Euro 7ブレーキダスト・低摩耗ブレーキ関連銘柄を日本株で整理

Euro 7ブレーキダスト関連銘柄を見る際には、単純な自動車部品テーマではなく、摩耗粉の発生源、低摩耗材料、ブレーキ制御、規制計測というサプライチェーンで整理すると企業間の違いが見えやすくなります。

今回の調査でテーマとの事業上の直接性が特に高かったのは、ブレーキと摩擦材を本業とし、Euro 7対応製品と摩耗粉低減技術を公式に示している曙ブレーキ工業です。同社はテーマの本命に近いと表現する場合でも、それは株価上昇の可能性ではなく、Euro 7ブレーキダスト規制との事業上の距離が近いという意味になります。

レゾナック・ホールディングスも耐摩耗性を高めたEV向けディスクブレーキパッドを開発し、欧州の粉塵規制を意識した製品戦略を示しているため直接性は高い企業です。ただし2024年時点で描いていた2026年量産化について、2026年9月24日時点で量産開始を裏付ける最新の一次情報を今回確認できなかったため、開発計画と売上計上は分けて見る必要があります。

ブレーキを作らずとも重要なのが堀場製作所です。Euro 7では規制された粒子を統一された試験法で測定する必要があるため、UN GTR No.24に沿ったブレーキエミッション計測設備や試験サービスは規制対応インフラに位置します。完成部品の採用競争とは異なる角度からテーマに接続しています。

上流では住友ベークライトが、Euro 7のブレーキダスト低減を明示した耐摩耗フェノール樹脂を開発しています。モデル試験で摩耗量24%低減という具体的データがある点は一次情報として強い一方、それは実車の排出粒子を一律24%減らすことを意味せず、採用数量や関連売上も未開示です。

アイシンはADVICSを通じ、回生協調ブレーキによって摩擦ブレーキの使用を減らし、パッド摩耗とブレーキダストを抑えるアプローチを持ちます。電動化が進むほど重要になる技術ですが、Euro 7専用の受注・売上としては確認できないためBランクとしました。

今後の確認項目は、曙ブレーキのEuro 7対応品の量産採用、レゾナックの高性能パッドの量産進捗、住友ベークライトの耐摩耗樹脂の顧客採用、HORIBAのブレーキエミッション計測需要、ADVICSの低ダスト化を含む電動ブレーキ戦略です。

規制面では、2026年11月29日から乗用車・バンの新型車に対するEuro 7適用が始まるため、2026年秋は「将来の規制テーマ」というより実際の型式認証対応へ移る時期です。さらにブレーキエミッション測定の標準化や2030年以降の対象拡大も続くため、規制内容と企業側の量産・受注開示を並行して確認する必要があります。

一方、Euro 7という政策・規制の存在だけで企業業績の拡大を想定するのは避けるべきです。 規制対応品を開発していても参考出品の段階かもしれず、量産目標があっても実際の受注は未確認の場合があります。材料メーカーではテーマ関連製品が全社売上のごく一部にとどまる可能性もあります。

そのため関連銘柄を見る順序としては、Euro 7との公式な接点 → 開発・評価・量産の段階 → 顧客採用 → 受注・売上開示 → 企業全体に占める重要度の順で確認するのが有効です。銘柄数を増やすより、一次情報の強さと収益化までの距離を確認する方が、Euro 7ブレーキダスト・低摩耗ブレーキというテーマを正確に捉えやすくなります。

本ブログに掲載している情報は、筆者の個人的な見解および情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報に基づいて生じたいかなる損失についても責任を負いかねます。投資判断はご自身の責任において行ってください。

Euro 7ブレーキダスト・低摩耗ブレーキ関連テーマの整理

テーマの概要

Euro 7ブレーキダスト関連銘柄とは、EUの新たな自動車環境規制であるEuro 7が対象とするブレーキ摩耗由来の粒子排出を減らす、または測定する製品・技術を持つ企業を指します。Euro 7は内燃機関の排気ガスだけを対象とする規制ではなく、ブレーキエミッションやタイヤ摩耗も規制対象に含めるため、BEVを含む電動車でも無関係ではありません。

本記事では、低摩耗ブレーキパッド・摩擦材を中核に、耐摩耗性を改善するバインダー樹脂、摩擦ブレーキの使用頻度を減らす回生協調ブレーキ、ブレーキ粉塵を測る試験・計測システムまでを扱います。

サプライチェーンを単純化すると、原材料・機能樹脂 → 摩擦材・ブレーキパッド → ブレーキシステム・車両制御 → 自動車メーカー → 規制適合試験・計測という流れです。

初心者が注意したいのは、「低ダスト」と「Euro 7適合」は同じ意味ではないことです。ホイール汚れを抑える市販パッドと、規定された走行サイクル・計測方法で粒子排出量の法規要件を満たすことは別問題です。また、環境配慮型摩擦材でも、銅含有量規制への対応とEuro 7の摩耗粒子規制は異なる規制テーマです。

なぜ今注目されているのか

EU理事会は2024年4月12日にEuro 7を最終採択しました。乗用車・バンの新型車については、2026年11月29日から新しい規則の適用段階に入るため、2026年9月24日時点では実際の新型車適用開始が約2か月後に迫っている局面です。大型車については、乗用車より遅い日程で適用が進みます。

規制の特徴は、テールパイプから出る排気ガスだけでなく、ブレーキエミッション、タイヤ摩耗、バッテリー耐久、OBM(On-Board Monitoring)などへ対象を広げたことです。HORIBAによれば、現段階のブレーキエミッション規制ではLDVのPM10に規制値が設定され、2030年以降には大型車のPM10やLDVの粒子数規制などが追加される予定です。

さらに測定方法の標準化も重要です。LDVではUN GTR No.24を使うため、メーカー各社は単に「摩耗しにくい」と主張するだけでなく、統一されたダイナモ試験や粒子測定によって性能を評価する必要があります。HORIBA自身も国際的なPMP(Particulate Measurement Programme)の議論に参加し、UN GTRに沿った計測システムを展開しています。

このため需要の接点は、ブレーキパッドだけではありません。耐摩耗材料、ブレーキ制御、ダイナモメーター、PM・PN測定、試験受託まで広がります。ただし、規制強化がそのまま全関連企業の増収を意味するわけではありません。既存顧客との採用競争、価格交渉、開発費、規制値の変更、EVの回生ブレーキ活用などを同時に見る必要があります。

日本株で関連銘柄を見る視点

中核事業型は、ブレーキパッドや摩擦材など、粉塵の発生源そのものを改善する企業です。Euro 7用の低摩耗品を開発している企業は最もテーマとの距離が近くなります。

重要サプライチェーン型は、低摩耗摩擦材向け樹脂や規制対応の計測設備などを供給する企業です。最終製品メーカーではなくても、規制対応に不可欠な工程を担えば関連性は高くなります。

周辺恩恵型には、回生協調制御などで摩擦ブレーキの使用頻度を減らす企業や、試験・保守を担う企業が該当します。

一方、思惑先行注意型は、ブレーキ事業を持っていてもEuro 7や摩耗粉低減への具体的な開示が乏しい企業です。

重要なのは、「テーマに関係していること」と「企業全体の利益が大きく増えること」は同じではないという点です。たとえば大手化学会社の新素材がEuro 7に直接関係していても、その製品が連結売上高のごく一部なら企業全体への影響は小さい可能性があります。逆にブレーキ専業に近い企業では、規制対応技術の重要性は高くても、量産採用が確認できなければ収益化はまだ先です。

関連銘柄一覧

表示順関連度位置づけ証券コード会社名市場区分関連する理由注目ポイント注意点
1A中核事業型7238曙ブレーキ工業東証プライムEuro 7対応ブレーキパッドを参考出品し、摩耗粉低減を技術課題として開発ブレーキ・摩擦材が本業で、規制との距離が近いEuro 7対応品の量産採用・関連売上は未開示
2A中核事業型4004レゾナック・ホールディングス東証プライムグループがEV向け高性能ディスクブレーキパッドを開発し、高い耐摩耗性を追求欧州粉塵規制を意識した摩擦材開発2026年量産化構想の最新進捗を確認できない
3A重要サプライチェーン型6856堀場製作所東証プライムEuro 7対応のブレーキエミッション測定装置・試験サービスを展開UN GTR No.24対応計測需要ブレーキ粉塵関連だけの売上は非開示
4B重要サプライチェーン型4203住友ベークライト東証プライムEuro 7のブレーキダスト低減を用途として耐摩耗フェノール樹脂を開発モデル試験で摩耗量24%低減最終パッドではなく材料段階、採用量・売上非開示
5B周辺恩恵型・ブレーキシステム7259アイシン東証プライムADVICSの回生協調ブレーキが機械ブレーキ使用とパッド摩耗・ダストを低減電動化と低ダスト化を制御技術で両立Euro 7専用製品としての受注開示は確認できない

Cランクは今回は採用していません。 ブレーキ部品、摩擦材、フェノール樹脂などの接点だけなら候補は増やせますが、Euro 7のブレーキ粉塵や低摩耗化との接続が一次情報で弱い企業を無理に掲載すると、同じ業界にいるだけのテーマ株を増やすことになるためです。

曙ブレーキ工業(7238)|関連度A・中核事業型

会社概要

曙ブレーキ工業は、自動車用を中心に二輪車、鉄道車両、産業機械などのブレーキと摩擦材を開発・生産・販売するブレーキメーカーです。2026年9月時点で東証プライムに上場し、証券コードは7238です。ブレーキ・摩擦材そのものが事業の中心であるため、今回の5社ではEuro 7の摩耗粉規制と企業の本業との距離が特に近い企業です。

テーマとの関連性

同社は2023年のJAPAN MOBILITY SHOWで「Euro 7対応製品」を参考出品し、ブレーキ摩擦材から発生する摩耗粉の削減とブレーキパッドの長寿命化に向けた技術開発を紹介しました。ここで重要なのは、単なる一般的な低ダストパッドではなく、企業自身がEuro 7を明示していることです。

また、同社の環境・開発関連ページでも、欧州でブレーキやタイヤから発生する摩耗粒子が規制対象となることを踏まえ、摩耗粒子の発生要因の把握や低減技術を開発課題に位置づけています。ブレーキパッドは粉塵の発生源そのものであり、サプライチェーン上では最終的な規制性能を左右する中核部品です。

一方、2023年時点のEuro 7対応品は「参考出品」とされており、今回確認した公開情報だけでは、特定車種への量産採用、Euro 7認証を前提とした受注額、当該製品の売上高を確認できません。したがって「Euro 7関連事業で既に大きな収益が発生している」とまでは判断できません。

関連度Aの判定理由: ブレーキ摩擦材が本業であり、会社自身がEuro 7対応製品と摩耗粉低減技術を明示しています。テーマとの直接性と一次情報の強さがともに高い一方、量産・売上への接続は今後の確認事項です。

注目ポイント

  • Euro 7対応パッドが「開発・参考出品」から量産採用へ移るかが最大の確認点です。
  • パッド寿命を延ばしながら制動性能を維持する技術が、規制対応にどう使われるかが注目されます。
  • 欧州向けOEM・Tier1で具体的な採用実績が開示されるか確認したいところです。
  • ブレーキ・摩擦材が企業の本業であるため、新規制への対応力は化学会社の一部材料事業より企業戦略上の重要度が高いと考えられます。
  • 規制試験条件に沿ったPM10排出性能の具体的な開示が進むかもポイントです。Euro 7のLDVブレーキ試験にはUN GTR No.24が用いられます。

注意点

  • Euro 7対応製品の個別売上高・受注額は確認できません。
  • 2023年の展示時点では「参考出品」であり、展示と量産採用を混同できません。
  • 低摩耗化では制動力、NVH(騒音・振動)、コストなども同時に満たす必要があり、単純に摩耗だけを減らせばよいわけではありません。
  • 自動車メーカー側で回生ブレーキの利用比率が高まれば、摩擦ブレーキの使用頻度そのものが変化します。
  • 規制対応が進んでも、自動車生産台数や顧客の車種計画の影響を受ける自動車部品事業である点には注意が必要です。

参考情報

曙ブレーキ工業|「曙ブレーキ、JAPAN MOBILITY SHOW 2023に出展」|2023年10月24日|Euro 7対応製品の参考出品、摩耗粉削減、ブレーキパッド長寿命化の開発を確認。
URL:https://www.akebono-brake.com/static/news/2023/10/24/n20231024_01.html

曙ブレーキ工業|「開発・設計段階での取り組み」|日付記載なし・2026年9月24日確認|Euro 7を含むブレーキ摩耗粒子低減への開発姿勢を確認。
URL:https://www.akebono-brake.com/csr_environment/environment/development_design/index.html

曙ブレーキ工業|「株主・投資家の皆様へ」|2026年9月24日確認|東証プライム、証券コード7238、上場状態を確認。
URL:https://www.akebono-brake.com/ir/

曙ブレーキ工業|公式企業サイト|2026年9月24日確認|自動車・二輪・鉄道・産業機械向けブレーキ、摩擦材事業を確認。
URL:https://www.akebono-brake.com/

レゾナック・ホールディングス(4004)|関連度A・中核事業型

会社概要

レゾナック・ホールディングスは東証プライム上場の持株会社で、証券コードは4004です。半導体・電子材料からモビリティ、化学品など幅広い事業をグループで展開しています。今回のテーマに関係するのはグループのモビリティ事業で、ディスクブレーキパッドを手掛けています。したがって低摩耗ブレーキとの接点は直接的ですが、ブレーキパッド専業企業ではなく、グループ全体では複数ある事業領域の一つです。

テーマとの関連性

レゾナックは2024年7月3日、EV向けの高性能ディスクブレーキパッドを開発したと発表しました。同社は高い制動力と耐摩耗性の両立を開発テーマとしており、モビリティ事業の戦略ページでも欧州のブレーキダスト規制を念頭に、高制動・耐摩耗性能を持つ製品を開発すると説明しています。

EVでは回生ブレーキの利用が増える一方、重量増や摩擦ブレーキの使用頻度低下による腐食など、従来とは異なるブレーキ要求があります。レゾナックの開発品は、こうした電動車向けの摩擦材技術とEuro 7型の粉塵規制が交わる位置にあります。

2024年の発表では2026年の量産化を視野に入れ、欧州Tier1ブレーキシステムメーカーへのサンプル提供・評価を進める方針が示されていました。 ただし、2026年9月24日時点で今回確認できた一次情報からは、当該製品の量産開始を明確に確認できませんでした。 したがって「2026年に量産済み」とは扱わず、量産移行の最新状況を今後の確認事項とします。

製品別の売上高、受注額、顧客名、採用車種も開示を確認できませんでした。

関連度Aの判定理由: ディスクブレーキパッドそのものを開発し、耐摩耗性と欧州ブレーキ粉塵規制の関係を公式に説明している点で直接性は高いと判断しました。一方、レゾナック全社に占める当該製品の業績重要度は曙ブレーキより低く、量産状況も確認が必要です。

注目ポイント

  • 2024年時点で目標としていた2026年量産化が実際にどの段階へ進んだかが重要です。
  • 欧州Tier1で評価された後、正式採用・量産受注に接続するかが確認点になります。
  • EV用として高制動力と耐摩耗性を両立する技術は、Euro 7と電動化の両方に関係します。
  • モビリティ戦略の中で、ブレーキパッドをどの程度成長領域として維持・拡大するかも確認したいところです。
  • 顧客評価から量産採用まで進めば収益への接続が明確になりますが、公開情報だけでは現時点の寄与額を判断できません。

注意点

  • 2024年の「2026年量産化を目指す」という計画と、実際の量産開始は区別する必要があります。
  • 関連製品単独の売上高や利益は開示されていません。
  • レゾナックは幅広い化学・半導体材料事業を持つため、低摩耗ブレーキの成長がそのまま連結業績を大きく左右する構造ではありません。
  • 欧州Tier1への評価品提出と正式な量産受注は異なる段階です。
  • 自動車向け摩擦材では性能だけでなく価格、品質保証、供給能力、顧客認定が量産採用を左右します。

参考情報

Resonac Corporation|“Resonac Develops High-performance Disc Brake Pad for EV”|2024年7月3日|EV向け高性能ディスクブレーキパッド、耐摩耗化、量産化方針を確認。
URL:https://www.resonac.com/news/2024/07/03/3134.html

レゾナック|“Business Strategies – Mobility”|日付記載なし・2026年9月24日確認|欧州のブレーキダスト規制と、高制動・耐摩耗ディスクブレーキパッド開発の関係を確認。
URL:https://www.resonac.com/corporate/strategy/mobility.html

レゾナック・ホールディングス|「IR情報」|2026年9月24日確認|東証プライム、証券コード4004、上場状態を確認。
URL:https://www.resonac.com/jp/ir

堀場製作所(6856)|関連度A・重要サプライチェーン型

会社概要

堀場製作所は自動車、環境、半導体、科学、医用などに計測・分析機器を展開する計測機器メーカーです。今回のテーマではブレーキパッドそのものではなく、Euro 7で新たに規制対象となるブレーキエミッションを測定する装置・試験技術を提供します。規制対応には統一された試験方法でPMなどを測る必要があるため、サプライチェーンの「検証・適合評価」を担う企業として直接性が高い位置にあります。

テーマとの関連性

HORIBAはEuro 7専用ページで、ブレーキエミッションを新しい規制対象として解説するとともに、規制対応向けの計測ソリューションを提供しています。同社によれば、LDVのブレーキエミッション試験にはUN GTR No.24が採用され、PM10、PM2.5、SPN10、TPN10の計測方法が定められています。

さらに専用のBrake Emission Measurement Analyzersを展開し、国際的なPMPの活動にも参加しています。自動車メーカーやブレーキメーカーが「粉塵を減らした」という性能を法規対応の形で検証するには計測設備が必要になるため、HORIBAは完成ブレーキメーカーとは異なる意味でEuro 7の中核インフラに位置します。

ドイツではBrake Test Centerも展開しており、ブレーキの性能、摩耗、NVH、ブレーキエミッションなどの評価に対応しています。したがって装置販売だけでなく試験サービス側にも接点があります。

ただし、Euro 7ブレーキエミッション装置単独の売上高・受注残・利益は公開情報で確認できません。HORIBA全体への寄与を定量化することはできません。

関連度Aの判定理由: Euro 7のブレーキ排出測定を明示した製品・試験ソリューションを実際に提供し、国際的な測定標準策定にも関与しています。ブレーキ部品ではないものの、「規制に対応するために測る」という工程への直接性が高いためAとしました。

注目ポイント

  • 2026年11月以降のLDV新型車適用に向けた自動車メーカー・Tier1の試験設備需要が注目点です。
  • UN GTR No.24に対応する測定ノウハウを持つ点は、単なる一般粒子計測器との違いです。
  • PMだけでなく粒子数測定へ規制が広がれば、測定装置の高度化につながる可能性があります。HORIBAは2030年以降のLDV PN規制追加予定を説明しています。
  • ドイツの試験センターを含め、装置と受託評価の双方を持つ点を確認しておきたいところです。
  • Euro 7だけでなく、他地域で非排気粒子の測定制度が広がるかも中長期の確認点になります。

注意点

  • ブレーキ粉塵測定だけの売上高や受注額は開示されていません。
  • 自動車向け計測はHORIBAの事業の一部であり、Euro 7ブレーキ分野だけで全社業績を評価することはできません。
  • 規制に必要な試験設備が一巡すると、設備需要の伸び方が変化する可能性があります。
  • 顧客が既存ダイナモや計測システムを改修して対応する場合、新規設備需要が限定される可能性もあります。
  • 規制方法や実施法の変更は装置仕様・開発投資にも影響します。

参考情報

HORIBA|「次期排出ガス規制“Euro 7”とは」|日付記載なし・2026年9月24日確認|Euro 7のブレーキエミッション規制、UN GTR No.24、対象粒子、適用時期を確認。
URL:https://www.horiba.com/jpn/mobility/applications/emissions-performance-and-durability/euro-7-overview/

HORIBA|“Brake Emission Measurement Analyzers”|日付記載なし・2026年9月24日確認|Euro 7・UN GTRに対応するブレーキエミッション計測システムとPMPへの関与を確認。
URL:https://www.horiba.com/int/mobility/applications/emissions-performance-and-durability/non-exhaust-emissions/brake-emission-measurement-analyzers/

HORIBA|「Euro 7 計測ソリューション」|日付記載なし・2026年9月24日確認|Euro 7向けの各種計測ソリューションを確認。
URL:https://www.horiba.com/jpn/mobility/applications/emissions-performance-and-durability/euro7-measurement-solutions/

HORIBA|“Brake Test Center Germany”|日付記載なし・2026年9月24日確認|ブレーキ性能・摩耗・NVH・ブレーキエミッションの試験サービスを確認。
URL:https://www.horiba.com/int/mobility/service/testing/brake-test-center-germany/

住友ベークライト(4203)|関連度B・重要サプライチェーン型

会社概要

住友ベークライトはフェノール樹脂をはじめとする高機能プラスチック、半導体関連材料、医療関連製品などを展開する材料メーカーです。ブレーキ摩擦材では、ブレーキパッド内の各種材料を固めるバインダーとなるフェノール樹脂を供給しています。完成ブレーキメーカーではありませんが、摩擦性能、耐熱性、耐摩耗性などを支える上流材料に位置します。今回のテーマでは2025年に発表した耐摩耗アミド変性フェノール樹脂が重要です。

テーマとの関連性

2025年10月、同社はブレーキ摩擦材向け耐摩耗フェノール樹脂「スミライトレジン PR-56531」を発表しました。同社内のモデル配合成形体を使ったダイナモ試験では、未変性フェノール樹脂に比べて摩耗量が24%減少したとしています。

製品ページでは、この樹脂について「Euro 7で規制されるブレーキダスト低減」への貢献を用途として明示しています。これは一般的なフェノール樹脂メーカーと区別するうえで重要な一次情報です。

従来の摩擦材製法へ適用でき、摩擦性能を維持しながら耐摩耗性を改善できること、海外拠点でも生産可能と説明されています。 サプライチェーンではブレーキパッドメーカーより一段上流ですが、摩耗粉低減を材料側から支える位置にあります。

ただし「24%低減」は同社内のモデルパッド試験結果であり、あらゆる市販車・ブレーキで同じ削減率になることを意味しません。また採用メーカー、量産採用件数、関連売上高は確認できません。

関連度Bの判定理由: Euro 7のブレーキダスト低減を明示した専用材料を開発しており、一次情報は非常に強い一方、最終ブレーキではなく上流材料で、企業全体に対する事業規模も確認できないためBとしました。

注目ポイント

  • PR-56531が試作評価から量産採用へ進むかが最大の確認点です。
  • 従来工程へ適用可能という特性が顧客の切り替えコストを抑えられるか注目されます。
  • 中国、東南アジア、欧米などで現地供給可能とするグローバル生産体制が、欧州向け車両のサプライチェーンに接続するかを確認したいところです。
  • Euro 7対応が欧州だけでなく他地域のブレーキ摩耗粉基準へ波及すれば、用途が広がる可能性があります。
  • 顧客による実車・量産摩擦材評価の結果が今後の重要な確認事項です。

注意点

  • 24%という数値は同社内のモデル配合成形体による試験結果であり、実車のEuro 7排出量を24%削減するという意味ではありません。
  • 顧客名、採用車種、採用数量は開示を確認できません。
  • 関連樹脂単独の売上高・利益は開示されていません。
  • 完成ブレーキパッドの規制適合には樹脂以外の摩擦材組成やローター、制御条件なども関係します。
  • 材料メーカーとしては自動車メーカーまでのサプライチェーンが一段以上離れており、規制強化と売上増加を直接結びつけない方がよいでしょう。

参考情報

住友ベークライト|「ブレーキ摩擦材向け耐摩耗フェノール樹脂開発のお知らせ」|2025年10月23日|PR-56531の開発、モデル試験での摩耗量24%低減、海外供給体制を確認。
URL:https://www.sumibe.co.jp/topics/2025/hpp/1017_01/index.html

住友ベークライト|「ブレーキ摩擦材向け耐摩耗フェノール樹脂」|日付記載なし・2026年9月24日確認|Euro 7で規制されるブレーキダスト低減用途を明示。
URL:https://www.sumibe.co.jp/product/hpp/phenolic/brake/spec/004.html

住友ベークライト|「ブレーキライニング・パッド用フェノール樹脂」|日付記載なし・2026年9月24日確認|ブレーキ摩擦材用バインダーとしてのフェノール樹脂事業を確認。
URL:https://www.sumibe.co.jp/product/hpp/phenolic/brake/index.html

アイシン(7259)|関連度B・周辺恩恵型・ブレーキシステム

会社概要

アイシンはパワートレイン、シャシー・ブレーキ、ボディ、電動化関連などを展開する大手自動車部品メーカーで、2026年9月時点で東証プライムに上場、証券コードは7259です。テーマに直接関係するのはグループのADVICSです。ADVICSは自動車用ブレーキシステムと構成部品の開発・生産・販売を行い、2026年3月期の連結売上高は9,116億円と公表しています。

テーマとの関連性

ADVICSは電子制御ブレーキからディスクブレーキ、ブレーキパッドまで幅広く扱うブレーキシステムサプライヤーです。

今回特に重要なのが回生協調ブレーキです。EVやハイブリッド車では、モーターを発電機として使う回生制動と摩擦ブレーキを協調させます。アイシンは公式技術記事で、機械式ブレーキの使用を減らすことによってディスクパッドの摩耗が減り、その結果ブレーキダストとメンテナンスコストも減らせると説明しています。

これは「摩耗しにくいパッドを作る」という曙ブレーキや住友ベークライトとは違い、そもそも摩擦ブレーキを使う量を減らして粉塵発生を抑えるアプローチです。

ただし、今回確認したアイシン・ADVICSの一次情報では、このシステムについて「Euro 7対応製品として受注した」「Euro 7によって売上が増加した」といった開示は確認できません。したがって規制との技術的接点は強いものの、Euro 7そのものへの事業接続はAランク3社より一段低く評価しました。

ADVICSは2026年3月にはブレーキパッド残量を画像で可視化する「BRAKEPAD SCAN powered by ADVICS」の展開も発表しており、摩擦ブレーキ・パッドの保守領域まで事業接点を持っています。

関連度Bの判定理由: ブレーキシステム事業自体は大規模で、回生協調制御がパッド摩耗とブレーキダストを減らすことも公式に確認できます。一方、Euro 7専用品や規制対応受注としての開示が弱いためBとしました。

注目ポイント

  • EV・HEVで回生協調ブレーキの採用が広がれば、摩擦ブレーキ使用量の削減につながります。
  • ADVICSはパッドから電子制御ブレーキまで扱うため、材料単体ではなくブレーキシステム全体で対策を設計できる点が特徴です。
  • Euro 7を意識した低ダストパッドや制御技術が今後明示的に製品化・採用されるかが確認点です。
  • 回生と摩擦ブレーキの協調制御高度化は、低粉塵だけでなく電動車のエネルギー効率にも関係します。
  • ADVICSの規模自体は大きいものの、Euro 7関連部分だけの収益寄与は分離できません。

注意点

  • 回生協調ブレーキはEuro 7専用技術ではありません。
  • 回生ブレーキの需要拡大=アイシンのEuro 7関連売上増加、とは断定できません。
  • Euro 7関連の受注額や売上高は確認できません。
  • ADVICSの売上規模をそのままアイシン連結業績に加算してテーマ寄与とみなすことはできません。
  • 摩擦ブレーキの使用頻度が減ることは、パッドの交換需要を減らす方向にも働くため、部品数量への影響は一方向ではありません。

参考情報

AISIN|“Stopping is Just the Start of what These Brakes Can Do”|2022年7月28日|回生協調ブレーキによる機械ブレーキ使用量、ディスクパッド摩耗、ブレーキダスト低減を確認。
URL:https://www.aisin.com/en/aithink/innovation/blog/005678.html

ADVICS|「会社概要」|2026年3月31日時点データ|自動車用ブレーキシステム・構成部品事業、2026年3月期売上高等を確認。
URL:https://www.advics.co.jp/company/outline/

ADVICS|「製品・技術情報」|日付記載なし・2026年9月24日確認|回生協調ブレーキ、ディスクブレーキ、ブレーキパッド等の製品構成を確認。
URL:https://www.advics.co.jp/product/

ADVICS|「日本通運・アドヴィックス・スマートドライブ、トラック車両等に関する共同開発」関連ニュース|2026年3月24日|BRAKEPAD SCAN powered by ADVICSによるブレーキパッド残量可視化サービスを確認。
URL:https://www.advics.co.jp/news/2026/0324/

アイシン|「株主・投資家情報」|2026年9月24日確認|東証プライム、証券コード7259、上場状態を確認。
URL:https://www.aisin.com/jp/investors/

今回は除外・参考扱いとした銘柄

今回の調査では、ブレーキや摩擦材に関係するだけでは採用していません。特に環境規制対応品の場合、米国の銅規制とEuro 7のブレーキ粒子規制を混同しないことが重要です。

証券コード会社名判定除外・参考扱いとした理由
3105日清紡ホールディングス参考現在もディスクパッド・摩擦材を展開し、銅フリー摩擦材の受注拡大を公式に説明しているが、確認した一次情報ではEuro 7の摩耗粉低減・低摩耗化との具体的な接続を確認できず
7277TBK除外商用車向けブレーキ事業との接点はあるが、今回確認できた範囲ではEuro 7ブレーキ粉塵または低摩耗ブレーキへの具体的な製品・開発・受注の一次情報が不足
4631DIC参考ブレーキ摩擦材に使われるフェノール樹脂との接点はあるが、住友ベークライトのようにEuro 7・低摩耗性能へ直接結びつけた製品情報を確認できず
―TMD Friction非上場・参考欧州摩擦材メーカーとしてテーマ上は重要だが日本上場株ではない。さらに日清紡HDはTMD Groupを2023年11月30日付で譲渡しており、過去の「日清紡=TMDの欧州摩擦材事業」という情報を現在の関連性として扱うのは不適切

日清紡ホールディングスは現在もブレーキ摩擦材事業を展開し、米国の銅含有量規制に対応した銅フリー摩擦材について受注拡大を説明しています。 ただし、銅フリーであることはEuro 7が求めるブレーキ摩耗粒子の少なさを自動的に意味しません。 この区別が、思惑先行銘柄を見分ける一つの基準になります。

同様に、フェノール樹脂をブレーキ摩擦材へ供給しているだけでは、Euro 7で需要が増えるとは断定できません。今回、住友ベークライトをBランクに入れたのは、単なる摩擦材向け樹脂ではなく、耐摩耗型の具体的な製品を開発し、Euro 7のブレーキダスト低減用途まで公式に明記しているためです。

この違いは銘柄選定で特に重要です。「ブレーキ」「摩擦材」「フェノール樹脂」というキーワードが一致するだけではなく、低摩耗化の性能データ、Euro 7との関係、顧客評価、量産状況、受注、売上のどこまで進んでいるかを確認する必要があります。

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