預金獲得DX・銀行ロイヤルティというテーマは、単一の預金獲得システム市場が存在するというより、口座開設→本人確認→銀行アプリ→顧客データ活用→パーソナライズ→日常利用・メイン口座化という複数レイヤーから成り立っています。
今回の調査で事業上の直接性が特に高かったのは、銀行アプリ、パーソナライズ、勘定系・APIまでカバーするBIPROGYと、口座開設の入口となるeKYCを主要事業として持つELEMENTSです。BIPROGYは複数の地域金融機関へのバンキングアプリ導入や千葉銀行のMoneythor稼働を継続的に公表しており、預金獲得DXを「顧客接点」と「銀行システム」の両側から捉えやすい企業です。 ELEMENTSは銀行・信用金庫のオンライン口座開設に直接使われるため、新規顧客獲得ファネルとの距離が近い企業です。
銀行ロイヤルティという切り口では、FANSHIPをJAバンクやゆうちょ銀行に導入したアイリッジが特徴的です。 NTT DATA GROUPはチャネル基盤とeKYC、TISIはWallet+のパーソナライズ、DNPは銀行口座開設eKYCという形で重要サプライチェーンを支えます。
一方、ショーケースのように銀行口座開設への用途は明確でも、銀行向け売上や具体的な金融機関比率を確認できない企業は、テーマとの接点と業績寄与を分けて見る必要があります。
今後確認したいのは、預金残高そのものより、各ベンダーの金融機関向け新規受注、銀行アプリ採用数、eKYC処理件数・契約社数、クラウド利用料、保守収入、追加機能の横展開です。銀行側で預金獲得競争が激しくなっても、それだけではIT企業の売上にはなりません。銀行の投資計画が実際のシステム発注へ移り、さらに関連サービスが企業全体の売上・利益にどれだけ寄与するかまで確認することが、預金獲得DX関連銘柄を見るうえで重要です。
本ブログに掲載している情報は、筆者の個人的な見解および情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報に基づいて生じたいかなる損失についても責任を負いかねます。投資判断はご自身の責任において行ってください。
預金獲得DX・銀行ロイヤルティ関連テーマの整理
テーマの概要
本記事でいう預金獲得DXとは、銀行が単純に預金金利を引き上げるのではなく、デジタル技術によって「新規口座を開いてもらう」「アプリを継続利用してもらう」「給与振込や決済を集約してもらう」「顧客ごとに適切な金融サービスを提示する」といった一連の顧客獲得・定着プロセスを改善する取り組みを指します。
具体的には、口座開設時のeKYC(オンライン本人確認)、銀行アプリ、デジタルバンキング、CRM、行動データ分析、プッシュ通知、パーソナライズ・レコメンド、勘定系やAPIとの連携などが対象です。DNPは銀行口座開設を明示したeKYCを提供し、ELEMENTS傘下Liquidも口座開設時の本人確認をオンライン完結するサービスを商用提供しています。
サプライチェーンは「銀行の勘定系・顧客データ→API・チャネル基盤→銀行アプリ→CRM・レコメンド→eKYC・認証→顧客」というソフトウェア中心の構造です。そのため、製造装置や素材ではなく、ITサービス、SaaS、クラウド、認証、運用保守が中心になります。
初心者が注意したいのは、預金金利を決めるのは銀行であって、DXベンダーが預金そのものを生み出すわけではないことです。DX企業の収益につながるのは、銀行がシステム投資を増やし、その企業が導入・ライセンス・クラウド利用・保守などを受注した場合です。
なぜ今注目されているのか
マイナス金利政策終了後、銀行にとって預金は再びほぼ無条件に集まる資金ではなくなりつつあります。大和総研は2026年7月、地域銀行をめぐる資金調達環境について、金利のある世界への移行後に預金獲得競争が強まり、インターネット銀行の預金増加が地域銀行を上回る状況を指摘しました。同時に、金利だけで集めた資金は金利感応度が高く、粘着性が低くなり得るため、メイン口座化など預金基盤の質が重要になると整理しています。
実際、2026年9月にはみずほ銀行が個人戦略を刷新し、カード利用に対するポイント還元を恒久化して、新規口座、預金、決済、資産形成を横断する顧客関係の強化を打ち出したことが報じられました。 PayPay銀行などネット銀行側も預金金利とポイントを組み合わせる施策を展開しており、金利だけではなく、日常利用・ポイント・アプリ体験を含めたロイヤルティ競争へ広がっています。
金融庁も2026年9月15日に「2026事務年度金融行政方針」を公表しており、金融分野ではデジタル技術の進展への対応が継続的な行政課題となっています。 一方、口座開設では犯罪収益移転防止法に沿った本人確認が必要であり、利便性を高めながら不正口座対策も行う必要があります。ここがeKYC事業者の商機と規制対応コストの両方につながります。DNPやLiquidは、こうした金融口座開設用途を明示しています。
日本株で関連銘柄を見る視点
中核事業型は、銀行アプリ、デジタルバンキング、パーソナライズなど預金者との接点そのものを金融機関へ提供する企業です。
重要サプライチェーン型は、eKYC、認証、チャネル基盤、APIなど、口座獲得や継続利用を成立させるために必要なシステムを提供します。
周辺恩恵型は、金融DX全般には関係していても、預金獲得との距離が一段遠い企業です。
思惑先行注意型は、銀行口座開設などの用途は公式に確認できても、具体的な銀行顧客、売上規模、預金獲得への効果などが十分開示されていない企業です。
重要なのは、「テーマとの接点」と「企業業績への重要度」は別物という点です。大手SI企業では金融機関向け案件が大規模でも預金獲得機能だけを分離できません。逆に小型SaaS企業では関連サービスの企業内重要度は高くても、銀行向け売上比率が分からないケースがあります。この違いを踏まえてA・B・Cを判定しています。
関連銘柄一覧
| 表示順 | 関連度 | 位置づけ | 証券コード | 会社名 | 市場区分 | 関連する理由 | 注目ポイント | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | A | 中核事業型 | 8056 | BIPROGY | 東証プライム | 地域金融機関向けバンキングアプリ、パーソナライズ、勘定系・API基盤を一体的に展開 | アプリから基幹系まで接点が広く、複数金融機関への商用導入実績 | 預金獲得関連だけの売上は非開示 |
| 2 | A | 重要サプライチェーン型 | 5246 | ELEMENTS | 東証グロース | 子会社Liquidが口座開設向け「LIQUID eKYC」を提供し、銀行・信金で採用 | 新規口座獲得の入口を担う認証基盤 | eKYC利用増と預金残高増は直接連動しない |
| 3 | B | 重要サプライチェーン型 | 3917 | アイリッジ | 東証グロース | FANSHIPをJAバンク、ゆうちょ銀行アプリに導入しOne to Oneコミュニケーションを支援 | アプリの継続利用・顧客エンゲージメントに直結 | 金融向け売上比率や預金獲得効果は非開示 |
| 4 | B | 重要サプライチェーン型 | 9613 | NTT DATA GROUP | 東証プライム | 金融機関向けチャネル基盤CONTIMIXEで顧客情報活用、CS向上、セールス強化を支援 | 大規模金融IT基盤と本人確認までカバー | グループ規模が大きくテーマ単独の寄与は小さい可能性 |
| 5 | B | 重要サプライチェーン型 | 3626 | TISI | 東証プライム | Wallet+へのPersonetics Engage導入を支援し、金融サービスのパーソナライズに実績 | 海外レコメンド技術を国内金融チャネルへ実装 | 確認できた代表案件が古く、関連売上も非開示 |
| 6 | B | 重要サプライチェーン型 | 7912 | 大日本印刷 | 東証プライム | 犯収法準拠の銀行口座開設向けeKYCを提供 | 口座開設の離脱防止と本人確認DX | DNP全体から見た事業規模は限定的・非開示 |
| 7 | C | 思惑先行注意型 | 3909 | ショーケース | 東証スタンダード | ProTech ID Checkerを銀行・証券口座開設用途として商用提供 | eKYCの導入社数増加と制度対応 | 銀行向け売上・主要行採用状況を分離確認できない |
銘柄別解説
BIPROGY(8056)|関連度A・中核事業型
会社概要
BIPROGYは、旧日本ユニシスを前身とするITサービス企業です。金融機関向けでは勘定系システム「BankVision」系統に加え、地域金融機関向けバンキングアプリ「#tsumuGO_mobile」、金融サービスプラットフォーム、API連携、営業店システムなどを展開しています。2026年4月には西京銀行で開発自営型バンキングアプリの稼働開始を公表するなど、銀行の基幹系だけでなく個人顧客とのデジタル接点まで領域を広げています。
金融サービスは同社の長年の主要顧客分野ですが、今回の「預金獲得DX」に該当するアプリやレコメンドだけの売上高は開示されていません。
テーマとの関連性
BIPROGYを今回のテーマで最も直接的と判断した理由は、単なる勘定系ベンダーではなく、銀行アプリ、パーソナライズ、API、基幹系まで預金獲得の一連のデジタル導線を持っていることです。
2023年以降、地域金融機関向けバンキングアプリ「#tsumuGO_mobile」を展開し、京都中央信用金庫、金沢信用金庫、尼崎信用金庫、西武信用金庫、川崎信用金庫など複数の採用情報が公式金融ソリューションページに掲載されています。2026年4月には西京銀行で開発自営型バンキングアプリが稼働しました。
さらに2024年10月には、千葉銀行がパーソナライズ・レコメンデーションサービス「Moneythor」を稼働開始したことを公表しています。銀行が顧客データに基づいて一人ひとりに情報を出し分ける仕組みは、単なる残高照会アプリより銀行ロイヤルティとの距離が近い領域です。
BankVision on Azureなど基幹系とのAPI連携にも取り組んでいるため、アプリ単体企業よりバックエンドまでカバーできることが特徴です。山梨中央銀行の事例でもAPI連携や新サービス開発・データ活用に向けた基盤整備が紹介されています。
一方、銀行がBIPROGY製アプリを導入した結果、預金残高が何円増えたかという因果関係は公開されていません。また、金融分野の受注のうち預金獲得DXが占める金額も開示されていません。
関連度Aの判定理由: 銀行アプリ、パーソナライズ、API、勘定系という顧客獲得から取引基盤までを商用サービスとして持ち、複数金融機関への導入実績が継続して確認できます。テーマ拡大がシステム開発・利用・保守需要につながる構造も比較的説明しやすいためAとしました。
注目ポイント
- 「#tsumuGO_mobile」の採用金融機関がさらに増えるかが、最も分かりやすい受注確認点です。
- Moneythorのようなパーソナライズ機能が他行へ横展開されれば、単なる銀行アプリ開発から顧客エンゲージメント領域へ収益機会が広がる可能性があります。
- BankVision系とアプリ・APIを組み合わせることで、基幹系顧客へのクロスセルが進むかが注目されます。
- 導入後のクラウド利用、保守、機能追加など、初期開発だけでない継続収益の開示を確認したいところです。
注意点
- 預金獲得DX関連の売上高、受注高、利益は独立開示されていません。
- 銀行アプリ導入がそのまま預金残高増加を意味するものではありません。
- 金融機関による内製化が進むと、外部SI企業が担当する範囲が変化する可能性があります。
- Moneythorなど外部製品を組み込む案件では、自社製品だけで価値を構成しているわけではありません。
- 大型金融IT案件では開発期間が長く、検収時期により売上計上が変動する可能性があります。
参考情報
BIPROGY|金融ソリューション|更新日記載なし・2026年9月23日確認|#tsumuGO_mobile、Moneythor、BankVision、2026年の金融機関向け案件を確認。
URL:https://www.biprogy.com/solution/theme/fs.html
BIPROGY|ファイナンシャル・サービスプラットフォーム|更新日記載なし・2026年9月23日確認|金融サービスを組み合わせるプラットフォーム構想を確認。
URL:https://www.biprogy.com/solution/service/fsp.html
BIPROGY TERASU|豊かな地域社会を創造する。山梨中央銀行が見据える未来像とは?|2024年8月9日|BankVision on Azure、API連携、新サービス開発・データ活用との関係を確認。
URL:https://terasu.biprogy.com/article/yamanashibank-bankvision/
ELEMENTS(5246)|関連度A・重要サプライチェーン型
会社概要
ELEMENTSは、生体認証・本人確認などの個人認証技術を中心とするグループです。100%子会社Liquidが「LIQUID eKYC」を展開しており、オンラインでの口座開設やアカウント登録時に必要な本人確認をデジタル完結できます。ELEMENTS公式サイトでもLIQUID eKYCを主要な「個人認証ソリューション」として掲載しており、今回のテーマとの接点は子会社の小規模な周辺事業というより、グループの主要技術領域に位置付けられます。
テーマとの関連性
預金を新規に獲得するには、最初に口座を開いてもらう必要があります。LIQUID eKYCは、この口座開設ファネルの入口を担当するサービスです。
Liquidは、本人確認書類の撮影、ICチップ読み取り、顔照合、公的個人認証JPKIなどを組み合わせ、口座開設に必要な本人確認をオンライン完結する仕組みを提供しています。また、公的個人認証のプラットフォーム事業者として認定されていることも公式サイトで確認できます。
2026年8月31日には、城南信用金庫のバンキングアプリへのLIQUID eKYC提供を公式サイトで公表しています。銀行・信用金庫の新規顧客獲得チャネルに実際に組み込まれていることが確認できる点は重要です。
口座開設画面で手続きが複雑だとユーザーが途中離脱します。eKYCで本人確認を短縮・簡素化できれば、金融機関側にとって新規口座獲得のコンバージョン改善につながる可能性があります。ただし、LIQUID eKYC導入によって実際に預金残高がどれだけ増えたかは公開されていません。
関連度Aの判定理由: 口座開設という預金獲得の入口に直接使われる商用サービスを持ち、銀行・信用金庫への具体的な採用も確認できます。さらに個人認証がELEMENTSグループの主要事業領域であるため、直接性・企業内重要度とも比較的高いと判断しました。
注目ポイント
- 銀行・信用金庫のバンキングアプリへのLIQUID eKYC採用件数が今後も増えるかが確認点です。
- JPKIやICチップ方式への移行は、本人確認の利便性と不正対策の双方から需要につながる可能性があります。
- eKYCに加え、LIQUID Authなど継続的な当人認証まで利用領域を広げられるかが注目されます。
- 2026年7月にはセブン銀行ATMとeKYCの本人確認チャネル連携も公表しており、オンラインだけでない認証チャネルの拡大も確認点です。
注意点
- eKYCは口座獲得を支援しますが、口座開設後に資金を預け続けてもらう「ロイヤルティ」そのものを提供するサービスではありません。
- 金融機関向け売上だけを分離した数字は、確認できる公開情報では限定的です。
- 本人確認制度の変更は需要機会になる一方、開発・法令対応コストも生じます。
- eKYC市場には複数の認証事業者が存在し、価格・精度・UX・法令対応で競争があります。
参考情報
Liquid|LIQUID eKYC|更新日記載なし・2026年9月23日確認|口座開設、JPKI、ICチップ、顔照合などの機能を確認。
URL:https://liquidinc.asia/liquid-ekyc
Liquid|公式サイト|2026年9月23日確認|2026年8月31日の城南信用金庫バンキングアプリへのLIQUID eKYC提供など最新導入情報を確認。
URL:https://liquidinc.asia/
ELEMENTS|公式サイト|2026年9月23日確認|LIQUID eKYCを個人認証ソリューションの主要製品として掲載していることを確認。
URL:https://elementsinc.jp/
ELEMENTS|LIQUID eKYCサービス特約|2026年9月23日確認|LIQUID eKYCで開設した金融機関口座に関するデータ取扱いなどを確認。
URL:https://elementsinc.jp/ekyc/
アイリッジ(3917)|関連度B・重要サプライチェーン型
会社概要
アイリッジは、スマートフォンアプリを中心とする顧客接点・OMO領域を手掛ける企業です。中心的なサービスの一つがアプリマーケティング基盤「FANSHIP」で、アプリの利用データを収集・分析し、ユーザーごとにプッシュ通知やアプリ内メッセージなどを出し分けられます。同社自身が「顧客とのリレーションシップを高め、ファン化を促進」するサービスとして位置付けており、銀行ロイヤルティとの概念的な距離は近い企業です。
テーマとの関連性
銀行がアプリを提供しても、顧客が残高照会だけに使い、給与振込や決済、貯蓄などを他行へ残したままでは、十分な預金獲得にはつながりません。FANSHIPはアプリ利用状況に応じてユーザーを分類し、適切なコミュニケーションを行うための基盤です。
金融機関での具体例も確認できます。2019年には「JAバンクアプリ」にFANSHIPを導入し、全国のJAバンク利用者にお知らせを配信する仕組みを構築しました。公式発表では、アプリから口座残高・入出金明細を確認でき、ネットバンク、JAカード、年金など各サービスへアクセスする入口として使われることが説明されています。
2020年には、ゆうちょ銀行の「ゆうちょ通帳アプリ」へFANSHIPを導入し、アプリ内メッセージやプッシュ通知を利用したOne to Oneマーケティングを支援しています。
またアイリッジが2025年4月に公表した調査では銀行公式アプリ利用率が74%まで上昇したとしており、銀行アプリが顧客接点として定着しているとの認識を示しています。
ただし、これらの導入によって預金残高が増えたという定量データは確認できません。また、JAバンクやゆうちょ銀行の採用発表は数年前のものであり、金融機関向け案件の最新売上比率も開示されていません。
関連度Bの判定理由: 銀行アプリで商用導入され、ロイヤルティ向上に近い顧客コミュニケーション機能を提供している点は強い一方、金融業界向け売上規模や預金獲得への定量的な接続が確認できないためBとしました。
注目ポイント
- FANSHIPを利用する金融アプリの追加採用が確認できるかが重要です。
- 銀行アプリ利用率の上昇は、アプリ内マーケティングの実施対象を拡大させる可能性があります。
- プッシュ通知だけでなく、顧客データ分析・セグメント・パーソナライズ機能の利用拡大が受注単価へつながるかが確認点です。
- 既存銀行アプリの新規開発だけでなく、継続運用・改善案件を積み上げられるかに注目されます。
注意点
- JAバンク、ゆうちょ銀行の代表的な公表事例は2019~2020年で、最新案件だけを示す資料ではありません。
- FANSHIPは銀行専用製品ではなく、他業界にも使われる汎用アプリマーケティング基盤です。
- 銀行向け売上高・受注高は独立して開示されていません。
- アプリ利用率上昇と預金残高増加を直接結び付けることはできません。
参考情報
アイリッジ|FANSHIP|2026年9月23日確認|アプリデータ収集、分析、セグメント設定、顧客コミュニケーション機能を確認。
URL:https://www.fanship.jp/
アイリッジ|ファン育成プラットフォーム「FANSHIP」、「JAバンクアプリ」に導入|2019年12月19日|JAバンクでの商用導入と金融サービスへの導線を確認。
URL:https://iridge.jp/news/201912/26257/
アイリッジ|ファン育成プラットフォーム「FANSHIP」ゆうちょ銀行の「ゆうちょ通帳アプリ」に導入|2020年12月15日|One to Oneマーケティング用途を確認。
URL:https://iridge.jp/news/202012/28389/
アイリッジ|銀行公式アプリ利用率が過去最高の74%に拡大|2025年4月15日|金融アプリ利用に関する同社調査を確認。
URL:https://iridge.jp/news/202504/38609/
アイリッジ|アプリ開発実績・ツール導入実績|2026年9月23日確認|JAバンクアプリなどFANSHIP採用事例の現行掲載を確認。
URL:https://iridge.jp/works/
NTT DATA GROUP(9613)|関連度B・重要サプライチェーン型
会社概要
NTT DATA GROUPは国内外でITサービスを展開する上場グループの持株会社で、国内事業はNTTデータなどの事業会社を通じて行っています。金融分野は長年の主要顧客領域で、銀行の勘定系、決済、チャネル、本人確認など幅広いシステムを扱います。今回特に注目するのは、金融機関向けチャネル基盤「CONTIMIXE」と、マイナンバーカードを利用した本人確認サービス「マイナPocket」です。
テーマとの関連性
CONTIMIXEは、銀行など金融機関と顧客が接するチャネルを構築するための基盤です。現在の公式製品ページでも、「CS向上とセールス強化」を目的に掲げ、顧客に最適な商品・サービス情報をタイムリーに提供できること、顧客情報や商品情報を一元把握できることが説明されています。
つまり、新規預金商品の提案、顧客の取引状況に応じた案内、営業店でのクロスセルなどに利用できるチャネル技術です。ただしCONTIMIXE自体が「預金獲得専用CRM」というわけではありません。
一方、マイナPocketではマイナンバーカードのICチップを利用した犯罪収益移転防止法対応のeKYCを提供し、銀行・証券・保険会社などで必要な本人確認・マイナンバー収集用途を明示しています。同社はICチップ方式によって審査リードタイムや目視確認コストを減らし、ユーザー負担を軽減して離脱防止につながると説明しています。
したがってNTT DATA GROUPは、既存顧客へのセールス強化と新規口座開設の双方に技術接点を持つ企業です。
関連度Bの判定理由: 金融チャネル、顧客情報活用、本人確認を商用サービスとして提供しておりテーマとの接点は強い一方、NTT DATA GROUP全体が巨大で、預金獲得DX単独の業績寄与は分離できないためBとしました。
注目ポイント
- 金融機関の店頭・Web・アプリを横断したチャネル刷新案件が増えるかが受注面の確認点です。
- eKYCのJPKI・ICチップ利用拡大はマイナPocketの利用機会につながる可能性があります。
- 顧客情報と商品情報を統合し、セールス支援へ活用する案件がどこまで広がるかに注目されます。
- 大手SI企業として既存金融システムとの連携能力は競争上の確認材料になります。
注意点
- CONTIMIXEの原型は2006年から開発されている長寿命ソリューションであり、テーマが突然生まれた新規事業ではありません。
- 預金獲得目的だけの契約額・売上高は開示されていません。
- グループ全体の規模が大きいため、テーマ関連案件が増えても連結業績への寄与が限定的な場合があります。
- 大型銀行では自社開発や複数ベンダー併用も多く、案件を独占できるわけではありません。
参考情報
NTTデータ|CONTIMIXE|2026年9月23日確認|CS向上、セールス強化、顧客・商品情報の一元把握などを確認。
URL:https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/contimixe/
NTTデータ|マイナPocket|2026年9月23日確認|犯収法対応eKYC、銀行等での利用、ICチップ利用による離脱防止等を確認。
URL:https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/mainapocket/
NTTデータ|金融機関向けチャネルソリューション基盤「CONTIMIXE」|2006年11月20日|サービス開発の目的とセールス支援機能を確認。
URL:https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2006/112000/
TISI(3626)|関連度B・重要サプライチェーン型
会社概要
証券コード3626のTISIは、金融、決済、産業など幅広い顧客にITサービスを提供する企業です。今回のテーマで特に重要なのは、旧TIS名義で公表したiBankマーケティングの「Wallet+」へのパーソナライズ技術導入支援です。金融機関の基幹系そのものというより、顧客ごとの行動・属性に合わせて情報を提示するデジタルチャネル高度化に具体的な実績があります。
テーマとの関連性
2022年7月、旧TISは、ふくおかフィナンシャルグループ傘下iBankマーケティングが提供するお金管理アプリ「Wallet+」へ、パーソナライズエンゲージメントサービス「Personetics Engage」を導入支援したと発表しました。
同社は当時、金融サービスが単なるデジタル機能提供から、顧客個人に最適化した情報提供や課題解決へ広がっていると説明しています。Wallet+のような日常型金融アプリにレコメンド機能を組み込むことは、「何回アプリを開くか」「その銀行を日常的に使うか」というロイヤルティ形成に関係します。
また、旧インテック系サービスとしてインターネットバンキング向け電話認証なども提供しており、デジタル金融チャネルの安全性を支える技術も持っています。
ただし、Personeticsは外部製品であり、TISIがパーソナライズエンジンそのものを全て自社開発しているわけではありません。また、Wallet+導入支援以後の銀行ロイヤルティ案件について、今回確認できた公開情報は限定的でした。
関連度Bの判定理由: 銀行系アプリでパーソナライズ・エンゲージメント機能を実際に商用導入した一次情報がある点を評価しました。一方、代表案件の公表時期が2022年で、テーマ単独売上や継続的な導入社数が確認できないためAにはしていません。
注目ポイント
- Personeticsを含むパーソナライズ技術の他金融機関への横展開が確認できるかが重要です。
- Wallet+のような日常型金融アプリへの継続的な機能追加案件が受注へ接続するかに注目されます。
- 金融ITの既存顧客基盤をCRM・顧客エンゲージメント案件へクロスセルできるかが確認点です。
- 認証・不正対策と利便性向上を一体で提供できるかも競争上のポイントになります。
注意点
- 確認できたPersonetics Engageの代表案件は2022年公表です。
- Personeticsは外部技術であり、自社製品だけで構成された案件ではありません。
- 預金獲得DXに限定した売上・受注は開示されていません。
- TISI全体では金融以外のIT事業も大きく、テーマ単独の連結業績寄与は判断できません。
参考情報
TIS(現行公式サイト)|iBankマーケティングのお金管理アプリ「Wallet+」への「Personetics Engage」を導入支援|2022年7月13日|パーソナライズされた金融情報提供への導入実績を確認。
URL:https://www.tisi.jp/news/2022/tis_news/20220713_1.html
TISI・インテック|電話認証サービス|2026年9月23日確認|インターネットバンキングの本人認証・不正送金対策への利用を確認。
URL:https://www2.tisi.jp/service/detail/telauth/
大日本印刷(7912)|関連度B・重要サプライチェーン型
会社概要
大日本印刷(DNP)は印刷を起点に、デジタルサービス、認証・セキュリティ、電子部材など幅広い事業を展開する大手企業です。今回のテーマでは、銀行口座開設に使える「オンライン本人確認(eKYC)総合サービス」が直接該当します。DNP全体では非常に多角化しているため、預金獲得DXは会社全体を代表する事業ではありませんが、金融機関の新規顧客獲得に不可欠な本人確認工程を支える位置にあります。
テーマとの関連性
DNPの公式ページは、同社eKYCサービスについて「犯収法準拠の銀行口座開設等の厳格なシーン」への対応を明示しています。本人確認のオンライン化により、人件費・書類管理コストを削減するとともに、店舗訪問や郵送を不要にして、手続き途中の離脱防止につながると説明しています。
銀行にとって新規顧客獲得で重要なのは、広告から口座申込みへ誘導するだけでなく、本人確認を終えて実際に口座を開設してもらうことです。DNPはこのコンバージョンの途中に位置するため、預金獲得DXとの接点は明確です。
一方で、DNPのeKYCは銀行専用ではなく、非金融分野にも対応する汎用サービスです。公開情報からは銀行向けeKYCの売上規模、処理件数、DNP連結売上に対する割合を確認できません。
関連度Bの判定理由: 銀行口座開設用途が公式に明示された商用eKYCでありテーマとの直接性は高い一方、DNP全体に占める関連事業の規模が小さいまたは非開示と考えられ、連結業績への接続を説明しにくいためBとしました。
注目ポイント
- JPKIやICチップ方式の銀行採用拡大がeKYC案件増加につながるかが確認点です。
- 本人確認だけでなく審査BPOまで組み合わせることで、金融機関1社当たりの提供範囲を広げられる可能性があります。
- 法改正への継続対応は保守・更新需要につながる可能性があります。
- 大手企業としてセキュリティ、印刷・カード、BPOなど周辺サービスとの組み合わせも確認したいところです。
注意点
- 銀行向けeKYC売上は独立開示されていません。
- DNPは多角化企業で、テーマ拡大が連結業績を大きく動かすとは限りません。
- eKYC市場にはELEMENTS/Liquid、ショーケースなど複数の競合があります。
- 本人確認の簡便化と預金残高の継続的な増加は別の段階です。
参考情報
大日本印刷|オンライン本人確認(eKYC)総合サービス|更新日記載なし・2026年9月23日確認|銀行口座開設、犯収法対応、JPKI、離脱防止、BPO連携を確認。
URL:https://www.dnp.co.jp/biz/products/detail/20172465_4986.html
ショーケース(3909)|関連度C・思惑先行注意型
会社概要
ショーケースは、企業と顧客をつなぐDX・Webサービスを展開する企業で、オンライン本人確認サービス「ProTech ID Checker」を提供しています。同サービスは銀行・証券口座開設、携帯契約、古物買取、会員登録など、本人確認が必要な幅広い用途を対象とします。預金獲得DXでは新規口座開設のオンボーディング部分に該当しますが、確認できる公開情報では銀行向け売上規模を分離できません。
テーマとの関連性
ProTech ID CheckerはマイナンバーカードのJPKI、運転免許証・在留カードなどのIC認証、顔撮影と本人確認書類の照合に対応するeKYCです。公式サービスページでは銀行口座開設を代表用途として説明しています。
2026年3月時点の同社発表では累計380社以上で利用され、申込完了率95%以上を掲げていました。さらに2026年9月時点の調査では累計導入社数482社とする発表も確認できます。ただし、この数字は金融機関だけの導入社数ではなく、通信、自治体、リユースなどを含みます。また「導入社数No.1」という外部調査も売上高、市場シェア、認証件数、サービス品質の優位性を示すものではないことが明記されています。
そのため、事業として商用化されている点は明確ですが、「預金獲得DX関連銘柄」として見る場合は、銀行への具体的な導入件数、売上規模、契約単価を追加確認する必要があります。
関連度Cの判定理由: 銀行口座開設用途の商用eKYCという具体的な接点はありますが、今回確認できた一次・公式情報だけでは銀行向け売上や主要金融機関への導入比率が分離できません。テーマとの接点以上に期待が先行しやすいためCとしました。
注目ポイント
- 累計導入社数が継続的に増加しており、その中で金融機関案件がどの程度を占めるかが今後の確認点です。
- JPKI・IC認証への制度移行が新規導入や既存顧客のアップデート需要に接続するかが注目されます。
- SaaS型で法令変更への継続対応を提供できれば、ストック収益化の進捗が確認点になります。
- 口座開設完了率などUX改善を、実際の金融機関導入事例で確認できるかが重要です。
注意点
- 累計導入社数は銀行だけの数字ではありません。
- 銀行向け売上・受注額は今回確認した公開情報では分離されていません。
- 「銀行口座開設に使える」ことと「銀行が大規模採用している」ことは同じではありません。
- eKYCは競合が多く、機能比較だけで価格競争の影響を判断できません。
- 預金獲得による業績寄与を直接裏付ける開示は確認できず、思惑先行には注意が必要です。
参考情報
ショーケース|口座開設の本人確認を効率化―eKYC・IC認証対応システムの選び方|2026年・2026年9月23日確認|銀行口座開設でのeKYC用途を確認。
URL:https://ekyc.showcase-tv.com/ekyc-for-account-opening/
ショーケース|ProTech ID Checkerサービスサイト|2026年9月23日確認|JPKI、IC認証など提供機能を確認。
URL:https://ekyc.showcase-tv.com/
ショーケース|「ProTech ID Checker」に新機能追加|2026年3月5日|銀行・証券口座開設等への利用、累計導入状況を確認。
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000548.000003483.html
今回は除外・参考扱いとした銘柄・企業
| 証券コード | 会社名・企業名 | 判定 | 除外・参考扱いとした理由 |
|---|---|---|---|
| 8354 | ふくおかフィナンシャルグループ | 参考 | 子会社iBankマーケティングのWallet+は銀行ロイヤルティ上重要ですが、親会社は銀行持株会社であり、システム販売事業の連結業績への寄与を分離しにくいため一覧から除外。TISIの導入事例からiBankがFFG傘下であることを確認できます。 |
| 4498 | サイバートラスト | 参考 | eKYC・電子認証との技術接点はありますが、今回確認できた範囲では預金獲得・銀行口座開設の具体的な採用実績を主要7社ほど明確に裏付けられなかったため採用せず。 |
| 8060 | キヤノンマーケティングジャパン | 参考 | 金融機関向け本人確認・ITソリューションとの接点は確認できますが、預金獲得DXとの距離が一段遠く、関連事業規模も分離しにくいため採用せず。 |
| ― | Moneythor | 海外企業 | 千葉銀行のパーソナライズ・レコメンドに関係しますが、日本国内上場企業ではないため関連銘柄一覧には含めません。国内側ではBIPROGYを採用しました。 |
| ― | Personetics | 海外企業 | Wallet+のパーソナライズ技術として重要ですが、日本国内上場企業ではないため除外。国内導入支援側のTISIを採用しました。 |
ふくおかフィナンシャルグループ傘下のiBankマーケティングは、Wallet+を通じて銀行公式アプリ・デジタルマーケティングの実績を持つため、業界構造を理解するうえでは重要です。もっとも「銀行にシステムを売る上場IT企業」という今回の検索意図では、親会社の銀行事業との混同を避けるため参考扱いとしました。iBankの現行サイトでもWallet+が主要サービスであることが確認できます。

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