小まとめ:ロボット脳・汎用ロボ・VLA(Vision-Language-Action)モデルの要旨と主要キーワード
ロボット脳の中核にあたるVLA(Vision-Language-Action)モデルは、視覚と言語を入力し、行動(ロボットの操作)を出力する枠組みです。これにより、工場・倉庫・ラボの手作業の変動、段取り替え、例外処理に強い汎用ロボット(タスクの幅が広く、現場適応が前提のロボ)を成立させる可能性が高まっています。VLAの体系化サーベイは、VLAを低レベル行動まで出す制御ポリシーと長い手順を分解するプランナーまで含む広い研究潮流として整理し、データ・ベンチマーク・課題(安全、頑健性、環境変化など)を明示しています。
一方で現場投入(本番運用)の壁は技術だけではありません。安全認証(既存の機械安全・機能安全の枠に確率的AIをどう載せるか)、故障時責任(製造物責任・契約・更新の管理)、学習データと環境変化(ドメインシフト、照明・配置・対象物の変動)というボトルネックが、導入スピードと投資判断を左右します。日本では労働安全衛生規則(例:運転中の危険防止)を踏まえたリスクアセスメントと、人協働の安全基準の明確化が示されており、VLA時代も設計・運用として安全を作ることが中核になります。
主要キーワード:ロボット脳/汎用ロボット/VLA(Vision-Language-Action)モデル/工場/倉庫/ラボ/3D理解/安全認証/故障時責任/学習データ/環境変化
導入と概要:VLA(Vision-Language-Action)モデルでロボット脳を定義する
ロボット脳という言い方は比喩ですが、実務的には「認識(見る)」「意味理解(言葉・ルール)」「計画(何からやるか)」「制御(どう動かすか)」「安全(止める/制限する)」を統合して、現場の不確実性に耐えるソフトウェア・スタック全体を指すのが適切です(注:本記事ではこの統合知能をロボット脳と呼びます)。VLA(Vision-Language-Action)モデルは、その中心に置かれがちな知能モジュールで、視覚+言語から行動を生成する点が特徴です。
VLAが検索ユーザーにとって重要なのは、従来の産業ロボティクスが苦手としてきた現場での仕様変更コストを下げる可能性があるからです。従来は、対象物が変わる・配置が変わる・例外が発生するたびに、ティーチングやルール調整、周辺装置の再設計が必要になりがちでした。VLAは(少なくとも研究上は)オープンボキャブラリ指示(自然言語の多様な指示)でタスクを指定し、視覚と結び付けて動作に落とす方向へ研究が進んでいます。
この記事を読むメリットは3点に整理できます。第一に、工場・倉庫・ラボのどの工程がVLAで有効なタイプの作業かを見分けられます(例:SKUが多い倉庫のピッキング、治具が頻繁に変わる工場の組立補助、手順が長いラボ前処理)。第二に、導入判断で詰まりやすい安全認証・責任・データ問題を、技術の話に閉じずに把握できます。第三に、過度な期待(万能化)と過度な悲観(まだ使えない)の両方を避け、現実的なPoC設計に落とし込めます。
世界の現状:VLAモデルと汎用ロボが現場投入へ近づく一次統計と研究潮流
産業用ロボットの普及:工場の自動化が汎用ロボの土台になるロボット密度
工場側の大前提として、産業用ロボットはすでに世界規模で増加し続けている資本装置です。国際ロボット連盟(IFR)の統計では、2023年時点で工場で稼働する産業用ロボットが4,281,585台に達し、前年比で増加したと整理されています。
さらに2024年は、世界の稼働台数が4,664,000台に増えたとされ、年次の新規導入も高水準(2024年導入542,000台)だと報告されています。
汎用ロボットが入る余地は、統計上は自動化が進むほど減るのではなく、むしろ次の未自動化領域が可視化されるほど増える側面があります。工場は既に溶接・塗装・搬送など定型領域の投資が進み、次に多品種・段取り替え・例外処理をどう吸収するかが課題になりやすいからです(ここがVLAの狙いどころです)。
国別のロボット密度(製造業の従業者1万人あたり稼働ロボ台数)も、工場自動化の到達度を示します。IFRは2023年の世界平均を162とし、上位国の密度を公表しています(例:日本は419)。
倉庫・ラボのサービスロボット:VLAが効く領域の市場データ
倉庫・物流は、VLAが「移動(AMR)×把持(マニピュレーション)×指示理解」を統合して価値を出しやすい代表例です。IFRのサービスロボット統計(World Robotics 2025 Service Robots)では、2024年にプロ向けサービスロボットが約20万台販売され、用途別では輸送・物流(transportation and logistics)が102,900台(+14%)で最大だとされています。
同資料では、購入だけでなくサブスク/レンタル(Robot-as-a-Service)が伸びている点も示しており、初期投資を抑えて現場投入する流れが強いことが読み取れます。
ラボ領域については、同じIFR資料が医療ロボット(medical robots)を独立カテゴリとして扱い、2024年の販売が約16,700台(+91%)と大きく伸びたこと、さらに診断・医療検査ラボ分析(diagnostics and medical laboratory analysis)が大幅増(+610%)と記述しています。
この数字は、ラボが人手不足、検体量増、品質要求という圧力の中で、前処理・搬送・分析周辺の自動化が加速していることを示唆します(注:IFR自身がサンプルベースであり年次比較に注意と明記しています)。
VLAモデル研究:RT-2とGemini Roboticsが示すロボット脳の進化
研究面では、VLAはWeb規模の視覚言語学習とロボット実機データをつなぐ方向へ強く舵が切られています。Google DeepMindは、RT-2をvision-language-action(VLA)モデルとして説明し、Webとロボットデータの両方から学び、指示をロボ制御に一般化する狙いを明示しています。
同記事では、RT-2評価として多数の実機試行(6,000超)や、未知環境・未知物体への汎化を検証する枠組みを説明しており、現場データだけでは網羅できない状況をWeb事前学習で埋める思想がはっきりしています。
より新しい例として、Gemini Roboticsはロボット向けに設計したVLA一般モデルとして、オープンボキャブラリ指示への追従、未知環境への適応、少数デモ(例:100件)での新タスク学習、さらには別ロボット形態(別embodiment)への適応可能性を報告しています。
またGemini Robotics-ER(Embodied Reasoning)は、ロボットに重要な空間・時間理解を強化し、マルチビュー対応や3Dバウンディングボックス推定など、3D理解に直結する機能を含むとされています。
ただし、研究成果が即現場投入の信頼性を保証するわけではありません。そのため近年は、VLAの頑健性・信頼性をテストする研究が急増しています。例えばVLATestは、照明・カメラ姿勢・未知物体・指示文の揺らぎなどを変化させてVLAの性能劣化を観測し、限定的な手作り評価だけでは一般性能が測れない問題を指摘します。
同様にVLABenchのような大規模ベンチマークも、汎用タスク学習の評価を前提に設計されています。
日本の現状:工場・倉庫・ラボでVLAが有効に働くための法制度と導入事例
日本では、産業ロボットの現場投入は技術的に動くだけでなく、法令・規格・運用で安全を説明できることが必須条件です。厚生労働省が公表するリーフレットは、労働安全衛生規則第150条の4(運転中の危険防止)に基づき、接触により危険がある場合は柵・囲い等の措置が必要であること、また通達により人協働作業が可能となる安全基準の考え方(リスクアセスメント等)を示しています。
ここで重要なのは、VLAのような賢い制御が導入されても、最終的に求められるのは危険が生じないように設計・評価・記録し、運用で維持することだという点です。
加えて、日本は機能安全(注:安全関連系が故障しても危険側に寄らない設計思想)の導入を産業用ロボットシステムにも展開してきた経緯があり、厚生労働省は機能安全の技術上の指針や関連資料を体系的に公開しています。
VLA時代の論点は、AIを安全機能そのものに組み込むのか、あるいはAIは作業生成に限定し、安全関連系は別系統で保証するのか(いわゆる二重化・独立監視)というアーキテクチャ判断に集約されていきます。これは国際的にも未成熟領域で、段階的な標準化が進むと見込まれます。
倉庫・工場内物流については、安全規格の整備が現場投入の前提として進んでいます。たとえばJIS D 6802:2022は無人搬送車・システムの安全要求を扱い、例として自律移動ロボット(AMR)も対象に含むことを明記しています(ISO 3691-4を基に国内適用へ調整した旨も記載)。
つまり、日本の倉庫・工場内物流はAMRを前提に安全要件を作り込む段階に入っており、ここへVLAが作業の柔軟性を持ち込むと、逆に安全説明(何を・どこまでAIに任せるか)が一層重要になります。
日本の具体事例は、現時点ではVLAを明示した本番導入が公開資料ベースで多いとは言い切れません。一方で、VLAが有効に働きやすい現場課題を示す導入・実証の一次情報は増えています。例えばオムロンは、TDK工場でのモバイルマニピュレータ導入事例として、設備使用効率を10%向上させたと説明しています(注:ここでVLA使用の明示はなく、効果のタイプとして参照します)。
Mujinは、PALTAC向けにデパレタイズロボットと自動倉庫連携でケースピッキングを自動化し、生産性が従来の2倍に相当すると記述しています(同様にVLAの明示は不明です)。
ラボ寄りの例では、デンソーウェーブがアッセイプレート作製など多工程作業をロボットで集約するフレキシブル自動化の活用事例を公開しており、ラボ工程が多工程・段取り・手順によって自動化難度が上がる領域であることが読み取れます。
また、トヨタ自動車はToyota Woven Cityをモビリティのテストコースとして段階的に実証を進める方針を公表しており、実世界でデータを集めながら安全性と価値を検証する実証拠点の重要性が強調されます。
VLAの現場投入は、こうした実証環境(小さく始め、記録と規則で改善する)と相性が良い一方、製造現場そのものに直接持ち込む場合は、安全・責任の説明を先に準備する必要があります。
経済・社会への影響:VLAで工場・倉庫・ラボの生産性と仕事がどう変わるのか
経済影響を考える際、まず押さえるべきはロボットは、既に増え続けている設備投資であるという事実です。2024年の世界新規導入が542,000台、稼働台数が4,664,000台というIFRの数字は、工場がロボットを特殊設備ではなく標準的な生産資本として組み込んでいる状況を示します。
この上でVLAが有効になってくるのは、既存ロボットが苦手とする非定型・多品種・例外対応に投資余地が移りやすいからです。VLAサーベイも、低レベル制御だけでなく長工程のタスク分解・プランニングまで含めて研究が進む点を整理しており、単なる認識AIではなく作業の組み立てに踏み込む動きが明確です。
倉庫・物流では、人手不足とコスト圧力が自動化の投資回収を後押しします。IFRのサービスロボット統計では、輸送・物流用途が最大セグメントで、さらにRaaS(サブスク/レンタル)拡大も示されています。
日本でも物流効率化の制度対応が進み、国が荷待ち・荷役時間短縮、積載効率向上等の努力義務や制度設計を示しています。国土交通省は物流効率化法の枠組み(努力義務、判断基準、特定事業者制度など)を説明しています。
経済産業省の説明資料では、施行後3年のKPIとして「荷待ち・荷役時間:年間125時間/人削減」「積載率向上による輸送能力:16%増加」を掲げています。
このKPI自体はロボット導入を直接義務付けるものではありませんが、倉庫オペレーション(荷役・搬送・ピッキング)の自動化や、スケジューリング/可視化の投資を促す制度的圧力として働き得ます。
ラボ領域では、IFRが医療ロボットの伸長や医療検査ラボ分析カテゴリの急伸を示しており、検体前処理・搬送・分析機器の統合が進む構図が見えます。
VLAの社会的意義は、単に人員を置き換えることよりも、専門人材を判断と品質管理へ寄せ、手順実行を機械化する方向で進めていける点です。特にラボは、手順の妥当性・トレーサビリティ・再現性が重視されるため、手順を言語化して管理するVLA/言語中心設計との相性が良い可能性があります(ただし、医療・検査は規制が強く、導入の可否は用途ごとに大きく異なります)。
仕事の再設計という観点では、VLAが普及しても現場から人が消えるというより、仕事が分解されやすくなります。例えば、現場作業は(1)安全監視、(2)段取り・例外判断、(3)手順実行に分けられ、VLAはまず(3)を広げ、次に(2)へ近づくイメージです。RT-2やGemini Roboticsの説明は、言語による長手順の扱い(計画と実行の接続)を重視しており、この方向性と一致します。
今後の課題と展望:VLAのボトルネック(安全認証・故障時責任・学習データと環境変化)とQ&A
安全認証:VLAの確率的な賢さを規格と監査に落とす難しさ
安全認証の難しさは、VLAが確率的で、学習データに依存し、環境変化で挙動が変わり得る点にあります。産業ロボットの安全要求はISO(国際標準化機構)のISO 10218-1:2025(産業用ロボットの安全要求)など、既存の機械安全体系の中で更新・整備が続いています。
協働ロボットの安全指針としてはISO/TS 15066が参照され、力・速度・接触リスクの評価など、協働前提の枠が示されています。
倉庫内AMR/AGVについてもISO 3691-4のような規格体系があり、日本ではJIS D 6802:2022として整備されています。
日本の労働安全衛生の観点では、運転中の危険防止(柵・囲い等)と、リスクアセスメントに基づく協働の考え方が示されます。VLAを入れたからといって、この前提が緩くなるわけではなく、むしろAIが出した行動を、どの安全レイヤで制限し、どう記録するかが監査上の論点になります。
したがって現場投入で現実的なのは、VLAを作業生成・柔軟性として利用しつつ、安全関連系(停止、速度制限、領域侵入検知など)は別の設計原理で保証する二層構造です。この方向は、ロボット向け安全評価ベンチマーク(ASIMOV)のように衝突回避だけではなく、意味・指示レベルで危険を避ける評価枠を整備する動きとも整合します。
故障時責任:製造物責任・契約・更新管理がロボット脳のコストになる
故障時責任(誰が賠償するのか、誰が再発防止するのか)は、VLAが本番投入されるほど重くなります。日本では消費者庁が製造物責任(PL)法のQ&Aで、欠陥によって生命・身体・財産に損害が生じた場合に、被害者が製造業者等へ賠償請求できる仕組みを整理しています。
VLA搭載ロボットは「ハード+ソフト+学習済みモデル+更新」の複合体であり、欠陥判断や因果の説明が難しくなりがちです。ここが契約と運用設計のコストとして顕在化します。
この点で日本の政策側は、契約実務の論点整理を進めています。経済産業省はAIの利用・開発に関する契約チェックリストを公表し、当事者間の利益とリスク配分を目的に、データ利用範囲や提供条件の検討、チェックポイントの明確化を促しています。
同資料はAI開発者・AI提供者・AI利用者という役割分担(システム提供型/サービス提供型の区別を含む)を図示しており、ロボット導入でも誰が運用し、誰が更新し、環境変化を誰が共有するかを契約に落とす必要があることを示唆します。
海外も同様で、欧州委員会は新しい製造物責任指令の説明の中で、ソフトウェアやAIシステムも対象となり得ること、更新や機械学習機能によって後に顕在化した欠陥も論点になり得ることを整理しています。
日本企業が海外展開する場合、この更新と責任の扱いは、現場投入の経済合理性に直結します。
学習データと環境変化:3D理解が現場の崩れ方を減らすが、万能ではない
学習データと環境変化の問題は、VLAの本質的な弱点です。VLAサーベイは、VLA研究を(1)構成要素、(2)低レベル行動を出す制御ポリシー、(3)長手順を分解するプランナーの3系統に整理しつつ、データセット・シミュレータ・ベンチマークの重要性と、頑健性や安全などの課題を明示しています。
評価研究でも、照明・カメラ・物体・指示文の揺らぎで性能が落ちることを観測し、局所的デモの成功=現場投入ではないと示しています。
ここで3D理解は重要な方向性です。Gemini Robotics-ERは空間・時間理解を強化し、マルチビュー対応や3Dバウンディングボックス推定などを含むと説明されています。
さらに、ICLR 2026の研究(Spatial Forcing)は多くのVLAが2D事前学習に基づくため空間認識が弱いという問題意識を提示し、明示的な深度入力に頼らず、3D基盤モデルの幾何表現に中間表現を整列させることで空間理解を促すアプローチを提案しています。
これは、現場で起きがちな2Dでは見えているが、3Dの手前/奥やクリアランスを誤るタイプの失敗を減らす方向として合理的です。ただし、センサー誤差、反射、透明物、混雑、死角など、3D化しても難しい課題は残り、万能化は推測です。
Q&A:VLA(Vision-Language-Action)モデルと汎用ロボ導入でよくある疑問
Q:VLAがあれば、汎用ロボット(人型ロボ含む)はすぐ工場・倉庫・ラボで働けますか?
A:すぐに広範囲で安定稼働とまでは言いにくいです。研究報告は、オープンボキャブラリ指示や未知状況への適応を示しますが、評価研究は環境変化で性能が落ちることも示しています。現場投入は成功率・停止の挙動・復旧・監査可能性を含めたシステム品質が条件になります。
Q:工場・倉庫・ラボのどこがVLAが有効に働く作業ですか?
A:対象・配置・手順が頻繁に変わる、例外が多い、人の言葉で作業指示が飛ぶ領域が第一候補です。物流では輸送・物流用途のサービスロボが最大セグメントであることが統計的に示され、ラボでも自動化需要が拡大しています。
Q:安全認証は、VLAを搭載した時点で詰みませんか?
A:詰みではありませんが、設計思想が重要になります。日本の労働安全衛生では危険防止措置とリスクアセスメントが軸で、国際規格でも産業用ロボ・協働ロボ・無人搬送車の枠組みが存在します。VLAは確率的なので、独立した安全レイヤ(停止・速度/領域制限等)で危険側に寄らない設計を取りやすいです。
Q:故障時責任は、結局どこが負うのですか?
A:一律の答えはありません。日本の製造物責任の枠(欠陥による損害)に加えて、AIの提供形態(システム提供/サービス提供)、更新管理、ログ、運用責任の分担が契約で問題化します。政策側も契約チェックリストで論点整理を進めています。
Q:この分野は研究が進めば自然に解決する課題ですか?
A:一部は研究で改善しますが、全ては解決しません。頑健性テストや安全ベンチマーク(ASIMOVなど)、空間理解の強化(3D整列など)は研究が進める領域です。一方、責任分担や監査、更新の運用は制度・契約・現場プロセスの問題で、企業側の設計力が競争力になります。
結論と読者への提案:汎用ロボとVLAを現場投入するための行動喚起
結論として、ロボット脳の進化=VLAの普及は、工場・倉庫・ラボの残っていた手作業の領域を、ソフトウェア主導で自動化できる可能性を押し上げています。世界統計はロボット導入が高水準で継続していることを示し、サービスロボットは物流・医療ラボで伸びています。研究面でもVLAの体系化、3D理解の強化、頑健性テスト、安全ベンチマーク整備が進み、動くデモから評価・運用へ重心が移っています。
一方で現場投入の勝負所は、(1)安全認証の説明可能性、(2)故障時責任と更新の統制、(3)学習データと環境変化への耐性設計です。ここを潰さない限り、VLAの性能が上がっても導入は広がりません。逆に言えば、ここを先回りして設計できる企業・部門が、汎用ロボ時代の実装力を持ちます。
読者向け提案(すぐ着手できる順に提案します)。
第一に、対象工程を変動が大きいが、危険を閉じ込めやすいものから選び、VLAの柔軟性を価値に変えやすいタスクを定義してください(倉庫の限定エリア、工場内搬送+定型受け渡し、ラボ前処理の一部など)。
第二に、契約と運用(ログ、更新、責任分担、逸脱時停止)をPoC段階から書面化し、技術検証と同時に監査可能性を作ってください。
第三に、導入の説明をモデル性能ではなく安全レイヤ+運用中心で組み、既存規格(産業用ロボ、協働ロボ、AMR/AGV)に沿ってどこまでをAIに任せるかを切り分けてください。
参考
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- 国際ロボット連盟(IFR). 2024. Global Robot Density in Factories Doubled in Seven Years(press release). https://ifr.org/ifr-press-releases/news/global-robot-density-in-factories-doubled-in-seven-years
- 国際ロボット連盟(IFR). 2025. World Robotics 2025 report – INDUSTRIAL ROBOTS – released by IFR(press release). https://ifr.org/ifr-press-releases/news/global-robot-demand-in-factories-doubles-over-10-years
- 国際ロボット連盟(IFR). 2025. World Robotics 2025 report – SERVICE ROBOTS – released by IFR(press release). https://ifr.org/ifr-press-releases/news/service-robots-see-global-growth-boom
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