世界の食文化と日本の食文化をくらべよう 健康(けんこう)とやさしさ(ふくし)につながる学び

食文化(しょくぶんか)は、食べもの・食べ方・食のきまりなどの「くらしの習慣」です。
世界では「食べものが足りない」ことと「食べすぎ・かたより」の両方が問題になっています。
ちがいを知ると、健康と、いっしょに生きるやさしさ(ふくし)に気づけます。

食文化ってなに?

食文化(しょくぶんか)とは、「その国や地域で、ふつうだと思われている食のしかた」のことです。
食べものだけではありません。

たとえば、食文化には、だいたい次のようなものが入ります。
まず「分ける(わける)」してみましょう。

一つ目は、何を食べるか。
主食(しゅしょく:おなかを満たす中心の食べもの)です。
米、パン、めん、いも、とうもろこし、などです。

二つ目は、どう食べるか。
家族で食べるのか。
だれかが作って、みんなで分けるのか。

三つ目は、食の「きまり」。
宗教(しゅうきょう:心のよりどころにしている教え)や、考え方で、食べないものがあることもあります。

四つ目は、「食を大事にする気もち」。
たとえば日本の「和食(わしょく)」は、季節(きせつ)や行事(ぎょうじ)、身近(みぢか)な食材(しょくざい)を大事にする、と説明されています。
地中海(ちちゅうかい)の食文化では、「いっしょに食べること」自体が大事だと説明されています。

ここで「つなげる」を一回。
気候(きこう)や土地(とち)→とれる作物(さくもつ)→よく食べる料理(りょうり)。
こうつながって、食文化ができていきます。

考えてみよう:きみの家の「当たり前の食べ方」は、どれですか。時間、場所、だれと食べるか、もふくめて考えてみましょう。
家族・友だちと話そう:「うちの朝ごはん、何が多い?」と聞いて、ちがいを見つけてみましょう。
やってみよう:一週間で一回、「食べる前にメニューを見て、食材を三つさがす」ミッションをやってみましょう。

どうして今、世界の食文化が話題なの?

今、世界では食について、二つのちがう困りごとが同時にあります。
「分ける」で見てみましょう。

一つ目は、食べものが足りない、または安定して手に入らないことです。
2024年(にせんにじゅうよねん)は、世界の人の100人のうち8人くらいが「空腹(くうふく)」だとまとめられています。
人数にすると、6億人以上です。

二つ目は、食べすぎや、甘い飲みもの・しょっぱい食べものが多いことです。
子どもでも「太りすぎ(ひまん)」が増えている、と世界保健機関(WHO)はまとめています。

そして、この二つは、ただの「それぞれの国の問題」ではありません。
食べものの値段(ねだん)が上がると、安くてかんたんな食べものによりやすくなることがあります。
戦争(せんそう)や気候の変化(へんか)も、食べものが手に入りにくくなる原因(げんいん)になります。

ここで「くらべる」。
食文化は楽しいもの。
でも、食べものの環境(かんきょう)が変わると、健康や生活がこわれることもあります。

安心できる調べ方のコツ(1回だけ)

ニュースやネットで見たときは、ここを見ましょう。
「だれが/いつ/何を調べたか」です。
たとえば世界保健機関(WHO)や国連食糧農業機関(FAO)のような公(おおやけ)の組織(そしき)のまとめは、土台(どだい)になりやすいです。

考えてみよう:「食べもののニュース」で、きみが最近聞いた言葉は何ですか。よいニュース?こわいニュース?
家族・友だちと話そう:「その情報、だれが出してる?」を合言葉にして、出どころをいっしょにさがしてみましょう。
やってみよう:家の中で一つだけ、食品(しょくひん)のパッケージを見て、「いつ」「どこで」「何でできた」が書いてある場所をさがしましょう。

日本ではどうしてる?

日本では、食を「学び」と「健康」と「くらし」の大事なものとして、いくつかのしくみがあります。

まず、法律(ほうりつ)です。
日本には「食育基本法(しょくいくきほんほう)」があります。
食は命の源(みなもと)で、食育(しょくいく:食べる力を育てる学び)は、生きる上での基本だ、と考え方が書かれています。
この法律にもとづいて、国は「食育推進基本計画(しょくいくすいしんきほんけいかく)」を作ります。

今の計画の一つ(第4次)では、次のようなことが大事だと示されています。
たとえば「家での食育」「学校給食での地場産物(じばさんぶつ:その地域でとれた食べもの)」「みんなで食べる(共食=きょうしょく)」「貧困(ひんこん:お金などが足りず困っている状態)の子どもへの食育」「食品ロスをへらす」などです。

次に、ガイド(目安)のしくみです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(しょくじせっしゅきじゅん)」は、年れいや体のちがいに合わせて、栄養(えいよう)の目安をまとめています。
また、食生活のヒントとして「食生活指針(しょくせいかつししん)」があり、2026年に見直しがされています。

そして、学校給食(きゅうしょく)です。
日本の学校給食は「学校給食法」により、安全で栄養バランスのよい給食を出すことが定められています。
給食は、栄養だけでなく「食の学び(生きた教材=きょうざい)」だとも説明されています。

ここで「つなげる」。
法律や計画(ルール)→学校や家の行動(給食、食育)→健康や生活がととのう。
こういうつながりをねらっている、と考えられます。

考えてみよう:給食は「おなかを満たす」以外に、何を育てようとしていると思いますか。
家族・友だちと話そう:「給食で学べることって何?」をテーマに、三分だけ話し合ってみましょう。
やってみよう:学校や家で「今日の給食(または夕ごはん)の食材は、どこから来た?」を一つ調べて、メモしましょう。

世界ではどうしてる?

世界でも、「食文化を大事にする」ことと「健康や福祉(ふくし)を守る」ことを、いっしょに考える国が増えています。

ここは、五つの国を、短く「くらべる」してみます。
同じところと、ちがうところをさがしながら読みましょう。

フィンランドでは、学校で無料の給食を出すことが、法律にもとづく「子どもの権利(けんり)」として説明されています。
アレルギーや、考え方、宗教への配慮(はいりょ)も、給食づくりで考える、と書かれています。
「給食は学びの道具(どうぐ)」だ、とも説明されています。

インドでは、学校で温かい食事を出す国のしくみとして、PM POSHAN(ピーエム・ポーシャン)があります。
政府の学校などで、クラス1〜8の子どもに「温かい料理の食事」を出す、と公式サイトで説明されています。
地域の食材を使うことや、学校で菜園(さいえん)を作ることなども書かれています。

メキシコでは、加工食品(かこうしょくひん:工場などで作られた食品)のパッケージに、注意マークをつけるしくみが進みました。
PAHO/WHOの説明では、黒い八角形(はっかっけい)のマークで「糖(とう)」「塩分(えんぶん)」「脂(あぶら)」「カロリー」が多いかを分かりやすくする、とされています。

アメリカ(合衆国)では、学校給食を支える全国のしくみがあります。
アメリカ農務省(USDA)の説明では、National School Lunch Program(学校の昼食プログラム)は、毎日、栄養バランスのよい昼食を、安く、または無料で出すしくみです。
また、食の目安として「Dietary Guidelines for Americans(2025〜2030)」が、連邦の食のしくみに使われると説明されています。
「MyPlate(マイプレート)」は、5つの食品グループを思い出すためのマークだと説明されています。

イタリアをふくむ地中海地域では、地中海の食文化が、食べものだけでなく「知恵(ちえ)」「作り方」「いっしょに食べる時間」まで含む文化として国連教育科学文化機関(UNESCO)に説明されています。

ここで、五つの国を「まとめてくらべる」ポイントです。
無料の給食で「だれでも食べられる」を守る国もあります。
表示(ひょうじ)で「えらびやすくする」をがんばる国もあります。
文化として「受けつぐ」ことを大事にする考え方もあります。

考えてみよう:五つの国の中で、「いいな」と思った工夫はどれですか。理由もつけて言ってみましょう。
家族・友だちと話そう:「もし学校の給食をもっと良くするなら、何を一つ変えたい?」で話してみましょう。
やってみよう:スーパーやコンビニで、同じ種類(たとえばおやつ)の商品を二つ見て、「表示で分かるちがい」を一つメモしましょう。

くらしへの影響

ここでは、きみの生活に近い四つの場所で考えます。
「つなげる」で、原因(げんいん)→結果(けっか)を見つけてみましょう。

学校

給食は、体を大きくするだけでなく、食べ方や協力(きょうりょく)も学ぶ時間です。
日本の給食の目標には、栄養、食習慣(しょくしゅうかん:食べ方のくせ)、社会性(しゃかいせい:人とかかわる力)、環境(かんきょう)、食べものにかかわる人への感謝などがならんでいます。
海外でも、給食を「学び」や「福祉(だれでも食べられる支え)」として考える例があります。

家の食事は、健康をつくる土台です。
世界保健機関(WHO)は、健康的な食事は、果物や野菜、豆、ナッツ、全粒穀物(ぜんりゅうこくもつ:白くしすぎていない穀物)をとり、塩や砂糖、あぶらをとりすぎないことが大事だ、とまとめています。
日本の「食生活指針」も、食事を楽しむことや、生活リズム、食べすぎないことなどを示しています。

お店・仕事

お店の食べものが増えると、便利になります。
でも、えらび方がむずかしくなることもあります。
だから「表示を分かりやすくする」工夫が出てきます。

また、食べものは、多くの人の仕事でささえられています。
日本の給食の目標にも「多くの人の勤労(きんろう:はたらくこと)に支えられている」とあります。

地球

食は、健康だけでなく、環境ともつながります。
WHOは、健康的な食事は環境にもよい方向になりうる、と説明しています。
日本の食育の計画でも、気候変動(きこうへんどう)や食品ロスなどが課題として書かれています。

考えてみよう:学校・家・お店・地球の中で、いちばん「自分が変えられそう」なのはどれですか。
家族・友だちと話そう:「便利さ」と「健康(けんこう)」は、どこでバランスをとる?を話してみましょう。
やってみよう:家のごみ箱を一日だけ観察(かんさつ)して、「食べのこし」「作りすぎ」「買いすぎ」がないか、理由を一つ書きましょう。

これからの課題と未来

ここでは、「よい点/困る点/まだ分からない点」に分けます。
分けると、考えが整理(せいり)しやすいです。

よい点

ちがいを知ると、相手を大事にできます。
たとえば、アレルギーや宗教の理由で食べられない子がいると気づけます。
みんなで食べる(共食=きょうしょく)や、食の学びを大事にする取りくみも広がります。

困る点

世界には、空腹がある一方で、太りすぎも増える、という「二重の問題」があります。
健康的な食事が高くてむずかしい国や地域もあります。
また、表示をよくしても、すぐに食生活が変わるとは限りません。
食べものは、味、値段、時間、家の事情(じじょう)など、理由がたくさんあるからです。

まだ分からない点

これから先、気候や世界の出来事で、食べものの値段や手に入りやすさがどう変わるかは、国や年によってちがいます。
だから、最新(さいしん)の公的(こうてき)なまとめを、ときどき見直す必要があります。

考えてみよう:「食文化を守ること」と「健康を守ること」は、いつも同じ方向ですか。ちがうときは、どうしたらいいですか。
家族・友だちと話そう:家の「うちの味(あじ)」で、しょっぱさや甘さを少し変えられるメニューはありますか。
やってみよう:同じ料理で、「野菜を一品足す」「飲みものを水かお茶にする」など、小さな変え方を一回だけ試して、体の気分をメモしましょう。

よくある質問Q&A

Q:食文化って、料理のことだけですか。
A:料理も入ります。でも「食べ方」「きまり」「いっしょに食べる時間」なども入ります。

Q:世界の食は、どうして国でこんなにちがうのですか。
A:気候や土地でとれる作物がちがうからです。歴史や交流でも変わります。

Q:日本の給食は、世界とくらべて何が特徴(とくちょう)ですか。
A:安全と栄養バランスを法律でささえ、食の学び(食育)としても位置づける点が、はっきり説明されています。

Q:食育(しょくいく)って何ですか。
A:食について知り、自分でえらぶ力をつけ、健全(けんぜん)な食生活を実践(じっせん)できるようにする学びです。

Q:世界には、まだおなかがすいている人が多いのですか。
A:はい。2024年は、世界の人の100人のうち8人くらいが空腹だとまとめられています。

Q:じゃあ、太りすぎの子も増えているのはなぜ?
A:安くて甘い・しょっぱい加工食品が増えたり、生活が変わったりしているからだとWHOは説明しています。

Q:砂糖(さとう)や塩(しお)は、どれくらいまでがいいの?
A:WHOは、砂糖は「とりすぎない」(できれば少なめ)をすすめています。塩も、大人は1日で小さじ1杯弱くらいより少なめが目安です。子どもは体に合わせて少なめです。

Q:パッケージの表示は、どう見ればいいですか。
A:「栄養成分(えいようせいぶん)」や「原材料(げんざいりょう)」を見ます。国によっては、見やすい注意マークをつけるしくみもあります。

Q:自由研究(じゆうけんきゅう)で、何を調べたらいい?
A:「学校の給食」「家の朝ごはん」「地域の食材」「食品ロス」「表示のちがい」などが取りくみやすいです。

考えてみよう:Q&Aの中で、「もっと知りたい」と思った質問はどれですか。
家族・友だちと話そう:家の人が子どものころの食べものと、今の食べものは何がちがう?
やってみよう:一つの疑問をえらび、一次情報(いちじじょうほう:公的機関などが出す元の情報)を一つ見つけるチャレンジをしましょう。

まとめ きみへの提案

ここまでで言えることは、こうです。
食文化は「ちがい」そのものが学びです。
でも、食は健康と福祉にも直結(ちょっけつ:すぐつながる)します。

今日できること三つ

一つ目。給食(または家の食事)で「同じところ/ちがうところ」を一つだけ言葉にする。
二つ目。表示(ひょうじ)を見て「入っているもの」を知ってからえらぶ。
三つ目。食べのこしをへらす工夫を、一回だけ試す。

次に調べる質問三つ(自由研究のタネ)

「うちの町の食材は、どこで作られて、どう運ばれてくるの?」
「給食がある日とない日で、野菜や牛乳はどう変わるの?」
「世界の国は、子どもの健康のためにどんなしくみを作っているの?」

考えてみよう:きみが大事にしたいのは「おいしさ」「健康」「やさしさ」「地球」のどれですか。順番もつけてみましょう。
家族・友だちと話そう:「世界の食文化を尊重(そんちょう:大事にする)する」って、学校で何ができる?
やってみよう:世界の料理を一つ選び、「なぜその国で広がったか」を調べて、主食・野菜・たんぱく質に分けて説明してみましょう。

参考

1) SOFI 2025 PDF:
https://data.unicef.org/wp-content/uploads/2025/08/SOFI-Report-2025.pdf
DOI:
https://doi.org/10.4060/cd6008en

2) WHO Healthy diet:
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/healthy-diet

3) WHO Obesity and overweight:
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/obesity-and-overweight

4) WHO Sodium reduction:
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/sodium-reduction

5) WHO sugars news release (2015-03-04):
https://www.who.int/news/item/04-03-2015-who-calls-on-countries-to-reduce-sugars-intake-among-adults-and-children

6) MAFF 第4次食育推進基本計画(概要PDF):
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/attach/pdf/kannrennhou-2.pdf

7) MHLW 食生活指針:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000128503.html

8) MHLW 日本人の食事摂取基準(2025年版):
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html

9) MEXT 日本の学校給食と食育(PDF):
https://www.mext.go.jp/content/20230920-mxt_kenshoku-000008678_1.pdf

10) Finnish National Agency for Education: School meals in Finland:
https://www.oph.fi/en/education-and-qualifications/school-meals-finland

11) Finnish Government news (2012):
https://valtioneuvosto.fi/en/-/1410845/proudly-presents-school-meals-in-finland

12) PM POSHAN (About):
https://pmposhan.education.gov.in/aboutus.html

13) PIB press release (2024-12-06):
https://www.pib.gov.in/PressReleasePage.aspx?PRID=2082323

14) PAHO article (2020-09-29):
https://www.paho.org/en/news/29-9-2020-front-package-labeling-advances-americas

15) USDA NSLP:
https://www.fns.usda.gov/nslp/national-school-lunch-program-nslp

16) USDA FNS: Dietary Guidelines for Americans (page):
https://www.fns.usda.gov/cnpp/dietary-guidelines-americans
Dietary Guidelines PDF:
https://cdn.realfood.gov/DGA.pdf

17) USDA MyPlate (What is MyPlate?):
https://myplate4chatbot.stg.platform.usda.gov/eat-healthy/what-is-myplate

18) UNESCO Washoku:
https://ich.unesco.org/en/RL/washoku-traditional-dietary-cultures-of-the-japanese-notably-for-the-celebration-of-new-year-00869

19) UNESCO Mediterranean diet:
https://ich.unesco.org/en/RL/mediterranean-diet-00884

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