下記の記事で紹介した空き家問題について、関連銘柄を探してみました。
日本の空き家問題は景観だけではない:治安・防災・財政コストと経済損失、世界の対策までメモ | ブルの道、馬の蹄跡
この銘柄も!というのがあれば是非コメント欄にお願いします。
ダスキン(4665)
会社HP:https://www.duskin.co.jp/
どんな会社?
ダスキンは清掃・衛生・住まいのメンテを核に、フランチャイズで多業態を展開する会社です。マット/モップのレンタルやプロ清掃、家事代行、害虫獣駆除、庭の手入れ等の訪販(Direct Selling)系と、ミスタードーナツ等のフード系が二本柱。公式英語サイトでも日本の主要フランチャイザーで、マット・モップから清掃、介護、ドーナツ店まで15以上の事業と説明しています。
また、メリーメイド(家事代行・家の清掃)だけでも拠点数が国内798という規模感が示されています。
なぜ関連銘柄?
ダスキンは空き家を放置しないための実務をすでに商品化しています。
- 直球の空き家メニューがある(公式)
メリーメイドの「空家点検サービス」は、空家を定期訪問して清掃+点検(通気・通水等)+現状報告までをセット化。
料金も一軒家/マンションで標準料金が明記されており、サービスとしてパッケージ化されているのが強いです。 - 治安リスクに有効な運用(見回り・施錠確認など)
公式の空き家管理サイトでは、関西エリア限定ながら、月1回の巡回で施錠・外観確認、状況報告などを前面に出しています(ポストが溢れて防犯リスクなどの課題認識も明示)。 - 会社として周辺事業に空き家管理を位置付け始めている
2026年3月期2Qの決算説明資料で、訪販グループのハウスメンテ領域として「空き家管理サービス」を、緊急トラブル対応・住設機器交換・原状回復と並ぶ形で記載。
→ 単発のサービスではなく、住まいの困りごとを束ねる戦略の一部になりつつあります。 - 法制度の圧が需要を作りやすい
2023改正空家法の周知資料では、勧告を受けた管理不全空家等でも住宅用地特例が解除される旨が明記されています。
→ 所有者側のインセンティブとして放置しないための外注ニーズが立ちやすいです。
注目ポイント
- 空き家管理を、既存の強いサービス群で束ねられる
決算短信でも、メリーメイド(家事代行)に加え、サービスマスター(プロ清掃)、ターミニックス(害虫獣)、トータルグリーン(庭)などが挙げられています。空き家で揉めやすい汚れ、害虫、雑草/枝、劣化を別会社を渡り歩かずに寄せられるのが強みです。 - 全国フランチャイズ網×信頼が、遠方相続・実家案件と相性が良い
空き家は現地に行けないが最大のボトルネック。定期訪問・報告の運用を、既存の拠点網で回せる設計が可能です(メリーメイド拠点数などが裏付け)。 - 将来は住まいのライフサイクル(維持→修繕→原状回復→売却準備)の入口になり得る
決算説明資料で「原状回復」「住設機器交換」「緊急対応」と並列に置いているのが示唆的。
空き家問題は片付けではなく意思決定(住む/貸す/売る/壊す)なので、その入口を握れると強いです。
注意点
- 現状、空き家管理は会社全体の主役とは限らない
ダスキンは多事業(フードも大きい)。空き家管理の売上インパクトは資料上は周辺事業の扱いで、規模感は要ウォッチです。 - 地域限定・加盟店品質のブレ
関西限定で展開中(拡大予定)という書きぶりがあり、全国一気に均質化するタイプではない可能性。フランチャイズは品質管理が競争力にもリスクにもなります。 - 競合が多い(地場の不動産管理会社・便利屋・建設/解体・警備)
差別化は総合メニュー化とブランド/運用。価格競争に巻き込まれる余地はあります。 - 事故・クレーム時のレピュテーション
鍵管理、立入、近隣対応など、人手サービスゆえの運用品質が重要です。
銘柄分析
ダスキン(4665)は、レンタルマット・モップ等のダストコントロールや清掃/衛生系サービスをフランチャイズ中心に展開する訪販グループと、ミスタードーナツを主力にするフードグループを両輪に持つ生活関連サービス企業です(決算期は3月で、4/1〜3/31が通期)。
直近の2025年3月期の連結売上高は188,791百万円で、セグメント別(内部売上含む)は訪販グループ 108,438百万円/フードグループ 66,747百万円/その他 16,486百万円と、売上は訪販が約6割・フードが約3.5割という構図です(利益面も、訪販 5,721百万円/フード 8,556百万円)。
会社計画(2026年3月期)は、通期で売上 195,000百万円/営業利益 7,900百万円/経常利益 11,600百万円/純利益 9,000百万円を掲げています。
一方で、2026年3月期の上期(4〜9月)は、売上 95,078百万円・営業利益 4,691百万円で、通期計画に対して売上の進捗が約49%、営業利益の進捗が約59%と、数字だけ見ると悪くない滑り出しです。
ただし中身はクセがあり、上期は訪販グループが増収でも減益(営業利益 2,572百万円、前年差▲16.3%)で、要因として会社側は「ケース付きモップクリーナー」が計画超で出荷され、初回出荷時に原価を一括計上する会計構造のため原価が膨らんだこと、加えて人件費・販促費の増加を挙げています(売上は立つが利益が先に削れる)。
逆にフードグループは増収増益で、ミスタードーナツの全店合計お客様売上増に加え、前期中の価格改定などで原価率が改善し、上期の営業利益は5,229百万円(前年差+39.3%)とかなり強いです。
この結果、会社は上期決算時点で通期見通しのセグメント内訳を見直し、訪販グループの通期営業利益を下方(6,700→5,500百万円)、フードグループを上方(8,600→9,400百万円)に修正しつつ、連結の営業利益計画(7,900百万円)は据え置いています。
ざっくり言うと今年の利益ドライバーはフード寄り。訪販は新商品の原価先食いがどこまで続くかが焦点という絵になっています。
財務面はかなり堅く、2026年3月期上期末(2025/9/30)時点で現金及び預金 16,140百万円/有価証券 4,698百万円/投資有価証券 71,507百万円と金融資産が厚い一方、借入金はほぼゼロ水準、自己資本比率も76.2%と高めです。
株主還元は、2026年3月期の配当予想が年間115円(中間50円+期末65円)。 さらに中期経営方針2028では、配当方針を配当性向60% or DOE 3.0%(従来2.5%)の高い方に引き上げ、成長投資を優先しつつも、状況に応じて機動的な自己株買いを行う方針を明示しています。
実際に自己株買いも実行しており、(参考)2024/5/23決議の枠(上限1,562,500株/5,000百万円)に対し、2024/11末時点で累計1,299,400株/4,891百万円まで進捗していることが開示されています。
まとめると、ダスキンはストック性のある訪販(レンタル)×外食(ミスド)の複合企業で、足元はフードが牽引、訪販は新商品要因で利益が揺れている局面です。見るべきポイントは下記になります。
①訪販グループ:ケース付きモップクリーナーの原価先食いがいつ落ち着くか(出荷ペースと利益率)
②訪販グループ:主力のクリーンサービス事業が減収とされており、家庭向け/事業所向けの回復度合い
③フードグループ:ミスタードーナツの客数・客単価(商品施策+値上げ効果)と原価率の持続性
④利益の偏り:通期ではフード上振れで訪販の弱さを相殺の設計になっているため、下期の訪販の戻りが重要
⑤資本政策:DOE引き上げ+機動的な自己株買い、金融資産の活用(政策保有株縮減など)の実行度
セコム(9735)
どんな会社?
セコムは1962年創業の警備・セキュリティの草分けで、オンライン警備や家庭向けホームセキュリティなどを早期から展開してきた企業です。事業はセキュリティを中核にしつつ、防災、メディカル、保険、地理空間情報サービス、BPO・ICTなどへ拡張し、海外にも展開しています。
なぜ関連銘柄?
空き家問題の外部不経済(治安・防災リスク)を、商品として直接減らす側にいます。
- セコムは公式に空き家の防犯・監視ページを用意し、異常の感知→駆けつけまでを含むホームセキュリティとして提案しています(料金例や初期費用も明示)。
- 空き家の厄介ポイントである侵入、放火/火災を、セキュリティと火災対策(同じくホームセキュリティの枠)として並べて訴求しています。
- 使っていない家は人の目がないぶん被害が深刻化しやすいので、監視・通報・対応の仕組みは、自治体や近隣が背負うコスト(警察・消防・苦情対応等)を間接的に押し下げる役割になり得ます。
注目ポイント
- 空き家を名指しした専用導線がある(需要を取りに行っている)
空き家向けに防犯・監視を前面に出し、料金に機器一式/異常感知/駆けつけ/契約後の補償・サポートを含むと説明しています。 - 規模の裏付けがある
同ページ内で、個人・法人のオンラインセキュリティ契約件数が約264万件(2025年9月30日時点、セコム調べ)と明記しています。現場運用のスケールが武器になりやすいタイプです。 - 回線要件のハードルを下げる設計(遠方所有・相続空き家に相性)
戸建て向けプランのFAQで、最新のホームセキュリティでは電話回線・インターネット回線を使用しなくても利用できる旨を案内しています。 - セキュリティ会社なのに、周辺インフラ(防災・医療・GIS等)まで事業領域がある
空き家問題は侵入だけでなく、火災・災害・地域の資産管理(台帳整備など)に波及します。セコムは事業として防災・メディカル・地理空間情報サービス等も掲げており、自治体・企業案件で面の提案をしやすい立ち位置です(ただし空き家対策に直結する案件規模は個別確認が必要)。
注意点
- コスト構造
空き家向け提案には月額費用に加え、工事料・保証金や買取型費用など初期コストが発生し得ます。物件価値や利用頻度によっては費用対効果が合わない場合があります。 - 全部のリスクを消すわけではない
監視・通報・駆けつけは強い一方、老朽化(倒壊)や雑草・害虫、近隣トラブルなどは別の対策が要ることが多いです(総合解としては他サービスとの組み合わせが現実的)。 - 現場条件で実装が変わる
空き家の立地・建物構造・機器構成で料金や設置内容が変動すると明記されています。過疎地・山間部などは運用面の条件差も出やすいので、見積もり前提で考えるのが安全です。
銘柄分析
セコム(9735)は、オンライン・セキュリティ(機械警備)を中核に、防災(消火設備・メンテ等)やメディカル、保険、地理空間情報、BPO/ICTまで安心の周辺領域を広く押さえる総合セキュリティ企業です(決算期は3月で、4/1〜3/31が通期)。
直近の2025年3月期の連結売上高は1,199,942百万円で、セグメント別にはセキュリティサービス 633,392百万円/防災 177,095百万円/BPO・ICT 128,456百万円が大きく、次いでメディカル 86,250百万円、保険 59,356百万円、地理空間情報 58,372百万円、その他 57,018百万円という構成です。
2026年3月期の会社計画として「売上 1,251,000百万円/営業利益 150,000百万円/経常利益 168,700百万円/純利益 103,400百万円」を掲げています。
一方で、2026年3月期の上期(4〜9月)の実績は「売上 593,547百万円/営業利益 67,464百万円」なので、計画達成には下期で売上 657,453百万円・営業利益 82,536百万円の積み上げが必要になります(会社計画上は下期の上積みが大きめで、上期進捗の見方が重要になりやすい)。
上期の中身を見ると、売上高は前年同期比+6.0%、営業利益は+14.2%と堅調でした。セグメント別の上期売上はセキュリティサービス 324,357百万円/防災 77,409百万円/メディカル 45,025百万円/保険 30,657百万円などで、主力のセキュリティが素直に伸びています。
ただし経常利益と純利益は前年同期比で減少しており、開示上は営業外収益のうち投資事業組合運用益の減少が効いています(営業利益は増えているのに、経常以下が伸び切らないパターン)。
財務面はかなり優等生寄りで、上期末(2025/9/30)の自己資本比率は59.6%。現金及び現金同等物は4,183億円(前年差ではなく期末比で+99億円)と厚く、投資有価証券も440,902百万円あります。
一方で株主還元も動いていて、上期に自己株式を8,317,100株取得(自己株式の帳簿価額+44,878百万円)しています。、2026年3月期の配当予想が年100円(中間50円+期末50円)です(※2024/10/1に1→2の株式分割を実施しており、開示は分割後換算)。
配当利回りは株価次第ですが、直近水準だと概ね1%台後半です。
まとめると、セコムは主力(セキュリティ契約収入)で安定収益を稼ぎつつ、周辺領域(防災・ICT・医療等)を厚くするモデルで、見るべきポイントは下記の通りです。
① 上期→下期での上積み(会社計画上、下期に売上/利益の乗せが大きい)
② セキュリティ契約収入の伸び(上期は契約収入が増えており、ここが崩れにくいか)
③ 経常以下のブレ要因(投資事業組合運用益など営業外の振れで見た目が変わる)
④ 現金・投資有価証券の厚みと資本政策(自己株取得の継続性、使い道の優先順位)
⑤ 配当の安定性(年100円予想。分割後換算の見間違いだけ注意)
LIFULL(2120)
会社HP:https://lifull.com/
どんな会社?
LIFULLは、住宅・不動産情報サービス「LIFULL HOME’S」を中心に、住まい領域の周辺サービスを展開する東証プライム企業です。会社概要として、主な事業に「不動産情報サービス事業(LIFULL HOME’S運営)」などを明記しています。
IRの事業概況では、2025年9月期の連結売上収益(281億円)など、事業規模も開示されています。
なぜ関連銘柄?
空き家問題の核心である放置→劣化→危険化(治安・防災・財政負担)を、市場化(マッチング)と行政オペレーション整備で減らしにいく側にいます。
- LIFULLは、国交省の「全国版 空き家・空き地バンク」のモデル事業に採択された「LIFULL HOME’S 空き家バンク」を運営し、自治体が管理する空き家・空き地情報を集約して検索できる形にしています。
- 国交省の総合情報ページでも、全国版空き家・空き地バンクのLIFULL版への導線が明示されており、制度側の公的な受け皿の一角として位置づいています。
注目ポイント
- 全国版空き家バンクの運営プレイヤー=自治体の事務コストを減らす設計
LIFULLは、国交省モデル事業として空き家バンクを構築・運営し、自治体が個別に持つ情報を全国で一元化する構想を打ち出しています。
空き家は誰が持ってるか分からない/載せ方が自治体ごとにバラバラ/探す側が見つけられないが放置を増やすので、ここを統一フォーマット&検索に寄せるのは、治安・防災の前に財政的に効く打ち手になりやすいです(行政の手戻りが減る)。 - 掲載物件が自治体管理であることを明記
空き家バンクに掲載されている物件は自治体、または自治体から委託を受けた団体が管理と明記されています。民間不動産サイトの物件とは役割が違う、という宣言でもあります。 - すでに成約の実績が数字で出ている
国交省側資料(全国版空き家バンクの説明PDF)で、LIFULL HOME’S 空き家バンク掲載物件の累計成約が8,600件超(2022年10月末時点)と記載があります。単なる情報掲示ではなく、動いた実績があります。 - 空き家を見つけるところから関与(データと自治体)
LIFULLは東京大学の研究機関・自治体と、水道使用量データ等を使って空き家(予備軍)を抽出→台帳情報と突合して所有者把握→空き家バンク登録促進の導線を作る実証を公表しています。空き家問題の財政負担は、見つからない/連絡できない/手が回らないがかなりの割合なので、ここに踏み込むのはLIFULLらしい差別化です。 - プレイヤーの人材不足を埋めにいく動きがある
2023年時点で、空き家対策コンソーシアムに理事として参画し、自治体連携(749自治体)や人材育成(累計1200名へのノウハウ共有)などを掲げています。
さらに直近だと、地域おこし協力隊等を対象にした空き家活用講座(2026年4月開講)も発表しています。
注意点
- 危険空き家の直接処理そのものは行政権限領域
LIFULLが得意なのは情報整備・マッチング・早期発見・活用促進です。倒壊危険や強制除却のような最終局面は、法律・行政執行・現場施工の世界で、同社単独で完結する話ではありません。 - 自治体側の運用力に成果が左右される
掲載・更新・現地確認などの運用が弱い自治体では、プラットフォームがあっても動かない物件が残りやすいです。だからこそLIFULLは人材育成やコンソーシアムなど、運用の底上げにも寄せていますが、裏返すとそこがボトルネックとなります。 - データ活用はプライバシー・ガバナンスが肝
水道使用量や台帳突合のようなアプローチは強力な反面、自治体のデータ取扱いルール整備と住民理解が前提になります。
銘柄分析
LIFULL(2120)は、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」を中核に、投資用不動産(健美家)や高齢者施設領域(LIFULL senior)など住領域の周辺サービスも展開する会社です(決算期は9月で、10/1〜9/30が通期)。
直近の2025年9月期の売上収益は28,127百万円で、セグメント別にはHOME’S関連 25,530百万円/その他 2,596百万円と、HOME’Sが大宗を占めます。
2026年9月期の会社計画として「売上収益 29,700百万円/営業利益 3,000百万円/親会社帰属利益 1,900百万円」を掲げています。売上は増収計画ですが、営業利益は前期(3,815百万円)から減益計画で、会社側は中計達成へ向けたスタートダッシュ(採用強化、広告・AI/生成AI、開発等への投資)や、本社移転関連の一時費用などを織り込む説明になっています(今期は利益より投資を優先)。
2025年9月期は、売上収益28,127百万円(前年差+6.9%)/営業利益 3,815百万円(同+26.1%)で、営業利益率も13.6%まで改善しました。利益面では、海外事業のリストラクチャリングに伴う会計処理の影響もあり、親会社帰属利益は5,317百万円と大きく見えますが、内訳として非継続事業(海外)の利益が含まれる点は読み替えが必要です(※継続事業利益は別途開示)。
財務面は、2025年9月末時点で現金及び現金同等物 10,702百万円。有利子負債としては短期借入 843百万円+長期借入 7,453百万円に加え、IFRS16のリース負債(短期624/長期204百万円)等があります。ざっくり差し引くと、ネットキャッシュは概算で+約13億円(※現金−借入−リース−その他金融負債の単純計算)で、レバレッジは過度ではありません。一方で、投資や貸付等の使途で投資CFが大きく、期中の現金は減っています(営業CF 4,808百万円に対し投資CF △11,852百万円)。
株主還元は、配当性向を30%へ引き上げ(従来比+5pt)とし、2025年9月期は記念配当1.00円を含む1株配当10.41円(過去最高水準)を実施しています。来期は4.00~5.00円予想で、配当利回りは約2.3%です。
中期経営計画(2026年9月期〜2028年9月期)では、2028年9月期の定量目標として「売上収益 350〜400億円/営業利益 55〜60億円/営業利益率15%超」を掲げています。ここから逆算すると、2026年9月期が投資で一度利益率が落ちやすい年という位置づけは一貫しており、投資→成長→利益率再上昇が絵としてはメインシナリオです。
まとめると、LIFULLはHOME’Sの収益力をテコに、国内住領域へ集中+AIで非連続成長を狙う局面で、見るべきポイントは下記の通りです。
① HOME’Sの成長の質(顧客数・ARPA、反響数、広告宣伝費の効率:増収でも利益が崩れないか)
② 2026年9月期の投資回収の兆し(採用強化・AI/生成AI・プロモーション強化が、来期以降の成長率に繋がるか)
③ その他事業の赤字縮小→黒字化(投資用不動産/介護/周辺領域の採算、縮小する事業の見極め)
④ キャッシュの使い道(投資CFが大きいので、投資・貸付の回収/リターンが見えるか=FCFの出方)
⑤ 株主還元の持続性(2025年は記念配当+利益の見え方に特殊要因あり。30%方針のもと、平常運転の配当水準がどこに落ち着くか)
TREホールディングス(9247)
どんな会社?
TREホールディングスは、いわゆる廃棄物を資源に戻す側の企業グループで、中心は大きく3つです。
- 廃棄物処理・再資源化(建設・解体系が主戦場)
建設現場や解体工事から出る建設系廃棄物を、自社の収集運搬→中間処理(分別・破砕・圧縮など)→再資源化(石膏ボード/紙/プラ等)→残渣は自社の最終処分場へ、という一貫処理を掲げています。 - 資源循環×再エネ(木質バイオマス発電)
間伐材などの未利用木材に加え、建設系廃棄物の木くずも燃料にして、国内6カ所の木質バイオマス発電所を運営しています。首都圏最大級クラスとして、建設木くず燃料の発電所(約49MW)にも触れています。 - レジリエンス(災害廃棄物処理・自治体連携)
災害廃棄物を早期に処理・リサイクルすることをグループの使命として明記し、自治体との協定締結や受入れ対応を進めています。
なぜ関連銘柄?
空き家問題が放置→危険化→除却(解体)・修繕(改修)に進むほど、建設・解体系の廃棄物処理と資源化の需要が増えます。
- 危険な空き家の除却=解体の波が来る
政策的にも、危険化した空き家は除却が進みやすい。除却すると、がれき、木くず、石膏ボード、混合廃棄物などが大量に発生します。TREはまさにこの建設・解体系の廃棄物を一貫処理の対象としています。 - 治安・防災の裏側は、実は廃棄物処理のオペレーション
災害時も平時も、廃棄物が滞留すると復旧・地域機能回復が遅れ、自治体コストも膨らみます。TREは災害廃棄物の迅速処理をレジリエンスとして位置づけ、自治体との協定や対応を進めています。 - 財政との接点:自治体のごみ処理施設の老朽化・運営負担
統合報告書で、自治体のごみ処理施設の老朽化や維持管理が深刻な課題であることに触れ、2024年4月に「公民連携推進部」を発足して、一般廃棄物処理の民設民営化でコスト削減・業務負担軽減につなげる方針を示しています。
空き家問題は最後に自治体の現場仕事へ落ちるので、この線は意外と太いです。
注目ポイント
- 一貫処理で詰まりどころを押さえている
中間処理だけでなく、再資源化できない残渣を自社の最終処分場へ、という設計を明言しています。処理ルートの確保は、この業界の強さそのものです。 - 空き家解体で必ず話題になる石綿(アスベスト)への対応領域
タケエイ(グループ会社)の安定型最終処分場で、再資源化が難しい残渣に加え、石綿含有廃棄物を安全に埋立処分する旨を公表しています(2025年6月の受入開始のお知らせ)。
古い家ほど石綿リスクが出やすいので、ここは空き家除却が進む局面での重要論点です。 - 建設木くず→発電燃料という出口を持つ
解体で出る木くずを燃料にできる木質バイオマス発電を複数拠点で運営している点は、単なる処理業ではなく循環(回収→燃料/資源→エネルギー)の設計があります。 - 災害廃棄物で自治体と協定を結ぶ準公共インフラポジション
例えば諏訪市との災害廃棄物処理協定(撤去・収集運搬・処分・仮置場管理など)を開示しています。令和6年能登半島地震についても受入停止→再開など状況を公開しています。
注意点
- 規制産業ゆえに、許認可・地域合意・環境対応がボトルネック
処分場・中間処理施設は新設/拡張が簡単ではなく、運営面の制約(規制、住民合意、環境管理)に強く影響されます。 - 需要が解体・建設サイクルや政策の進み具合に左右されやすい
空き家除却が進むほど追い風になり得ますが、逆に解体が遅れれば波も遅れます。 - 災害対応は社会的意義が大きい一方、道路寸断などオペレーションリスクも現実に起きる
銘柄分析
TREホールディングス(9247)は、産業廃棄物の処理・再資源化、金属スクラップ等の資源リサイクル、再生可能エネルギー(焼却発電等)を柱にする環境インフラ系の企業グループです。持株会社としては、(株)タケエイとリバーホールディングス(株)の経営統合で2021年10月に設立されています(決算期は3月で、4/1〜3/31が通期)。
直近の2025年3月期の売上高は118,678百万円で、セグメント別には廃棄物処理・再資源化 51,933百万円/資源リサイクル 42,353百万円/再生可能エネルギー 13,631百万円/その他 10,761百万円という構成です。
2026年3月期(会社予想)として「売上高 121,300百万円/営業利益 19,000百万円/経常利益 18,300百万円/純利益 12,300百万円」を掲げています。
一方で、2026年3月期の上期(中間期)実績は「売上高 62,145百万円/営業利益 13,319百万円」で、営業利益の進捗は単純計算で約70%とかなり高めです(会社はこの時点で業績予想を据え置き)。
つまり計画上は、下期の営業利益が19,000−13,319=5,681百万円と上期>下期の形になっており、ここはポイントです。仮説として上期に寄与した案件(災害廃棄物・復興関連など)の反動や、スクラップ市況などの不確実性を織り込んで保守的に置いている可能性があります(断定はできません)。
財務面は、2026年3月期上期末で総資産 170,468百万円/純資産 82,473百万円/自己資本比率 47.0%と、自己資本は厚めの部類です。
また、2025年3月期の現金及び現金同等物は 29,922百万円、営業CFは 19,835百万円と、キャッシュ創出力も確認できます。
一方で、有利子負債側は(期末時点の説明として)借入金が 60,691百万円と記載があり、投資・M&A・大型案件の波に合わせてレバレッジの管理が効いているかは継続点検が必要です。
株主還元は、2026年3月期の配当予想が年50円(中間20円+期末30円)です。予想配当利回りは約2.9%です
加えて自己株買いは、2025/8/8に「上限150万株・上限20億円、取得期間:2025/8/12〜2026/3/31」を決議し、2025/9/30時点の累計は 253,200株・398,831,400円まで進捗しています。
なお、中期経営計画では総還元性向35〜40%や自己資本比率40%以上維持などを掲げつつ、業績目標には能登半島地震の本格的な復興支援の影響は含まない旨の注記があります。
この注記は、災害・復興案件が入る年度は数字が跳ねやすい(平常時の稼ぐ力を別で見たい)という読み替えが必要、という意味で重要です。
まとめると、見るべきポイントは下記のとおりです。
① 上期好調(営業利益進捗が高い)のに、通期予想は据え置き:下期の利益が計画上かなり薄い理由(案件の反動、価格要因、コスト、保守性)
② 市況感応度:資源リサイクル(スクラップ等)の単価・マージン、受入量の変動
③ 財務のハンドリング:営業CFの継続性と、借入(投資・M&A含む)とのバランス
④ 株主還元の実行:配当(年50円予想)と自己株買い(上限20億円・進捗)
⑤ 平常運転の稼ぐ力の見極め:中計が復興支援影響を含めないと注記している点を踏まえ、案件要因を剥がして見られるか

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