネルギーだけでは削減しにくく、回収したCO₂を再び炭酸カルシウムへ戻す技術が重要になります。

NEDOのグリーンイノベーション基金では、2021年度から2030年度を事業期間として「CO₂を用いたコンクリート等製造技術開発」が進められています。大成建設と住友大阪セメントの人工石灰石プロジェクトは、約3年間の公共工事実証を終え、2026年度から委託事業ではなく補助事業の事業フェーズに移行しました。これは研究終了や量産確立を意味するものではありませんが、適用範囲、設計法、技術指針、供給体制を整える段階へ進んだことを示します。

制度面では、2026年3月23日にセメント関連のJISが改正され、JIS R 5210など計6規格が官報公示されました。少量混合成分の上限引き上げに加え、一定品質を満たす人工炭酸カルシウムを天然石灰石と同様に利用できる方向が盛り込まれています。人工石灰石を既存のセメント・コンクリート製造工程へ組み込むうえで、規格上の障壁が一部下がったと考えられます。

国土交通省の「土木工事の脱炭素アクションプラン」は、CO₂を固定した炭酸塩原料、骨材、混和材、CO₂養生技術について、直轄工事で適用範囲、供給体制、費用対効果を検証し、成果を確認した後に用途指定や対象拡大を検討するロードマップを示しています。政策は需要形成の契機になりますが、供給能力、品質、価格、地域ごとの物流条件が整わなければ、企業売上へ直結するとは限りません。

海外では、CarbonCure Technologiesが生コンクリート製造時にCO₂を注入して炭酸カルシウムとして固定する設備を展開し、Blue Planet SystemsはCO₂と廃棄物由来カルシウムから人工石灰石骨材を製造する技術を開発しています。日本企業は、固定量だけでなく、既存プラントへの導入コスト、量産性、測定・報告・検証、海外規格への適合でも競争することになります。

日本株で関連銘柄を見る視点

中核事業型は、人工石灰石、CO₂固定材、CO₂吸収コンクリートなどを自ら開発・製造・施工し、公共工事や実構造物への適用実績を持つ企業です。重要サプライチェーン型は、専用混和材、CO₂源、カルシウム源、炭酸塩化設備、製造・販売網を提供する企業を指します。

周辺恩恵型は、低炭素建材の施工、保守、検査、物流、測定・認証などを通じて間接的な需要を得る可能性がある企業です。思惑先行注意型は、研究プロジェクトへの参加や技術発表は確認できても、製品化、受注、生産能力、売上寄与が明確でない企業です。

テーマとの接点が強くても、企業全体への業績影響が大きいとは限りません。大手建設会社、総合化学会社、電力会社では、関連技術が企業全体のごく一部にとどまる可能性があります。反対に、コンクリート製品やセメントが主力の企業では、売上規模が未開示でも、技術が既存工場、原料調達、製品仕様に与える影響は相対的に大きくなります。

関連銘柄一覧

表示順関連度位置づけ証券コード会社名市場区分関連する理由注目ポイント注意点
1A中核事業型1801大成建設東証プライム人工石灰石を用いたCO₂固定コンクリートを公共工事で約3年間実証し、事業フェーズへ移行最大約110kg-CO₂/m³の固定、既存設備での製造、設計指針整備関連受注額・売上は非開示
2A中核事業型5232住友大阪セメント東証プライム廃棄物由来カルシウムと排ガスCO₂から人工石灰石を製造し、パイロット設備を稼働年産約270トンの試験設備、JIS対応、用途展開試験設備であり商業量産能力ではない
3A中核事業型1812鹿島建設東証プライムCO₂-SUICOMやCUCOを開発し、舗装・境界ブロックなどへ実適用CO₂固定・セメント削減・吸収技術の組み合わせ案件別技術で単独売上は不明
4A中核事業型・素材供給型5269日本コンクリート工業東証プライムエコタンカル、カルカーボなどCO₂固定炭酸カルシウムを製造し、舗装・公共工事へ適用工場内副産物の循環、既存製品との接続材料単独の売上・採算は非開示
5B中核技術型・開発段階5233太平洋セメント東証プライム廃コンクリートとCO₂からカルシウムカーボネートコンクリートを再生するC4Sに参画セメント・資源循環技術との接続研究開発段階で商用時期は不明
6B重要サプライチェーン型4061デンカ東証プライムCO₂と反応する特殊混和材LEAFを供給し、CO₂-SUICOM・CUCOに参画専用混和材、既存特殊セメント事業との親和性関連製品の販売量・売上は非開示
7B重要サプライチェーン型・販売型5019出光興産東証プライム日本コンクリート工業とカルカーボを開発し、販売・用途開拓を担当アスファルトとコンクリートへの用途展開企業全体に対する事業規模は小さい可能性
8B重要技術型・CO₂供給型9504中国電力東証プライム鹿島建設、デンカとCO₂-SUICOMを共同開発し、排ガス・石炭灰利用技術を保有CO₂源、副産物利用、知的財産装置・建材メーカーではなく収益構造が不明

銘柄別解説

大成建設(1801)|関連度A・中核事業型

会社概要

大成建設は、国内外の建築、土木、開発、不動産、エンジニアリングなどを展開する総合建設会社です。今回のテーマでは、単に低炭素建材を購入する立場ではなく、住友大阪セメントと人工石灰石を用いたコンクリートの材料設計、製品化、実構造物への適用、耐久性評価を進めています。東証プライム上場の事業会社で、JPXの注意情報欄に調査日時点で特段の表示は確認されません。

テーマとの関連性

大成建設と住友大阪セメントは、廃棄物から回収したカルシウムと、排出ガスから回収したCO₂を反応させて人工石灰石を製造し、コンクリート製品へ配合する技術を開発しています。人工石灰石は合成炭酸カルシウムであり、CO₂を鉱物として材料内に長期固定する役割を持ちます。

2022年10月から、国土交通省直轄工事の成瀬ダム原石山採取工事と荒島第二トンネル工事で、側溝などのプレキャスト製品を試行使用しました。約3年間のモニタリングでは、寒冷地やトンネル坑内で、ひび割れ、表面剥離、強度低下、鉄筋腐食が確認されなかったと公表されています。

4種類の配合を評価し、条件によってコンクリート1m³当たり最大約110kgのCO₂固定を確認しました。また、特別な設備更新や製造工程の変更を行わず、既存のプレキャスト製品工場と同様の製造サイクル、検査基準で出荷できたとしています。この点は、工場改造費を抑えて普及できる可能性を示す一方、すべての工場、配合、構造用途で同じ条件が成立することを意味しません。

プロジェクトは2026年度から2030年度までの補助事業である「事業フェーズ」に移行しました。今後は材料特性、施工性、構造性能、設計法、技術指針の整備を進める計画です。関連事業の受注額、売上高、利益は開示されておらず、公共工事や民間建築で標準仕様として採用されるかが業績への接続点になります。

関連度Aの判定理由: 人工石灰石コンクリートの開発主体であり、公共工事で約3年間の実証を完了し、事業フェーズへ移行しています。固定量、製造方法、耐久性、今後の標準化方針を一次情報で確認できるため、直接性と根拠の強さが高いと判断しました。

注目ポイント

  • 公共工事の試行から、発注仕様への継続採用や一般工事への展開へ進むかが確認点です。
  • 既存のプレキャスト設備で製造できることは、追加設備投資を抑えられる可能性があります。
  • 2026年のJIS改正を、セメント原料・少量混合成分としての採用拡大に生かせるかが注目されます。
  • プレキャスト製品から現場打ち、鉄筋構造物、建築用途へ適用範囲を広げられるかが今後の確認点です。
  • CO₂固定量の計測、材料トレーサビリティ、環境価値の帰属方法を整備できるかが重要です。

注意点

  • 人工石灰石コンクリート単独の売上高、受注額、利益率は開示されていません。
  • 「事業フェーズ」は商業量産や採算確立を保証するものではありません。
  • 最大約110kg-CO₂/m³は特定配合・条件での数値で、全製品へ一律に適用できません。
  • CO₂回収、カルシウム抽出、乾燥、粉砕、輸送まで含むライフサイクル排出を確認する必要があります。
  • 大成建設全体の受注規模に対し、当面の業績寄与は限定的または不明です。

参考情報

  • 大成建設|グリーンイノベーション基金事業において人工石灰石を用いたCO₂固定コンクリート製品の現場実証を完了|2026年7月23日|最大約110kg-CO₂/m³、事業フェーズへの移行、既存設備での製造を確認。
    URL:https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260723_11111.html
  • NEDO|人工石灰石を用いた製造時固定量110kg CO₂/m³のCO₂固定コンクリート製品の現場実証を完了しました|2026年7月23日|公共工事での約3年間のモニタリング、耐久性、標準化方針を確認。
    URL:https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101955.html
  • 住友大阪セメント|人工石灰石を用いたCO₂固定コンクリート製品の現場実証を完了|2026年7月23日|4配合、製造性、品質、実構造物での耐久性を確認。
    URL:https://www.soc.co.jp/news/87457/
  • JPX|東証上場会社情報サービス 大成建設|2026年8月6日確認|証券コード1801、東証プライム、上場状態を確認。
    URL:https://www2.jpx.co.jp/tseHpFront/StockSearch.do?method=&topSearchStr=18010

住友大阪セメント(5232)|関連度A・中核事業型

会社概要

住友大阪セメントは、セメント、鉱産品、建材、光電子、新材料、電池材料などを展開する事業会社です。人工石灰石では、セメント工場の排ガス中のCO₂と、焼却灰などの廃棄物から抽出したカルシウムを原料として、炭酸塩化から利用技術までを開発しています。建設会社より上流側に位置し、人工石灰石の製造、セメントへの利用、外部用途への供給を担う点が特徴です。

テーマとの関連性

同社の技術は、廃棄物由来カルシウムと工場排ガスのCO₂を反応させ、合成炭酸カルシウムである人工石灰石を製造するものです。廃棄物とCO₂の双方を再資源化し、人工石灰石をセメント原料、コンクリート混和材、道路塗料、紙などへ利用することを目指しています。

2025年3月には、栃木工場に人工石灰石のパイロットスケール試験設備を竣工しました。製造能力は年約270トンで、従来のベンチ設備の約10倍です。実際のセメント工場排ガスを使用でき、一般焼却灰など複数の廃棄物からカルシウムを抽出できるとしています。これは量産に近づくための設備ですが、年270トンはあくまで実証・設計データ取得用であり、全国のセメント需要へ供給する商業設備とは区別する必要があります。

大成建設との公共工事実証では、人工石灰石を用いたコンクリートで最大約110kg-CO₂/m³を固定しました。2026年3月のJIS改正では、一定品質を持つ人工炭酸カルシウムをセメントの少量混合成分に利用できる方向が反映されました。既存のセメント製造・販売網に人工石灰石を組み込めれば、研究設備から原料事業へ接続する可能性があります。

一方、人工石灰石の販売価格、生産原価、顧客別出荷量、関連売上は公表されていません。廃棄物の種類ごとにカルシウム濃度や不純物が異なり、抽出・精製コストも変わるため、安定品質と天然石灰石との価格差が普及の焦点になります。

関連度Aの判定理由: 人工石灰石の製造主体であり、パイロット設備、公共工事実証、JIS対応、複数用途への利用まで確認できます。セメント事業との直接的な接続構造があるためAとしました。

注目ポイント

  • 年約270トンの試験設備から、実スケール設備の設計、投資決定へ進むかが注目されます。
  • セメント工場排ガスと廃棄物由来カルシウムを同一拠点で処理できれば、輸送負担を抑えられる可能性があります。
  • 2026年改正JISに適合する人工炭酸カルシウムの品質管理と安定供給が確認点です。
  • コンクリート以外に、道路塗料、紙、プレキャスト製品へ用途を分散できる点が特徴です。
  • 2026~2030年度の事業フェーズで、供給先、販売条件、設備投資額が開示されるかを確認したいところです。

注意点

  • 年約270トンは試験設備の能力であり、商業量産能力ではありません。
  • 人工石灰石関連の売上、受注、販売単価、製造原価は非開示です。
  • 廃棄物からのカルシウム抽出には、不純物除去、排水処理、品質安定化が必要です。
  • 天然石灰石や一般の炭酸カルシウムに対するコスト競争力は確認できません。
  • セメント需要の減少、エネルギー価格、設備投資負担の影響を受ける可能性があります。

参考情報

  • 住友大阪セメント|CO₂再資源化人工石灰石の製造試験設備 栃木に竣工|2025年6月16日|年約270トン、既存設備の約10倍、実排ガスと複数廃棄物への対応を確認。
    URL:https://www.soc.co.jp/news/80339/
  • 住友大阪セメント|人工石灰石を用いたCO₂固定コンクリート製品の現場実証を完了|2026年7月23日|最大固定量、耐久性、JIS改正、事業フェーズ移行を確認。
    URL:https://www.soc.co.jp/news/87457/
  • 住友大阪セメント|グリーンイノベーション基金によるカーボンリサイクルセメント製品が国土交通省直轄工事に試行適用|2022年|人工石灰石を利用した初期の公共工事適用を確認。
    URL:https://www.soc.co.jp/news/67592/
  • JPX|東証上場会社情報サービス 住友大阪セメント|2026年8月6日確認|証券コード5232、東証プライムを確認。
    URL:https://www2.jpx.co.jp/tseHpFront/StockSearch.do?method=&topSearchStr=5232

鹿島建設(1812)|関連度A・中核事業型

会社概要

鹿島建設は、建築、土木、開発、エンジニアリング、国内外の不動産事業などを展開する総合建設会社です。CO₂固定コンクリートでは、中国電力、デンカと共同開発したCO₂-SUICOMを基礎に、NEDOのCUCOプロジェクトでCO₂削減、固定、吸収を組み合わせる技術を開発しています。単一材料の供給会社ではなく、材料設計、製品製造、構造物への実装を統合する立場です。

テーマとの関連性

CO₂-SUICOMは、セメント使用量を減らし、石炭灰や特殊混和材を利用したうえで、製造時に高濃度CO₂で養生し、炭酸化反応によってCO₂を固定するコンクリートです。中国電力、鹿島建設、デンカが共同開発し、道路ブロックなどへの採用実績があります。

鹿島建設が代表を務めるCUCOでは、セメント量の削減、回収CO₂を材料へ固定する技術、供用中に大気中CO₂を吸収する技術を組み合わせ、カーボンネガティブを目指しています。2025年の大阪・関西万博では、10種類のCUCO舗装ブロックなどを実適用しました。地先境界ブロックでは、1m³当たり179kgのCO₂固定と、固定分を含む333kgのCO₂削減を公表しています。

日本コンクリート工業との共同研究では、排ガスとコンクリート工場の廃水から製造したエコタンカルを1m³当たり313kg配合し、高炉スラグやフライアッシュによるセメント削減と合わせ、特定条件で製造時排出量をマイナス5kg-CO₂/m³と試算しました。ただし、これは特定配合・評価条件に基づく値であり、すべての施工案件でカーボンネガティブになるわけではありません。

鹿島建設にとっての収益化経路は、材料単体の販売だけでなく、環境性能を付加した設計・施工提案、プレキャスト製品、技術ライセンス、発注者の低炭素仕様への対応と考えられます。ただし、関連技術単独の受注額、ライセンス収入、売上高は開示されていません。

関連度Aの判定理由: CO₂-SUICOMを製品・実構造物へ適用した実績があり、CUCOでは複数方式の固定・削減技術を統合しています。固定量を示した万博での実適用まで確認できるためAとしました。

注目ポイント

  • 万国博覧会での実適用後、公共工事、建築外構、道路製品へ継続採用されるかが確認点です。
  • CO₂-SUICOM、エコタンカル、再生セメントなど複数技術を配合条件に応じて組み合わせられます。
  • プレキャスト以外の鉄筋構造物や現場打ちコンクリートへ適用範囲を広げられるかが注目されます。
  • CO₂固定量の測定法、環境価値、発注者への表示方法を標準化できるかが重要です。
  • 国内外の建設案件で低炭素仕様が入札条件になれば、提案競争力へつながる可能性があります。

注意点

  • CO₂固定・削減関連の受注額や売上は開示されていません。
  • 高濃度CO₂養生は、養生槽、ガス供給、製品寸法などの制約を受けます。
  • 鉄筋を用いる構造物では、中性化と鉄筋腐食への対応が必要です。
  • 179kgの固定、333kgの削減などの数値は、配合と算定境界が異なる他社数値と単純比較できません。
  • 鹿島建設全体では建築・土木・開発事業の規模が大きく、現時点の業績寄与は不明です。

参考情報

日本コンクリート工業(5269)|関連度A・中核事業型・素材供給型

会社概要

日本コンクリート工業は、コンクリートポール、パイル、土木用プレキャスト製品の製造、販売、施工を主力とする企業です。テーマとの接点は、工場から発生するコンクリートスラッジ、高アルカリ廃水、ボイラー排ガスを利用し、炭酸カルシウムを製造する環境・エネルギー分野にあります。コンクリート製造現場、原料、副産物、製品用途を同一グループ内で結び付けられる点が特徴です。

テーマとの関連性

同社のエコタンカルは、コンクリート二次製品工場で発生する高アルカリ廃水とボイラー排ガス中のCO₂を反応させて製造する軽質炭酸カルシウムです。1kg当たり約440gのCO₂を固定し、純度は97~99%と説明されています。コンクリートへの配合だけでなく、一般の工業用炭酸カルシウムとしての用途も想定されています。

カルカーボは、コンクリートスラッジに含まれるカルシウムとボイラー排ガス中のCO₂から製造する合成炭酸カルシウムです。日本コンクリート工業が製造し、出光興産が販売・用途開拓を担う計画で、子会社のNC西日本パイル製造滋賀工場に年700トン規模のパイロット設備を建設する方針が示されました。

2025年には、カルカーボ約1トンを一般道のアスファルト舗装へ配合し、約200kgのCO₂を道路内に固定しました。2026年には滋賀県の河川改修工事でコンクリートへ採用され、約700kgを使用しました。公表された約610kgは、固定分だけでなくセメント置換による排出削減を含むコンクリート製造工程全体の削減量です。

同社は材料製造だけでなく、ポール、パイル、土木製品の自社工場を持つため、CO₂固定材を既存製品へ内部利用できる可能性があります。ただし、エコタンカル、カルカーボ単独の売上高、販売量、採算、商業設備への投資計画は開示されていません。

関連度Aの判定理由: CO₂固定炭酸カルシウムを実際に製造し、製品ページ、パイロット設備、舗装、公共工事での採用を確認できます。素材とコンクリート製品の双方を扱うため、テーマとの直接性が高いと判断しました。

注目ポイント

  • エコタンカルとカルカーボの生産量、外販売上、自社製品への使用量が開示されるかが確認点です。
  • 工場副産物と排ガスを同じ拠点で利用する循環モデルは、廃棄物処理費の削減にもつながる可能性があります。
  • コンクリート、アスファルト、紙、樹脂など用途を広げられれば、需要先を分散できます。
  • ポール、パイル、土木製品への標準採用が進むかが業績接続の確認点です。
  • 出光興産の販売網を通じ、グループ外への供給を拡大できるかが注目されます。

注意点

  • 年700トン規模はパイロット設備として示された能力で、商業量産の規模・稼働率は確認できません。
  • エコタンカル、カルカーボの売上、利益、受注額は非開示です。
  • コンクリートスラッジの発生量、品質、輸送距離により製造コストが変動します。
  • 公共工事での使用実績はありますが、継続採用や標準仕様化は未確認です。
  • 約610kgの削減量と、材料中に固定したCO₂量を混同しないことが重要です。

参考情報

太平洋セメント(5233)|関連度B・中核技術型・開発段階

会社概要

太平洋セメントは、セメント、資源、環境、建材、海外事業などを展開する企業です。セメント製造と廃棄物・副産物の受け入れを事業基盤に持ち、CO₂固定技術では、東京大学などが進めるC4S研究開発プロジェクトに参画しています。証券コード5233で東証プライムに上場しています。

テーマとの関連性

C4Sは「Calcium Carbonate Circulation System for Construction」の略で、廃コンクリートからカルシウムを回収し、空気中または回収したCO₂と反応させて炭酸カルシウムに戻し、その炭酸カルシウムで再生骨材を結合する循環システムです。最終的には、コンクリートを繰り返し再生しながらCO₂を固定するカルシウムカーボネートコンクリートの実現を目指しています。

太平洋セメントは、東京大学、東京理科大学とともに、炭酸カルシウムによる硬化体を製造する反応プロセスを担当しています。2024年には、廃コンクリートとCO₂を原料とするブロックの製造成果が公表されました。炭酸カルシウムは安定した鉱物であり、解体後に再度原料として利用できれば、固定と資源循環を同時に実現できる可能性があります。

もっとも、C4Sは研究開発プロジェクトであり、既存のポルトランドセメントを直ちに置き換える製品として量産・販売されているわけではありません。強度、製造時間、エネルギー消費、鉄筋との適合、品質規格、解体材の回収システムなど、商用化までに検証すべき項目が残ります。

太平洋セメントが既存のセメント工場、廃棄物受け入れ網、研究開発力を生かせる可能性はありますが、関連売上、設備投資、販売開始時期、事業化主体は確認できません。そのため、技術的な直接性は高いものの、業績への接続可能性を考慮してBとしました。

関連度Bの判定理由: 人工石灰石・炭酸カルシウム循環の中核研究を担当しており、テーマとの技術的距離は近い一方、現時点では研究開発段階で、量産、受注、販売の裏付けが限定的です。

注目ポイント

  • ブロック試作から、構造部材、現場打ち、鉄筋コンクリートへ進めるかが確認点です。
  • 廃コンクリートの回収、カルシウム抽出、再生骨材製造を工場規模で統合できるかが注目されます。
  • セメント工場や資源循環事業との設備・物流面の相乗効果があります。
  • C4Sの製造エネルギー、強度発現時間、製造コストの開示を確認したいところです。
  • 2030年に向けた社会実装計画と、太平洋セメントが担う事業範囲が明確になるかが重要です。

注意点

  • 商用製品の販売開始、顧客、受注、売上は確認できません。
  • 研究室規模のブロック製造と、建設市場向けの連続量産には大きな差があります。
  • 廃コンクリートの分別、輸送、異物除去、品質管理にコストがかかります。
  • 新材料が既存セメント需要の一部を代替する場合、既存設備との調整も必要です。
  • 企業全体の業績に与える影響は現時点では不明です。

参考情報

  • C4S研究開発プロジェクト|プロジェクト概要|発表日記載なし、2026年8月6日確認|建設分野での炭酸カルシウム循環構想を確認。
    URL:https://moonshot-c4s.jp/
  • C4S研究開発プロジェクト|C4Sプロジェクト|発表日記載なし、2026年8月6日確認|太平洋セメントが反応プロセス開発を担当することを確認。
    URL:https://moonshot-c4s.jp/c4s.html
  • 東京大学|廃コンクリートとCO₂を用いたカルシウムカーボネートコンクリートの研究成果|2024年7月24日|廃材、CO₂固定、再生可能な硬化体の製造を確認。
  • JPX|東証上場会社情報サービス 太平洋セメント|2026年8月6日確認|証券コード5233、東証プライムを確認。
    URL:https://www2.jpx.co.jp/tseHpFront/StockSearch.do?method=&topSearchStr=5233

デンカ(4061)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

デンカは、電子・先端材料、ライフイノベーション、エラストマー、インフラ材料、ポリマーなどを展開する化学メーカーです。テーマとの接点は、特殊セメント・混和材を扱うエラストマー・インフラソリューション部門にあります。CO₂固定コンクリートでは、鹿島建設、中国電力とのCO₂-SUICOM共同開発、CUCOプロジェクトへの参加を確認できます。

テーマとの関連性

CO₂-SUICOMでは、セメント使用量を減らすとともに、CO₂と反応して硬化する特殊混和材を利用します。デンカの特殊混和材LEAFは、炭酸化反応を促進し、コンクリート内にCO₂を固定するための主要材料として説明されています。

デンカは、CO₂-SUICOMの初期開発から関与しており、現在はCUCOプロジェクトで特殊混和材、CO₂固定・吸収技術の改良に参加しています。材料供給者としては、建設会社やプレキャストメーカーがCO₂固定コンクリートを増産した場合、専用混和材の需要増につながる構造があります。

一方、デンカの特殊混和材事業には補修材、膨張材、急結材、地盤改良関連など多くの製品が含まれます。LEAFやCUCO向け材料の販売数量、売上高、利益、製造能力は区分開示されていません。CO₂固定コンクリートの普及が進んでも、企業全体への影響は限定的となる可能性があります。

関連度Bの判定理由: CO₂固定反応に必要な専用混和材を供給し、CO₂-SUICOMの共同開発企業でもあります。ただし、コンクリート製品の施工・販売主体ではなく、関連材料の売上規模も不明なためBとしました。

注目ポイント

  • CO₂-SUICOM・CUCO向け特殊混和材の採用件数、販売数量が開示されるかが確認点です。
  • 既存の特殊セメント・混和材工場を利用して供給能力を拡大できる可能性があります。
  • プレキャスト用途から現場打ち・鉄筋構造物へ広がれば、材料需要の裾野が拡大します。
  • 海外のセメント・コンクリートメーカーへ技術・材料を供給できるかが注目されます。
  • CO₂固定量を増やしながら、強度、耐久性、養生時間を維持できる配合開発が重要です。

注意点

  • LEAFやCUCO関連の売上、出荷量、利益は開示されていません。
  • 特殊混和材だけでコンクリートのCO₂固定が成立するわけではなく、CO₂供給・養生設備が必要です。
  • 採用拡大には、建設会社、製品工場、発注者との共同検証が必要です。
  • 企業全体では電子材料、エラストマー、ヘルスケアなど事業範囲が広く、業績寄与は不明です。
  • 高濃度CO₂養生を必要とする用途では、製品寸法や工場立地が制約になります。

参考情報

出光興産(5019)|関連度B・重要サプライチェーン型・販売型

会社概要

出光興産は、燃料油、基礎化学品、高機能材料、電力・再生可能エネルギー、資源などを展開するエネルギー・素材企業です。CO₂固定建材では、日本コンクリート工業と合成炭酸カルシウム「カルカーボ」を共同開発し、出光興産が販売、用途開拓を担う体制を構築しています。テーマ関連事業は企業全体では小規模とみられますが、素材の市場形成を担う点で重要です。

テーマとの関連性

カルカーボは、コンクリート製品工場で発生するスラッジ中のカルシウムと、ボイラー排ガス中のCO₂を反応させて製造する合成炭酸カルシウムです。2023年の基本合意では、日本コンクリート工業が製造、出光興産が販売を担当し、年700トン規模のパイロット設備を通じて2024年度内の商業化を目指すとしていました。

2025年には日本道路と共同で、カルカーボ約1トンを茨城県鹿嶋市の一般道路へ配合し、約200kgのCO₂を舗装内に固定しました。通常の石灰石粉を合成炭酸カルシウムへ置き換える用途であり、コンクリート以外の道路材料へ市場を広げた事例です。

2026年には、滋賀県の河川改修工事に使うコンクリートへカルカーボを配合しました。約700kgの使用で、固定とセメント置換を合わせて約610kgのCO₂削減を公表しています。研究室での試験ではなく公共工事へ進んだ点は前進ですが、試行規模であり、継続的な商用販売量や受注額は確認できません。

出光興産にとっては、排出ガス、石炭・資源事業、産業顧客ネットワークを活用し、カーボンリサイクル素材を販売する新規事業の一つと位置付けられます。ただし、燃料油や化学品など既存事業と比べ、企業業績への寄与は現時点では限定的と考えられます。

関連度Bの判定理由: 合成炭酸カルシウムの販売・用途開拓を担い、舗装とコンクリートで実使用を確認できます。一方、親会社全体に占める規模と継続売上が不明なためBとしました。

注目ポイント

  • パイロット設備から商業設備へ移行したか、実際の年間販売量が開示されるかが確認点です。
  • アスファルト用フィラー、コンクリート混和材、工業用炭酸カルシウムへ用途を広げられる可能性があります。
  • 出光興産の法人販売網を通じ、コンクリート製品会社以外の顧客を開拓できるかが注目されます。
  • 複数地域に製造拠点を設け、原料となるスラッジとCO₂を地産地消できるかが重要です。
  • 公共工事の試行から、地方自治体や道路会社の標準仕様へ進むかを確認したいところです。

注意点

  • 商業化目標時期は公表されていましたが、商業設備の能力、稼働率、販売額は確認できません。
  • カルカーボ単独の売上高、利益、受注額は非開示です。
  • スラッジや排ガスを遠距離輸送すると、環境効果と採算が低下する可能性があります。
  • 天然石灰石粉との価格差を発注者が負担する仕組みが必要になる場合があります。
  • 出光興産全体への業績寄与は限定的または不明です。

参考情報

中国電力(9504)|関連度B・重要技術型・CO₂供給型

会社概要

中国電力は、中国地方を中心に発電、送配電、小売、エネルギー関連事業を展開する電力会社です。建材メーカーではありませんが、石炭火力発電所の排ガス中CO₂、石炭灰、廃コンクリートなどを有効利用する研究を行い、鹿島建設、デンカとCO₂-SUICOMを共同開発しました。発電副産物の供給者、技術保有者、実証フィールド提供者という位置付けです。

テーマとの関連性

CO₂-SUICOMは、火力発電所などの排ガス中のCO₂をコンクリートへ吸収させ、石炭灰と特殊混和材でセメント使用量を減らす技術です。中国電力の公式ページでは、国、自治体、建設会社、建材メーカー、生コン会社、コンクリート二次製品メーカーを対象顧客として案内しています。

同社はCO₂-SUICOMの開発初期から、排ガス・石炭灰の提供、養生技術、材料評価に関与してきました。過去には国道の道路ブロックなどへの採用実績がある一方、コスト高、鉄筋腐食への対応、CO₂養生設備、プレキャスト用途中心という普及上の課題も自ら説明しています。

別の技術であるCO₂-TriCOMは、石炭灰、廃コンクリート粉、CO₂を混合し、マイクロ波で焼結して土木用の粒状材料へ変換する研究です。CO₂固定コンクリートそのものではありませんが、電力事業から生じるCO₂と副産物を鉱物化する周辺技術として接点があります。公式ページでは、なお研究途中で実用化を目指す段階とされています。

収益化の形は、コンクリート販売ではなく、技術ライセンス、副産物販売、廃棄物処理費削減、CO₂利用サービスなどが考えられます。しかし、CO₂-SUICOM関連のライセンス収入、石炭灰販売量、受注額は公表されていません。

関連度Bの判定理由: CO₂-SUICOMの共同開発者で、CO₂源と石炭灰を供給する重要な役割があります。ただし、建材製造を主力とする企業ではなく、収益への接続が見えにくいためBとしました。

注目ポイント

  • CO₂-SUICOMのライセンス、共同事業、製品採用件数が開示されるかが確認点です。
  • 火力発電所排ガスと石炭灰を同時利用できれば、副産物処理とCO₂対策を組み合わせられます。
  • CUCOなどの新技術と従来のCO₂-SUICOMをどのように統合するかが注目されます。
  • CO₂-TriCOMが研究段階から土木材料の製造・販売へ進むかを確認したいところです。
  • 電源構成の変化により、将来の石炭灰・排ガス供給量が変わる点も重要です。

注意点

  • CO₂-SUICOM関連の売上、利益、ライセンス収入は非開示です。
  • 電力会社であるため、コンクリート需要の増加が直接的に売上へ反映される構造ではありません。
  • CO₂-TriCOMは研究途中で、商用化時期を確認できません。
  • 石炭火力の縮小が進むと、石炭灰を前提とする技術の原料構成を見直す必要があります。
  • 中国電力全体の業績は燃料価格、電力需要、原子力発電所の稼働、規制などの影響が大きく、テーマ事業の影響は限定的です。

参考情報

Cランク:間接的な関係または思惑先行に注意したい企業

今回は、Cランクの関連銘柄を採用していません。

CO₂固定コンクリートは、研究コンソーシアムへの参加、試験材料の供給、設備建設、単発の施工実証など、接点だけなら多くの上場企業を挙げられます。しかし、専用製品、継続的な受注、商用設備、用途、顧客との関係を確認できない企業まで含めると、一般的な建設・セメント関連銘柄を広く並べるだけになり、思惑先行の一覧になりやすいためです。

開発段階のノザワや、設備需要の可能性を示す日工などは最低限の接点を確認できるものの、調査日時点では採用企業より収益化への距離が遠いと判断し、除外・参考扱いとしました。

今回は除外・参考扱いとした銘柄

証券コード会社名判定除外・参考扱いとした理由
5237ノザワ参考CUCOに参加し、CO₂を吸収する押出成形セメント板の開発を公表しているが、製品販売、量産、受注、関連売上を確認できないため。東証スタンダード上場は確認済み。
6306日工参考廃コンクリート再資源化やCUCOへの参加、将来のプラント需要への言及はあるが、CO₂固定専用設備の商用受注や売上を確認できないため。
竹中工務店非上場2026年にCUCO-CO₂固定地盤改良を建物基礎へ初適用しており、技術上は重要だが非上場企業のため一覧対象外。
CarbonCure Technologies海外企業生コンクリートへCO₂を注入・鉱物化する商用技術を展開する海外企業であり、日本株一覧には含めない。
Blue Planet Systems海外企業CO₂と廃棄物由来カルシウムから人工石灰石骨材を製造する海外企業で、競合・比較対象として参考扱い。

コメント

タイトルとURLをコピーしました