訪問介護崩壊の危機の関連銘柄

下記の記事で紹介した訪問介護崩壊の危機問題の関連銘柄を探してみた。
訪問介護危機を世界比較:北欧・独・米・韓と日本の詰まりどころをメモ | ブルの道、馬の蹄跡

この会社も!などあればコメント欄にお願いします。

ケア21(2373)

会社HP:https://www.care21.co.jp/

どんな会社?

訪問介護を中核に、施設介護・居宅支援・デイ・小規模多機能・福祉用具・訪問看護・障がい福祉・保育などまで抱える総合福祉グループ。公式の会社概要でも、訪問介護/有料老人ホーム/グループホーム/居宅介護支援など多領域を事業として明示しています。
事業セグメントの区分としては、株主向け資料で在宅系介護事業(訪問介護、ケアプラン、デイ、小規模多機能等)/施設系介護事業/その他と整理されています。
地盤は関西が強く、関東も強化中というプロフィールが一般向け企業データでも整理されています。

なぜ関連銘柄?

訪問介護そのものを事業として前面に掲げるプレイヤーです。サービス内容も、身体介護・生活援助など典型的な訪問介護メニューを具体例付きで掲載しています。

訪問介護が崩れやすい理由の核心である人手不足+移動コスト+報酬(単価)構造の影響を受けやすく。特に2024年度改定では、訪問介護の基本報酬が引き下げられたこと自体が政策トピックになっており、在宅系事業者には直撃要素になります。
しかもケア21は、株主向け資料で在宅系介護の拠点数(訪問介護・居宅・デイ等)を335拠点と開示しており、在宅の足腰がテーマと直結します。

注目ポイント

  • 在宅(訪問)を強化しつつ、自費サービスも拡張する方針
    公式の取り組み紹介で、訪問サービスの強化と、自費サービスのメニュー拡充に触れています。保険内が詰まる局面で保険外(自費)をどう組み合わせるかは、訪問介護の持続性と相性が良い論点です。
  • 人材を外から買うだけでなく中で作る仕組みがある
    グループ会社EE21で介護資格スクール(未来ケアカレッジ)など教育事業を運営し、人材育成を明示しています。訪問介護は採用難が最大ボトルネックなので、教育・育成の内製化は読みどころです。
  • 海外(ベトナム)で教育・拠点づくり=中長期の人材線
    100%子会社のケア21ベトナム設立、現地教育事業、海外での介護施設計画などを公式に説明しています(人材・教育の延長線として理解しやすい)。
  • 在宅×施設×周辺サービスのポートフォリオ
    訪問介護だけの単線ではなく、施設系・周辺(福祉用具、訪問看護、医療サポート等)まで事業範囲を広げているのが特徴。制度変更の風を一方向に受けにくい一方、運営の複雑性は増します。

注意点

  • コンプライアンス/運営指導リスクが実例として出ている
    さいたま市が、ケア21運営のグループホームに対して指定の一部効力停止(新規受入停止・報酬減額等)を公表。会社側も内部監査で発見し、返還等を含む処分を受けた旨を告知しています。※訪問介護そのものではないですが、多拠点運営の弱点(人員基準・請求・監査)が可視化された点は重要。
  • 虐待・不適切対応の再発防止が、ブランドと採用に跳ね返る
    障がい者短期入所施設での傷害事件に関して行政処分を受けた旨を会社が公表しています。介護・福祉は採用市場=信用市場でもあるので、現場品質の問題は採用難をさらに悪化させ得ます。
  • 政策リスク:訪問介護の単価・加算設計が揺れるたびに業界が動く
    厚労省資料では、介護報酬改定率(全体)や、サービス別の収支差率など政策判断の背景も示されています。訪問介護は利益率が高いと見られた文脈があり、今後も基本報酬+加算の設計次第で勝ち負けが出やすい。

銘柄分析

ケア21(2373)は、訪問介護などの在宅系介護と、有料老人ホーム・グループホーム等の施設系介護を主軸に、障がい福祉・保育なども手がける総合福祉タイプの会社です(決算期は10月で、11/1〜10/31が通期)。直近の2025年10月期の売上高は48,158百万円で、セグメント別には在宅系15,037百万円/施設系25,585百万円/その他11,328百万円と、施設系の比重が大きめです。

直近では、2026年10月期の会社計画として「売上 49,000百万円/営業利益 700百万円/経常利益 350百万円/純利益 250百万円」を掲げています。一方で、会社計画の上期(第2四半期累計)の営業利益は20百万円とかなり薄く、計画上は下期に利益が偏る形です(=上期の進捗が重要になりやすい)。2025年10月期は「売上 48,158百万円/営業利益 784百万円」で、前期の営業赤字から黒字化しました。施設系では、入居促進体制の強化で入居ペースが持ち直し、コスト対策も進めた旨が説明されています。一方で、食材費・水道光熱費などのコスト高止まりにも触れられており、次期計画が利益面で保守的(減益寄り)なのは、このコストを織り込んだ可能性があります(ここは仮説です)。

財務面は、現金同等物が4,165百万円ある一方、短期借入金・長短借入金に加えて、施設運営に伴うリース債務も大きく、自己資本比率は14.3%とレバレッジは高めです。とはいえ2025年10月期の営業CFは2,171百万円で、現金は増加しており、稼働改善→営業CFで体力回復という流れを継続できるかがポイントになりそうです。株主還元は、年間配当は17円(中間7円+期末10円)の継続方針で、2025年10月期の期末配当(10円)も決議されています。配当利回りは概ね約4%ですが、株価・利回りは日々変動します。

まとめると、ケア21は施設稼働(入居率)と人材が業績のハンドルを握る介護グループで、見るべきポイントは以下の通りです。
①施設系の入居率・新規開設の立ち上がり
②採用/離職と処遇改善(人件費の伸び)
③食材費・光熱費などコストの沈静化
④借入+リース負債の圧縮と営業CF
⑤会社計画が下期偏重なので上期の進捗と業績修正リスク

ソラスト(6197)

会社HP:https://www.solasto.co.jp/

どんな会社?

医療・介護・こども(保育)の3本柱で地域の生活インフラを担うサービス企業。連結売上高や拠点数などを会社概要で明示しており、2025年3月期の連結売上高は1,374億円、介護事業所は709ヶ所と開示しています。介護領域では、訪問介護(ホームヘルプ)を含む在宅系から、グループホーム・有料老人ホームなどの入居系まで幅広く提供。公式のサービス説明でも、訪問介護として身体介護・生活支援を行うことを明確にしています。

なぜ関連銘柄?

  • 問題のど真ん中である訪問介護の供給能力に、ソラストは事業として直接エクスポージャーがあります(訪問介護サービスを自社で提供)。
  • 拠点網を広げ、地域内でサービスを揃える地域トータルケアを掲げています。訪問介護が先に詰まると、この地域設計そのものが揺れるため、テーマ連動性が高いです。

注目ポイント

  • 月次で介護サービス利用状況を開示してきた会社
    IRライブラリに介護サービス利用状況(月次データ)を用意しており、訪問介護を含む稼働の変化を追いやすいタイプです(現場が詰まる局面で、KPIの動きが読み物になる)。
  • 医療×介護の同居が強みになり得る
    ソラストは医療事務受託など医療側の事業も大きく、地域包括ケア(医療・介護・生活支援の連携)の文脈で、病院・地域との接点を持ちやすい。訪問介護が弱るほど医療側に負荷が寄るので、医療・介護をまたぐ運営ノウハウが価値になりやすいです。
  • M&Aで地域のサービス面を揃えにいく設計
    2023年に複数のM&Aを実行し、事業所数が増えた旨を公式ニュースで発信しています。訪問介護単体では採算が厳しくても、同一エリアで通所・居宅支援・入居系などを組み合わせる戦略が取りやすいです。
  • 現場コストの上振れを計画的に織り込む姿勢
    直近の業績説明では、処遇改善の強化やIT投資などで利益が押され得ることを説明しています。訪問介護は人件費比率が高いので、ここは見ておくべき論点です。

注意点

  • 政策リスク:訪問介護は基本報酬+加算設計で勝ち負けが変わる
    2024年度改定のように、全体がプラス改定でも訪問介護に逆風が来ることがあります。制度依存度が高いビジネスなので、改定のたびに収益構造が揺れます。
  • 多拠点運営ゆえの品質・ガバナンスリスク
    介護は現場の再現性が難しく、単発の不祥事が採用・自治体対応・ブランドに効きます。ソラストは過去に自社運営ホームでの事件について謝罪・報告の文書を公表しています(訪問介護そのものではないものの、運営品質リスクとして要チェック)。
  • PMI(買収後統合)と事業所の整理が続く可能性
    IR資料でも戦略の軌道修正やPMI注力に触れており、拠点網を増やすだけではなく、収益性・人材配置の最適化がテーマになっています。訪問介護が先に詰まる局面では、統廃合や配置転換の判断が増えやすいです。

銘柄分析

ソラスト(6197)は、医療機関向けの事務受託(医療事業)を祖業に、介護・保育(こども)まで現場オペレーションを担うサービス企業です。景気よりも制度・人材需給の影響が大きく、売上は比較的ディフェンシブ寄りなのが特徴です。

直近の2026年3月期(会社表記:2025年度)の会社計画は、売上高 140,740百万円/営業利益 6,720百万円(11/12に業績予想を修正)です。中間期(4〜9月)は売上高 70,033百万円(前年差+2.4%)/営業利益 3,506百万円(前年差-4.7%)で、進捗は売上約50%、営業利益約52%と数字上は概ね順調。一方で、利益面は処遇改善(賃上げ等)と次世代IT基盤への投資が重しになりやすく、価格改定(医療)×生産性(介護)×IT投資の一巡で下期の利益率がどこまで戻るかが見どころです。

財務面は、9月末時点で現金及び預金 10,989百万円に対し、借入金(1年内返済予定4,782+長期12,768)=17,550百万円と、ざっくりネット有利子負債は約65億円のイメージ(※他の負債科目もあるのでざっくりです)。中間期のCFOは1,043百万円で、借入返済と配当で現金が減った形です。株主還元は、1株配当 22円予想(中間11円・期末11円)で、表示ベースの利回りは2%台前半。さらに、自己株買い(上限:440万株/14億円、期間:2025/8/13〜2026/5/31)を走らせており、12月末時点の累計は131.83万株・約6.89億円まで進んでいます。

加えてイベント面では、こども事業を100%子会社(ソラスト・キッズ・ネクスト)へ分社化(会社分割、効力発生日は2026/4/1予定)を進めています。事業整理の色が濃く、将来的に子会社の成長加速、資本政策の選択肢が増える方向に転ぶ可能性があります(ここは可能性)。

まとめると、ソラストは制度×人材で利益が揺れやすい、医療・介護の運営支援企業で、見るべきポイントは下記の通りです。
①医療事業の価格改定の継続(単価・契約条件)
②介護の稼働/入居と人件費コントロール
③IT投資のピークアウト時期(利益率の戻り)
④自己株買いの進捗と分社化後の資本政策

エフビー介護サービス(9220)

会社HP:https://fb-kaigo.co.jp/

どんな会社?

エフビー介護サービスは、長野・新潟・群馬・栃木・埼玉で介護サービスを展開し、在宅〜施設まで幅広いメニューを持つ地域プレイヤーです。公式サイト上でも、訪問介護・訪問看護・小規模多機能・有料老人ホーム・福祉用具貸与などを運営していることが明記されています。
特徴として在宅だけでも施設だけでもなく、

  • 自宅に来てもらう(訪問介護/訪問看護など)
  • ケアプラン(居宅介護支援)
  • 福祉用具レンタル・販売/住宅改修(手すり設置や段差解消なども含む)
  • 施設系(住宅型・介護付き有料、グループホーム等)

を同じ会社グループの中で束ねています。

さらに上場資料では、グループが当社+連結子会社(ルルパ、スマイル薬局)で構成されること、そして介護保険外サービスとして食事提供受託や、調剤薬局がグループ内の介護施設・在宅利用者とも接点を持つことが書かれています。

なぜ関連銘柄?

今回の論点が訪問介護が先に崩れやすいだとすると、エフビー介護サービスはまさにその揺れが直撃しうる場所にいます。理由はシンプルで、同社が訪問介護をサービスの中核の一つとして提供しているからです。上場資料でも、訪問介護が高齢者の在宅生活や家族負担の軽減に有効なこと、一人暮らし高齢者にとっては生活援助だけでなく接点にもなることが説明されています。

ただし同社は、訪問介護だけの会社ではありません。むしろ、在宅(訪問)・通い・泊まり・住まい替え(施設)・福祉用具・住宅改修を束ねることで、現場で起きがちな

  • 訪問の担い手不足 → 在宅の維持が難しい
  • すると家族介護が増える/入院・入所が早まる
  • しかし施設も人手不足、自治体の公募や総量規制もある

という問題に対して、事業ポートフォリオで耐えたり、需要の受け皿を移し替えたりする余地があります(ここが訪問介護単体企業との差別化点になりやすい点です)。

注目ポイント

  • 地域ドミナント+拠点網(在宅×用具×施設を束ねる設計)
    上場資料では、信越・北関東で福祉用具、居宅介護支援、介護サービスのドミナント展開をしていること、サービス別の拠点数(当時点)も示されています。
    訪問介護が崩れやすい理由の一つに移動時間が利益を食う、人員配置が薄いほど欠員が致命傷という構造がありますが、ドミナントはこれに対する合理的な設計思想です(移動・採用・連携を面で最適化しやすい)。
  • 福祉用具と住宅改修を持っている強み
    訪問介護が細ると、在宅の維持には用具・住環境のテコ入れの重要度が上がります。資料でも、商品管理センター等を通じた供給体制、レンタル卸の活用、そして手すり設置・段差解消などの住宅改修サービスを提供していることが書かれています。
    人が足りないなら、環境と道具で転倒・介助負担を減らすという方向に社会が寄ったとき、用具・改修は代替手段として光りやすいです。
  • 介護保険外(自費)サービスを明示している
    公式のサービス案内で、生活支援サービス(にこにこサービス)=介護保険外の生活支援を掲げています。
    訪問介護の制度サービスが薄くなる局面では、保険の枠外で埋めるニーズが出やすいので、ここはポイントになります(もちろん所得格差や家族負担の問題も同時に出ますが、事業としては需要が立ちやすい領域です)。
  • 外国人×訪問介護(現場の最前線テーマに触れている)
    同社は2026年1月の告知で、長野県における外国人訪問介護の利用状況に関する特集で、同社の取り組みが紹介されたとしています。
    人手不足が訪問から先に崩れる最大要因の一つなので、ここに触れているのは材料として強いです。

注意点

  • 収益が制度に強く結びつく(介護報酬・制度改正)
    上場資料では、介護関連事業の収益源泉が主に介護保険サービス提供による介護報酬であること、制度変更が収益性に影響しうること、そして不利な制度改正が利用者数や単価に影響しうることが整理されています。
    また、介護報酬改定(直近の例として令和6年度=2024年度の改定)は厚労省が資料・通知をまとめています。
  • 人材確保が計画通りに進まないリスク
    資料には、確保が進まない場合に財政状態・経営成績へ影響しうる旨が記載されています。
    訪問介護は特に人がいない=即サービス停止に近いので、ここは訪問が先に崩れる構造と直結します。
  • 事故・感染症・BCP(止まると影響が大きい)
    転倒事故や状態急変、感染症流行でサービス中止やスタッフ稼働不能が起きうること、対策していても事故等が起きれば信用低下・業績影響があり得ることが明記されています。
    訪問は現場が分散している分、標準化・教育・感染対策が難しく、ここも訪問特有の痛点です。
  • 競合・異業種参入/自治体の公募・総量規制
    同業の拡大や異業種参入で利用者減や価格競争の激化が起きうる点、さらに地域密着型サービスは自治体公募・選定が必要で総量規制の影響も受けうる点が書かれています。

銘柄分析

エフビー介護サービス(9220)は、福祉用具(レンタル/販売)と、介護(特定・有料/グループホーム/小規模多機能など)を両輪にする介護グループです。

直近の2025年3月期は、売上高10,967百万円、営業利益659百万円。セグメント別には福祉用具 4,371百万円/介護 5,989百万円(※外部顧客売上)で、介護が約6割の構成です。
会社は2026年3月期の計画として「売上 11,735百万円/営業利益 684百万円/経常利益 742百万円/純利益 460百万円」を掲げ、配当は年間38円(中間13+期末25)へ増配予想です。
一方で、2026年3月期 上期(4〜9月、2Q累計)は、売上5,705百万円(前年差+4.5%)と増収を確保したものの、営業利益は259百万円(同▲23.7%)と減益でした。内訳を見ると、福祉用具は事業譲受の上乗せ等で増収増益(売上+6.9%、営業利益+14.9%)なのに対し、介護は新設拠点の立ち上げ費用など一過性コストで利益が落ち(営業利益▲50.4%)ています。
ただし、建設補助金収入などが営業外収益に入り、経常利益は403百万円(+16.7%)、純利益も267百万円(+25.4%)と増益です。資料側も下期は大きな一過性費用が見込まれず進捗していく旨を説明しています。

財務面は、2025年3月末で自己資本比率41.1%、営業CF 1,058百万円とキャッシュ創出力が確認できます(一方、投資CFの有形固定資産取得は245百万円)。
有利子負債は借入金に加えリース債務もあるものの、(期末BSベースでは)規模感としては過度ではありません。
株主還元は、増配(38円)に加え、自己株式の取得→消却を複数回実施しています(例:2025/3にToSTNeTで取得→2025/4に消却、2025/12にも取得→消却)。
また、2025年は東証スタンダードの上場維持基準(流通株式時価総額)が一時未達でしたが、2025/9/30時点で全項目適合を開示しています(流通株式時価総額:9.82億円→11.49億円)。
配当利回りは約3%台です。

見るべきポイントは下記の通りです。
① 介護セグメントの利益回復:上期は一過性費用で落ちた営業利益が、下期にどこまで戻るか(通期達成には下期で利益の上積みが必要)。
② 補助金・助成金の効果:経常利益を押し上げる一方で、タイミング要因が大きいので、営業利益ベースでの改善が続くか。
③ 福祉用具のM&A(事業譲受)後の定着:売上上乗せが継続し、のれん償却や関連費用を吸収できるか。
④ 株主還元の継続性:増配(38円)と自己株消却が単発で終わらず、配当性向目標(資料で言及)に向けて積み上がるか。
⑤ 流動性(小型株)リスク:出来高が薄い日もあり、好悪材料で値が飛びやすい点は前提に置きたい。

エス・エム・エス(2175)

会社HP:https://www.bm-sms.co.jp/

どんな会社?

エス・エム・エス(SMS)は、少子高齢化ど真ん中の領域で ①人材(キャリア) と ②事業者の経営支援(SaaS/プラットフォーム) を両輪にしている会社です。事業部門としても、キャリア分野(介護職・看護師・保育士などの人材紹介等)/介護・障害福祉事業者分野(経営支援プラットフォーム等)/海外分野 と整理されています。

この介護の現場そのものを運営する会社ではなく、現場が回るためのインフラ(採用と業務基盤)を提供する会社、という立ち位置がポイントです。

なぜ関連銘柄?

今回の問題は、訪問介護が先に崩れやすい=人が足りない+移動や事務が重い+制度変更の影響を吸収しにくいことで、現場が詰まりやすいという構造でした。
SMSはこの構造に対して、詰まりの原因に効く2つの道具を持っています。

  • 採用(介護キャリア等)
    事業者の採用意欲が強い環境だと、介護系人材のマッチング需要が増えやすい。実際、同社の決算説明資料でも介護キャリアの売上高が伸びたことが示されています。
  • 業務・請求の事務地獄を圧縮する(カイポケ)
    介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」は、保険請求に加えて、業務・採用・購買・金融・M&Aなど40以上のサービス/機能を展開し、全国の事業所を支援していると説明されています。

注目ポイント

  • 訪問介護の儲からなさの一因=事務・シフト・請求を、オールインワンで圧縮
    訪問介護は「移動」に加えて「記録」「シフト」「請求」「伝送(国保連)」が重く、ここが回らないと稼働率が落ちます。カイポケは訪問介護向けに、シフト作成→記録→レセプト→インターネット請求(伝送)まで一体で効率化できる、と明示しています。
  • 使われている規模が、すでに業界級
    カイポケは会員数(支援事業所数)を継続的に開示・発信しており、
    ・2024年4月1日時点:50,400事業所(29,150拠点)
    ・2025年7月1日時点:約56,900事業所を支援
    と、浸透が進んでいることが確認できます。
  • 訪問の生産性に直結する領域で連携が増えやすい
    訪問介護はスケジュール最適化が生命線です。カイポケは外部の訪問スケジュール自動作成クラウドと情報連携できる事例も出ています(移動効率・穴埋め・急変対応の改善余地)。
  • 訪問介護だけでなく、障害福祉にも経営支援を広げる動き
    訪問介護が崩れる局面では、周辺の障害福祉・在宅医療も含めて人材と事務負担が連鎖しがち。SMSは障害福祉領域の支援拡大(新サービスや合弁設立)も有報の沿革に出てきます。

注意点

  • 顧客(事業所)が減るリスク:休廃業・統廃合が進むと、母数が縮む
    訪問介護の崩れが進むと、小規模事業者の休廃業・統合が増え得ます。すると、カイポケの市場は事業所数ベースでは逆風にもなりえます(※一方で、大手に集約されてよりDXが進む方向もあり得るので、ここは見立てが分かれます)。
  • 制度改定・請求ルール変更への追随が重い(SaaS側の宿命)
    カイポケは国保連請求・伝送まで担うため、制度・様式・加算要件が変わるたびに、ソフトの迅速な改修と運用周知が必要になります。
  • 個人情報・業務データを扱う重さ(セキュリティ/信用リスク)
    訪問介護の記録や請求は、当然ながら個人情報のかたまりです。SMS自身も介護事業で個人情報を漏洩した場合の対応などを解説しており、裏を返すと漏えい時のダメージが大きい領域だとわかります。
  • 競争:介護請求ソフトは群雄割拠
    介護ソフト市場は競合が多く、価格・機能・サポート体制・自治体/国保連対応の速さで差が出ます。カイポケが伸びる局面でも、競争は常に背中にいます。

銘柄分析

エス・エム・エス(2175)は、高齢社会に適した情報インフラを掲げ、医療・介護/障害福祉領域で①人材紹介・求人(キャリア分野)②介護・障害福祉事業者向けクラウド/周辺サービス(カイポケ)③海外(MIMS等)を展開する会社です。

直近の2025年3月期は、売上高60,952百万円/営業利益6,335百万円(前年差△23.4%)で、売上は伸びた一方、利益は減少しています。販管費の内訳を見ると、給料手当や広告宣伝費が増えており(例:広告宣伝費 8,731→12,524百万円)、成長投資(獲得・採用)負担が利益を押し下げた形です。

会社は2026年3月期の通期計画として「売上高67,544百万円/営業利益7,287百万円/経常利益9,468百万円/純利益7,029百万円」を掲げています。
そのうえで、2026年3月期上期(第2四半期累計)は売上高33,475百万円(前年差+5%)/営業利益4,391百万円(+23%)と増収増益で、営業利益の進捗は約60%(=4,391/7,287)とかなり良いペースです。会社側も通期計画に対し順調に進捗しており、現時点で予想は変更なしとしています。
上期に増益が出た背景としては、説明資料でキャリアパートナーの採用抑制等により費用増加が限定的と言及しており、採用を踏みつつ生産性を戻すが短期の利益ドライバーになっています。

分野別(上期累計)の売上は、キャリア分野21,691百万円(介護キャリア11,042/医療キャリア10,648)で+5%、カイポケ6,591百万円で+14%、海外3,418百万円で△12%です。
キャリアは事業者の採用意欲は強いが、入職までのリードタイムが長い求職者増で売上成長が限定的といった説明があり、足元は受注改善→売上計上まで時間差が論点になりやすいです。
カイポケは会員数(事業所数)が2025/10/1時点で58,100、上期純増2,550と増加が続いており、ファクタリング等の周辺サービス拡大も含めて伸び筋が見えます。
一方、海外は顧客のマーケ予算縮小や中東情勢懸念による渡航影響など外部要因を明示しており、ここは読みづらい(ボラが出やすい)領域です。

財務面では、2025/9/30時点で総資産76,540百万円/純資産43,975百万円。現金及び現金同等物は13,802百万円です。上期は自己株買い(3,999百万円)と配当支払(2,420百万円)もあり、財務CFは△5,745百万円となっています。
借入は、短期借入金が5,200百万円に増えており、会社はカイポケのファクタリング取扱高拡大に伴う資金需要への対応を理由として挙げています(事業拡大がB/Sを膨らませるタイプ)。

株主還元は、方針として連結配当性向30%に加え、累進配当を実施する方針に変更し、自己株買いも機動的に行う旨を示しています。
実績では2025年3月期の年間配当は28.5円で、2026年3月期の配当予想は(少なくとも決算短信時点で)未定とされています。
自己株買いは、2025/4/28に上限40億円(上限株数3,382,600株)の取得枠を公表し、途中経過として2025年5月中に1,704,600株・約23.1億円取得したことを開示しています(受渡日ベース)。

まとめると、SMSはキャリア(人材)×カイポケ(SaaS/周辺)×海外の組み合わせで伸ばす会社で、見どころは下記の通りです。
①キャリア分野:求職者獲得〜入職までのリードタイム(売上計上の遅れ/回復)
②カイポケ:会員数の純増と、ファクタリング等の周辺サービス拡大(資金需要=短借増の中身)
③海外:顧客のマーケ予算・中東情勢など外部環境の振れ
④コスト:広告宣伝費・人員(採用抑制と生産性改善がどこまで続くか)
⑤還元:累進配当+自己株買い(配当予想のアップデート、買い戻しペース)

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