地域に暮らす「外国人住民」が増えると、学校やお店、町のルールが少しずつ変わります。
多文化共生は、ちがいを「問題」にする前に、情報・対話・仕組みで解決していく考え方です。
この記事を読むと、データで現状を説明でき、自分の意見と小さな行動を選べます。
導入
多文化共生を一言でいうと
多文化共生=国籍や民族などがちがう人どうしが、文化のちがいを認め合い、対等な関係で、地域の一員として一緒に生きることです。
ここで大事なのは「相手に合わせて遠慮し続ける」ことではありません。
お互いが困らないように、ルールや情報を整えることです。
まず立てたい問い
探究=自分で問いを立てて調べ、考え、伝える学び方です。
この記事では、次の問いから始めます。
問いA:なぜ日本の地域で外国人住民が増えているの?
問いB:外国人住民と日本人住民、どこで「すれちがい」が起きやすい?
問いC:地域でできる、現実的な解決は何?
中学生の生活とどう関係する
学校では「日本語がまだ十分でない」子が増えています。
文科省の調査(2023年5月1日時点)では、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒が5万7,718人でした。
街では、病院・防災・役所の情報が伝わらないと困ります。
そのため国は「やさしい日本語」を広げようとしています。
ここまでの3行まとめ
・多文化共生は「ちがいを前提に、困りごとを減らす」考え方です。
・問いを立てると、調べるポイントが見えます。
・学校と地域の両方で、あなたの生活に関係します。
世界の現状
世界では何が起きている
国境を越えて住む人は、世界で増えています。
2024年の国際移民は約3億400万人で、世界人口の約3.7%です。
国際移民=生まれた国とは別の国で暮らす人、という意味で使われることが多いです。
「国際移民ストック」は、その時点で住んでいる人数のことです。
一方で、戦争や迫害などで「逃げざるを得ない人」も増えています。
2024年末の強制的避難は推計1億2,320万人です。
国や地域で何がちがう
国際移民が多い地域は偏りがあります。
2024年は、ヨーロッパと北米に約1億5,526万人(全体の約51.1%)が住んでいます。
次に多いのは北アフリカ・西アジアで、約5,409万人(約17.8%)です。
国別で見ると、移民が多い国も、移民の割合が高い国もあります。
たとえばアメリカ合衆国は人数が多い代表例です。
湾岸地域の国には人口に占める割合が大きい国もあります。
ここでは、ひとまず2点だけ覚えればOKです。
「行き先が集中する」ことと、「理由はいろいろ」なことです。
数字の読み方
同じ「増えた」でも、意味がちがいます。
人口が増えているのか、住んでいる人の入れ替わりが増えたのか、で対策が変わります。
もう1つ大事なのは、言葉の区別です。
移民=自分で選んで移動する場合も多い。
難民などの強制的避難=安全のために逃げる。
この区別を間違えると、議論がかみ合いません。
「外国人が増えた=難民が増えた」ではありません。
ここまでの3行まとめ
・世界の国際移民は2024年に約3億400万人です。
・強制的避難は2024年末に約1億2,320万人です。
・人数だけでなく「理由」と「言葉の定義」が大事です。
日本の現状
人の動きはどう変わっている
出入国在留管理庁によると、2024年末の在留外国人数は376万8,977人で過去最高です。
前年末より35万7,985人増えていて、増加率は10.5%です。
2025年6月末は395万6,619人で、これも過去最高です。
国籍・地域の多様さもポイントです。
2024年末時点で、在留カード等に表記された国籍・地域は195(無国籍を除く)でした。
どんな在留資格が多い
在留資格=日本にいるための「許可の種類」です。
資格によって、できる活動(仕事・勉強など)がちがいます。
2024年末は「永住者」が最も多く、次に「技能実習」「技術・人文知識・国際業務」「留学」「家族滞在」が続きます。
2025年6月末は「永住者」の次に「技術・人文知識・国際業務」が多く、「特定技能」も増えています。
ここは、「外国人住民=一つのグループ」ではないことを示します。
働く人、学ぶ人、家族で暮らす人が混ざっています。
制度やルールはどう動いている
厚生労働省のまとめでは、2024年10月末時点の外国人労働者数は230万2,587人です。
国籍別ではベトナムが最も多く、在留資格別では「専門的・技術的分野」が初めて最多になりました。
国は制度も変えています。
技能実習制度は見直され、人材育成と人材確保を目的とする「育成就労制度」が新設されます。
公布は2024年6月21日で、施行日は2027年4月1日です。
学校の現場も動いています。
文部科学省の調査では、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒は5万7,718人(2023年5月1日)。
日本国籍でも日本語指導が必要な児童生徒は1万1,405人います。
言葉の壁を減らすために、文化庁と入管庁は「やさしい日本語ガイドライン」を作っています。
やさしい日本語=難しい言葉を言い換えるなど、相手に配慮した分かりやすい日本語のことです。
そして、日本語教育そのものを進める法律もあります。
日本語教育の推進は、外国人が生活を円滑に営める環境づくりに資するとされます。
ここまでの3行まとめ
・日本の在留外国人数は2024年末に376万人、2025年6月末に395万人です。
・「働く」「学ぶ」「家族」など、外国人住民の中身は多様です。
・国は制度(育成就労)と言葉の支援(やさしい日本語)を整えています。
影響
中学生の生活に近いところで起きる変化
一番身近なのは「学校コミュニケーション」です。
連絡プリント、校則、保護者へのお知らせが伝わらないと、本人も先生も困ります。
次に「地域のルール」です。
ゴミの出し方、自治会、防災訓練などは、暗黙の了解が多いです。
だから、言葉と説明の工夫(やさしい日本語)が効きます。
ここで注意したいのは、ズレが「悪意」から生まれるとは限らないことです。
知らない、言葉が分からない、というだけの場合があります。
経済への影響
外国人労働者が増えると、働き手が足りない分野を支えられます。
実際、日本の外国人労働者数は2024年10月末時点で約230万人です。
一方で、働く環境が整わないと問題も出ます。
「言葉が分からない」まま危険な作業をすると事故のリスクが上がります。
だからこそ情報提供が重要になります。
社会への影響
大きいのは「人権」です。
人権=だれもが尊重されるべき、という考え方です。
差別的な言動は、個人の心を傷つけるだけでなく、地域全体の安心感を壊します。
日本には、いわゆるヘイトスピーチ解消法があり、国などの責務を定めています。
また、住まいの問題も大きいです。
東京23区の賃貸市場を対象にした実験研究では、外国人名だと肯定的な返事が約13%減るという結果が報告されています。
国際関係への影響
世界では、戦争や迫害で国を追われる人が増えています。
その結果「難民や避難民をどこがどう支えるか」が国どうしの課題になります。
UNHCRの報告書では、2024年末の強制的避難が1億2,320万人とされ、内訳には国内避難民(IDPs)などが含まれます。
このような大きな動きが、各国の移民政策や地域の受入れ議論につながります。
ここまでの3行まとめ
・生活の変化は「学校・情報・地域ルール」から出やすいです。
・メリットも課題もあり、仕組み(言葉・制度)がカギです。
・差別や誤解が起きると、地域の安心が下がります。
課題と展望
これからの論点
論点は、大きく3つです。
1つ目は「情報の届き方」です。
多言語化だけでなく、やさしい日本語の活用が提案されています。
2つ目は「学校の支援」です。
日本語指導が必要な子が増えるほど、先生の負担や支援体制の差が問題になります。
3つ目は「偏見と分断」です。
住まいの拒否や、根拠の薄いうわさが、共生を難しくします。
あり得る未来シナリオ
未来は1つに決まりません。
ここでは3つの「あり得る」形として考えます。
シナリオA:情報と対話が進み、学校も地域も慣れていく。
この場合、地域は多様性を強みにできる可能性があります。
シナリオB:制度は進むが、現場の支援が追いつかない。
数字だけが増えて、学校・住宅・医療の負担が積み上がるかもしれません。
シナリオC:誤情報や差別が広がり、分断が進む。
この場合、安心・安全だけでなく、地域の信頼が下がります。
どれになるかは、「地域で何をするか」に左右されます。
だから中学生でも「小さな行動」が意味を持ちます。
考え方のコツ
コツは3つです。
原因と結果で考える。
「言葉が分からない」→「手続きミス」→「トラブル」など、つながりを追います。
比べて考える。
世界の移民と日本の在留外国人は同じに見えて中身が違います。
当事者の視点で想像する。
相手が「何を知らないのか」「何が不安なのか」を言葉にします。
これはUNESCOが示す相互理解の考え方にもつながります。
ここまでの3行まとめ
・課題は「情報」「学校」「偏見」の3つが大きいです。
・未来は決まっていないので、複数のシナリオで考えます。
・原因と結果、比較、当事者視点が探究の武器です。
よくある疑問Q&A
Q:外国人住民って、結局だれのことですか?
A:「地域に住んでいる外国人」を広く指す言い方です。統計では「在留外国人(ざいりゅうがいこくじん)」という言い方がよく使われます。
Q:日本の在留外国人は増えているの?
A:増えています。2024年末は376万8,977人で過去最高です。2025年6月末は395万6,619人で、さらに更新しました。
Q:国籍はどこが多いの?
A:2024年末は中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ネパールの順です。
2025年6月末も上位は似ていますが、人数は変化します。
Q:外国人が増えると、学校はどうなる?
A:日本語指導が必要な子が増えると、指導する先生や支援員、教材の準備が必要になります。
文科省の調査では、外国籍で日本語指導が必要な児童生徒は5万7,718人です。
Q:「やさしい日本語」って、子どもが使っていいの?
A:もちろんです。難しい言葉を言い換えて、短く、分かりやすく伝える方法です。
大人が外国人に「配慮している」だけではなく、災害情報などを正確に届けるための道具でもあります。
Q:多文化共生は「ルールをゆるくする」こと?
A:ちがいます。むしろ「ルールを分かりやすくし、守りやすくする」ことに近いです。
ルールが守られない原因が「知らない」「読めない」なら、説明を変える方が効きます。
Q:ウワサや誤情報はどう見分ける?
A:3ステップで確認します。
①だれが出した情報か(国・自治体・国際機関か)。
②数字の出どころはどこか(調査名・日付があるか)。
③言葉の定義が混ざっていないか(移民と難民など)。
Q:中学生が今日からできることは?
A:大きなことをしなくてOKです。
まず「困っている人を、正しい窓口につなぐ言い方」を覚えるだけでも役に立ちます。
結論
全体まとめ
多文化共生は、文化のちがいを前提に、地域生活の困りごとを減らす考え方です。
日本では在留外国人が増え、学校・仕事・地域で「情報が届く仕組み」が重要になっています。
世界でも移民と避難が増えていて、これは国際関係ともつながります。
ここまでの3行まとめ
・多文化共生は「ちがいを解決につなげる」考え方です。
・日本の数字は増加中です。
・世界の動きともつながっています。
今日からできる行動
行動は「安全」「やさしさ」「続けやすさ」の順で選ぶと失敗しにくいです。
1つ目:やさしい日本語で話す練習をする。
例:「ここに書いてあります」→「ここを見てください。これは○○です。」
要点は短く、順番に、はっきり言うことです。
2つ目:自分の市の「外国人向けページ」を見てみる。
多言語、防災、相談、学校の情報があるかをチェックします。
自治体も、多文化共生ページを作っています。
3つ目:探究のミニ発表を作る。
「地域で外国人住民が困る場面」を3つ挙げ、解決策を1つずつ書きます。
データ(人数)→理由→対策の順でまとめると伝わります。

コメント