この記事で紹介した老朽化する水インフラとサイバー攻撃問題について関連銘柄を探してみた。
老朽化する水インフラとサイバー攻撃──世界と日本のリスクと対策 | ブルの道、馬の蹄跡
この会社も!というのがあったら是非コメント欄にお願いします。
日立製作所(6501)
会社HP:https://www.hitachi.com/ja-jp/
どんな会社?
社会インフラ(電力・鉄道・水など)を含む巨大なシステムを、機器~IT~運用まで束ねて提供できるタイプの総合企業。水道領域でも監視制御(SCADA)側に強い文脈を持ちます。
なぜ関連銘柄?
水インフラのサイバー対策は「ITセキュリティ」だけでなく、監視制御(OT/ICS)の話になります(物理世界に作用する制御を守る)。
日立は、水道の監視制御向けに 「NX Secure for AQUAMAX」(上下水道監視制御システム向けセキュリティ)を掲げ、計画~対策~保守運用までのライフサイクル支援を明示しています。
注目ポイント
水道の現場(制御系):水道の技術基準・ガイドラインでは、制御系システムの計算機に対し、主体認証、アンチウイルス最新化、サポート切れOS排除などが明確に求められています。そのため、制御系を知っている事業者の強みが出やすい領域です。
水道は閉域網前提で語られがちですが、実務は拠点間連携や運用都合で例外が増えやすい(リモート・委託・広域連携)。
注意点
このテーマはセキュリティ単体ではなく、水道監視制御(更新・統合・運用)全体に埋め込まれやすいので、業績インパクトが単独で見えにくいことがあります(案件は大きいが、売上の内訳に埋もれやすい)。
公共インフラ案件は、予算・入札・検収の都合でタイミングが読みにくいです。
銘柄分析
日立製作所(6501)は、電力(送配電など)・鉄道・産業機器といった社会インフラに、デジタル(Lumada)を掛け合わせて展開する総合電機大手です。
特徴は、「モノ売り」だけでなくサービス/ソフト寄りの収益を増やしつつ、事業ポートフォリオを組み替えて利益率と資本効率(ROIC)を上げにいく変身中の巨大企業な点です。
直近では、2026年3月期(会社計画)として 「売上収益 10,300,000百万円(=10.3兆円)/Adj. EBITA 1,210,000百万円(=1.21兆円)/親会社株主に帰属する当期利益 750,000百万円(=0.75兆円)」 を掲げています。
一方で、上期の進捗が堅調だったこともあり、会社は通期見通しを上方修正しています(前回見通し比で「売上収益+2,000億円、Adj. EBITA+1,000億円、当期利益+400億円、コアFCF+1,600億円」)。
株主還元も大きめで、配当(例:2025年度の中間配当は23円/株)に加えて、自己株買い(上限3,000億円)は2025年12月17日時点で約3,000億円取得して終了しています(需給の下支え要因になりやすいところ)。
まとめると、日立は「社会インフラ×デジタルの大型優良株」で、見るべきポイントは ①エナジー(送配電など)の採算と受注の勢い、②デジタル/サービスの利益率改善、③コアFCFと資本政策(配当・自己株買い)、④為替や世界景気のブレ あたり。派手に一発当てるというより、決算ごとに計画の確からしさを確認していくタイプの銘柄です。
横河電機(6841)
会社HP:https://www.yokogawa.co.jp/
どんな会社?
産業(プラント等)の制御・計測に強い老舗。現場の制御システムを前提にした「机上ではないセキュリティ」へつなぎやすい立ち位置。
なぜ関連銘柄?
横河は制御を熟知したコンサルが対応し、IEC 62443等の要件を踏まえたリスク分析、ルール策定、教育・訓練まで支援する、と明確に書いています。
水道のサイバー対策は「何から始めるか」で止まりやすいので、現場手順と標準(規格/ガイドライン)を接続できる会社は関連度が高いです。
注目ポイント
リスクアセスメントの“深さ”を選べる(簡易~詳細、現地調査、攻撃シミュレーション等)。
国土交通省では水道側のガイドラインも、単なるITチェックではなく、責任者設置や運用の仕組み(体制・教育)を重視しています。→ 「規格×体制×現場」の支援は需要が出やすいです。
注意点
コンサル/サービスは期待が先行しやすい一方、売上は案件獲得・稼働次第で波が出ます。
OTセキュリティは止めないことが最優先になりがちなので、対策導入が段階的になりやすいです(導入スピードに過度な期待は禁物)。
銘柄分析
横河電機(6841)は、プラント向けの計測・制御・情報を軸に、主力の制御事業(OpreXブランド)を中心として事業を展開する会社です。エネルギー・化学などのプロセス産業の現場に入り込み、設備のライフサイクル全体で価値を出していく産業オートメーションの企業という理解が近いです。
直近の会社計画(2026年3月期・通期)は、売上高 577,000百万円/営業利益 83,000百万円(営業利益率ざっくり14.4%)を掲げています。配当は1株64円(予想)で、中間32円・期末32円の形です。 なお、同社は前提為替を1USD=140円→145円へ修正したうえで、5月公表の通期予想から見直し(実質上方修正)しています。
2026年3月期の上期(4〜9月)実績は、売上高 281,996百万円(前年差+5.8%)/営業利益 38,988百万円(同+7.4%)で、営業利益率は13.8%でした。セグメント的には主力の制御事業が売上・利益の大半を占め、測定器事業は堅調、新事業他は損失が縮小しています。
通期計画に対しては、下期で売上 295,004百万円/営業利益 44,012百万円を積み上げる必要があり、下期の案件進捗(検収・納入)と採算が一段と見どころになりそうです(ここは事業特性上、四半期ブレが出やすい)。
財務面は比較的がっしりしていて、上期末の自己資本比率は66.8%。現金及び現金同等物は178,139百万円で、借入金は長短合計で概ね24,126百万円(短期109/長期24,017)という形です。
株主還元も動きがあります。自己株買いは(2025年3月4日取締役会決議分として)上限200億円の枠で進め、2025年12月31日までの累計で5,585,800株/17,055,982,600円取得したことを開示しています。配当利回りは概算で 1.25%、自己株買いも時価総額対比でざっくり1%強というイメージです。
まとめると、横河電機はプラントのDX・自律化(IA→自律化)を追い風にできる制御系企業で、見るべきポイントは ①制御事業の受注・案件採算(下期の進捗)、②為替(USD/JPY前提の変化)、③利益率(ソフト・サービス比率の伸び)、④還元(配当+自己株買い)あたり。次の節目は2026/02/03に第3四半期の決算説明会予定なので、そこまでに受注と利益率の地力がどう見えるか、静かに追うのが良さそうです。
トレンドマイクロ(4704)
会社HP:https://www.trendmicro.com/ja_jp/business.html
どんな会社?
国内大手のサイバーセキュリティ企業。エンドポイントだけでなく、近年はXDRなど運用面も含めた展開を進めています。
なぜ関連銘柄?
水道で問題になるのは、工場・発電所・ダム等の監視制御(OT)を守る話で、トレンドマイクロ自身がOTの定義として「ダムの排水量調節」等まで例示しています。
さらに、同社はICS最適化の産業向けネットワークセキュリティとして「稼働影響を最小化しつつネットワーク上で攻撃から保護」と明記しています。
注目ポイント
水道OTは「止められない・更新しづらい・可視化が弱い」が起こりやすいため、ネットワークで守る思想は相性が良い。
監視制御系への侵入や設定変更(未遂/小規模)が積み上がる、という論点と噛み合う(= まずは検知・可視化が価値になりやすい)。
注意点
OTはITと違って導入判断が慎重で、PoC(検証)→限定導入→拡大になりがち。短期で一気に普及する前提は危険です。
また、競合が多く、パートナー/販売網/運用サービス込みの総力戦となりやすいです。
銘柄分析
トレンドマイクロ(4704)は、法人・官公庁向けのサイバーセキュリティを主力に、個人向け(「ウイルスバスター」等)も持つ日本発のグローバル・セキュリティ企業です。最近は単品販売よりも、Trend Vision Oneを軸に「プラットフォーム化(XDR/運用=SecOps領域まで)」を進めているのが特徴です。IR資料では、FY2025の進捗としてVision Oneのattach rate 47%なども開示しています。
直近では、2025年12月期の会社計画として「売上 274,000百万円/営業利益 53,600百万円」を据え置いています。一方で、2025年12月期3Q累計(1〜9月)は「売上 202,753百万円(前年差ほぼ横ばい)/営業利益 44,474百万円(前年差+13.3%)」なので、通期計画達成には4Q(10〜12月)で売上約71,247百万円・営業利益約9,126百万円が目安になります。
足元の見え方としては、法人側はプラットフォーム展開を背景に伸びを取りにいく一方、個人向けは決済・請求まわりの課題影響で減収が続いた旨が会社側から説明されています(ただし次世代の個人向け提供は伸びの兆しも示唆)。
財務面は、少なくとも2024年12月末時点で現金及び預金170,056百万円と現金は厚めで、株主還元も強めです。株主還元では、2024年12月期の期末配当は1株184円(期末一括。なお2025年12月期の期末配当は未定の扱い)となっています。さらに、2025年11〜12月に上限100億円の自己株買いを決議し、結果として約100億円・約132万株の取得で終了しています。配当利回りは約2.8%です
まとめると、トレンドマイクロはプラットフォーム化を進めるサイバーセキュリティ企業で、見るべきポイントは ①Vision Oneを軸にした法人の伸び(attach率や運用領域の拡大)、②個人向けの決済・請求課題の収束と回復度合い、③通期計画に対する4Qの着地(必要水準をクリアできるか)、④配当・自己株買いなど資本政策(還元の継続性)あたり。材料は多いですが、チェックすべき論点は整理しやすい銘柄です。

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