この記事で紹介した送電網の主要機器(大型変圧器・遮断器・開閉装置など)の供給不足問題について関連銘柄を探してみた。
送電網の部品不足が脱炭素を阻む?変圧器・遮断器など供給問題と世界の対策 | ブルの道、馬の蹄跡
この会社も!というのがあったら是非コメント欄にお願いします。
三菱電機(6503)
会社HP:https://www.mitsubishielectric.co.jp/ja/
どんな会社?
エレクトロニクス総合メーカーとして世界的に展開する日本を代表する大手企業です。
重電(送配電機器)、産業機器、空調・ビル設備、FA(ファクトリーオートメーション)、自動車電装、半導体(パワー半導体)など多岐にわたる事業を展開しています。特に電力・社会インフラ領域では、超高圧変圧器、遮断器、ガス絶縁開閉装置(GIS)といった送電網の中核機器の国内最大手として知られていて、電力会社や自治体向けの納入実績も豊富です。
なぜ関連銘柄?
今回の供給不足問題の中心である大型変圧器・開閉装置などを一貫製造している数少ない国内メーカーの一つで、特に以下の点で強い関連性を持ちます。
- 超高圧変圧器・開閉装置の国内の主要供給元の一角
- 再エネ接続、データセンター、EV関連需要の急増に直接対応
- 国内外の電力インフラ投資(系統増強・老朽更新)による恩恵
- 半導体・データセンター投資に伴う変電設備需要の増加も追い風になり得る
つまり、送電インフラの整備・更新・拡張が加速するほど、同社の製品需要は構造的に拡大していく立場にあります。
注目ポイント
- 変圧器・遮断器のフルラインアップを持つ総合重電メーカー
- 国内外のインフラ需要(再エネ・データセンター・半導体)拡大が追い風
- 「送電インフラ部品の国産化・サプライチェーン強靭化」の政策テーマにも合致
- 海外展開も活発で、アジア・中東・欧州向け案件にも積極的
注意点
- 事業領域が広く、電力インフラ事業単体の業績貢献度は限定的
- インフラ受注は長期スパンの大型案件が多く、短期収益には反映されにくい
- 過去に一部インフラ関連事業で品質不正・管理問題があり、ガバナンス改善が注視されている
- 為替や銅・鋼材といった素材価格の変動に業績が影響されやすい
銘柄分析
三菱電機(6503)は、FA(工場自動化)、空調・家電、社会インフラ(交通・電力流通/データセンター向け等)、防衛・宇宙、パワー半導体などを幅広く手がける総合電機メーカーです。
特徴は、事業が分散している一方で、設備投資サイクル(特にFA)と為替、さらに公共投資・防衛予算(インフラ/防衛)の影響を受けやすい“景気×政策のハイブリッド”になりやすい点です。
直近では、2026年3月期の会社計画として「売上 5,670,000百万円/営業利益 430,000百万円」を掲げています(IFRS、2025年10月時点の開示)。一方で、上期(4〜9月)の実績は売上 2,732,504百万円(前年差+3.4%)/営業利益 224,366百万円(+27.0%)と増収増益で、進捗はざっくり売上48%・営業利益52%あたり。 牽引役は上期だけでインフラ(売上 5,823億円/営業利益 388億円)が増収増益。FA(FAシステム)は需要増+価格改善で利益が伸びた一方、空調・家電は増収でも費用増や為替影響で減益という構図です。
財務面はかなり厚めで、上期のフリー・キャッシュ・フローは+2,979億円、現金及び現金同等物は 8,628億円。有利子負債は(IFRS16のリース負債を含めた)社債・借入金・リース負債 合計 3,389億円なので、シンプルに見るとネットキャッシュは約5,240億円あります(= 8,628 − 3,389)。
株主還元は、配当予想が1株55円(中間25円+期末30円)。 しかも上期だけで自己株取得が約814億円入っており(自己株式の取得 81,383百万円)、還元の実行が数字に出ています。
予想配当利回りは約1.16%です。
まとめると、三菱電機はインフラ×FA×空調で稼ぎを組み替えつつ、還元も強めに出している総合電機です。見るべきポイントは
①インフラ(社会/エネルギー/防衛)の採算と受注、
②FA(特に中国・AI/半導体投資波)の持続性、
③空調・家電の利益率(費用増・為替の吸収度)、
④米国関税影響(会社はコスト増を見込み)を価格転嫁できるか、
⑤自己株買いの継続性
あたりです。
日立製作所(6501)
会社HP:https://www.hitachi.com/ja-jp/
どんな会社?
日本を代表する総合電機・インフラ・IT企業で、エネルギー、インダストリー、IT(Lumada)、医療など多岐にわたる分野で事業を展開しています。なかでも、(2018年に合意し)2020年7月に買収を完了したスイスのABB送配電事業(現・日立エナジー)を通じ、世界有数の送電・変圧器機器メーカーとしての地位を確立しました。現在は重電機器だけでなく、電力の制御・監視・系統安定化を担うスマートグリッド/HVDC(高圧直流送電)分野にも強みを持ちます。
なぜ関連銘柄?
今回の供給不足問題の中心である大型変圧器、遮断器、HVDC機器をグローバル規模で製造・供給できる数少ない企業グループです。関連性が高い理由は以下の通りです。
- 世界的な大型変圧器メーカー(日立エナジー)を傘下に持つ
- 北米・インド・欧州など供給逼迫地域向けに増産投資を展開中
- 次世代送電システム(HVDC、グリッド安定化装置)にも強い
- 国内でも電力会社・再エネ事業者向けに送電機器や制御装置を提供
送電網のハード(機器)とソフト(制御・系統最適化)の両方にまたがる強みを持ち、供給不足問題の本質的な解決に貢献する企業として注目されます。
注目ポイント
- 日立エナジーが変圧器・開閉装置の世界的リーディング企業
- HVDC技術の実績多数(欧州・アジア向けに案件進行中)
- サプライチェーン強化や生産能力拡張を積極推進(例:カナダ、インド)
- スマートグリッド分野では、AI・データ分析と連携した運用高度化もリード
注意点
- グループ全体の事業が多角的であり、電力インフラ単体の業績比重は限定的
- 日立エナジーは非上場子会社のため、個別業績の透明性がやや乏しい
- 欧米案件への依存度が高く、為替や地政学リスクの影響を受けやすい
- 重電部門は大型設備投資が先行しやすく、短期的に収益貢献が見えにくいケースも
銘柄分析
直近でおこなっているのでこちらから。
水道インフラのサイバー対策関連銘柄:日立(6501)・横河(6841)・トレンド(4704) | ブルの道、馬の蹄跡
明電舎(6508)
会社HP:https://www.meidensha.co.jp/
どんな会社?
電力・産業インフラ分野に特化した重電機器メーカーです。主力製品には変圧器、遮断器、開閉装置、受変電システム、電力制御機器などがあり、電力会社、官公庁、鉄道、再エネ事業者向けに広く導入されています。特に国内の配電変圧器や中規模変電所向け製品で実績が厚いです。創業100年以上の老舗企業でありながら、現在も自社グループで製造・保守体制を維持している数少ない企業です。
なぜ関連銘柄?
明電舎はまさに、今回の問題の中心である変圧器・遮断器などの供給側にいる企業であり、特に日本国内の中小規模の変電設備を支えている存在です。
- 国内で送配電用の変圧器・遮断器をフルラインナップで製造する希少企業の一つ
- 再エネ導入・EV充電設備・データセンター用の中規模変電所向け機器で存在感
- 老朽インフラの更新や、地域分散型電源の拡大で受注機会が増加
- 国内電力会社との長年の関係に基づく信頼と安定した案件受注
再エネ・データセンター・老朽設備更新といった需給逼迫の全ての領域で密接に関わっている点で、今回のテーマとの関連性は非常に高いです。
注目ポイント
- 受変電設備・変圧器の国内調達ニーズ増加が追い風
- 中小規模の案件(再エネ、自治体施設、地域送電)で機動的に対応できる企業規模
- 系統接続の加速に向け、電力会社との納入協議が進む可能性あり
- 重電機器の国産サプライチェーン維持という観点から政策的支援対象になりやすい
注意点
- 事業規模が大手(例:三菱電機や日立)に比べて限定的
- 部材(電磁鋼板・銅など)調達リスクの影響を受けやすい構造
- 電力会社への依存比率が比較的高く、政策・設備投資計画に左右されやすい
- 送電分野のグローバル展開は限定的で、海外案件の恩恵は少ない
銘柄分析
明電舎(6508)は、送配電・変電などの電力インフラから、上下水道などの社会システム、産業用モータ/ドライブ・EV関連、そして保守サービス(フィールドエンジニアリング)までを手広く持つインフラ寄り重電の会社です。事業は「電力インフラ/社会システム/産業電子モビリティ/フィールドエンジニアリング」の4グループで整理されています。
特徴として、電力会社・官公庁向け等の案件で年度末(期末)に売上が寄りやすく、上期は相対的に低めになりやすい点を会社側も明記しています。
直近(2026年3月期)の会社計画は、通期で売上 330,000百万円/営業利益 22,500百万円/経常利益 22,500百万円(営業利益率ざっくり6.8%)です。
一方で、上期(4〜9月)の実績は売上 131,142百万円/営業利益 2,792百万円。通期目標に対して売上は約4割、利益は約1割強の進捗で、これは期末偏重の性格を考えるとよくある範囲です(逆に言うと、下期の工事進捗・検収がすべてになりがちです)。
なお今回の見通し修正では、EV需要の落ち込み・国内インフラ案件の工事進捗遅れで売上は下方、一方で電力インフラと保守サービスの需要が強く利益は上方という整理になっています。
財務面は、2025/9末時点で自己資本比率 43.3%。現金及び預金は29,231百万円で、借入金(短期+長期)は合計約36,531百万円(CPはゼロ)なので、ざっくり見ると大きくは振れていない印象です(退職給付負債などは別途あります)。
株主還元は、今期の中間配当 47円は出ていますが、期末配当は現時点で未定。前期(2025年3月期)の年間配当実績は123円なので、仮に前期水準ベースで見ると、利回りは約2.1%です。
まとめると、明電舎は「電力・社会インフラの受注型(期末偏重)+保守サービスの積み上げ」銘柄で、見るべきポイントは
① 下期(10〜3月)の工事進捗/検収で計画に乗るか(期末偏重のいつもの山が出るか)
② 利益の柱になりやすい電力インフラとフィールドエンジニアリング(保守)の伸び
③ 逆風になりうるEV需要と国内インフラ案件の遅れ(売上側のブレ要因)
④ 配当(期末決定)・資本政策(前期配当が大きめだった反動も含めて見たい)
あたりです。受注と進捗をじっくりと確認していきたい銘柄です。
富士電機(6504)
会社HP:https://www.fujielectric.co.jp/
どんな会社?
電力機器、産業機器、パワー半導体、冷熱機器などを手がけるエネルギー・制御技術に強い総合電機メーカーです。創業当初は富士通と同源の企業(古河電工+ジーメンス)として発展し、現在は配電用変圧器、遮断器、スイッチギア、受変電設備の開発・製造・保守を広く展開しています。特に中圧・低圧領域の変電設備や電力制御機器で国内に多数の納入実績を持ち、再エネ・産業・ビル用の電源機器にも強いです。
なぜ関連銘柄?
今回の供給不足問題は、再エネやデータセンター、EV充電インフラといった電化需要の増加による中~小型変圧器・遮断器の納期遅延・価格上昇が含まれており、富士電機の事業領域と密接に関連します。
- 配電変圧器や遮断器といったラストワンマイル機器の主要供給元
- 太陽光発電、工場の再エネ導入、EV充電ステーション向けに納入実績多数
- 産業施設や自治体の電力インフラ更新に幅広く関与
- 送電インフラとビル・工場の中間を担う中圧系統の接続部分で不可欠な存在
注目ポイント
- 中圧~低圧領域の配電変圧器やスイッチギアで国内需要が増加中
- パワー半導体との相乗効果で、スマート変電・省エネ機器の強化にも注力
- 再エネ導入やスマート工場需要により、受変電設備の需要が継続拡大中
- 受注拡大が業績に寄与するタイムラグが比較的短く、短中期での反映も期待
注意点
- 高圧・超高圧の送電設備(超大型変圧器)は他社(例:三菱電機、日立系)が主力
- グローバル展開は限定的で、国内市場依存度が高い傾向
- 素材(銅・鉄)コストの高騰が原価に影響しやすい
- 顧客層が多様な一方で、価格交渉力が限定されやすい分野もある
銘柄分析
富士電機(6504)は、パワー半導体やパワーエレクトロニクス(電力変換)を強みに、エネルギー(受変電・蓄電など)や産業向け(FA・ITソリューション)、食品流通(自販機など)まで幅広く展開する会社です。特徴は、案件検収やコスト配分の関係で利益が下期、特に第4四半期に寄りやすい点です。
直近では、2026年3月期の会社計画として「売上 1,185,000百万円/営業利益 128,500百万円」を掲げています。一方で、2026年3月期の上期(4〜9月)営業利益は42,759百万円(前年差+6.0%)と増益ではあるものの、通期計画に対する進捗で見ると下期で大きく積み上げる必要があるため、計画達成には下期の利益率改善(いつも以上に4Qが重要)がポイントになりそうです。
財務面は自己資本比率が54.9%と比較的しっかりしており、ネットD/Eも0.1倍水準とレバレッジは重くありません。株主還元は、前期(2025年3月期)の年間配当が160円で、今期(2026年3月期)は中間配当91円を実施する一方、期末配当は未定となっています。
まとめると、富士電機は下期偏重のパワエレ企業で、見るべきポイントは
①下期(特に4Q)の利益率改善、
②エネルギー・データセンター向けなど大口案件の進捗、
③xEV向けを含むパワー半導体の採算、
④配当・資本政策
あたりです。四半期ごとの積み上がり方をチェックしていきたい銘柄です。
東光高岳(6617)
どんな会社?
東京電力グループの重電機器メーカーです。旧・東光電気と高岳製作所が統合してできた会社で、主に変圧器・開閉装置・保護継電器・電力量計といった配電系統の機器を専門に製造しています。主な取引先は東京電力をはじめとする電力会社各社で、特に関東圏の配電インフラを支える存在。またスマートメーターや配電盤制御などにも注力しており、中低圧領域の電力の出口に強い企業として位置づけられます。
なぜ関連銘柄?
今回の問題では、配電用変圧器や開閉装置の納期遅延・価格高騰が深刻化しており、東光高岳が扱う機器と高い関連性があります。具体的には下記の通りです。
- 配電用変圧器、キュービクル、開閉装置の国内供給を担う希少メーカー
- 新築住宅、ビル、工場、EV充電インフラへの接続に不可欠な機器を提供
- 東京電力向け納入で長年の実績があり、更新需要でも中心的役割を担う
- 国内で急増中の「配電機器の納期延長」「在庫逼迫」問題に直面する第一線の企業
注目ポイント
- 国内配電インフラ(とくに関東圏)を支える専門性の高い事業構成
- 再エネ・EV・データセンターの拡大による中低圧機器需要の恩恵を直接受ける
- スマートメーターやIoT型保護装置など、次世代配電網への対応力も強化中
- 配電用変圧器の国産調達強化・安定供給政策に合致する立ち位置
注意点
- 事業規模は小さく、上場企業としてはややマイナー(時価総額数百億円規模)
- 主力顧客が東京電力に集中しており、依存度が高い(売上の約3〜4割)
- 海外展開は限定的で、あくまで国内ローカル市場が中心
- 大型変圧器や送電用機器は扱っておらず、出口側中心の関連性にとどまる
銘柄分析
東光高岳(6617)は、電力インフラ向け機器(変圧器など)と、スマートメーター(計量)関連を中核に、GX領域としてEV急速充電器なども手がける会社です。足元は「電力設備の更新需要」「第2世代スマートメーターの導入進展」が追い風になりやすいです。
直近の2026年3月期(会社計画)は、売上 110,000百万円/営業利益 7,000百万円。10/31に、保守・メンテナンス案件や小型変圧器の増加などを理由に、従来予想(売上108,000百万円/営業利益6,200百万円)から上方修正しています。上期(4〜9月)の実績は、売上 48,400百万円(前年差+1.7%)/営業利益 3,404百万円(同+73.6%)。通期計画に対する進捗は、売上で約44%、営業利益で約49%です。つまり通期達成には、下期で 売上 61,600百万円/営業利益 3,596百万円を積み上げる必要があります。内訳を見ると、電力機器はプラント案件増で堅調な一方、計量はスマートメーター減少が響き、GX(EV充電器)は販売台数減で売上減ながら赤字幅縮小…という温度差が見えます。
財務は、現金及び預金 14,516百万円に対して、借入金(短期1,610+長期1,500)が合計3,110百万円で、手元流動性は比較的厚め。自己資本比率も55.6%と、極端に無理している感じではありません。株主還元は、年間配当 86円(中間37円+期末49円)予想。会社は配当方針として「連結配当性向30%を目安」を掲げています。配当利回りは約2.14%です。
まとめると、東光高岳は「電力インフラ×メーター更新×GX(充電器)」の組み合わせ銘柄で、見るべきポイントは
①第2世代スマートメーターの量産・シェア(計量の回復)
②高利益率の保守・メンテ/小型変圧器の伸び
③EV充電器の販売回復とGX事業の黒字化タイミング
④受注と利益の下期積み上げ(通期到達ライン)
あたりです。

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