タイヤ摩耗が生む「6PPD-キノン」という見えない汚染物質とはの関連銘柄

この記事で紹介したタイヤ摩耗が生む「6PPD-キノン」という見えない汚染物質とはの関連銘柄を探してみた。
タイヤ摩耗と雨で生まれる6PPD-キノン:サケ急死の原因から世界規制・日本対応・経済影響まで | ブルの道、馬の蹄跡

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ブリヂストン(5108)

会社HP:https://www.bridgestone.co.jp/

どんな会社?

世界大手のタイヤメーカー。乗用車・トラック/バス・建設/鉱山車両など幅広い用途のタイヤをグローバルに展開し、タイヤ周辺のソリューション領域も育成しています。
(統合報告では、事業運営上の重要テーマとして「TRWP(タイヤ・路面摩耗粒子)/6PPD」も経営リスク項目として扱っています。)

なぜ関連銘柄?

この問題は、タイヤに6PPDを使用する当事者に直撃しやすいテーマです。

  • 6PPD/ TRWP をグローバル経営リスクとして明記し、6PPD-Q(6PPDの変換生成物)に関する研究や、USTMA(米国タイヤ業界団体)での代替評価に協力していると説明しています。
  • 米国では、6PPDを含むタイヤが保護対象のサケ類等に悪影響を与えるとして、大手タイヤメーカーが提訴され、その被告に「Bridgestone Americas, Inc.」が含まれています。
  • カリフォルニア州では、6PPDを含む自動車用タイヤがSafer Consumer Products規則の「Priority Product」指定となり、代替分析(Alternatives Analysis)が制度上の宿題になっています(メーカー側の対応コスト・技術課題が現実化)。
  • 業界側の枠組み(USTMA等)が進める6PPD代替評価(Alternatives Analysis)に会員として協力と開示しています。

注目ポイント

  • 代替物質の実装難易度(安全×環境の二重制約)
    ブリヂストンは「安全・安心の確保」を前提に6PPD代替の取り組みを進める、と明記しています。ここは材料置換の難しさがそのまま企業の技術課題になります。
  • RWP(摩耗粒子)そのものへの取り組み
    6PPDだけでなく、摩耗粒子(TRWP)の評価・低減もテーマとして並列で扱っており、製品(耐摩耗)・運用(ソリューション)・標準化(評価法)の全部乗せになりやすい領域です。
  • 訴訟・レピュテーション・情報開示
    環境影響が「研究→規制」だけでなく「訴訟」まで進むと、論点が化学物質管理・説明責任に拡張します(米国訴訟の被告に含まれる点は要ウォッチ)。
  • 誤解されやすいポイントの明確化
    ブリヂストン自身、「6PPD-Qはタイヤに使っていない(6PPDの変換生成物)」と明記しています。議論が混線しやすいので、企業側の説明姿勢は重要です。
  • 東京(小平)での独自のTRWP採取法(自動運転車×EV×回生ブレーキで排気・ブレーキダスト影響を減らす等)のように、測定のノイズを潰してタイヤ由来を見に行くアプローチが具体的。

注意点

  • 規制・訴訟は進行形で前提が変わる
    どの州・どの制度で、どのタイムラインで義務が増えるかは動きやすい領域です(見出しで追うだけだと取りこぼしが出やすい)。米国での訴訟・規制の揺れが続くと、対応コスト・説明責任コストが増えがちです。
  • 6PPDを抜けば解決では終わらない可能性
    代替物質の安全性(代替が別の有害性を生まないか)や、TRWPの混合物としてのリスク評価など、論点が複層化しがちです。カリフォルニアの代替分析プロセス自体が、その難しさを前提に設計されています。
  • 短期に結論が出にくい
    業界団体側は拙速な禁止は安全や経済に影響し得るとの趣旨で語ってきた経緯もあり、政治・行政判断は段階的になりやすいです。

銘柄分析

ブリヂストン(5108)は、世界トップ級のタイヤメーカーで、乗用車・トラック/バスなどの新車向け(OE)と交換用(補修)の需要に加え、原材料(天然ゴム等)や為替、地域別の自動車生産・物流投資の波を受けやすい会社です。特に北米の市況(消費者心理や商用車の稼働)と、価格改定・ミックス(プレミアム比率)で利益がブレやすいのがタイヤ株の特徴です。

直近の会社計画(2025年12月期・通期、IFRS)は「売上収益 4,360,000百万円/調整後営業利益 490,000百万円/親会社所有者に帰属する当期利益 253,000百万円」です。
一方で、2025年1〜9月(第3四半期累計)は、売上収益 3,234,926百万円に対し、営業利益 291,723百万円(前年差 △22.6%)と弱含みで、会社側も「米国内景気の悪化で北米の新車用トラック・バス向けが想定より落ちたこと」「北米小売の改善減速」「北米でのサイバーインシデント影響」などを理由に、通期の調整後営業利益を下方修正しています(売上は上方、利益は下方)。

財務面は、2025年9月末時点で現金及び現金同等物が557,294百万円と厚く、社債及び借入金+リース負債(IFRS16)を合算したネット有利子負債は概算で約2,441億円(801,391−557,294百万円)と、規模の割に過度なレバレッジではない印象です。
株主還元は強めで、2025年12月期の配当予想は年間230円(中間115円+期末115円)を据え置き。 加えて、2025年は上限3,000億円の自己株買い(上限7,500万株)を実行し、実績として約3,000億円・46,679,700株を取得、取得分は全数消却(消却予定日:2026年1月23日)まで開示されています。
なお、株式分割(1株→2株、基準日2025年12月31日/効力発生日2026年1月1日)も予定されているため、株価や「1株当たり」の見え方(配当やEPSの表記)は分割前後で変わる点は要注意です

まとめると、ブリヂストンは「グローバル景気×北米市況×価格/ミックス×原材料/為替」で収益が動く巨大優良株で、見るべきポイントは
①北米(特に商用系)の需要回復度
②価格改定・プレミアムミックスで利益率が戻るか
③サイバー影響など一過性要因の剥落タイミング
④配当(年間230円)+自己株買い/消却の継続性
あたりです。
強い還元を積み上げつつ、景気の波で押し目が来たら注目されやすいタイプの銘柄です。

横浜ゴム(5101)

会社HP:https://www.y-yokohama.com/

どんな会社?

タイヤを中核にしつつ、産業用のゴム・樹脂製品まで幅広く展開するメーカーです。統合報告書でも、乗用車・トラック/バス・建設車両など多様なタイヤに加え、コンベヤベルトや各種ホース、航空機向け部材などの領域が示されています。

なぜ関連銘柄?

  • 米国での規制プロセスに当事者として関与(カリフォルニアAAコンソーシアム)
    カリフォルニアでは「6PPDを含む自動車タイヤ」がPriority Productに指定(2023年10月1日発効)され、代替候補を科学的に絞るAlternatives Analysis(AA)が走っています。
    そのAAコンソーシアムのメンバーとして Yokohama Tire Corporation(+Yokohama TWS North America等)が明記されています。
  • 米国の訴訟で被告に含まれる
    6PPD-Qによる魚類影響をめぐる訴訟(ESA市民訴訟)では、被告リストにYOKOHAMA TIRE Corp.が含まれ、争点はタイヤに含まれる6PPDが環境中で6PPD-Qに変わり影響を与えるという構図です。
  • 企業側も摩耗粉じん等の法規制強化・訴訟増加をリスクに明記
    統合報告書のリスク欄に、環境(タイヤの摩耗粉塵等)に関する法規制の強化・訴訟の増加が挙げられています。つまり、このテーマは同社にとって事業リスク管理のど真ん中に入っています。
  • 摩耗そのものを予測・低減する研究を前面に出している
    横浜ゴムは、摩耗率と摩耗粒子サイズ分布を予測する理論モデルを共同研究で開発し、乾燥/湿潤条件での実験と整合した、と発表しています。さらにEVなど重量級電動車の増加で、タイヤ摩耗由来の環境課題の重要性が増している点にも触れています。
    6PPD-Q問題は化学物質ですが、入口は摩耗(TRWP)と雨なので、ここに研究投資が乗るのは合理的です。
  • 日本の業界枠組み(TIP/WBCSDやTRWP低減)に参加
  • OHT(オフハイウェイタイヤ)を最重要成長領域として強調し、農機で世界No.1シェア等を掲げています。OHTは使用環境が過酷で摩耗課題が重く、耐摩耗・粒子管理が差別化テーマになりやすい。

注目ポイント

  • 摩耗粒子のサイズ分布まで予測という研究は、TRWP対策のど真ん中です。規制・研究が進むほど粒子量だけでなく粒径・化学性状・挙動の話になるので、ここに理論基盤を持てるのは武器となります。
  • OHTでのフルラインアップ化(TWS買収、さらにGoodyearのOTR事業取得に触れる)など、重機・鉱山・港湾・農業といった環境規制が急に強くなると影響が大きい領域で存在感を増しています。逆に言うと、低摩耗・低排出が価値になった瞬間に伸びしろが出てきます。

注意点

  • 米国側の実名での訴訟リスクがある以上、材料置換・ラベリング・説明責任の負担が出る可能性があります。
  • OHT比重が高まるほど、耐久・安全要求が厳しい顧客が増え、6PPD代替(やその周辺の配合変更)で性能を落とせない制約が強まります。達成できれば強いですが難易度も高いです。
  • 生態毒性の議論は今後、「化学物質(6PPD/6PPD-Q)」単体から「タイヤ粒子(TRWP)全体」へ拡張しやすい。横浜ゴムはTIP参加などで対応の場にはいる一方、論点が広がるほど監視対象も増えます。

銘柄分析

横浜ゴム(5101)は、タイヤ(ADVAN / GEOLANDAR など)を中核に、ホース配管・工業資材なども持つメーカーです。売上の大半はタイヤで、直近の3Q累計(1–9月)でもタイヤが売上の約9割を占めています。

直近の会社計画(2025年12月期・通期)は、売上収益 1,235,000百万円/事業利益 153,000百万円(営業利益 140,500百万円)/親会社所有者帰属利益 88,000百万円。
一方で、3Q累計(1–9月)は 売上収益 877,189百万円/事業利益 100,725百万円/営業利益 91,657百万円/親会社所有者帰属利益 66,124百万円まで進捗しており、通期達成には4Q(10–12月)の着地が焦点です。

財務面では、2025/9末時点で現金及び現金同等物 89,497百万円に対し、社債及び借入金(流動+非流動)合計 581,725百万円と、M&A(OTR領域の取り込み等)もあって負債サイドはやや厚め。自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は48.9%です。
株主還元は、2025年12月期の配当予想が年112円(中間48円+期末64円)。加えて、自社株買い(上限240万株・60億円、2025/2/20–8/31)や、自己株式の消却(315.27万株、2025/5/30)など、資本政策も動いています。配当利回りは約1.7%前後です。

中期では「YX2026(2024–2026)」の最終年度(FY2026)ターゲットとして、売上収益 1,2500億円/事業利益 1,500億円/事業利益率 12%/ROE 10%超を掲げています。
直近イベントとしては、2026/2/19に2025年度(2025年12月期)決算発表予定が明確なチェックポイント。

まとめると、横浜ゴムは「高付加価値タイヤ+OHT(オフハイウェイ)強化でホッケースティック成長を狙うメーカー」で、見るべきポイントは
①4Qで通期計画に着地できるか
②OTR/OHTの統合効果(コスト・収益)
③原材料・為替の逆風耐性(値上げ浸透)
④配当・自社株買い/消却など総還元の継続
あたりです。

住友ゴム工業(5110)

会社HP:https://www.srigroup.co.jp/

どんな会社?

住友ゴム工業は、「タイヤ」「スポーツ」「産業品」を柱に事業展開する総合ゴム製品メーカーです。タイヤは乗用車・トラック/バス・建設/農業車両・二輪など幅広く、スポーツ(ゴルフ・テニス等)や産業用のゴム製品も扱います。
また、グローバルなタイヤブランド展開(DUNLOP、FALKEN 等)を行っています。

なぜ関連銘柄?

  • カリフォルニア州DTSCの6PPD入りタイヤ優先製品指定に対するUSTMAの代替分析(AA)コンソーシアムのメンバーとして明記されています。
  • TRWP(tire and road wear particles:タイヤ・路面摩耗粒子)について、(1)発生 (2)拡散 (3)蓄積の3段階で研究し、国内外学会で成果発表まで行っています。6PPD-Qは「タイヤ摩耗→雨水流出」の文脈で語られるので、問題の入口(摩耗粉)を科学的に扱っているメーカーです。
  • 6PPD/6PPD-Qをめぐる米国の環境訴訟では、住友ゴムとその北米関連会社が被告側として言及され、同社タイヤに6PPDが含まれる旨の主張も組み込まれています。
  • 同社の統合報告書では、6PPDがタイヤ性能・安全のため広く使われ、6PPD-Q問題を受けて業界全体で代替技術・代替品を検討する枠組みに参加している旨が書かれています。

注目ポイント

  • TRWP回収デバイスという独自アプローチ
    走行時の空気流を使ってTRWPを集める装置コンセプトを研究し、風洞実験で空気流の可視化や試作機での概念実証に触れています。対策が材料を変えるだけに寄りがちな中で、拡散を物理的に抑える方向を持っているのが特徴です。
  • 路面とタイヤの共同研究(ニチレキ等)でタイヤ単体最適化を超える
    TRWP発生メカニズムについて、路面側の企業と組んでデータ取得・構造特性の理解を進めた旨を開示しています。6PPD-Qは雨天流出の議論で道路インフラ側とも接続するので、道路側プレイヤーと組める体制はおもしろいです。
  • TRWPと一般的なマイクロプラスチックを分けて定量する研究
    TRWPはマイクロプラスチック扱いされることがありますが、性状・挙動が違う可能性を踏まえ、両者を識別して定量する手法開発を大学と進めているとしています。政策議論が荒れがちな領域で、測れるようにする側に寄っているのは注目点。
  • (タイヤ以外の事業も含め)粒子の流出・拡散対策の実装経験がある
    スポーツ施設向け人工芝のマイクロプラスチック飛散対策(排水フィルター、フェンス等)の事例も統合報告書で触れており、粒子系環境課題で現場実装の経験を積んでいる点は、他社比較での差別化材料になります。

注意点

  • 代替=すぐ置換ではない(ドロップイン不可が前提)
    USTMAの代替分析資料では、6PPD代替にドロップイン置換はない(性能・工程・安全規格を満たすには相当な検証が必要)という前提が明記されています。住友ゴムはそのコンソーシアムメンバーなので、短期での劇的な切替期待は持ちにくい点は注意。
  • 北米での訴訟・規制の波及リスクを受けやすい
  • TRWP対策はタイヤ性能のジレンマと隣り合わせ

銘柄分析

住友ゴム工業(5110)は、DUNLOP/FALKENなどのタイヤを中核に、スポーツ(SRIXONなど)や産業品も展開するゴムメーカーです。特徴は、タイヤが「原材料市況(天然ゴム等)×値上げの浸透×為替×プレミアム比率(ミックス)」で利益がブレやすく、国内では秋〜冬のスタッドレス需要も効きやすい点です。

直近では2025年12月期の会社計画として「売上収益 1,200,000百万円/営業利益 84,000百万円/親会社株主に帰属する当期利益 45,000百万円」を掲げています。一方で、第3四半期累計(1–9月)は「売上収益 861,609百万円(前年同期比-1.5%)、事業利益 48,507百万円(同-21.1%)」と減収・減益でしたが、営業利益は「46,133百万円(同+301.7%)」と大きく改善しています(前年差で“その他の費用”が大きく減少)。 進捗を機械的に見ると、親会社株主に帰属する四半期利益 26,013百万円 ÷ 通期計画 45,000百万円 ≒ 57.8%で、残り10–12月(4Q)の上積みが焦点です。

財務面は、9月末で現金及び現金同等物 102,083百万円に対し、社債及び借入金(流動+非流動)356,072百万円と負債も厚め。棚卸資産も期末比で増えています(290,947→307,571百万円)。 また、投資CFが△154,262百万円(1–9月)と大きく、開示上も四輪タイヤのDUNLOP商標権等の譲受(5/7クロージング)など、ブランド投資フェーズ感があります。
株主還元は、2025年12月期の年間配当予想が70円(中間35円+期末35円)で、配当利回りは約2%台です。

まとめると、住友ゴムは「グローバルタイヤ企業(収益は原材料×為替×ミックスの影響が大きい)」で、見るべきポイントは
①原材料高の転嫁(値上げ)とプレミアム比率
②DUNLOPブランド投資の収益化
③4Qでの利益上積み
④投資と負債・在庫のバランス
⑤配当・資本政策
あたりです。

TOYO TIRE(5105)

会社HP:https://www.toyotires.co.jp/

どんな会社?

タイヤ事業が中核で、乗用車用に加えライトトラック/SUV向け、トラック・バス用などをグローバルに展開しています。とくに販売面では、海外市販用(アフターマーケット)の北米向けが大きなウエイトを占める、と自社で明記しています。
また統合報告書では、米国・セルビアの拠点を含むグローバル体制や、米国市場での存在感を強みとして語っています。

なぜ関連銘柄?

今回の問題の核は、タイヤが摩耗して出る微粒子(TRWP:Tire and road wear particles)が環境へ出て、そこに含まれる成分が雨水等で水系へ流れ込むことです。
TOYO TIREは統合報告書の中で、TRWPをタイヤと路面の摩擦で生じる粉じんと説明し、メーカーとしてTRWP削減が重要課題だとしたうえで、TRWPに6PPDが含まれること、さらに6PPDが酸素やオゾンと反応して6PPD-quinone(6PPD-Q)が生成し得て、一部魚種に毒性が示唆されていることまで踏み込んで記載しています。その上で、業界の一員として代替物質の研究・評価(テスト)を進めているとも述べています。

注目ポイント

  • 摩耗を減らす=TRWPを減らすを、材料設計の看板技術で語っている
    TRWP削減の打ち手として、同社は耐摩耗性を上げる材料開発・トレッド設計を軸に置き、具体例としてNano Balance Technology(基盤材料設計技術)を用いたカーボンブラック分散を高度に均一化した複合材料などに触れています。TOYOの材料屋的な個性が出る部分です。
  • 業界横断の枠組み(WBCSDのTIP等)×国内(JATMA)で、TRWPの研究にコミットと明記
    TRWPは未解明点が多い前提で、同社はTire Industry Project(TIP:WBCSDのセクタープロジェクト)やJATMAなどを挙げて、研究・影響緩和の検討に参加していると書いています。
  • 北米比重が高い=規制・社会圧の影響を受けやすい
    自社が北米市販用の比重を大きいと書いている以上、6PPD/6PPD-Qをめぐる北米(特に州レベル)の規制・訴訟・顧客要請が、相対的に影響しやすい構造です。
  • サステナ素材の打ち出しと結びつきやすい
    同社は「持続可能原材料比率91%のコンセプトタイヤ」を展示した話も統合報告書で取り上げています(Open Country R/Tの試作など)。

注意点

  • 耐摩耗性だけでは片付かない(安全・燃費との三つ巴)
    同社自身、摩耗は安全・快適性・燃費にも影響するため、単純に削れなきゃ正義ではない、と釘を刺しています。対策が性能要件と衝突しやすい領域です。
  • 規制が動く場所が北米である点(売上構造と噛み合う)
    報道ベースですが、たとえばカリフォルニアでは当局が6PPDのより安全な代替の評価を求める動きが言及されています。北米比重が高い企業ほど、対応コストや製品仕様変更の影響が相対的に大きくなりがちです。
  • TRWPは未確定要素が多く、評価軸が増殖しやすい
    同社も未解明が多い前提で研究参加を述べています。つまり今後、測定法・規格・何をもって低減とするかが変わる可能性があり、開発テーマが増えやすいです。

銘柄分析

TOYO TIRE(5105)は、タイヤが主力のメーカーで、とくに北米の市販用(交換用)でSUV/ピックアップ向けの高付加価値品(「OPEN COUNTRY」「NITTO」など)に寄せていく戦略が見えやすい会社です。直近開示ベースでは、北米市販で重点商品の販売は堅調だった一方、特定顧客向けの販売量が鈍化して数量は前年並みという説明もあり、“数量×単価(値上げ)×ミックス”のうち、ミックスと価格で稼ぐ色が濃いタイプです。

業績面は、2025年12月期(1〜12月)の会社計画(2025-11-12公表時点)として「売上高 590,000百万円/営業利益 95,000百万円」を掲げています。
一方で、2025年12月期 第3四半期累計(1〜9月)は「売上高 435,289百万円/営業利益 72,068百万円」で、会社計画に対する進捗は売上約74%/営業利益約76%。通期計画の達成には4Q(10〜12月)の着地確認が最大の見どころになります。

財務面は、3Q時点の自己資本比率が69.3%と比較的しっかりめ。
株主還元は、会社方針として中計’21(2021〜2025年)期間の連結配当性向30%以上を目標に掲げ、特殊要因を調整して実力値に近い利益に連動させる考え方を示しています。 2025年12月期の年間配当予想は130円(記念配当5円を含む)。 配当利回り約2.9%前後の水準です。

まとめると、TOYO TIREは「北米×高付加価値ミックスで稼ぐタイヤ企業」で、見るべきポイントは
①北米市販の数量と値上げ浸透(単価)
②為替(USD/JPY)と原材料などのコスト環境
③4Qで会社計画(売上5900億円・営業利益950億円)に届くか
④配当(130円予想)を軸とした資本政策の継続性
あたりです。

住友化学(4005)

会社HP:https://www.sumitomo-chem.co.jp/

どんな会社?

農業・ライフサイエンス、ICT/モビリティ向け材料、先端医療、基礎〜機能材料などを抱える総合化学メーカーです。近年は事業再編も進め、投資家向け資料では(2024年10月時点で)Agro & Life / ICT & Mobility / Advanced Medical / Essential & Green Materials / Sumitomo Pharmaといった区分で整理されています。

なぜ関連銘柄?

結論から言うと、住友化学は6PPD(=6PPD-Qの前駆体)サプライヤー枠として語られがちなのですが、実態は過去に深く関与していた(現在は生産停止している)タイプです。

  • 住友化学はかつて6PPD(アンチゲン6C)を作っていた
    特許文献では、住友化学の「アンチゲン6C(ANTIGENE 6C)」が6PPD(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)として扱われている例が確認できます。
    ただし重要なのがここで、住友化学自身の年次報告や説明会資料で、アンチゲン6Cは2012年3月に生産停止と明記されています。

注目ポイント

  • 誤解されやすい関連銘柄枠
    6PPD-Q問題で企業名リストを作ると、住友化学は過去の実績から入りやすい一方で、実際には生産停止の事実があるため、供給ショック直撃銘柄と同列に置くと判断を誤ります。
  • 規制・代替探索は素材企業の研究テーマを押し上げる
    米国(EPAの検討)・カリフォルニア(代替評価プロセス)・EU(監視強化)と、流れとしては「使い続けるなら影響を下げる」「代替があるなら置き換える」方向に圧がかかります。
    住友化学は現在、ICT材料や機能材料など材料設計力を強みに掲げる会社なので、(6PPDそのものではなく)次世代の材料・添加剤・周辺ソリューションの文脈で関連が出てきます。
    ※ここは今すでに何を出しているかではなく、この潮流が素材企業のR&D需要を作るという意味での関連です。

注意点

  • いま6PPDで儲かる/困る銘柄ではない可能性
    繰り返しですが、住友化学資料では2012年にアンチゲン6C生産停止が明記されています。
  • 規制は化学単体よりタイヤという製品に降りてくる
    カリフォルニアDTSCの枠組みは、6PPDという化学物質だけでなく、6PPDを含むタイヤを対象に、製造者に代替評価を求める設計です。
    住友化学のような素材企業は、規制が進むと顧客の要求仕様が変わる形で間接的に影響を受けやすい一方、直接の規制対象になりにくいケースもあります(影響経路を混同しないのが大事)。

銘柄分析

住友化学(4005)は、総合化学大手で、農薬・飼料添加物などの「アグロ」、半導体/ディスプレイ材料などの「ICT材料」、樹脂・石化の「基礎化学」、そして医薬(住友ファーマ)まで抱える何でも屋タイプの会社です。

直近では、2026年3月期の会社計画(2025-11-04時点の修正後)として「売上収益 2,290,000百万円/コア営業利益 185,000百万円/営業利益 160,000百万円/親会社の所有者に帰属する当期利益 45,000百万円」を掲げています。
一方、上期(4〜9月)実績は「売上収益 1,095,394百万円/コア営業利益 108,716百万円/営業利益 103,685百万円/親会社の所有者に帰属する中間利益 39,699百万円」と、利益面はかなり進捗が出ています。 ここから単純に「通期−上期」で逆算すると、下期は売上収益 1,194,606百万円/コア営業利益 76,284百万円/親会社帰属利益 5,301百万円が前提(※計算:通期計画−上期実績)なので、会社計画は上期の勢いをそのまま延長というより、下期は慎重めな置き方に見えます。
背景として会社側は、樹脂などの出荷減で売上は下方修正する一方、住友ファーマの北米販売(オルゴビクス)好調や販管費の減少などで利益見通しを引き上げた、と説明しています(加えて、ペトロ・ラービグ社株式売却に絡む損益も織り込み)。

財務面は、2025年9月末時点で現金及び現金同等物 161,200百万円に対し、(IFRS16の考え方で)有利子負債を含めて見ると有利子負債 1,191,700百万円(D/E 1.01倍、親会社持分比率 28.5%)で、レバレッジは軽くはないけど改善方向、という位置づけです。 また上期のキャッシュは、営業CF 57,700百万円 − 投資CF 16,700百万円 = フリーCF 41,000百万円と黒字(億円表記を百万円に換算)で、まずは稼いで借金を減らす土台は見えます。
株主還元は、2026年3月期の中間配当 6円を実施し、期末も6円(予想)=年間12円の計画です。 配当利回りは約2.4%です。

まとめると、住友化学は「医薬が追い風の一方、石化・樹脂や電子材料が重しになりやすい総合化学」で、見るべきポイントは
①住友ファーマ(オルゴビクス等)の持続性
②石化/樹脂(ペトロ・ラービグ含む)の市況と出荷
③ICT材料の在庫調整がいつ戻るか
④FCFで有利子負債をどれだけ減らせるか
⑤配当の維持
あたりです。

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