国産SAF関連銘柄を日本株で整理すると、まず本命に近いのは、実際に供給を始めたコスモエネルギーHDと日揮HD、そして大型設備を計画するENEOSと出光興産です。サプライチェーン上で重要なのは、千代田化工建設のようなEPC、日本製紙やJ-オイルミルズ、TOPPANホールディングスのような原料・前処理企業です。一方、Green Earth Instituteやひとまいるは、テーマとの接点はあるものの、実証段階や回収網段階で思惑先行になりやすいため、設備能力、供給開始時期、補助採択、顧客の有無を丁寧に確認したいところです。今後は、原料多様化がどこまで進むか、実証が商用化へ移るか、そして各社が国産SAFをどこまで継続的な業績ドライバーとして開示していくかが重要な観察点になります。
本ブログに掲載している情報は、筆者の個人的な見解および情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報に基づいて生じたいかなる損失についても責任を負いかねます。投資判断はご自身の責任において行ってください。
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国産SAFとは何か 日本の航空燃料サプライチェーンと2030年目標をやさしく解説 | ブルの道、馬の蹄跡
テーマの整理
テーマの概要
SAFは「Sustainable Aviation Fuel」の略で、航空分野の脱炭素で中心的な役割を担う代替燃料です。日本では、政府が2030年時点で本邦航空会社による燃料使用量の10%をSAFに置き換える目標を掲げ、国土交通省資料では2030年の国内利用見込みを172万kLと試算しています。サプライチェーンを見ると、単に「SAFを作る会社」だけでは足りません。原料となる廃食油や非可食油脂、木質バイオマス、古紙などの確保、前処理、精製、混合、品質認証、輸送、空港供給までを一体で組む必要があります。代表的な製法も、廃食油などを水素化処理するHEFA、バイオエタノールからジェット燃料に転換するATJ、木質バイオマスなどから合成ガス経由で作るFTなど複数あります。つまり、国産SAF関連銘柄を日本株で探すときは、製油会社だけでなく、原料会社、廃食油回収網、プラント会社まで広く見る必要があります。
なぜ今注目されているのか
足元で注目度が上がっている理由は、政策と供給不足が同時に進んでいるためです。日本では2025年に資源エネルギー庁がSAFの製造・供給体制構築支援事業を進め、国内大規模設備投資を後押ししています。海外ではEUのReFuelEU Aviationが2025年にSAF比率2%、2030年に6%を求める枠組みを進めています。一方、IATAによると2024年の世界のSAF生産量は100万トンで、世界のジェット燃料生産の0.3%にとどまり、製法は今後5年でHEFAが約80%を占める見通しです。つまり、需要は制度で押し上げられる一方、供給はまだ不足気味で、しかも原料が廃食油に偏りやすい。国内で原料多様化や供給網整備が進む銘柄が注目されやすい局面です。
日本株で関連銘柄を選ぶ視点
日本株で国産SAF関連銘柄を選ぶときは、まず「設備能力・供給開始時期・役割」が公式資料で明記されているかを確認したいところです。次に、原料が廃食油だけなのか、木質バイオマスや古紙、非可食油脂まで広がっているのかを見ると、将来の供給制約を見分けやすくなります。さらに、企業全体の中でその事業がどこまで重要かも大切です。実際にSAF供給を始めた元売はAに近く、EPCや原料前処理はB、収集網や要素技術のみで売上寄与が読みにくい企業はCと考えると整理しやすくなります。「会員参加」「実証参加」だけでなく、数量・時期・投資・顧客が確認できるかが、思惑先行を避ける基本線です。
関連銘柄一覧
| No. | 関連度 | 証券コード | 会社名 | 市場区分 | 関連する理由 | 注目ポイント | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | A | 5021 | コスモエネルギーホールディングス | プライム | 国内初の国産SAF量産供給を開始し、ATJ案件も別途進める中核企業です。 | 堺プラントの実供給と、次段のATJ投資案件を両にらみで見られます。 | 現在の量産能力は需要全体から見るとまだ小さく、原料確保が重要です。 |
| 2 | A | 1963 | 日揮ホールディングス | プライム | SAFFAIRE SKY ENERGYの共同設立企業で、廃食油回収から供給までの全体構築を主導しています。 | 実際に稼働した国内SAF供給網の司令塔的な立場です。 | 自社で燃料を売る企業ではなく、業績寄与の追跡には案件進捗の確認が必要です。 |
| 3 | A | 5020 | ENEOSホールディングス | プライム | 輸入SAF供給を始め、和歌山で40万kL規模の自社製造を目指す元売大手です。 | 輸入から国産量産までの両輪があり、規模感が大きい点が見どころです。 | 大型設備は2028年度以降の計画で、近い将来の寄与を急ぎすぎない見方が必要です。 |
| 4 | A | 5019 | 出光興産 | プライム | 徳山でHEFA製造を進め、2030年に国内50万kL供給を目指すと明示しています。 | 25万kL級の徳山案件と原料多様化の動きが確認しやすい銘柄です。 | 計画の本格寄与は先で、原料調達と設備実装の進捗確認が欠かせません。 |
| 5 | B | 6366 | 千代田化工建設 | スタンダード | 出光の徳山SAF製造装置の基本設計業務を受注したEPC関連銘柄です。 | 顧客案件がEPC本体へ進むかどうかが重要な観察点です。 | 現時点の開示はFEED段階中心で、フルEPC化はまだ確定ではありません。 |
| 6 | B | 3863 | 日本製紙 | プライム | 木質バイオマス由来のバイオエタノールで森空プロジェクトを進める原料・実証拠点企業です。 | 国産木材という差別化原料を押さえ、実証プラント計画まで進んでいます。 | 収益化はエタノール段階から先のサプライチェーン整備に左右されます。 |
| 7 | B | 2613 | J-オイルミルズ | プライム | 非可食植物油からASTM適合のニートSAF生成を示した原料開発銘柄です。 | 廃食油以外の油脂原料という供給制約対策が見どころです。 | 実証段階のため、量産原料の確保と事業化速度は慎重に見たいところです。 |
| 8 | B | 7911 | TOPPANホールディングス | プライム | 難再生古紙の前処理と調達ルート構築で、ENEOSのバイオエタノール案件を支えています。 | 古紙由来エタノールのパイロットプラントが具体化しています。 | 商用化は2030年度以降を見込むため、短期寄与は読みづらいテーマです。 |
| 9 | B | 6330 | 東洋エンジニアリング | プライム | FT法・e-fuel/SAF技術を持ち、木質系SAF実証と商業規模検討に関与しています。 | 製造技術と商業化検討の両方を持つプラント銘柄として見られます。 | 現時点では直近業績との連動が見えにくく、技術テーマ先行になりやすい面があります。 |
| 10 | C | 9212 | Green Earth Institute | グロース | 森空プロジェクトで木質バイオマス由来エタノール技術を担うバイオベンチャーです。 | 技術的な中核性は高い一方、将来計画の比重が大きい点が特徴です。 | 小型グロース株で、実証・商業化の節目ごとに思惑が振れやすい銘柄です。 |
| 11 | C | 7686 | ひとまいる | スタンダード | 家庭・飲食店からの廃食油回収を始めた物流・回収網の周辺銘柄です。 | 廃食油回収量を開示しており、収集インフラの広がりを追えます。 | 燃料製造そのものではなく、SAFテーマが業績全体へ与える影響は限定的です。 |
銘柄別解説
コスモエネルギーホールディングス(5021)|関連度A
会社概要
コスモエネルギーホールディングスは、石油精製・販売、再生可能エネルギー、石油開発を抱える持株会社です。SAFテーマでは、グループ会社のコスモ石油とコスモ石油マーケティングが前面に出ており、製油所アセット、燃料品質管理、物流網、販売先との接点を持つ点が強みです。市場区分は東証プライムです。
今回のテーマとの関連性
同社は日揮HD、レボインターナショナルとともにSAFFAIRE SKY ENERGYを立ち上げ、堺製油所構内で100%廃食油を原料とする年間約3万kLの国内SAF量産設備を完工し、2025年4月から国際基準に準拠したSAFの供給を開始しました。加えて、2025年2月には三井物産と共同検討中のバイオエタノール原料のSAF-ATJ製造事業も補助事業に採択されています。A判定の理由は、実際の供給開始と次段の増設テーマが公式資料で確認できるためです。
注目ポイント
- 2025年4月から、国内初の国産SAF量産供給を開始した点は、テーマの実在性を確認しやすい材料です。
- 堺の廃食油系HEFAだけでなく、ATJ案件も別ラインで進めており、原料多様化を図っている点が注目されやすいところです。
- サービスステーションや自治体との連携で家庭系廃食油の回収を広げており、原料確保をサプライチェーン側から補強しています。
注意点
- 堺プラントの年間約3万kLは実証から量産への大きな一歩ですが、2030年の国内利用見込み172万kLとの比較ではまだ小さい規模です。
- HEFAは世界でも主流で、廃食油や獣脂の獲得競争が起きやすいため、原料価格や調達量の変動に注意して見たいテーマです。
- 会社全体では石油・再エネ・開発事業の比重が大きく、確認できる範囲ではSAF単独の損益寄与を四半期ベースで追いにくい点があります。
参考情報
- 会社公式サイト・Vision 2030:国産SAF供給開始と供給目標の確認。
- 2025年1月・3月・7月の公式リリース:設備完工、供給開始、羽田供給の確認。
- 2025年2月の公式リリース:SAF-ATJ製造事業の補助採択確認。
日揮ホールディングス(1963)|関連度A
会社概要
日揮ホールディングスは、エネルギー・化学・インフラ分野に強いエンジニアリンググループの持株会社です。国内外の大型プラントで実績があり、SAFテーマでは単なるEPC請負にとどまらず、サプライチェーン構築の設計役まで担っている点が特色です。市場区分は東証プライムです。
今回のテーマとの関連性
同社はコスモ石油、レボインターナショナルとともにSAFFAIRE SKY ENERGYを設立し、廃食油の収集からNeat SAF製造、認証、供給までのチェーン構築を主導しています。2025年4月から主要航空会社などへの供給が始まり、自治体・小売・エネルギー会社との連携で家庭系廃食油回収も広げています。A判定の理由は、国内初の国産SAFサプライチェーンを実際に回し始めた中核企業だからです。
注目ポイント
- 「どこで原料を集め、どこで作り、どう認証し、誰に届けるか」という全体設計に関わっている点が最大の注目ポイントです。
- 堺市、イオンモール、岩谷産業などとの連携で、家庭系廃食油の回収網を拡張している点は供給安定化に直結します。
- 供給したSAFはISCC CORSIA・ISCC EU認証を取得しており、事業化の実務面を確認しやすい企業です。
注意点
- 日揮HDは燃料販売会社ではなく、SAF単体の業績寄与は案件進捗・JV実績を丁寧に確認する必要があります。
- 量産供給が始まったとはいえ、現時点の主力は年間約3万kL級で、国内全体の需要見通しと比べると拡張余地が大きい段階です。
- 原料回収網の拡大や自治体連携は強みですが、回収量の積み上がりがボトルネックになる可能性があります。
参考情報
- 会社公式サイト:株式情報、上場市場の確認。
- 2025年4月の公式リリース:岩谷産業参加と国内SAFサプライチェーン構築の確認。
- 2024年11月・2025年4月・2025年9月の公式リリース:堺市連携、供給開始、認証・供給実績の確認。
ENEOSホールディングス(5020)|関連度A
会社概要
ENEOSホールディングスは、石油精製・販売、機能材、電気、再エネなどを傘下に持つエネルギー企業です。SAFでは、まず輸入販売で国内供給を始め、そのうえで和歌山製造所での大規模国産化も進めるという二段構えを採っています。市場区分は東証プライムです。
今回のテーマとの関連性
同社は2024年度に国内石油元売として初めてSAFの輸入を開始し、10社以上の航空会社へ供給を行いました。また、和歌山製造所では廃食油・獣脂などを原料に、2028年度以降に年間約40万kLのSAF製造を目指す計画を示しています。2025年2月には当該設備が補助採択を受け、古紙由来バイオエタノールでもTOPPANと実証を進めています。A判定の理由は、輸入供給の実績と大型国内設備の公式計画が両方確認できるためです。
注目ポイント
- すでに輸入SAFで国内供給を始めており、「計画だけ」で終わっていない点が強みです。
- 和歌山では40万kL級という大きな製造計画を掲げており、国内需給に対する存在感が大きい候補です。
- 廃食油・獣脂だけでなく、古紙由来のバイオエタノール事業も進めており、原料分散を意識した動きが見えます。
注意点
- 国産の大型製造設備は2028年度以降の計画で、直近の収益寄与を読み切るには早い段階です。
- HEFA中心の供給は原料競争の影響を受けやすく、調達条件の変化に注意して見たいところです。
- 確認できる範囲では、決算資料でSAF単独の売上・利益を独立開示しておらず、全社業績とのつながりを追うには案件ごとの進捗確認が必要です。
参考情報
- 会社公式サイト・イノベーションページ:SAF事業方針、輸入・自社製造方針の確認。
- 2025年2月・5月の公式リリース:補助採択、中期経営計画の確認。
- 2024年3月・2025年7月の公式リリース:TOPPANとの古紙バイオエタノール実証確認。
出光興産(5019)|関連度A
会社概要
出光興産は、燃料油、基礎化学品、高機能材、電力・再エネ、資源などを展開する総合エネルギー企業です。既存製油所や物流、燃料品質管理、石油化学との一体運営の知見を生かしながら、SAF供給網の構築を進めています。市場区分は東証プライムです。
今回のテーマとの関連性
同社は2030年に年間50万kLの国内供給体制構築を掲げ、徳山事業所ではHEFA技術で年間25万kLのSAF生産を2028年度から開始することを目指しています。2025年2月にはGX移行債を活用した支援の採択も受けました。さらに、ポンガミアの試験植林など原料多様化も進めています。A判定の理由は、生産能力・時期・原料戦略が公式資料で具体的に示されているためです。
注目ポイント
- 徳山の25万kL計画は、国内供給力として規模感がわかりやすい案件です。
- 2030年に50万kL供給を掲げており、Aランクの中でも数量目標が明確です。
- 廃食油だけでなく、将来的にはポンガミアなども含む原料多様化を進めている点は供給制約対策として注目できます。
注意点
- 大型量産の本格寄与は2028年度以降の計画で、現時点では将来案件の色合いが強いです。
- HEFAは廃食油・油脂原料の調達競争に左右されやすく、計画実現性を見るうえで原料確保が重要です。
- 確認できる範囲では、SAF関連の開示はプロジェクトベースが中心で、業績への寄与額を定点観測しにくい点があります。
参考情報
- 会社公式サイト:SAFキーワードページ、事業内容の確認。
- 2024年8月・2025年2月の公式リリース:徳山HEFA案件、補助採択の確認。
- 2025年1月の公式リリース:ポンガミア試験植林と原料戦略の確認。
千代田化工建設(6366)|関連度B
会社概要
千代田化工建設は、LNG、石油、石油化学、脱炭素設備に強みを持つプラントエンジニアリング会社です。国内外で大型案件を手掛けてきた実績があり、既存製油所や化学設備の改造・新設に強いのが特徴です。市場区分は東証スタンダードです。
今回のテーマとの関連性
同社は出光興産の徳山事業所を対象にしたSAF製造装置導入の基本設計業務を受注し、現行の会社開示でも遂行中であることが確認できます。つまり、SAFそのものを売る企業ではありませんが、設備実装フェーズで重要な位置にいます。B判定の理由は、役割が明確なサプライチェーン企業である一方、現時点では基本設計段階が中心だからです。
注目ポイント
- 出光の徳山SAF案件で正式に基本設計業務を受注しており、テーマとの接点が一次情報で確認しやすいです。
- 石油・石油化学設備で培った設計力は、既存製油所改造型のSAF案件との相性が良いと見られます。
- 今後、案件がFEEDからEPC本体へ進むかどうかが中長期の注目点になります。
注意点
- 現在確認できる役割は基本設計であり、フルEPCや完工収益まで見通せる段階ではありません。
- 顧客側の最終投資判断や補助制度の進み方で、後工程の受注確度は変わり得ます。
- SAFは同社の多数ある脱炭素案件の一つであり、短期的にテーマ一本で評価しすぎない見方が必要です。
参考情報
- 会社公式サイト:SAF製造装置案件ページの確認。
- 2024年12月の公式リリース:出光向け徳山SAF製造装置導入基本設計業務の受注確認。
- 2025年3月期第3四半期短信・2026年3月期経営現況報告:案件継続の確認。
日本製紙(3863)|関連度B
会社概要
日本製紙は、紙・板紙、生活関連、木質資源活用を柱とする総合バイオマス企業です。製紙会社としてのセルロース知見と、国内木材サプライチェーンの接点を持つことから、SAF向けのバイオエタノール原料開発で独自色があります。市場区分は東証プライムです。
今回のテーマとの関連性
同社は住友商事、GEIとともに「森空プロジェクト」を推進し、木質バイオマス由来のバイオエタノールを用いた純国産SAF実現を目指しています。2025年にはJAL、エアバスも加わり、岩沼工場内の実証プラントを軸に商業化検討が進みました。B判定の理由は、最終燃料ではなく中間原料であるバイオエタノール側の中核だからです。
注目ポイント
- 廃食油以外の有力原料として、国産木材由来エタノールを押さえている点が大きな差別化です。
- JAL、エアバスまで巻き込んだ体制になっており、需要側との接続が見えてきています。
- 実証プラントから商用化へ進めば、木材利用拡大と脱炭素の両面でテーマ性が高まります。
注意点
- 日本製紙が直接販売するのは主にバイオエタノール想定で、最終的なSAF化は下流サプライチェーンの整備に左右されます。
- 実証から商用化まで時間がかかる案件で、2030年に向けた段階的な進展を追う必要があります。
- 国産材の認証適合や大量生産コストなど、量産前に確認したい論点がまだ残ります。
参考情報
- 2025年2月・3月の公式リリース:森空プロジェクト体制と提携先拡大の確認。
- 2025年4月の研究所説明会資料:実証量・商用化タイムラインの確認。
- 会社公式サイト・ACT FOR SKY関連リリース:木質SAF戦略の確認。
J-オイルミルズ(2613)|関連度B
会社概要
J-オイルミルズは、食用油や油脂加工品を手掛ける食品メーカーで、搾油・精製の技術蓄積が厚い企業です。通常は食品株として見られますが、SAFテーマでは「油脂をどう安定的に調達し、どう精製するか」という原料側の知見がポイントになります。市場区分は東証プライムです。
今回のテーマとの関連性
同社はNEDO事業で、食用に適さないテリハボクやポンガミアの種子から搾油・精製した油脂を使い、国際品質規格ASTM D7566 Annex A2に適合するニートSAFの生成に成功しました。2025年3月には太陽石油・JTAと連携して国産SAFフライトも実施しています。B判定の理由は、原料・精製技術で直接関わる一方、量産事業化はまだこれからだからです。
注目ポイント
- 廃食油依存を和らげる非可食植物油という選択肢を提示している点が大きな見どころです。
- 食用油メーカーとしての搾油・精製ノウハウを、そのままSAF原料処理に応用している点は理解しやすい強みです。
- 実際にニートSAFを生成し、フライト実証まで進んだことで、技術の実在性を追いやすくなりました。
注意点
- 現時点では研究・実証の色合いが強く、食品本業に対してテーマ寄与が大きい段階ではありません。
- 非可食植物の安定供給量や栽培・収穫体制は、商業化に向けてまだ確認したい点が多いです。
- 最終的な混合・供給は太陽石油など下流側の整備にも依存するため、単独で完結するテーマではありません。
参考情報
- 2025年1月・3月の公式リリース:ニートSAF生成成功、フライト実施の確認。
- 2025年統合報告書:SAF研究開発の位置づけ確認。
- 会社公式特設コンテンツ:非可食植物油の原料戦略の確認。
TOPPANホールディングス(7911)|関連度B
会社概要
TOPPANホールディングスは、情報・生活・エレクトロニクス分野を抱える大手持株会社です。SAFとの距離は一見遠く見えますが、難再生古紙の前処理や調達ネットワークを事業化できれば、セルロース系バイオエタノールの入口を握る企業として意味を持ちます。市場区分は東証プライムです。
今回のテーマとの関連性
同社はENEOSと共同で、難再生古紙を原料とした国産バイオエタノール事業を進めています。TOPPAN側の役割は、難再生古紙から不要物を除去して繊維分の豊富な原料にする前処理プロセスの開発と、幅広い顧客ネットワークを通じた原料調達ルートの構築です。2025年には日本製紙富士工場内でパイロットプラント建設に着手しました。B判定の理由は、サプライチェーン上の原料前処理・調達で重要な役割を持つためです。
注目ポイント
- 古紙を「燃やす」ではなく、エタノール経由で燃料原料化するルートは、廃食油不足の代替策として注目できます。
- パイロットプラントの稼働開始予定が示されており、計画の具体性を追いやすい案件です。
- 同社の原料調達ネットワークが古紙回収ルート構築に生きるかが見どころになります。
注意点
- 事業の商用化目標は2030年度以降で、近い将来の業績寄与には距離があります。
- 同社が直接売るのは前処理・原料側であり、最終SAF販売とは距離があります。
- 会社全体としては事業ポートフォリオが広く、テーマの見られやすさの割に業績インパクトは限定的になりやすい点に注意したいです。
参考情報
- 2024年3月・2025年7月の公式リリース:ENEOSとの共同開発契約、パイロットプラント建設着手の確認。
- 会社公式ニュースルーム:前処理プロセスと調達ルート構築の役割確認。
- JPX掲載情報:市場区分の確認。
東洋エンジニアリング(6330)|関連度B
会社概要
東洋エンジニアリングは、化学・エネルギー・インフラ分野のプラントエンジニアリングを手掛ける企業です。独自技術と外部技術を組み合わせた案件開拓に強く、脱炭素分野ではe-fuel・SAFを重点テーマの一つとして掲げています。市場区分は東証プライムです。
今回のテーマとの関連性
同社はNEDO事業で、木くず等を原料にするガス化FT合成によるSAF製造技術開発に参画し、2021年には製造したSAFがJAL定期便に供給されました。その後も、JERA・三菱パワー・伊藤忠などと商業規模のSAF製造実証およびサプライチェーン構築事業を進めています。B判定の理由は、製造技術・装置面で直接性がある一方、現時点では近い将来の量産業績にまだ距離があるためです。
注目ポイント
- 木質バイオマスや都市ごみ、CO2由来燃料まで視野に入るFT系の技術ポジションを持っています。
- 2021年に実際の定期便供給まで到達しており、研究室段階ではないことが確認できます。
- 商業規模検討では、原料調達・製造・販売を含むチェーン全体の設計に関与しています。
注意点
- 現時点で見えているのは技術・検討案件が中心で、直近の大型受注や収益との連動はまだ読みづらいです。
- HEFA、ATJ、FT、e-fuelの競争の中で、どの製法がどこまで商業化されるかは今後の論点です。
- 技術開発色が強いテーマでは、ニュースの見出しだけで評価が先行しやすい点に注意したいです。
参考情報
- 会社公式ソリューションページ:e-fuel・SAFの位置づけ確認。
- 2021年6月・8月の公式リリース:定期便供給、商業規模検討の確認。
- 2023年事業戦略説明会資料:FT・合成燃料の技術展開確認。
Green Earth Institute(9212)|関連度C
会社概要
Green Earth Instituteは、バイオものづくり技術を手掛ける研究開発型企業で、上場市場は東証グロースです。規模としては大企業ではありませんが、木質バイオマス由来のバイオエタノール開発では独自技術を持ち、森空プロジェクトの中核メンバーとして名前を確認できます。
今回のテーマとの関連性
同社は、日本製紙・住友商事とともに森空プロジェクトを推進し、木質バイオマスを原料とした低炭素・低コストのバイオエタノール生産技術を提供する立場です。2025年時点の公式リリースでは、岩沼での実証プラント建設と2030年の商用化を目指す計画が示されています。C判定の理由は、技術的な関与は直接的でも、事業規模・商業化段階の面で思惑が先行しやすいためです。
注目ポイント
- 森空プロジェクトで「発酵・バイオものづくり技術」を担う役割が明確です。
- JALやエアバスが加わったことで、技術が需要側とつながり始めている点は見逃しにくいです。
- 実証プラントの節目が近づくたびに、テーマ性が再評価されやすい銘柄といえます。
注意点
- グロース市場の小型株で、実証・提携・補助金ニュースで値動きが振れやすいタイプです。
- 商用化は将来計画であり、現時点で大規模収益化を織り込みすぎない見方が必要です。
- SAFテーマ以外の開発案件も多く、確認できる範囲ではSAF単独の業績寄与を切り出して把握しにくい点があります。
参考情報
- 2025年3月・10月の公式リリース:森空プロジェクト拡大、JAL出資、実証プラント計画の確認。
- 会社公式ニュース一覧:森空関連の継続開示確認。
- JPX掲載情報:東証グロースの確認。
ひとまいる(7686)|関連度C
会社概要
ひとまいるは、旧カクヤスグループで、2025年7月1日に社名変更した物流・小売系企業です。酒類販売で知られますが、自社配送網を活用した「届ける」と「回収する」の両面を持つのが特徴で、SAFテーマでは廃食油の回収インフラ側で名前が挙がります。市場区分は東証スタンダードです。
今回のテーマとの関連性
同社は2024年から家庭や飲食店の廃食油回収サービスを開始し、回収油をSAF等へ再資源化する取り組みを進めています。公式開示では、2024年6月から2025年3月までの累計回収量が約120トンとされています。C判定の理由は、サプライチェーンの入口に位置する一方、燃料製造や精製の中核企業ではなく、業績インパクトも限定的と見られるためです。
注目ポイント
- 家庭・飲食店向けの自社配送網を、そのまま廃食油回収に転用できる点はユニークです。
- 回収量を開示しており、テーマの「入口」である原料回収の実態を追いやすい銘柄です。
- 国産SAFテーマが、製油所やプラントだけでなく回収インフラまで広がることを理解するうえでわかりやすい事例です。
注意点
- 燃料の製造・精製・販売を担う企業ではなく、あくまで周辺恩恵銘柄として見るのが妥当です。
- 120トンという回収量は意義ある数字ですが、国全体のSAF需要規模と比べるとまだ小さく、テーマの広がりを示す段階です。
- 社名変更直後の企業でもあり、テーマ株として見る際は本業の成長戦略と切り分けて考える必要があります。
参考情報
- 2024年5月・6月の公式リリース:廃食油回収サービス開始の確認。
- 会社公式サステナビリティ・トップメッセージ:累計回収量、社名変更の確認。
- JPX掲載情報:社名・市場区分の確認。
今回は除外・参考扱いとした銘柄
| 会社名 | 理由 |
|---|---|
| 住友商事 | 森空プロジェクトの中核パートナーですが、総合商社全体の中でSAF関連寄与を一次情報から切り分けにくいため、今回は参考扱いにしました。 |
| 三井物産 | コスモ石油のATJ事業で重要なエタノール調達機能を担いますが、親会社業績への直結性を現時点で定量把握しにくいため採用を見送りました。 |
| 岩谷産業 | 国産SAFサプライチェーン構築に参加していますが、現時点では回収網・周辺連携の色合いが強く、記事の中核企業としては一段落ちると判断しました。 |
| 太陽石油 | J-オイルミルズ由来ニートSAFの混合・供給や沖縄SAF設備で重要ですが、非上場企業のため参考扱いです。 |
| 富士石油 | 2026年1月20日付で上場廃止済みのため、今回の「日本の上場企業のみ」という条件から除外しました。 |

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