ペロブスカイト太陽電池関連銘柄を日本株で整理すると、本命に近いのは自社で製品名・量産計画・実証先まで開示している積水化学工業、ガラス型を直接開発するパナソニックHD、タンデム型の販売計画を示すカネカです。サプライチェーンで重要なのはAGC、日本電気硝子、保土谷化学工業、日産化学、そして施工面の日揮HDです。周辺恩恵を受けやすい銘柄としては、建物実装や保守施工を押さえるアイシン、大林組、封止・評価のMORESCOが挙げられます。一方で、実証や研究開発の比重が高く、テーマ性だけで見られやすい銘柄は思惑先行に注意が必要です。今後は、量産ライン稼働、販売開始時期、採用先の増加、耐久性データ、施工標準化の進み具合を継続して確認したいところです。
本ブログに掲載している情報は、筆者の個人的な見解および情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報に基づいて生じたいかなる損失についても責任を負いかねます。投資判断はご自身の責任において行ってください。
テーマ整理
テーマの概要
ペロブスカイト太陽電池は、発電層にペロブスカイト結晶構造を持つ材料を使う次世代太陽電池です。日本の経済産業省の戦略資料では、日本発の技術として位置付けられ、代表的な構成はA=有機アンモニウム、B=鉛、X=ヨウ素のABX3型と整理されています。近年は発電効率が大きく向上し、2024年11月時点でセル効率は26.7%まで高まっています。さらに、フィルム型は「薄い・軽い・曲がる」ことで壁面や耐荷重の低い屋根に向き、ガラス型は窓やファサード向け、タンデム型は既存シリコン置換まで視野に入る、という形で用途が分かれています。日本株で見る場合、完成品メーカーだけでなく、ガラス、封止材、正孔輸送材、コーティング材、施工法、建材一体型の設計・認証まで含めたサプライチェーン全体で見るのがポイントです。
なぜ今注目されているのか
注目度が高まっている背景には、政策と実証の両輪があります。経産省は2024年11月に「次世代型太陽電池戦略」を公表し、ペロブスカイト太陽電池を導入拡大と産業競争力強化の中核テーマに位置付けました。NEDOのグリーンイノベーション基金では、2025年度にガラス型実証の追加公募が行われ、2026年2月にはタンデム型の量産技術実証事業も新たに開始されています。需要面でも、経産省資料は、まず屋根から導入が進み、発電コスト低下に応じて壁面や窓へ広がるシナリオを示しています。つまり、足元では「研究テーマ」から「量産・実証・施工・制度設計のテーマ」へ、見方が移ってきた段階です。
日本株で関連銘柄を選ぶ視点
日本株でペロブスカイト太陽電池関連銘柄を見るときは、まず完成品そのものを持つ企業と、部材・装置・施工のサプライチェーン企業を分けて考えると整理しやすくなります。経産省はフィルム型や建材一体型について、製造だけでなく、施工・運搬・回収まで含めたシステム全体で付加価値を生む余地が大きいと整理しています。そこで本記事では、①自社でモジュールや販売計画を持つ「本命に近い銘柄」、②ガラス・封止・正孔輸送材・コーティング材・施工法などの「サプライチェーン銘柄」、③建設・既存建物改修・標準化・測定機器などの「周辺恩恵銘柄」に分けて見ます。思惑先行を避けるには、公式資料に製品名・実証先・量産ライン・販売時期・顧客候補があるかをまず確認したいところです。
関連銘柄一覧
| No. | 関連度 | 証券コード | 会社名 | 市場区分 | 関連する理由 | 注目ポイント | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | A | 4204 | 積水化学工業 | 東証プライム | フィルム型ペロブスカイト太陽電池「SOLAFIL」を事業開始した中核企業 | 2026年事業開始、2027年度100MWライン計画 | 立ち上がり期で量産・採算はなお検証段階 |
| 2 | A | 6752 | パナソニック ホールディングス | 東証プライム | ガラス型ペロブスカイト太陽電池を自社開発し大面積試作ラインも稼働 | BIPV向け、窓・壁用途、実装実証が進む | 商用化時期と収益寄与はまだ限定的 |
| 3 | A | 4118 | カネカ | 東証プライム | タンデム型ペロブスカイト太陽電池の量産技術実証に採択 | 2028年度販売計画、住宅・ビル用途 | タンデム型は量産難度が高い |
| 4 | B | 7259 | アイシン | 東証プライム | 自社開発の軽量ペロブスカイト太陽電池を工場・公共施設で実証 | 薄ガラス構造、社内外実証拡大 | 本業は自動車部品で業績寄与はまだ小さい |
| 5 | B | 5201 | AGC | 東証プライム | ガラス型コンソーシアム参画と建材一体型/後付け太陽光ガラス展開 | BIPV・既存建物改修・標準化 | ペロブスカイト単独の売上把握は難しい |
| 6 | B | 1963 | 日揮ホールディングス | 東証プライム | フィルム型向け施工法「シート工法」を開発し実証 | 施工コスト低減、物流施設・壁面施工 | セル供給企業の進展に左右される |
| 7 | B | 7752 | リコー | 東証プライム | インクジェット印刷による製造技術と東京都実証を進める | 低コスト製造の余地、公共実装 | 事業規模はまだ小さく収益化途上 |
| 8 | B | 5214 | 日本電気硝子 | 東証プライム | ペロブスカイト向け超薄板ガラス・カバーガラス用途を公式明示 | 高ガスバリア、UV遮蔽、軽量 | 需要拡大は最終製品の普及待ち |
| 9 | B | 4112 | 保土谷化学工業 | 東証プライム | ペロブスカイト向け正孔輸送材料を公式発表 | 耐久性・変換効率改善材料 | 材料採用の量産実績は今後確認 |
| 10 | B | 4021 | 日産化学 | 東証プライム | ホール輸送材や耐久性向上コーティング材を開発 | 耐久性ボトルネックに対応 | 売上寄与の定量開示は限定的 |
| 11 | C | 5018 | MORESCO | 東証スタンダード | 封止材・透過度測定装置で支援し実証機にも採用 | 封止・評価のニッチ領域 | 小型案件中心で思惑が先行しやすい |
| 12 | C | 1802 | 大林組 | 東証プライム | 交換容易な施工法と設置方法をアイシンと実証 | 建物実装・保守施工の知見 | 本業比でテーマ寄与は限定的 |
銘柄別解説
積水化学工業(4204)|関連度A
会社概要
住宅、環境・ライフライン、高機能樹脂などを幅広く手がける大手化学メーカーです。近年は「第3の創業」を掲げ、新規事業創出も強化しており、ペロブスカイト太陽電池はその象徴的テーマの一つです。2025年には、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の製品設計・製造・販売を担う積水ソーラーフィルムを設立し、量産投資も決定しました。
今回のテーマとの関連性
積水化学は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の中核企業です。公式資料では、自社の「封止、成膜、材料、プロセス技術」により、屋外耐久性10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築、さらに2026年3月にはブランド名「SOLAFIL」で事業開始を決定したとしています。量産面でも、2027年度に100MW規模ラインの立ち上げ、2030年のGW級ラインを目指す方針を示しています。
判定理由: 自社ブランド、事業開始、量産計画、実証先の具体名まで一次情報で確認できるため、本記事では最も本命に近いA評価としました。
注目ポイント
- 2026年3月に「SOLAFIL」の事業開始を決定し、供給に向けた具体協議に入っています。
- 2026年度は限られた生産ながら供給を進め、2027年度の100MWライン立ち上げを最優先事項としています。
- 万博バスシェルター、空港、自治体、営農型など、用途を散らした実証を継続しており、設置先の広がりを確認しやすい銘柄です。
- フィルム型は屋根だけでなく壁面・外装にも広げやすく、材料・施工・蓄電まで記事の切り口を広げやすいのが強みです。
注意点
- 2026年度は現有設備による限定生産で、100MWラインはこれからの立ち上げ段階です。量産の立ち上がりが遅れれば、供給拡大も後ろ倒しになり得ます。
- フィルム型は耐久性や施工仕様の検証を続けている段階で、社会実装の広がりには実証結果の積み上げが欠かせません。
- グループ全体から見ると新規事業であり、短期的な業績寄与はまだ読みづらい点に注意が必要です。これは事業開始直後かつ限定生産という開示内容から確認しておきたい点です。
- 政策支援や自治体案件が初期需要を支える構図のため、補助制度や公募の進捗も見ておきたいところです。
参考情報
- 会社公式ニュース「フィルム型ペロブスカイト太陽電池『SOLAFIL』事業開始のお知らせ」:事業開始、供給先、2027年度100MWライン方針の確認。
- IR資料「ペロブスカイト太陽電池の量産化に関するお知らせ」:新会社、投資、100MWライン・GW級構想の確認。
- 会社公式ニュース「2025年日本国際博覧会への協賛およびフィルム型ペロブスカイト太陽電池の設置について」:封止・成膜・材料・プロセス技術、万博実装の確認。
- 会社公式特設ページ「ペロブスカイト太陽電池に関するお知らせ」:実証案件一覧の確認。
パナソニック ホールディングス(6752)|関連度A
会社概要
家電、空調、電池、電子部材、B2Bソリューションまで広い事業を持つ電機大手です。ペロブスカイト太陽電池はグループの技術部門が手がける先端開発テーマとして位置付けられており、特に「発電するガラス」を目指すガラス型ペロブスカイト太陽電池の開発が進んでいます。
今回のテーマとの関連性
パナソニックHDは、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の直接開発企業です。公式資料では、独自の材料技術、インクジェット塗布製法、レーザー加工技術を組み合わせ、サイズ・透過度・デザインをカスタマイズ可能なBIPV向け製品として開発を進めていると説明しています。2025年の株主総会資料では、建材としての実証サイズである1m×1.8mの大面積モジュール試作ラインを稼働したことを開示し、2026年3月には西門真新棟の窓部で長期実証を開始しました。
判定理由: 自社開発の完成品テーマであり、試作ラインと建物実装まで公式に確認できるためA評価としました。現時点では量産販売よりも実装実証が先行している点は、積水化学との違いです。
注目ポイント
- 1m×1.8mの大面積モジュール試作ラインを稼働しており、研究段階から建材サイズへ進んでいます。
- 公式特設サイトでは、窓・壁・バルコニー・庇など、BIPVとしての利用シーンを明確に示しています。
- 実用サイズ804cm²で18.1%の認証効率を示しており、意匠性と発電性能の両立を訴求しやすいテーマです。
- 2025年度のNEDO実証事業では、AGCなどとコンソーシアムを組んで量産技術開発とフィールド実証に着手しています。
注意点
- 公式サイトでも「開発中」と明示されており、商用量産の時期や収益寄与はまだ読み切れません。
- 建材一体型は、発電性能だけでなく、建築基準、施工方法、配線、外観評価まで含めた検証が必要です。
- ガラス型は海外勢の開発も活発化しており、経産省も競争激化を指摘しています。
- グループ全体では極めて大きな事業ポートフォリオの一部なので、株価がテーマだけで動く局面では過度な連想に注意が必要です。これは公開資料上、現時点で専用事業の定量開示が限定的な点から見ておきたいポイントです。
参考情報
- 第118回定時株主総会招集ご通知:大面積試作ライン稼働の確認。
- 公式サイト「ガラス型ペロブスカイト太陽電池」:用途、特徴、効率、開発段階の確認。
- 公式プレスリリース「西門真新棟の窓部へ実装、長期実証実験を開始」:実装段階の実証内容の確認。
- AGC公式ニュース:NEDO実証コンソーシアム参画の確認。
カネカ(4118)|関連度A
会社概要
化成品、機能性樹脂、医療、食品、住宅関連素材まで展開する大手化学メーカーです。太陽電池ではヘテロ接合型結晶シリコン太陽電池で実績があり、その延長線上でタンデム型ペロブスカイト太陽電池の開発を進めています。
今回のテーマとの関連性
カネカは、ヘテロ接合型結晶シリコン太陽電池を土台にしたタンデム型ペロブスカイト太陽電池の直接開発企業です。2026年2月にはNEDOの「次世代型タンデム太陽電池量産技術実証事業」に採択され、住宅・ビル向け実証試験を通じて生産技術開発を進めると公表しました。さらに2026年3月には、さいたま市の公共施設で国内初となるタンデム型の屋外実証を開始しています。
判定理由: 量産技術実証、屋外実証、販売目標年まで一次情報で確認できるためA評価です。フィルム型・ガラス型に比べると実装は先ですが、既存シリコン置換に近い大きな市場を狙う点が特徴です。
注目ポイント
- 2028年度にタンデム型ペロブスカイト太陽電池の製品販売開始を計画しています。
- 既存のヘテロ接合シリコン太陽電池を持つため、ボトムセル側の事業基盤があるのが強みです。
- 住宅・ビル向けを想定した実証で、単なる研究ではなく、用途を意識した開発フェーズに入っています。
- 公共施設での屋外実証や住宅用瓦一体型モジュールなど、BIPV・住宅分野への広がりも確認しやすいです。
注意点
- タンデム型は、フィルム型やガラス型よりも研究開発段階が相対的に早いと経産省も整理しています。量産難度は高めです。
- 高効率化と高耐久性の両立を目指すテーマであり、量産プロセス確立までは時間を要する可能性があります。
- シリコンを含む構造のため、フィルム型ほど軽量・柔軟の設置自由度を前面に出しにくい点は見ておきたいところです。
- 大型市場を狙える一方、海外勢との競争も強く、普及時には価格・歩留まり・信頼性の勝負になりやすい分野です。
参考情報
- 会社公式ニュース「NEDOグリーンイノベーション基金事業に採択」:量産技術実証、2028年度販売計画の確認。
- 会社公式ニュース「さいたま市とタンデム型ペロブスカイト太陽電池の屋外実証事業を開始」:公共施設での屋外実証の確認。
- カネカレポート2025:住宅・ビル向け実装に向けた実証、研究開発位置づけの確認。
アイシン(7259)|関連度B
会社概要
自動車部品大手で、電動化・エネルギー関連の新規テーマにも投資している企業です。本業は駆動系や車体系部品ですが、近年はカーボンニュートラル対応の文脈で、発電・水素・再エネ関連の実証を広げています。
今回のテーマとの関連性
アイシンは、自社開発の軽量ペロブスカイト太陽電池を持つ企業です。2025年3月には安城工場で社内実証を開始し、壁面・屋根で系統連系を含む運用評価を実施。2026年2月には愛知県庁西庁舎で公共建築物実証も開始しました。公式資料では、20年以上の太陽電池研究開発と、薄ガラスを用いた独自のフィルム構造による高耐久性を特徴としています。
判定理由: 自社開発の太陽電池を持ち、複数の実証を継続しているため直接性は高い一方、会社全体に占める比重はまだ限られるためB評価としました。
注目ポイント
- 安城工場での社内実証では、壁面・屋根・系統連系を含む運用評価まで進めています。
- 公共施設での実証開始により、工場内評価から社会実装寄りのステージへ進んでいます。
- 薄ガラスを使った独自フィルム構造を特徴としており、耐久性を意識した開発がわかりやすいです。
- 2028年中期経営計画の資料でも、ペロブスカイト太陽電池の実証実験開始が成長テーマとして言及されています。
注意点
- 自社開発は進んでいますが、本業は自動車部品であり、現時点でペロブスカイト太陽電池が業績を左右する段階ではありません。
- 実証は増えているものの、販売開始時期や事業規模の定量開示は積水化学やカネカほど明確ではありません。
- 施工性、異常管理、経年変化など、実装面の確認項目が多く、量産販売までに検証すべき点が残っています。
- テーマ性の強さから短期的に注目されやすい一方、公開資料で追える事業KPIはまだ限定的です。
参考情報
- 会社公式ニュース「安城工場での社内実証を開始」:構造、検証項目、約30kWの実証規模の確認。
- 会社公式ニュース「愛知県庁西庁舎で軽量ペロブスカイト太陽電池の実証開始」:公共施設での先行実証の確認。
- 2028年中期経営計画:成長テーマとしての位置付け確認。
- 大林組との共同実証リリース:施工・設置方法の共同検証の確認。
AGC(5201)|関連度B
会社概要
建築用ガラス、自動車用ガラス、電子材料、化学品まで持つ総合素材メーカーです。建築分野ではBIPVや既存建物向けの太陽光発電ガラスも手がけており、ペロブスカイト太陽電池の普及では、ガラス・建材・制度整備の側面から存在感があります。
今回のテーマとの関連性
AGCは、パナソニックHDを幹事企業とする「ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発とフィールド実証」コンソーシアムに参画しています。また、自社でも太陽光発電ガラス「サンジュール」を展開し、2024年には既存建物の屋内側から施工できる後付け型を横浜市庁舎で実証開始しました。さらに、屋根置き型、ペロブスカイト型、BIPVなどを評価対象にしたJSA規格では事務局も務めています。
判定理由: ガラス型そのものの主役ではないものの、量産実証のパートナーと建材・標準化の担い手という二面性がはっきりしているためB評価です。
注目ポイント
- ガラス型実証コンソーシアムに参画しており、BIPVの量産・実装フェーズに直接関与しています。
- 「後付けサンジュール」は、既存建物への簡易施工という導入ハードル低下の切り口を持っています。
- JSA規格S1024の事務局を務め、建物の土地有効活用スコアという評価軸づくりにも関わっています。
- 建材・窓まわりの既存顧客基盤があり、ガラス型やBIPV普及時の橋渡し役として見やすい企業です。
注意点
- ペロブスカイト単独の売上や利益の開示は現時点で限定的で、グループ業績との結び付きはすぐには見えにくいです。公開資料の中心が実証・製品・規格の話である点は確認しておきたいところです。
- 建築用途は、発電性能に加えて施工性、改修費用、建材基準適合などの条件が多く、普及テンポが読みづらい面があります。
- ガラス型は海外勢の競争も強い領域で、経産省も競争激化を指摘しています。
- テーマ連想だけで見ると本命に見えやすい一方、実際の立ち位置はガラス・建材側である点を区別したい銘柄です。
参考情報
- AGC公式ニュース「ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発とフィールド実証に着手」:コンソーシアム参画の確認。
- AGC公式ニュース「後付けタイプの太陽光発電ガラス、横浜市庁舎に採用」:既存建物向け改修の確認。
- AGC公式ニュース「JSA規格が発効」:規格策定・普及促進の確認。
日揮ホールディングス(1963)|関連度B
会社概要
エネルギー、化学、医薬、インフラ分野でEPCを強みとする総合エンジニアリング企業です。再エネ分野でも太陽光発電事業に早くから参入しており、次世代太陽電池では「施工法」を軸に関与しています。
今回のテーマとの関連性
日揮HDは、エネコートテクノロジーズのフィルム型ペロブスカイト太陽電池を使った物流施設実証を2024年から開始し、屋根や壁面向けの新たな設置方法を開発してきました。さらに2025年には、フィルム型次世代太陽電池向け施工法「シート工法」がNEDO公募事業に採択されています。公式リリースでは、従来型シリコン太陽電池と比較して約35%の施工コスト削減を目指すとしています。
判定理由: セルメーカーではありませんが、フィルム型の普及で重要になる施工法を押さえており、サプライチェーン上の重要度が高いためB評価としました。
注目ポイント
- 物流施設での国内初実証など、実際の設置現場で知見を積み上げています。
- シート工法は、耐荷重の低い屋根や建物壁面など、従来設置が難しかった場所に向くのが強みです。
- NEDO採択案件では施工コスト約35%削減を目標にしており、導入拡大のボトルネックである施工費に踏み込んでいます。
- フィルム型は施工・運搬・回収を含めた価値創出余地が大きいと経産省も整理しており、その文脈に合う銘柄です。
注意点
- セルやモジュールそのものを製造する会社ではないため、需要の本格化はパートナー製品の普及に左右されます。
- 公開資料の中心は実証案件と施工法で、当面は案件獲得や標準化の進捗を追う必要があります。
- EPC事業は大型案件のタイミングに業績が左右されやすく、テーマだけで連続的な収益成長を想定しすぎない方が見やすいです。これは同社の位置付けが施工段階にあるため、確認しておきたい点です。
- 実証で使われるセル供給元は非上場企業が多く、上場株としては間接的な評価になりやすい面があります。
参考情報
- 会社公式リリース「国内初、物流施設に『ペロブスカイト太陽電池』を設置する実証実験」:実証先と役割の確認。
- 会社公式リリース「シート工法がNEDO公募事業に採択」:施工法、対象設備、コスト目標の確認。
- 会社IR「株式情報」:証券コードと市場区分の確認。
リコー(7752)|関連度B
会社概要
複合機や商用印刷、デジタルサービスで知られる企業ですが、印刷技術を応用したエネルギーデバイス開発も進めています。次世代太陽電池では、有機感光体やインクジェット技術を活かした独自テーマを持っています。
今回のテーマとの関連性
リコーは、インクジェット印刷によるペロブスカイト太陽電池の製造技術を公式に公開しています。技術ページでは、全機能層をインクジェットでパターン印刷することで、レーザー加工や真空蒸着を省き、高生産性と低コスト化を狙うと説明しています。さらに、2025年の東京体育館周辺、2026年の都庁舎・お台場海浜公園では、東京都のAirソーラー事業で庭園灯への実装も進めています。
判定理由: 完成品メーカーというより製造技術と用途実証が中核ですが、量産コストに直結しやすい技術テーマのためB評価としました。
注目ポイント
- インクジェット技術で全機能層を印刷する構想は、装置コスト・工程数の削減余地として注目されます。
- 東京都のAirソーラー事業で、2025年は35台、2026年は41基の庭園灯設置へ進んでいます。
- 低照度や垂直設置など、既存シリコンと異なる用途の見せ方がわかりやすい銘柄です。
- 量産技術だけでなく、公共用途での実装データ収集も進めており、技術と市場開拓を並行しています。
注意点
- 実証は進んでいますが、量産販売規模や収益貢献の定量開示はまだ限定的です。
- 庭園灯のような用途はわかりやすい一方、将来の主戦場が大面積モジュールか小型分散用途かは、まだ見極めが必要です。
- 企業全体では本流事業が別にあるため、テーマ性だけで過度に本命扱いしない方が整理しやすい銘柄です。
- 東京都案件のような実証採択は注目を集めやすい反面、継続受注や量産移行まで確認しておきたい段階です。
参考情報
- 会社技術紹介「インクジェット印刷ペロブスカイト太陽電池」:製造技術の中身の確認。
- 会社リリース「ペロブスカイト太陽電池の実証事業を開始」:東京体育館での実装検証の確認。
- 会社リリース「東京都によるAirソーラー普及拡大の共同事業者に選定」:都庁舎・お台場海浜公園での導入確認。
日本電気硝子(5214)|関連度B
会社概要
特殊ガラスを主力とする素材メーカーで、電子部品、ディスプレイ、光学、宇宙、エネルギーなど多様な用途向けに高機能ガラスを供給しています。ペロブスカイト太陽電池では、基板やカバーとしての超薄板ガラスに強みがあります。
今回のテーマとの関連性
日本電気硝子の公式製品ページでは、超薄板ガラス「G-Leaf」の用途としてペロブスカイト太陽電池を明記しています。G-Leafは200μm以下の超薄板で、100μm以下なら巻き取りも可能、樹脂に比べて高いガスバリア性を持つ素材です。また、宇宙用超薄板カバーガラス「Starveil」でも、ペロブスカイト太陽電池用途を明記し、紫外線遮蔽と高ガスバリア性を訴求しています。
判定理由: 最終製品メーカーではありませんが、基板・カバー・封止補完という重要部材を公式に示しているためB評価です。
注目ポイント
- G-Leafはロールtoロール適用やフレキシブル性を持ち、フィルム型のプロセスと相性が良い部材です。
- 樹脂より高いガスバリア性を持つため、水蒸気や酸素に弱いペロブスカイト太陽電池の弱点に対応しやすいです。
- StarveilやBDX-2では、UV遮蔽による長寿命化も訴求しており、封止まわりの記事展開に使いやすい銘柄です。
- ガラス型だけでなく、フレキシブル用途にもまたがるため、フィルム型・宇宙用途など周辺テーマにも接続しやすいです。
注意点
- あくまで部材供給側であり、最終的な需要の立ち上がりはモジュールメーカーの量産状況に左右されます。
- 同社の製品は他分野にも広く使われるため、ペロブスカイトテーマ単独での業績連動は見えにくいです。
- 樹脂系バリア材など代替材料との競争もあり、採用案件の広がりを個別に追う必要があります。
- ペロブスカイト向け材料としてはわかりやすい一方、株価テーマとしては地味で、市場の注目が一巡しやすい点も見ておきたいところです。
参考情報
- 会社製品ページ「超薄板ガラス:G-Leaf」:用途、フレキシブル性、ガスバリア性の確認。
- 会社製品ページ「宇宙用超薄板カバーガラス:Starveil」:ペロブスカイト用途明記、UV遮蔽の確認。
- 会社ソリューション記事「幅広い光の波長域の透過率を制御したガラスの開発」:BDX-2の長寿命化用途の確認。
保土谷化学工業(4112)|関連度B
会社概要
機能性色素、樹脂原料、有機EL・光デバイス材料などを展開する化学メーカーです。有機・光デバイス材料事業を持ち、ペロブスカイト太陽電池でも材料面から関与しています。
今回のテーマとの関連性
保土谷化学は、2025年3月に「ペロブスカイト太陽電池向け高機能材料を開発」と公式発表しました。内容は、桐蔭横浜大学などとの共同研究により、変換効率と耐久性の向上が期待される正孔輸送材料を開発したというものです。ペロブスカイト太陽電池では、正孔輸送層が性能と耐久性の重要ボトルネックの一つであり、材料採用が進めば部材ポジションとして面白いテーマです。
判定理由: 会社側がペロブスカイト向け高機能材料を明示しており、テーマとの接点は直接的です。ただし現時点では量産採用や売上規模よりも研究開発色が強いためB評価としました。
注目ポイント
- 正孔輸送材料という、性能・耐久性の両面に効く部材を公式に訴求しています。
- 学術誌掲載まで進んでおり、材料性能の裏付けを取りやすいです。
- ペロブスカイト太陽電池の課題である耐久性改善を狙うため、量産化が進むほど材料の重要性が増しやすい分野です。
注意点
- 現時点では研究成果の公表段階で、量産顧客や採用数量までは確認できません。
- 材料メーカーは採用されてから収益化が見えやすく、研究成果だけで業績を先読みしすぎない方がよいです。
- 正孔輸送材料分野は化学設計と知財の競争が強く、商用採用までのハードルも低くありません。
参考情報
- 会社公式発表「ペロブスカイト太陽電池向け高機能材料を開発」:正孔輸送材料、論文掲載の確認。
- 適時開示資料:証券コードと市場区分の確認。
日産化学(4021)|関連度B
会社概要
基礎化学品、機能性材料、農業化学品、医薬分野まで持つ総合化学メーカーです。エネルギー分野では、二次電池、燃料電池、次世代太陽電池材料の開発を行っています。
今回のテーマとの関連性
日産化学の公式事業ページでは、エネルギー材料開発グループが「ペロブスカイト太陽電池材料」として、ホール輸送材と耐久性を向上できるコーティング材料を開発していると明記しています。つまり、ペロブスカイト太陽電池の弱点である寿命・信頼性の改善に直結する材料を狙っている会社です。
判定理由: 公式サイトで製品・材料の方向性が明示されており直接関連はありますが、量産品としての売上開示までは確認できないためB評価です。
注目ポイント
- ホール輸送材とコーティング材の両面から関与しており、材料ポジションが比較的広いです。
- 耐久性改善という量産化で重要な論点を狙っており、技術課題との整合がわかりやすいです。
- 大手化学メーカーとして材料開発の基盤があり、採用先が増えれば横展開しやすい可能性があります。
注意点
- 公式には開発段階の説明が中心で、現時点の売上寄与や主要顧客は確認できる範囲が限られます。
- 材料の良さがそのまま収益化に直結するわけではなく、最終製品メーカー側の採用判断が重要です。
- 大手化学株としては、ペロブスカイト単独テーマより本業全体の市況や製品構成の影響も大きい点に注意したいところです。
参考情報
- 会社公式ページ「エネルギー分野」:ホール輸送材、コーティング材の開発確認。
- 会社IR「株式基本情報」:証券コード・市場区分の確認。
- 2026年2月の適時開示:東証プライム・4021の確認。
MORESCO(5018)|関連度C
会社概要
特殊潤滑剤、ホットメルト接着剤、エネルギーデバイス材料などを展開する化学メーカーです。エネルギーデバイス材料事業では、有機デバイス向け封止材やガス・水蒸気透過度測定装置、有機薄膜太陽電池などを手がけています。
今回のテーマとの関連性
MORESCOは、2024年10月の公式更新情報で、桐蔭横浜大学・宮坂力教授のペロブスカイト太陽電池実証で、自社の封止技術が使われていると明記しました。さらに統合報告書では、教授が立ち上げたコンソーシアムに参加し、封止材を提供して2026年以内の実用化に貢献していく方針も示しています。封止材と透過度測定装置は、耐久性を左右する重要な部位です。
判定理由: 接点は明確ですが、完成品メーカーではなく、売上規模も限定的とみられるためC評価です。思惑で名前が先行しやすいタイプでもあります。
注目ポイント
- 実証機に自社封止技術が使われていることを会社自身が明記しています。
- 透過度測定装置も展開しており、材料だけでなく評価・品質管理ツールでも接点があります。
- 封止材は耐久性のコア論点であり、量産化が進むほど必要性が高まる領域です。
注意点
- テーマ売上の定量感はまだ見えず、株価だけが先に動きやすい銘柄です。公開資料では研究・新規事業の色合いが強い点を確認したいところです。
- 同社は有機デバイス全般を扱っており、ペロブスカイト太陽電池だけに依存する事業構造ではありません。
- 小型案件や研究用途が先行すると、収益インパクトが見えにくい期間が長くなる可能性があります。
参考情報
- 会社公式更新情報「ペロブスカイト太陽電池 実証実験のおしらせ」:封止技術採用の確認。
- 統合報告書2024:封止材、透過度測定装置、コンソーシアム参加の確認。
- 最新適時開示:5018・東証スタンダードの確認。
大林組(1802)|関連度C
会社概要
国内外で建築・土木・開発を展開する大手ゼネコンです。再エネやグリーンエネルギー分野にも取り組んでいますが、ペロブスカイト太陽電池では「施工法・保守性・建物適用」の面から関与しています。
今回のテーマとの関連性
2025年6月、大林組はアイシンと共同で、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた実証実験を開始しました。内容は、交換が容易なファスナー取り外し式工法の開発と、年間発電量を最大化する設置方法の検証です。セルの製造ではなく、建物にどう載せ、どう保守し、どう交換するかという施工の現場側に立つ銘柄として見られます。
判定理由: 関連性は明確ですが、事業インパクトは建設本業の中では小さく、テーマとの距離も一段遠いためC評価としました。
注目ポイント
- 交換容易な施工法は、長期運用や保守コストの観点で重要な論点です。
- 建物使用中でも交換しやすい仕組みを検証しており、実装後のメンテナンスまで視野に入っています。
- 壁面・屋根・インフラ構造物への適用を視野に入れており、施工テーマとして記事に差別化をつけやすいです。
注意点
- 同社はセルや部材のメーカーではなく、普及恩恵は建設需要の一部として現れる可能性が高いです。
- 実証段階のため、受注化や案件拡大のタイミングはまだ見えません。
- 本業規模が非常に大きく、ペロブスカイト関連だけで業績を読み解くのは難しい銘柄です。
参考情報
- 会社公式ニュース「大林組とアイシン、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた実証実験を開始」:施工法と設置方法の確認。
- 最新適時開示:1802・東証プライムの確認。
今回は除外・参考扱いとした銘柄
| 会社名 | 理由 |
|---|---|
| NTTデータグループ | 積水化学との実証連携先としては重要でしたが、2025年9月26日付で東証プライム上場廃止となっているため。 |
| TOPPANホールディングス | 太陽光発電パネル向け加飾フィルムは確認できる一方、確認時点の一次情報ではペロブスカイト太陽電池との直接性がまだ弱く、今回は参考扱いにしました。 |
| 大日本印刷 | 太陽光発電所向け反射シートなど周辺製品は確認できましたが、ペロブスカイト太陽電池の中核サプライチェーンとしての一次情報は限定的でした。 |

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