こちらの記事で紹介したデジタル・デトックスについて、関連銘柄を探してみました。
デジタル・デトックスは贅沢品になる? :格差・規制・ウェルネス市場 | ブルの道、馬の蹄跡
この会社も!というのがあれば是非コメント欄にお願いします。
パソナグループ(2168)
会社HP:https://www.pasonagroup.co.jp/
どんな会社?
祖業は人材サービス(派遣・BPO・人材紹介など)。加えて、海外人材サービス、子育て支援・介護などのライフ領域、そして地方創生・観光まで含む複数セグメントで事業を展開しています。
直近の決算短信では、事業を「エキスパートソリューション(派遣)/キャリアソリューション(紹介・再就職)/グローバル/ライフ/地方創生・観光ソリューション」などに分類しています。
なお、(構造変化の文脈として)連結子会社だったベネフィット・ワンの株式譲渡に伴い、アウトソーシング系の区分を見直した旨も記載があります。
なぜ関連銘柄?
デジタルとつながらない体験を、商品として売っています。
- 淡路島で、禅リトリート施設禅坊靖寧のデジタルデトックス宿泊プランを明確に打ち出しています。内容はスマホやPCなどの情報端末から離れる、1日1団体限定の完全貸切など、希少性=贅沢の設計です。
- 別ページの告知では、チェックイン時に電子機器をスタッフに預けることで外部情報を遮断し、自分と向き合うことに特化する、と明記しています。
- そもそもパソナは、淡路島での地方創生を人材誘致、Smart Life Initiativeなどの文脈で継続しており、島を美食・文化芸術・健康の島として発信しています。つまり、アテンション・エコノミー(注意経済)の反動としてのオフライン高付加価値化を受け止める器を持っています。
- 有報上も地方創生・観光ソリューションの枠で、観光・体験型の子会社群(例:ニジゲンノモリ等)を含めて整理され、さらに「パソナウェルネスツーリズム」設立の記載もあります。ウェルネス×観光は偶然ではなく事業側の意思があります。
注目ポイント
- 人材会社の顧客基盤 → ウェルネス体験へ
VISION 2030では、HR領域で築いた顧客基盤の活用、企業の福利厚生領域への拡大、法人顧客への展開などを掲げています。デジタルデトックスは個人向け高級体験だけでなく、法人研修/福利厚生/ワーケーションに接続しやすいです。 - 高付加価値メニューを明示している
同資料でウェルネスなどの高付加価値メニューの開発、宿泊需要の取り込み、体験価値の向上などを、地方創生・観光ソリューションの収益力強化策として明記しています。デトックスはこの路線と一直線です。 - 商品設計が贅沢品化そのもの
1日1団体、完全貸切、端末預けなど、スケールよりも濃度を優先した仕様です。まさに記事テーマの「デトックスが贅沢品になる」を、サービス設計で体現しています。
注意点
- 売上インパクトは読みづらい(象徴性は強いが、量は別問題)
デジタルデトックス宿泊が「1日1団体限定」なので、構造的に大きく伸ばすには施設・運営・ブランドの横展開が必要です。 - 観光・体験は外部環境の波を受けやすい
インバウンド動向、天候・災害、消費マインド、企業の研修予算などに左右されやすい類型です。会社側も宿泊需要の取り込み、原価・販管費コントロールなど収益改善を論点に置いています。 - 贅沢品化/格差の批判と隣り合わせ
デトックスを高単価体験として売るほど、余裕がある層だけが切断できるという社会的批判を受ける可能性もあります。これはPR・ブランド設計の注意点になります(※事実関係としての注意で、評価ではありません)。
銘柄分析
パソナグループ(2168)は、人材派遣・BPO(業務委託)・人材紹介などのHRソリューションを軸に、海外人材サービス、保育・介護、地方創生・観光といった人と地域周りの事業も抱える複合サービス企業です(決算期は5月で、6/1〜5/31が通期)。
直近の2025年5月期は、売上高309,240百万円、営業損失△1,237百万円、経常損失△460百万円、親会社株主に帰属する当期純損失△8,658百万円でした。 セグメント別の売上高は、主力のHRソリューションが286,552百万円、グローバルソリューション11,407百万円、ライフソリューション8,623百万円、地方創生・観光ソリューション7,083百万円(消去又は全社△4,425百万円)という構成です。 なお営業損益は、HR側は黒字でも「消去又は全社」が大きな赤字(管理コスト・新規事業のインキュベーション等)になっており、本社コスト+新規投資の吸収力が連結利益のボトルネックになりやすい形です。
会社計画としての2026年5月期は「売上 330,000百万円/営業利益 2,500百万円/経常利益 2,800百万円/純利益 500百万円」を掲げています。 一方で、2026年5月期 上期(中間期)の実績は、売上高154,527百万円(前年差+0.4%)に対して、営業損失△204百万円と赤字で着地しています(経常利益は815百万円、親会社株主に帰属する中間純損失は△620百万円)。 つまり計画達成には、単純計算で下期に営業利益 約2,704百万円(=2,500−(△204))、純利益も下期に約1,120百万円が必要で、上期より下期で一気に稼ぐ設計です(下期の実行力・費用コントロールが重要になりやすい)。
上期のセグメント売上を見ると、HRソリューションは142,166百万円(前年差△0.5%)で横ばい圏。一方で、地方創生・観光ソリューションは4,360百万円(+24.8%)、ライフソリューションも4,624百万円(+11.2%)と伸びています。 会社側の説明では、BPOは大型受託案件のピークアウト影響がある一方、地方創生・観光は来場者増などで伸び、粗利は改善。ただし退職給付費用増なども含む人件費増、グループ全体のDX/IT関連費などで販管費が膨らみ、営業損益は悪化した、という整理です。 さらに上期は万博関連で、協賛金収入・物販収入などの計上がある一方、万博出展関連費用が特別損失(969百万円)として出ており、見た目の利益がブレやすい局面でもあります(一過性の上振れ/下振れが混ざる)。
財務面では、2025年11月末(上期末)の総資産は237,125百万円、自己資本比率は54.4%。 現金及び預金は88,403百万円ですが、受託案件に紐づく一時的な預り金と見合う現預金が含まれる点に注意が必要で、現金及び現金同等物(同社定義の「資金」)は63,737百万円と説明されています。 有利子負債の近似として「短期借入金 5,791百万円+長期借入金 32,105百万円+社債 1,835百万円」を足すと約39,731百万円で、ネットキャッシュ(概算)=63,737−39,731≒+24,006百万円(※リース等の扱いは短信だけだと粗くなるため概算)というイメージになります。
株主還元は分かりやすく、2024年5月期〜2028年5月期の5期にわたり、毎期1株当たり60円の特別配当を実施する方針(背景は連結子会社 ベネフィット・ワン の株式売却)。 加えて普通配当を合わせ、2026年5月期は「普通15円+特別60円=75円」を計画しています。 また自己株買いも実施しており、2025/1/15〜2026/1/14の枠(上限:200万株・50億円)で取得を終え、決算説明資料では取得総額が約41.98億円と記載されています。
まとめると、パソナグループはHRの安定収益(ただしBPOは案件波)+成長投資・地域/ライフ領域のポートフォリオで、見るべきポイントは下記のとおりです。
①BPO(大型案件)のピークアウト影響がいつ剥落し、単価・粗利改善がどこまで効くか(上期はここが逆風)
②消去又は全社コスト(新規事業・管理費)の抑制:連結利益の最大レバー(HR黒字でもここで相殺されやすい)
③万博関連など一過性要因の見極め:収入(協賛・物販)と費用(出展関連)が混在し、見た目の利益がブレる
④下期偏重の計画なので、上期赤字でも下期で取り返す設計が現実的か(下期に営業利益+2.7bnが必要)
⑤還元の持続性:特別配当(60円×5年)+自己株買いは強いが、事業利益が伴わないと見た目の配当性向が歪む(計画の実行が前提)
リゾートトラスト(4681)
会社HP:https://www.resorttrust.co.jp/
どんな会社?
リゾートトラストは、会員制で、余暇(滞在)と健康(医療)を束ねて売る会社です。事業は会員権/ホテル・レストラン/ゴルフ/メディカル/シニアライフなどを幅広く展開しています。
規模感として公式の会社概要では、リゾートホテル等が国内42・ハワイ1、ゴルフ場14、メディカル30、シニアレジデンス23などが明記されています。
中核の会員制リゾートでは、エクシブの仕組みとして1室を14人のオーナーで共有、年間26泊の完全利用保証(タイムシェア)など時間の確保を制度として商品化している点が特徴です。
なぜ関連銘柄?
デジタル・デトックスが贅沢品になる現象のキモは、ネットから離れること自体がコストを伴う(環境・サービス・安全・プライバシー・時間の確保)ようになることです。
リゾートトラストはまさに、そのコストを会員制×高付加価値で回収する設計になっています。
- 遮断できる環境を売っている
会員制ホテル群(ベイコート倶楽部、サンクチュアリコート等)には、スパ・ウェルネスの導線が組み込まれています(例:スパゾーン/ウェルネスゾーン等の施設案内)。
デジタル断ちを意志力でやるのではなく、場の設計(静けさ、運用、プライバシー、スタッフ品質)でやらせるのが高級リトリートの基本で、ここに親和性があります。 - ウェルビーイングを経営テーマに置いている
同社は2025年5月公表の中期経営計画でも、計画名に「to wellbeing」を掲げ、会員制倶楽部の価値向上を主軸に据える方針を明記しています。
つまり、世の中がデジタル疲れ→回復(wellbeing)へ傾くほど、同社の主戦場が広がりやすいです。 - 休むだけでなく治す/備えるまで会員制で囲い込む
メディカル領域では、ハイメディックが会員制健診(グランドハイメディック倶楽部)を展開し、プライバシー重視の空間・高精度検診・治療サポート等をうたっています。
また、リゾートトラストのメディカル事業紹介でも、東京ミッドタウンクリニックを例に予防医療・健康サポートや、がん治療領域への注力が説明されています。
SNS断ちして整うだけでは満足しない富裕層市場では、回復と医療グレードの安心がセットになりがちなので、そこを押さえているのが強いです。
注目ポイント
- 時間の確保を商品化している(制度の力)
デジタル・デトックスが贅沢品化する最大の理由は、やる気より確保された時間・空間が希少になるからです。
同社の会員権モデルは、まさに予約の取りやすさ/利用保証を制度として設計しているのが特徴です(例:タイムシェア、年間利用保証)。 - ウェルビーイング経済圏を広げる投資ストーリー
中計資料ではメディカル領域の拡大、シニア領域、さらにDX/AI基盤への投資などが具体的に書かれています。
デジタル・デトックス文脈でも、最終的に勝つのは単発の宿泊より継続課金(会員)×複数サービス(滞在・健診・介護等)の束ね売りだったりします。 - 富裕層・法人需要と相性が良い
公式の会社概要でも旅行業登録等があり、個人富裕層だけでなく法人福利厚生なども含めた会員制の需要を取りにいける構えです。
またゴルフ事業は会員制クラブ運営で、女子プロトーナメントリゾートトラストレディス開催も記載があり、ブランド体験を作る装置として機能しています。
注意点
- 「デジタル・デトックス」を明示して売っているわけではない
同社はスパ・ウェルネス/会員制/wellbeingのど真ん中ではありますが、マーケ文言として必ずしもデジタル断ちを前面に出しているとは限りません。 - 景気・資産効果・富裕層マインドに左右されやすい
高額会員権や高付加価値サービスは、マクロ環境(株価・不動産・企業業績)の影響を受けやすいです。ここはテーマ投資として当然の波となります。 - デジタル領域の拡大との同居
中計ではデジタル領域拡大やデータマーケティング活用も明記されています。
つまり企業側はデジタルから離れたい顧客に対し、裏側ではデジタルで囲い込みを強化する。これは矛盾というより現代の構造ですが、ブランド設計を間違えると反発も起き得ます。
銘柄分析
リゾートトラスト(4681)は、会員制リゾートホテルの会員権販売(会員権事業)をフロント(入口)に、ホテル・レストラン運営やメディカル(検診等の会員制サービス)へ横展開していく会員制×余暇×健康モデルの会社です。決算期は3月(4/1〜3/31が通期)です。
直近の2025年3月期(通期)の売上高は249,333百万円で、セグメント別の外部売上は 会員権 93,642百万円/ホテルレストラン等 103,978百万円/メディカル 51,001百万円/その他 711百万円という構成です。通期の営業利益は26,365百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は20,139百万円でした。
会社側の2026年3月期(通期)予想は、直近(2025/11/13時点)で 売上高 260,000百万円/営業利益 29,000百万円/経常利益 29,000百万円/純利益 20,300百万円。上期(4〜9月、2Q累計)の実績は 売上高 110,950百万円/営業利益 12,415百万円/経常利益 12,449百万円/純利益 8,620百万円で、ざっくり進捗率は売上・利益ともに約43%前後です(売上 42.7%、営業利益 42.8%)。
またこの会社は、会員権のうち不動産収益部分がホテル開業時に一括計上されるルールの影響で、決算が開業タイミングに引っ張られやすいのが重要ポイントです(会社側もFAQで明示)。
財務面(2025/3末)を見ると、現金及び預金が28,352百万円。一方で、借入金は 短期借入金 4,811百万円+長期借入金(1年内返済分含む)3,185百万円、さらにリース債務が 流動 1,514百万円+固定 23,994百万円と、運営・開発に伴う固定費の塊がB/Sに乗っています。自己資本比率は29.3%。
キャッシュフローは2025年3月期の営業CFが36,691百万円で、期末の現金及び現金同等物は28,894百万円でした。
株主還元は、2026年3月期(予想)の年間配当が34円(17円+17円)。なお、2025/4/1に1:2の株式分割があるので、2025年3月期の年間62円は分割後換算だと31円です。
加えて中計(2025-2029年度)では、配当方針としてDOE 4.5%を下限、5%を目標、2025-2027年度は3年累計の総還元性向50%を目指す方針を掲げています。
予想配当34円の利回りは約1.9%です(株価・配当は変動します)。
まとめると、リゾートトラストは会員権(契約高)→開業→繰延収益の一括計上という時間差が利益を揺らしやすい一方、ホテル運営・メディカルのストック収益を厚くしていく設計の会社で、見るべきポイントは下記のとおりです。
①会員権の販売動向(契約高・単価・ミックス)と、新規ホテルの販売計画
②ホテル開業スケジュール(開業がズレる=利益計上のズレになりやすい)
③ホテルレストラン等の運営KPI(稼働、単価改定、原価・人件費の吸収力)
④メディカル事業の会員数・稼働(会費収入の積み上がりがどれだけ効くか)
⑤キャッシュ創出と負債(借入+リース)、および還元方針(DOE・増配余地)
京セラ(6971)
会社HP:https://www.kyocera.co.jp/
どんな会社?
京セラは、ファインセラミックス/電子部品から、機械工具、ドキュメント(複合機等)、そして通信(端末)までを抱える多角化メーカーです。公式の決算資料では、2025年3月期の事業セグメントとしてコアコンポーネント、電子部品、ソリューション(機械工具/ドキュメントソリューション/コミュニケーション等)などが示されています。
このうち携帯電話を含む通信系はコミュニケーションセグメントに入り、売上構成比も開示されています。
なぜ関連銘柄?
デジタル・デトックスを行動ではなくデバイス設計で実現したい層に対して、京セラはスマホ以外の選択肢(フィーチャーフォン/カメラレス等)を実売ラインで持っているからです。
いま世界的にスクリーンタイムを減らすためにダムフォン(機能の少ない携帯)へ回帰する動きが報じられています(若年層のSNSデトックス)。Business Insider Japanが紹介した例では、Z世代がスマホを捨てて通話・SMS中心の端末を選ぶ流れが取り上げられています。 The Guardianも同様に、ストレスやデジタル疲労からdumbphonesへ移るトレンドを報じています。
京セラは個人向けの製品一覧で、フィーチャーフォン(例:DIGNOケータイ、GRATINA等)を明確にラインアップしています。
さらに法人向けでは通話中心、軽量・コンパクト、カメラなしモデル(撮影制限のある現場向け)、交換可能バッテリーなど、用途を絞る=誘惑を減らす方向の設計思想を前面に出しています。
つまり、オフライン(あるいは低刺激)が商品化し、余裕ある層ほど切断を買えるという構図のなかで、京セラは切断しやすい端末という道具側にいます。
注目ポイント
- スマホ断ちではなく、スマホにしないを現実解にする端末群
個人向けでもフィーチャーフォンが継続して掲載されており、キャリア別に提供されていることが確認できます。デトックス=高級リトリートだけでなく、日常のデバイス選択として成立させやすいのがポイントです。 - 法人ニーズと相性が良い(贅沢品化とは別ルートで普及し得る)
法人向けフィーチャーフォンの説明で、撮影制限のある現場向けのカメラレスを用意している点が明記されています。セキュリティ上スマホを持てない/持たせない現場では、結果的に強制デジタルデトックスが起きます。これは富裕層向けウェルネスとは別に、規律・安全・業務設計の文脈で需要が出るタイプです。 - キャリア現場で回る現役機がある
たとえばKDDIの法人向けページには、京セラ製のGRATINA(KYF44)がビジネスのスタンダードとして紹介されています。
ガラケー回帰が単なる懐古でなく、業務用途で継続していることの裏づけになります。
注意点
- フィーチャーフォン=完全デトックスではない
たとえばDIGNOケータイ4(A203KC)の仕様には、Wi-Fiやテザリングが含まれます。
アプリ地獄からは距離を置けても、ネット接続を断つ端末ではないです。 - 会社全体のデトックス純度は高くない
京セラは超多角化で、通信(コミュニケーション)は全社の一部にすぎません(セグメント構成比が公式に出ています)。関連銘柄としては強いですが、デトックス専業の連動性を期待しすぎるとズレが生じます。 - 端末需要はキャリア方針・規格・サポートに左右される
ラインアップの多くがキャリア提供モデルで、調達や採用は通信事業者・法人運用側の意思決定に引っ張られます。トレンドだけで一方向に伸びるとは限りません。
銘柄分析
京セラ(6971)は、ファインセラミックス/半導体関連部品などのコアコンポーネント、電子部品(主にKyocera AVX等を含む)、そしてドキュメントソリューション(複合機・プリンター等)やコミュニケーション等のソリューションを持つ多角化メーカーです(決算期は3月で、4/1〜3/31が通期)。
直近の2026年3月期 第3四半期累計(2025/4/1〜2025/12/31)の連結売上高は1,521,996百万円(前年差+2.0%)で、営業利益は70,621百万円まで大きく改善しています(前年差+58,346百万円)。
セグメント別の売上は、コアコンポーネント477,170百万円/電子部品267,196百万円/ソリューション791,266百万円(その他の事業10,570百万円、調整等△24,206百万円)で、構成比は概ねソリューション約52%、コアコンポーネント約31%、電子部品約18%です。
中身を見ると、コアコンポーネントは半導体関連部品が255,770百万円(前年差+13.3%)と伸び、ここが売上の押し上げ役。一方、ソリューション内のドキュメントソリューションは342,655百万円(前年差△2.7%)で減収です。
会社計画については、2026年3月期通期予想を「売上 2,020,000百万円/営業利益 100,000百万円/税引前利益 150,000百万円/親会社帰属当期利益 120,000百万円」へ上方修正しています(2026-02-02公表)。
上方修正の背景として会社は、①半導体関連の需要が高水準で継続、②円安進行、に加え、③事業見直しの一環として米国子会社Kyocera Industrial Tools, Inc.の全株式をTL Sapphire Holdings, Inc.へ譲渡したことに伴う約150億円(=15,000百万円)規模の利益押し上げ要因を挙げています。
なので今回の利益の跳ね方は、半導体需要+コスト/構造改革の効果に、一過性要因も混ざっていると理解しておくのが安全です。ここを混同すると、未来の利益予想を盛りすぎてしまいます。
財務面はかなり強めで、2025/12/31時点の資産合計4,630,983百万円に対して、親会社所有者帰属持分比率は72.4%と高水準。現金及び現金同等物は421,510百万円あります。
一方で、同第3四半期累計の営業CFは158,925百万円(前年差△25,261百万円)と前年より減少しており、会社はその主因の一つとしてKDDI株式売却に伴う源泉所得税の支払増を挙げています。
なお、投資CFは22,772百万円のプラス、財務CFは△222,636百万円で、財務CFのマイナスは自己株取得による支出増が主因と説明されています(株主還元/資本政策がキャッシュの使い道として大きい局面)。
株主還元は、配当は年間50円(中間25円+期末25円)の継続方針(2026年3月期予想)です。
加えて自己株買いは、上限「136,240,000株(発行済株式(自己株除く)に対し9.67%)・2,000億円(=200,000百万円)」、取得期間は2025/5/15〜2026/3/24、取得方法は東京証券取引所での市場買付とされています。
進捗としては、2025/11/30までの累計で49,974,700株・99,678,894,950円(=約996.8億円)取得済み。(決算短信上も自己株式数が増えており、買い戻しが実際に進んでいることが確認できます。)
政策保有株の縮減も重要テーマで、京セラはKDDIの自己株TOBに応募し、応募予定108,365,800株×2,307円=約2,500億円規模(=約250,000百万円)の売却予定総額を開示しています。
決算説明会資料でも「KDDI株 約108百万株(約2,500億円)を売却」「決済完了(源泉徴収後 2,111億円入金)」、さらに自社株買いの進捗(〜9月末まで約500億円・約26百万株)と、2026年3月末まで2,000億円買付予定が整理されています。
まとめると京セラは半導体関連の追い風(コアコンポーネント)とドキュメント/コミュニケーションの弱さ(ソリューション内の濃淡)が同居しつつ、政策保有株の売却+大規模自社株買いで資本政策を強く動かしている局面です。直近は通期予想の上方修正が入っておりモメンタムは良いのですが、修正要因に構造改革+一過性利益(Industrial Tools譲渡益見込み)が含まれる点は、翌期以降を考えるうえで分解が必要です。
見るべきポイントは下記のとおりです。
①半導体関連部品の需要が高水準で継続できるか(データセンター/AI向けの波がいつ平準化するか)
②ソリューション(特にドキュメントソリューション、コミュニケーション)の減収トレンドが底打ちするか
③円安の追い風が剥落した場合の利益感応度(ここは為替次第なので確定利益として扱わない)
④自己株買い(上限2,000億円)の進捗と、政策保有株縮減(KDDI株売却など)での資本効率改善の継続性
⑤一過性要因(譲渡益など)を除いた通常運転の稼ぐ力がどこまで戻っているか(次の決算で分解して確認)

コメント